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tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「日本は万年黒字国」の功罪を考える(補遺)

2024年12月21日 11時51分14秒 | 経済

昨日は11月の消費者物価指数が発表になったので、標記の続きは1日遅れました。今回は一昨日の続きです。

話は国民が一生懸命働いて、GDPという付加価値を作ったら、それは文字通りの「国民所得」で国民のものですから、国民の最も役に立つように有効に使おうという所で終わっていました。

いまの「万年黒字国日本」はそれを使い残しているのです。使い残した黒字は貯蓄という形で残るのですが、ゼロ金利ですから増えません。

日本はアメリカの国債の最大の保有国ですが、これからドル安になるとどんどん目減りします。

それなら、GDPを稼ぎ出した日本自身が年間30兆円ぐらいもあるその黒字を使って、もっとGDPを稼ぎ出したらどうでしょうか。

作っても売れないというのだったら、賃金を引き上げて、日本人がもっと欲しいものを買えるようにすれば、日本の中で経済成長が出来るのです。

経営側は、賃金を上げたら利益が減るというかもしれませんが、賃上げで国民の購買力は増えますから、国民の欲しいものを作ればいいのです。

資金がなくても、良い仕事には銀行やベンチャー資金が金を出してくれます。日本の新幹線も最初は世界銀行から借金して作ったのです。

経済成長は、稼いだお金を生かして使う事から始まるのです。それには、利益と賃金が「バランスのとれた成長」をする必要があります。この所の日本は賃金の成長が遅れていることから低成長になっている事は明らかです(消費不況)。

来春闘では 賃金(国民の購買力)が伸びて、消費が経済を引っ張るようにすることが求められているのです。

もう1つ注意することがあります。それは政府や日銀が日本経済を成長させる事は「出来ない」ということです。

成長を止めることはできます。かつては戦争をして日本経済を灰燼にしました。その後も、2倍の円高を容認することで、日本経済の成長力を喪失させました。日銀は、円高を元に正常に戻すことは出来ました。しかし、この環境整備を「労使」が利用しませんでした。具体的には円レート正常化を賃金構造・賃金水準に反映させることを怠ったのです。日銀に出来たのは環境整備までです。

政府は国民に代わって政府が金を使えば、経済成長が可能と考えて、国債を発行して赤字財政で景気テコ入れに走りました。

しかしこれはまさに「呼び水」で、入れただけは出てきますが地下水は上がって来ません。地下水は国民の購買力ですから、賃金が上がらなければ、枯れ井戸へに呼び水で、財政赤字が増えるだけというのが現状でしょう。   

最後に「これが大事」という事は、経済成長を実現できるのは、産業界で、その構成員は「労使」だという事です。

労使が自分たちで、企業、産業、国民経済の成長を考え、産業活動の現場で、それを実践することで、かつての日本は成長して来たという事です。

このブログでは、それをブログの副題とし、第1回から掲げてきています。


2024年11月:消費者物価反転上昇続く

2024年12月20日 14時25分16秒 | 経済

今日、総務省より標記2024年11月の消費者物価指数が発表になりました。

昨年秋から今秋にかけて、日本の消費者物価指数は基本的には沈静化を続け、日本銀行も、ようやく2%の物価目標が達成されるという見方から、今年の夏から政策金利を徐々に引き上げ、金融正常化、日本経済の正常化、健全化の動きを進めるという望ましい方向へ舵を切ってきましたが、この所の消費者物価指数の反転上昇は、それに水を掛けているようです。

下のグラフを見て頂くと明らかですが、8月から9月にかけて指数そのものが下がる段階にも来たように思えたのですが、10月、11月と反転上昇です。

    消費者物価主要3指数の動き(資料:総務省

主要3物価指数揃っての上昇で、マスコミは2.7%と言っていますが、それは「生鮮食品を除く総合」で、「総合」は2.9%と3%に近づいています。

こうした状況を日銀も想定してか、先日の金融政策決定会合では、政策金利引き上げの予想もありましたが、当面、状況静観という事になったようです。

何故急にこんなことになったかについては日経新聞以外あまり詳しく書いていませんが、大きな要因は2つで、1つはコメの値上がり、もう一つは、政府の電気・ガス料金への政策的配慮、暑い夏が過ぎたので、料金値下げの補助金をやめた事などによります。加えて天候不順で生鮮食品も上がりました。

政府のこうした補助金については「小さな親切大きな迷惑」と思っていますが、やはり主要な問題は、日本人の主食であるコメの値段が突如上昇、10月には前年比で60.3%、11月は更に上がって64.7%の上昇になっています。コンビニの売れ筋「おにぎり」も7.2%上がったようです。

主食のコメがこんなに大幅に上がっても、値上げ反対のプラカードもデモ隊もない静かな日本ですが、日本人は本当に温和しくなったようです。

話が逸れましたが、対前年同月比の動きのグラフは下記です。

   主要3指数対前年比の動き(資料:総務省)

電気・ガス企業などへの補助金で、エネルギー料金の入った赤と青の線は複雑な動きですが「生鮮食品とエネルギーを除く総合」(消費者物価の「芯」のコアコア指数)は7月の1.9%が底で、その後はずっと上昇基調です。

総務省発表に資料には、細かい分類の数字もありますので、その数字で見ますと、64.7%の値上がりのコメを含む穀類が15.0%、生鮮野菜14.3%、生鮮果物11.1%、電気代9.9%、ガス代5.6%などが目立ちます。

