司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

「「デジタルファースト」を加速するための電子署名法・商業登記法等の規制緩和の必要性」等

2020-05-18 12:05:16 | 会社法(改正商法等)
規制改革推進会議第10回成長戦略ワーキング・グループ
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20200512/agenda.html

「電子署名」「押印についての考え方」「規制改革ホットラインの処理方針」「株主総会に係る書類のウェブ開示拡大」について議論がされたようである。


「デジタルファースト」を加速するための電子署名法・商業登記法等の規制緩和の必要性(弁護士ドットコム株式会社提出資料)中,9頁において,「特に登記申請時添付すべき契約書面・取締役会議事録等について行政サイド(法務局)から取扱いを拒否される事例に悩まされる企業は多い」とあるが・・・。

 そもそも書面の場合に押印が必須でない書類について,電磁的記録として作成されている場合に,登記所で有効性が検証可能な電子署名を求めるというのは,不可解な話である。


 また,「資料2-1」には,次の回答が示されている。

【論点】
 企業内で作成する各種書類について、押印があったほうが確実性が高いというIT時代以前の判例に基づいた解釈の存在や、民事訴訟法第 228条第4項において「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」との推定規定があることにより、領収書や納品書、請求書等について押印を行う慣行が根強く残っている。
 感染症対策に必要な接触機会の減少を図るとともに、中長期的な企業の生産性向上を推進するために、いかなる場合に押印が必要で、いかなる場合には必要でないか、解釈を明確に示すべきではないか。

【回答】
(結論)
 ご指摘の、感染症対策に必要な接触機会の減少を図るとともに、中長期的な企業の生産性向上を推進することは、重要であると考える。
 しかし、法務省は、お求めの解釈を示す立場にはなく、示すこともできない。

(理由の骨子)
○ 民事訴訟法第 228 条第4項は、文書等への押印の要否について定めた規定ではない(形式的証拠力について、反証の可能な、事実上の推定を規定しているにすぎない)。
  ↓
民事訴訟法第228条第4項の解釈として、いかなる場合に押印が必要であるかを導き出すことはできない(業界慣行や取引当事者が決める問題である)。

○ 文書等の形式的証拠力を推定する法律上の規定としては、押印のほかに、署名と電子署名(電子署名法3条の要件を満たすもの。以下同じ。)に関するものもある。
  ↓
署名と電子署名にも同じ効果が認められているにもかかわらず、(署名、電子署名とは異なり)仮に押印の慣行のみが根強く残っており問題になっているとすれば、それは主として民事訴訟法第228条第4項以外の要因に基づく問題である(なお、押印と同じ効果がある署名と電子署名に、押印と同様の慣行があるかは疑わしい)。

○ なお、ご指摘の、「押印があったほうが確実性が高いというIT時代以前の判例に基づいた解釈の存在」が具体的に何を指すのか不明であり、お答えしかねる。
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