野菜や果物は作柄が良ければ下がりますし、電気やガスは補助金次第ですから基本は緑の線のコアコア指数で、これが7月に1.9%に下がったことが、日銀の利上げにもつながりました。当面する問題はコメ値上げの波及でしょう。

米の値上がりが、直接、間接に物価問題のどのような影響を与えるかまだ解りませんが、「農政の失敗」と当然判断されるような問題が、見過ごされてしまっていいのかと思いながら、これからも経過を見ていきたいと思っています。


「日本は万年黒字国」の功罪を考える(続)

2024年12月19日 10時01分09秒 | 経済

前回、日本が万年黒字国だというのは、必ずしも国際競争力が強いからではなく、経済不振でGDPがマイナスになれば、国民が消費を減らして節約し、GDPを使い残すようにするからその分が黒字になるという事を指摘しました。

これはずっと以前に書いた「国際競争力への誤解」で説明したところですが、国内総生産(GDP)より国内総支出(GDE)が小さければ、黒字国です。

赤字国になれば、その国の信用はなくなり、その国の通貨価値は下がりますが、日本は不況になっても黒字ですから円は安定通貨で、平成長期不況の中でも「何かあれば円高」などと言われました。

円高になれば不況ですから「円高とデフレのスパイラル」が心配されました。これではたまらないというのでアベノミクス第1弾で「異次元金融緩和」をやり円安にしました。

円安で競争力が付くから、すぐ大幅賃上げになって、賃金インフレになるだろうとみんな思っていたのでしょう。「異次元緩和」の張本人、日銀の黒田総裁も、「2%インフレ目標」などは1-2年で達成と言っていました。

諸外国なら当然そうなるのが経験的常識ですからそれも当然ですが、日本は世界の常識とは違っていました。

輸出産業、海外投資収益などは、順調に増えましたが、賃金を引き上げ消費を増やすというプロセスが日本では働かなかったのです。

結果は、輸出産業、海外投資企業に収益が蓄積され、一方、輸入物価は円安で上昇、消費者物価も上昇ですが、肝心の賃金が上がりませんから、消費は増えず、物は売れず、国内経済は不振、企業利益は蓄積、投資は海外向け、国内投資の多少の増加で投資片肺の成長しない経済が続くだけでした。

家計は将来不安を強め、これからの日本は「親の代より貧しくなる」といった見方が増え、結果的に「異次元金融緩和」は空砲になってしまいました。

日銀は、こんな不況では、金利引き上げは出来ないと異次元緩和を続け、国際投機資本は、日本で安いカネを調達、高金利のアメリカで運用して利ザヤを稼ぐので円売りドル買いでますます円安、といったオマケまで付きました。

一方、家計は25か月連続で実質賃金が前年より下がるといった異常事態です。これはどう考えてもおかしいと思い始めたのは昨年の春闘あたりでしょう。 

今年の春闘では、経営側も「もっと賃上げ出来るよ」と言い始め、何となく「賃金を上げないのがまずかったのでは?」という見方が出てきました。 

やっと本当の原因に気付いたのです。これを大事にしないといけません。

大事なことは、一生懸命働いてGDPを稼ぎ出したら、それを、気前よく使いましょう。それが国の経済活動を活発にして、新しい活動の領域を気付かせてくれるでしょう。次はそれへの挑戦です。そうして経済も社会も発展するのです。

勤倹貯蓄も美徳ですが、その貯蓄を使って、経済社会を発展させてくれる人がいることが必要です。今の日本は、使い残した黒字(貯蓄)はアメリカの国債購入で、アメリカに還流し、アメリカの役に立っているのです。何かもったいないですね。(次回もう少し蛇足を付け加えます)


「日本は万年黒字国」の功罪を考える

2024年12月18日 13時17分37秒 | 経済

前回、些か過激なことを書きました。

欧米に倣って、大幅賃上げをして、日本経済もインフレですよという印象を海外に与え、それなら金利を引き上げても当然だろうとアメリカにも、国際投機筋にも考えさせて、周囲がみんな認め、みんなも、それなりの政策や取引の在り方を考える中で、日本も金利政策を考えるようにすれば、日本の経済・金融政策はもっとやり易くなるのではないかという趣旨です。 

高度成長の頃、日本がやっていたことは、財政は健全財政堅持で、国債は発行せず、経済の成長は財政ではなく、民間の投資でやっていくというものでした。

第二次大戦で国力を使い果たし、発行した国債は紙くずになってしまった経験に学んだ結果でしょう。

日銀は貯蓄を奨励し、銀行による間接金融で、その金は成長部門に投資され、通産省の構想に基づく産業政策が功を奏して、日本経済は、繊維や雑貨から、カメラ、オートバイ、トランジスタラジオ、ウォークマン(半導体産業の魁)そして3C、新3Cの家電製品、さらには自動車まで、世界に注目されるようになっていったのです。  

その間は景気が良くなれば国際収支が赤字になり金融を引き締め、黒字になれば経済加速という繰り返しでした。

今の日本経済は、経常収支は万年黒字です。これは1つには石油危機で日本経済は国際収支が赤字になったら立ち行かないという経験、もう1つ、GDP以上に消費すると赤字になる」という固定観念によるものでしょう。

一方政府は財界の要望もあり、昭和40年の「戦後最大の不況」や石油危機をきっかけに国債発行というそれまでの禁じ手を使うようになり、国際収支は黒字、国家財政は赤字という経済スタイルが定着しました。国そのものは黒字ですから、国債は国内で消化可能ですから、外から見れば立派な黒字国です。

こうして日本は国際収支の万年黒字国になりましたが、それは当然赤字国を生み出します。その代表がアメリカでした。

アメリカは、そうした状態は不適切と考え、プラザ合意で日本に円高容認を迫りました。円高になれば競争力がなくなると考えたのです。

これがきっかけで、日本は長期の円高不況に苦しみ、未だに立ち直れないでいますが、相変わらずずっと万円黒字国です。

日本人はGDP以上に消費すると赤字になる、赤字になると日本経済は壊滅すると考えていますから、GDPが減れば消費を減らします。そしてGDPを使い残した分は黒字になります。だから日本は万年黒字国です。

結果は、万年赤字国は「万年黒字国が悪い」と言い、日本は輸出も自粛し、工場は外国に作って外国の経済に貢献します。日本の国内の産業は伸びませんが、海外投資の収益が入って来て国際収支は黒字が維持されます。

アメリカは、日本は黒字だ、高価な防衛装備品を沢山買えと言います。日本はどうすればいいのでしょうか。(次回に続きます)


金利と為替レートの関係を使いこなせ

2024年12月17日 13時14分48秒 | 経済

円安が進んでいます。日本の経常黒字は相変わらず確りと続く様相です。アメリカの経常赤字も相変わらずでしょう。円はじりじりと上げ、今日は154円に乗せています。

トランプさんが「アメリカを再び偉大に」と言っているから、それを先読みしドル高になっているのだという見方もあるようです。

しかし為替レートの分析が専門の機関などの意見では、今のドル高・円安は、マネー投機筋の動きによるもの大きいという事のようです。

マネー投機筋が何を見ているかと言えば、決定的な視点は金利差でしょう。

アメリカのインフレはなかなか収まらないのでFRBは政策金利の引き上げに消極的になっているようです。

一方日本はどうでしょうか。少し前までは11月か12月に日銀が政策金利引き上げに動くのではないかと言われていました。しかし最近の観測では、12月にも利上げはないという事のようです。理由は日本の消費者物価指数が2%近傍に下がるかと思われていたのに、10月、11月には、最近また物価が上がって来たというのが生活実感で、先ずは新米が60%も上がっているのに、農水省も、政府も何にも言わないといった状況があるようです。

一方エネルギー価格については、電気・ガス料金が上がらないように関連企業に補助金を出すというちぐはぐな話です。

2%インフレ目標を大事にする日銀は恐らく政策金利の引き上げには動かないという見方になるわけです。

こうして、日米の金利差は当分変わらないという事になりますと、投機筋は当然金利差を活用しようという事でしょう。

その結果、円安が進めば、日本の消費者物価は強含みになるわけで、日銀は金利引き上げに慎重になり、日米金利差はさらに続くという事になりそうです。これでは問題は一向に進みません。

アメリかはともかく、日本は政策金利を早期に引き上げて、金融正常化、預貯金に金利が付き、サラリーマンの将来設計や年金計算の先行きも明るくなり、2000兆円の過半を占める家計貯蓄が金利を生んで家計を潤すようにはなりません。

ただ、無暗に金利を引き上げ円高を招くと、いつかもあったように株が暴落し経済が大変なことになりそうだという恐怖感があるでしょう。

そこで、アメリカやヨーロッパの真似をして、日本も賃金インフレを起こしてみたらどうでしょうか。8~10%でなくても、4~5%で結構でしょう。

当然日銀は2%を目指して消費者物価指数を下げなければなりませんから、金利引き上げが必須になります。

そのためには10%ほどの賃上げが必要でしょうか。消費者物価指数は賃上げ率以上に上がりませんから実質賃金は上がり、円レートは140円とか130年になるでしょうか。日本企業はそれでも頑張るでしょう。

円高で輸入物価は抑制されますし、賃金インフレは労使の協力で2-3年で下がるでしょう。  

こんな形で、日本も、金利や為替レートを欧米より上手に使いこなすことで、この経済の閉塞状態から脱出する知恵を持たなければならに時代になって来たようにの思うのですが如何でしょうか。


低い賃金上昇か、高い物価上昇か・・?

2024年12月07日 15時04分18秒 | 経済

2024年10月の実質賃金は対前年同月比0.0%という事でした。

昨日発表された総務省の「家計調査」では、二人以上勤労者世帯の実収入は、前年同月比で0.3%の上昇でした。これは、世帯主以外の世帯員の収入が寄与したからです。

この春、今春闘の賃上げ率は、政労使それぞれの集計でも33年ぶりの大幅上昇という事で、みな喜んだはずです。 

にも拘らず、賃金が消費者物価の上昇に食われてしまって1年前に比べても上がっていないというのは何故でしょうか。

この場合原因は大きく2つでしょう。1つは、賃金の上昇不足ということになるのでしょう。もう一つは物価が上がり過ぎたからということになるのでしょう。

多分、現実は、その両方が原因だ、というのが正解なのでしょうが、問題は、どちらが、あるいは、何が主因かという事になるのでしょう。

原因が解らなければ、対策・改善策も考えようがないという事で、ここではそのあたりを少し見てみたいと思います。

賃金について考えますと、6月、7月はボーナスが昨年比大幅に増えたので、実質賃金はプラスになり、25か月続いた実質賃金マイナスは終わったと言われました。しかし8、9、10、月になるとゼロ、マイナスです。12月のボーナスがどうかですが、ボーナスを入れた年度間の数字がプラスであれば、年度間では実質賃金はプラスになり、賃金総額の引き上げの効果はあったということになるのでしょう。

物価の方を考えてみますと、値上げの原因は、輸入原料の値段が上がった、それと、人件費が上がったが2大要因でしょう。もう1つ、値上げを吸収する要因として生産性の向上があります。生産性が上がった分は物価は上がりません。

たしかに輸入物価は円安で上がり気味ですし企業物価も年率3%程度上昇と強含みです。それに加えて、10月の消費者物価指数上昇の大きな原因にコメの値上がりがあります。総務省の「消費者物価指数」では10月の対前年2.3%上昇のなかの「食料」の寄与分1.01の太宗はコメの60.3%の値上がりのようです。

 

米の値上がりがなければ、この所の実質賃金はプラスになっている可能性が大きいと見てもいいのではないでしょうか。

コメの値段は勿論マーケットで決まるのですが、その背後には、政府の減反政策を背景にした、コメの生産を増やさず、結果的にコメの生産性も上げないという、今日の世界で日本のコメがもてはやされるという環境変化に反応しない鈍感な農政があることは明らかです。

さらには、ガソリンが値上がりしにように、政府が赤字国債で補助金を出すことが、燃費の悪いガソリン車が減らない原因になっていることなども含め、国の政策自体にも問題点は沢山あるようです。

国民が、物事を、広く長期的視点で見ることも、消費者物価の上昇を下げるという効果もあることに思いを致す必要もありそうです。

<追記>

総務省の10月の消費者物価指数の上昇は、総合、生鮮食品を除く総合、生鮮とエネルギーを除く総合」がともに2.3%です。

厚労省が実質賃金に算出に使うのは「持ち家の帰属家賃を除く総合」で、これは上昇率が2.6%です。現金給与総額の上昇率も2.6%ですから、実質賃金上昇率は0.0%ですが、通常使われている「総合」は2.3%ですから10月は0.3%のプラスになります。

(詳細は先月のブログ参照)


10月「平均消費性向」、前年比-3.7%

2024年12月06日 15時05分14秒 | 経済

今日、総務省統計局より2024年10月の家計調査が発表になりました。

この所,改めて、家計の節約マインドが強調されるようになっているので、心配になり、さっそく説明の最後にある2人以上勤労者世帯の平均消費性向を見ました。

悪い予感はバッチリで、下のグラフの通り、67.6%、昨年10月の71.3%に比して3.7ポイントのマイナスという大幅下げです。

                                                       資料:総務省「家計調査」

関連する数字を見ますと、世帯主収入は2.8%の増で、消費者物価の上昇をやっとカバーし、実質0.3%の上昇とぎりぎりプラスりです。配偶者の収入、他の世帯員の収入等も加えて家計の実収入(名目)としては3.7%の増加です。 

可処分所得(手取り)は、非消費支出の-0.4%があって4.6%(名目)の増加ですが、消費支出の方は-0.9%と減少、その結果が上記の平均消費性向の低下となっているわけです。

グラフでご覧のように、年初は上がり始めたかと思われた平均消費性向が5月以降はずっと前年同月比でマイナスです。

多分、家計は、賃上げムードも出て来たし、物価も安定してきたから少し消費を増やしてもいいかなとは考えずに、ボーナスが増えて少し貯金ができたが、ボーナスがない8月になったら、33年ぶりの大幅賃上げの結果もがそんなに大きいものではなく、消費者物価の上昇に食われてしまっているようだから、やっぱり節約した方がいい様だ、という判断に傾いたのではないでしょうか。

政府・日銀は物価が安定してきたと言っていますが、卵や魚介類など生鮮食品の値上がりもあり、さらには端境期で日本人の主食のコメが足りないなどと言っているうちに新米の価格が6割も上がっているのです。それでも農水省は知らん顔、これではやはり「生活防衛」が必要という事になるでしょう。

長い眼で見ても、家計は余り消費を増やす気にはならない状態が相変わらずという事のようです。ご参考までに、この2年間の家計調査の月々の消費支出(実額)の推移(実額、名目値)を2人以上世帯と、2人以上勤労者世帯について表にしました。

              資料:上に同じ     

本当にほとんど増えていないというのが、家計の消費行動という事のようです。

収入はそれなりに増えても、消費は増やさない(結果は平均消費性向の低下)というこの所の日本の家計に定着した習慣が変わらない限り、消費不振による日本経済の低成長は続くでしょう。

その原因解明も、脱出策の構想も政府には出来ていないような気がします。


やっぱり気になるお米の値上げ

2024年11月30日 13時30分05秒 | 経済

11月22日に総務省時計局から10月分の消費者物価指数が発表になり同日、このブログでは「消費者物価に注意信号点灯か?」と書きました。

このブログで最も注目している消費者物価指数の中の指標は「生鮮食品とエネルギーを除く総合」です。この指標はお天気次第で動く生鮮食料品の価格と、海外の物価や円レートの変動で動くエネルギー価格を除いていますから、ほぼ、日本国内の通常の経済活動で起きる物価の動きを反映していると考えられ、消費者物価の芯の芯という意味で「コアコア指数」などと呼ばれます。

政府や日銀がインフレ目標として掲げる2%というのも、基本的にはこの指数の動きに相当すると考えていいのはないかと思っています。

この指数は2022年の春から2023年の秋まで異常な上昇を続け、日銀はこのインフレ状況が収束しなければ、政策金利の引き上げ、金融政策の正常化もできないと考えていたようでした。

この異常なインフレは、その前の1年余、コロナ禍もあり消費不振で値上げは愚か値下げが必要といった時期のマイナスを何とか取り戻そうと関連業界が一斉、波状的に値上げに走った時期でした。

2023年の秋に至り、消費者の反発も高まり、マスコミの批判も強くなって、値上げの足並みも揃わなくなり、コアコア指数は急速に上昇率を弱め、今年7月には対前年比1.9%と、政府・日銀のインフレ目標を下回りました。

日銀も、これで国内要因による消費者物価之上昇はほぼ正常化したと踏んだのでしょうか、日銀も金利引き上げ転じたところです。

ところが、8,9,10月と、コアコア指数が上昇に転じたのです。

最近マスコミの報道でも、卵が上がっています、トマトが上がっていますといっています。卵は鳥インフルの影響のようです。トマトはこの所出来が悪いようです。

しかし、総務省統計局の消費者物価指数統計に出ている「うるち米60.3%値上がり」については、マスコミは関心がないようです。

米は日本人の主食です。夏頃、コメが足りないという噂(FAKE News?)がありましたが、政府は新米の作柄は平年並みで「そんな心配はありません」と言っていました。

ならばなぜ60.3%も値上がりするのでしょうか。解説は政府からも、マスコミからも聞こえてきません。

アメリカで主食の肉が60%も値上がりしたら暴動が起きるでしょう。トランプさんは「失政だ」と吠えるでしょう。

何処がどうなっているのか知りませんが、減反政策でコメ作りは制限されているようです。一方、世界中で米食が人気になり、特に日本のコメはおいしいと評価が高く、そのせいで輸出も伸びているようです。

インバウンドが増えて、国内でもコメの需要が増えているといニュースもあり、「インバウンドでそんなに増える?」などと言っていました。

今の臨時国会でも、コメの値上がりを論じる気配もないようです」補正予算案の非課税世帯への一時金で済んでいるとでもいうのでしょうか。


消費者物価に注意信号点灯か

2024年11月22日 21時11分35秒 | 経済

今日、総務省統計局ら、10月の消費者物価指数が発表になりました。このところ比較的順調に安定傾向を示していた消費者物価指数ですが、10月に至って些か変調を見せたようで、十分注意することが必要でしょう。

秋に入って日本中の家計が、気にしているのがお米の大幅すぎる値上がりです。どこからか、コメが足りないという噂が出て、急にコメが値上がりしています。政府は全く気にしている様子はなく、備蓄米を出すといった話もなく、新米が出れば作柄は悪くないので下がるでしょうといた態度のようでした。

ところが新米の値段が大幅に上がったのです。今日発表の消費者物価指数の中の説明でも「うるち米(除くコシヒカリ)60.3%と書いてあります。

米は日本人の主食です、作柄は今年も平年並みだそうです、減反政策をしています、一方、輸出は伸びています。その米が急に60%も値上がりするというのはどういう事でしょうか。しかも農水省は全く気にしていないようです。

今、日本経済は消費者物価いかんよって金利政策を決まり、政策金利が決まり、日本経済の基本構造を正常以下するために大変重要な時期にあります。

の時期に、基本的に政府の政策で決めると言っています。米価が60%も上がっていいのでしょうか。

少し余計な事を書いたのかもしれませんが10月の物価は全面的に上がりました。これまでの何低下傾向から突如反発です。

消費者物価原指数(2020年=100)

          資料:総務省「消費者物価指数」

恐らく、主食のコメがそこまで上がって許されるのであれば・・、という感覚は、意識・無意識に消費者物価指数全体に影響するでしょう。「総合」も「生鮮を除く総合」も、「生鮮とエネを除く総合も一斉に上昇です。

対前年同月比で見たグラフは下ですが、このグラフから解ることは9月、10月にかけて生鮮食品やエネルギーの入っている指数は前年比で下がっているのに、どちらも入っていない国内の、季節変動も海外輸入価格の影響もない国内要因で上がる物価が、それまでの安定化傾向から、突如上昇に転じているのです。

      消費者物価指数対前年上昇率

           資料:上に同じ

米の値上りが、おにぎりやすしの値上げにつながる可能性は大きいでしょうが、問題はコメの大幅値上がりが、心理的にいかなる影響を持つかでしょう。まして、農水省がほとんど無関心という現実が日本の物価問題にいかなる影響を与えるかです。

統計は、自由経済下の物価の動きについては、それなりの分析が可能です。しかし政策的に政府が価格を動かすような状態の下では、経済分析の意味を持ちません。

という事は、統計を分析して経済政策に活用することも意味を持たない事になります。

2%インフレ目標などを政策の柱に掲げる日本政府というのは、どんな頭の構造をしているのでしょうか・・・。

などとブログに書くだけで、値上がりしたお米のご飯を食べていている日本人は、本当に政府に対して寛容で、扱いやすい国民ということなのでしょうね。

 

 

 


物価問題の先行きをどう見るか

2024年11月16日 21時10分50秒 | 経済

最近、大手スーパーの業績不振が報道されています。現場の実感としては仕入れ価格の上昇と、最近の日用品の買い控えに対する値下げ戦略の挟み撃ち状態の中での苦戦といった声が聞かれるようです。

このブログでは物価については、輸入物価、企業物価、消費者物価指数,それに消費者物価指数については、総合から除く生鮮食品、除く生鮮食品とエネルギーといった形で

、ほぼ毎月追いかけちますが、今回は改めて物価が上がりそうという心配が本当にあるのかどうか、統計のデータから現状を見てみたいと思います。

一昨年から昨年にかけて特に日用品や食品の値段が大幅に上がり、実質賃金が25か月も連続で前年比マイナスという記録を作りましたが、この物価上昇の大波も、昨年の秋から鎮静化に向かい、最近は国内インフレを示すとみられる「生鮮とエネを除く総合」は年率2%程度に収まるまでになり、日銀も政策金利引き上げに動きました。

ところがこの秋に入ってコメの値段が上がるという全く政策の過ちとしか言えない問題が起き、さらに物価を下げていたエネルギー産業への補助金も夏に終わり、政府の物価政策の混乱から、物価上昇再燃の声が出てきているのです。

そこで客観情勢をみましょう。

日本の物価上昇の要因は大きく2つです。1つは輸入価格の上昇です。食料自給率の低い日本、エネルギーも食料も輸入に依存です。これが上がれば日本中物価は上がります。(これには国際的な値上がりと円安による日本だけの値上がりが含まれます)。

もう1つは賃金水準です。賃金が生産性以上に上がればその分コストインフレが起きます。これは国内インフレです。

ところで、1年前から物価は落ち着いて来ていますから、過去1年間の輸入物価と企業物価の動きを見ましょう。

                                             資料:日本銀行 

去年9月から今年の10月まで輸入物価(円建て)は1.5ポイント、1.4%ほどの上昇です。赤い線の契約通貨建てでは0.7ポイント下がっています。この差が円安によって上がった分です。

気になるのは5月から7月までの4か月、青色の円建ての線が高かったので、その辺りの高かった原材料や飼料、エネルギーなどが今になって小売商品に被って来る可能性はあります。ただしそれは何か月かすれば消えるでしょう。

灰色の線の企業物価を見ますとこの間3.9ポイント上がっています。これは経済学では「生産性を越えた賃金の上昇分というのですが」利益が物価を押し上げても同じこと起きます。どちらが主因かは、法人企業統計などで分析すれば解るかもしれません。

いずれにしても、この1年間では、基本的に日本経済がインフレになるような事態は起きていないことが解ります。

お米の価格が上がったことは米作農家の所得が増えたことになるでしょうし、ス-パ=のマージン率が低くなったことは,スーパーの利益が減ったことで吸収されて、産業別、業種別,企業別、地域別、規模別・・などのプラス・マイナスはあっても、全体としては大きな動きはなかったという事でしょう。

こうした点に十分気を付けて経済を運営していけば、消費者物価まで含めてみても、物価の大きな動きはなさそうだと言えそうです。

ただアメリカ次第ですが、円安になるか、円高になるか、これが大きく動くと、影響は大きいと思います。


2024年7-9月期GDPは低速・安定成長

2024年11月15日 16時52分55秒 | 経済

今日、内閣府より7-9月のGDP統計の速報が発表になりました。

実質成長率は対前期比で0.2%(端数は4捨5入)で、年率換算0.9%、2期連続のプラス成長というのがマスコミの報道です。

つけ加えて、その前の状況を見ますと4-6月の対前期比0.5%はいいのですが、1-3月はマイナス0.6%で、その前は0.1%とマイナス0.1%ですからすから、過去1年ほどでみれば、ほとんど経済成長していないというのが現状です。

ところが、今年度に入って、2期連続前期比プラスと状況が変わってきているように見えます。何が変わったのかと、需要別の内訳を見ますと原因ははっきりです。

今年の1-3月期まで3期連続マイナス成長だった家計最終消費支出が4-6月期0.7%、7-9月期0.9%(数字は実質値)と、このところあまり見られないようなペースでの上昇になっているのです。

日本経済が成長しないのは、個人消費が伸びないからだと長年言われてきていました。その消費が動き出したとすれば、これはいよいよ日本経済にも成長の気配が出てきたかなという観測もあり、マスコミの見出しも明るいのでしょう。

因みに、この2四半期の家計最終消費支出対前年同月の実質成長率の0.7%、0.9%を年率換算すれば、それぞれ2.8%、3.6%になりますから、この家計消費のペースで日本経済が成長するようになったら、日本も1人前の経済成長国です。

この家計最終消費支出増加の背景を最もよく説明しているのが、25か月連続で対前年の実質賃金がマイナスになったという異常ともいうべき現実が、その後どうなったかでしょう。

皆様ご記憶のようにこの不名誉な記録は今年の5月までで6月のボーナスの大幅増加でストップ、7月以降も統計の取り方にもよりますが「ほぼ」解消でしょう。

ただ、解消のきっかけがボーナスの大幅な伸びで、8月以降は、完全解消かどうかは疑問という意見もあります。

上記の4-6月期、7-9月期は、共に、ボーナス月が入っています。

さらにここで付け加えれば、この所の家計の消費支出の動きは収入のわりに支出が抑えられていることも明らかです。

これは平均消費性向の低下にはっきり現れていますから、先行きが明るくなり、家計の消費支出が収入の増加に応じて増える様になれば、消費支出の増加は安定し、日本経

済の先行きも明かりがともるはずです。

この辺りは、これからの石破政権と野党の動き、さらには、連合、経団連の動きいかんでしょう。

タイトルはGDPでしたが、中身は家計消費の検討ばかりになってしまいました。

この所の最重要問題は「消費支出」ということで、お許し頂きたいと思います。


平均消費性向低下の謎を探る

2024年11月10日 15時33分11秒 | 経済

衆院選挙が終わって、政界の地図にも変化が起きて、何か新しい動きが起きて来るだろうと期待する人も多いと思います。

そして、その動きの第一波がさっそく見えてきました。103万円の壁を崩そうという動きです。

国民民主党の主張は手取りを増やそうという言い方でしたが、税制を変えれば家計の手取りは増えますという方法、賃上げとは別の方法で家計の収入を増やすという可能性を指摘することになります。

勿論、報道されていますように、基礎控除を103万円から178万円に引き上げれば、7.8兆円が家計の手取りとなり、その分税収が減ると早速財務省が試算をしました。

財政の工面は政府がやれというのが国民民主党の意見のようで、自公国3党協議に入っているようですが、家計には賃上げと同様な恒久的な手取りの増かが保証されることが大事なようです。

というのは、これまでの家計の消費支出の態度を見ますと、かなりガードが固く、一時的や不安定な収入が増えても「消費は増やさないという傾向が強いからです。

実はこのブログでは名目の手取り額の増加と、消費支出の関係を見てきているのですが、物価が上がって実質消費が減ったという現実もありますが、手取り収入が増えても名目の消費支出を増やさないという超堅実、将来不安に備えての貯蓄志向という状況が、かなり強く見えるのです。

                                             資料:総務省「家計調査」

上のグラフを見ると明らかですが、2017年あたりから、勤労者家計(二人以上)の可処分所得は増えているのです。可処分所得というのはまさに「手取り収入」ですが、賃金水準は上がっていませんから、増加の原因は、配偶者など家族が働きに出るとか、内職、資産収益、さらには公的給付金などのようですが、消費支出の方を見ますと、ほとんど変化のないフラットな状態が続いています。

手取り収入の赤い線がこれだけ上がっても、消費支出の青い線はほぼ横ばいという事は・・、と考えますと、家族な頑張ったり政府からの給付金があったりしても、そうした収入は安定収入ではないから、家計としての経常支出(消費支出)で使うことは控え、貯蓄に回しておこう。これからの日本経済も、恐らくあまり変わらないだろうし、年金財政などは悪くなることはあっても良くなる事はないだろうといった将来不安が先に立つという事ではないでしょうか。

日本経済の回復は民間消費支出の増加にかかっているというのが、経済学者、評論家の一致した意見のようですが、このグラフを見ますと、日本の家計にお金を使わせるのはかなり難しい事のように思われます。

ご参考までですが2000年以降の平均消費性向のグラウを載せておきます。100%に足りない部分は平均貯蓄性向です。

             資料:上に同じ

衆院選の結果が、こうしたグラフの動きの方向を変えるまでには、今までの自公連合では出来なかった、更にいろいろな事が必要なようです。


2024年9月平均消費性向の低下続く

2024年11月08日 16時50分15秒 | 経済

今日は、総務省統計局から「家計調査」の家計収支編の9月分が発表になりました。

実質賃金の低下がまた2か月連続という事が昨日の毎月勤労統計の発表で解りましたし、今日の9月分の家計調査の結果でも、勤労者世帯の平均消費性向は前年比低下で勤労者世帯でも、消費の回復は、残念ながら、まだのようです。

そんなことでまず、二人以上世帯の消費の推移をグラフにしてみました。

                     資料:総務省「家計調査」

増減を分ける0%の横線が、太線にしてないので、解りにくいかもしれまんが、

一見して知られるのは、確かに名目の消費支出は増える傾向にある事です。

今年の1月は、昨年1月の反動もあるのか消費支出の異常な落ち込みですが、これは例外的として、2月以降の名目の消費支出額の対前年同月の伸び率は、昨年の水準とは1%ポイントほど違ってきたように見られます。

特に春闘以降は、2人世帯の過半は勤労者世帯ですから当然とも言えるわけですが、消費者物価の上昇がやはり1%ポイント程上がって来てしまって,赤い線は、相変わらずほとんど水面下です。

消費者物価指数の2年ほど続いた生活必需品中心の上昇の波は終息したようですが、電気、ガス、それにガソリンといったエネルギー関係の方は、政府の補助金の減額打ち切りなどで上がってくるというバラマキ政策のマイナス面が出てきているのです。

いずれにしても消費者物価が落ち着かない事には、予測も、見通しも立ちません。来春闘では、も少し賃金の上昇率を高くしようとの意見もあるようですが、経営側のガードはどうでしょうか。

家計の収支両面のわかる勤労者世帯でみますと、ボーナスなどで増えた6,7月が過ぎ8月方は平常の月、勤労者世帯平均の名目所得(実収入)49.4万円(これは世帯主37.5万円、配偶者収入8.9万円などの合計)で、昨年9月に比し1.3%の増加、消費者物価指数の上昇をさし引けば、1.6%のマイナスという事になっています。

平均消費性向計算の分母の可処分所得は40.3万円、分子の消費支出は30.8万円で平均消費性向は76.6%という事になって、昨年9月の78.2%から1.6%の低下です。

名目収入は増ですが実質収入は減、結果は消費を抑えて、貯蓄に励み、将来不安に備えるという方針に戻ってしまったようです。

これからどんな政治が行われるか解りませんが、政府の出来ることは限られています。先のことがますます読みにくくなったようです。


2024年9月分毎月勤労統計:実質賃金マイナスか?

2024年11月07日 16時39分26秒 | 経済

朝、厚労省から毎月勤労統計の9月分(速報)が発表になりました。名目賃金の伸びは安定していて堅実な動きと言えるのかもしれませんが、注目の実質賃金の対前年比では6月、7月とプラスに転じましたが、8月、9月とまたマイナスになってしまっているというのがマスコミの指摘です。

33年ぶりと言われた今春闘の賃上げが、も少し高ければという所ですが、後述のように、統計の使い方もあり、方向としては明るさも見えるという状況でしょうか。具体的な数字をあたってみたいと思います。

下のグラフは過去1年間の名目賃金の対前年上昇率の推移です、所定内給与、決まって支給する給与(残業等込み)、賃金給与総額(ボ-ナス等込み)の3本の柱です。

              資料:厚労省「毎月勤労統計」

ご覧のように6月、7月はボーナスが良かったことで灰色の柱は高くなっていて、この2か月は、実質賃金はプラスでした。

マスコミでは、通常の月に戻った8月、9月はまた実質賃金マイナスと書いていますが、これは現金給与総額指数と消費者物価指数の上昇を比較したもので、9月は毎月勤労統計の実質賃金指数ではマイナス0.1%で僅差のマイナスです。(下表参照)

このブログでは毎回指摘していますが、厚労省がここで使っている消費者物価指数は「持ち家の帰属家賃を除く」指数で通常の総理府発表の消費者物価指数とは違い、このところ少し高い場合が多いものです。(数字は下表にあります)

今後どうなるかは、消費者物価指数の鎮静化を期待(予測)するところですが、今後の改善へのカギは、すでに来春闘に期待という時期に来たようです。

ところで、9月の賃金と物価の上昇の関係を一覧表にしますと、こんなところです。

政府の発表は,消費者物価指数の帰属家賃を除く総合を使っていいあすからマイナス0.1ですが、このブログでは、最初から、消費者物価は通常の総合で、賃金は現金給与総額を使っていますので、それで見ますと、9月も0.3%ですがプラスという事になります。

もう少し歴然としたプラス2~3%という所が目標でしょうか。

 

 


民間が確りしなければならないですね

2024年11月05日 13時43分29秒 | 経済

衆院選の結果が自民・公明の過半数割れで、政権運営が不安定になる事は当然と予想されます。

今までは、絶対多数とか過半数確保といった条件の下で、政権党は何はともあれ、国会運営は多数で可能という安心感があったでしょう。

しかし、これからは違います。マスコミや評論家の中には「これでは何にも決まらないのではないか」などという言い方もあるようですが、勿論、野党は何でも反対というのではなく、国民のために良いと思えば賛成するわけでしょうから、国民が希望する方向に国会論議が収斂するという事になるはずです。

理屈としてはそうなのですが、現実を考えれば、差し当たって議論になる裏金問題では、自民党はあまり厳しくない結果を望み、野党は、企業団体献金廃止といった立場であれば、与党案は通りません。与党が国民の意見に賛成しますと言わなければ紛糾です。

石破総理の下では自民党自体の中も纏まらないといった事でもあれば、現内閣は短命という見方も多いようです。

各党が、あるいは各議員が「是は是、非は非」という事で物事が決まる衆院への練習期間が必要でしょう。

という事であれば、国民の心配する経済運営はどうなるのかという事ですが、これは結局、民間労使が確りしなければという事になるのでしょう。

経済運営の基盤部分の在り方に最も大きな影響力を持つ日銀は、確りと金融政策を考えてくれているようですから、ここは来春闘の賃金決定に向けて、労使が誤りない対応をしていくことがますます重要になって来るのでしょう。

嘗ては日本の労使は、政府はさておき、日本経済をけん引するのは産業界であり、その構成者である労使であるぐらいの自覚をもって日本経済を引っ張るといった気概を持ち、世界の主要先進国が共通に苦しんだ石油危機を、民間労使の協力で、立派に乗り切って世界から羨望の的になった経験もあるのですら、ここは、労使ともに本気を出して、日本経済を民間の力で立派に支えてほしいものです。

この3年ほど、2023~24年の春闘の経験から、少しずつ労使関係の勘所を思い出して来たような雰囲気も感じられ、政治の混乱を横目に、労使が日本経済を引っ張るという雰囲気も出てきたかなと感じられるところですが、重責を果たすにはもう一皮むけてほしいような気もしています。

というのは政府の経済外交、経済政策が失敗続き(円高、決める政治など)だった結果、民間が頑張ろうにも、そのための国際・国内環境が出来ていないといった状態が30年も続いた結果、政府依存の感覚が強くなったという事があるようです。

具体的に言えば、経団連が、政治献金を極めて重要な政治への貢献と考えるようになったり、連合が、政府の意向や政府の動きが賃金決定にも関係するといった感覚を持つに至っていることです。

産業界、産業労使が、「我々が、政府の経済政策の在り方を引っ張っていく」といった気概を持って、自立して経済活動に当たることが望まれるところです。