司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

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公益法人等への移行の登記と監事の任期の取扱いについて

2009-12-15 00:00:01 | 法人制度
 特例民法法人が公益法人又は一般法人へ移行する場合の監事の任期の取扱いにつき,若干疑問がある。

 特例民法法人が公益法人又は一般法人へ移行する場合に,移行の登記の時に理事又は監事を全員任期満了させて,その時点から新たな任期を開始させたいというニーズは,しばしば見られるようであるが,この場合の監事の任期の取扱いについては,注意を要する。

 すなわち,理事は,もちろんのこと,監事についても,定款の附則に定めを置くことにより,移行の登記の時に任期を満了させることが可能であるのだが,監事が就任後,一般社団・財団法人法第67条第1項ただし書の規定が定める短縮限度(2年)を経過していない場合には,そのような取扱いをすることができないと解されているからである。

 しかし,これは,甚だ疑問である。

 整備法第48条第3項の規定により,整備法施行の際現に監事を置くこととしていた特例民法法人の監事の任期については,「なお従前の例による」こととされている。すなわち,特例民法法人の監事の任期については,整備法施行前の民法の規律が適用されるのであるが,同民法には,監事の任期の定めは設けられていなかったものである。したがって,定款又は総会の決議等によって,監事の任期を短縮することは可能であったはずであり,「なお従前の例による」のであれば,移行に際して,定款の附則に定めることにより,一般社団・財団法人法第67条第1項ただし書の規定にかかわらず,移行の登記の時に任期を満了させることができる,と考えるべきであろう。

 しかし,現行の内閣府の「定款変更のガイドライン」は,これを認めていないようである。


cf. 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
 (監事の任期)
第67条 監事の任期は、選任後四年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとする。ただし、定款によって、その任期を選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとすることを限度として短縮することを妨げない。
2・3【略】

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
 (理事及び監事に関する経過措置)
第48条 この法律の施行の際現に旧社団法人(第四十条第一項に規定する社団法人又は民法施行法社団法人をいう。以下この章において同じ。)又は旧財団法人(同項に規定する財団法人又は民法施行法財団法人をいう。以下この章において同じ。)に置かれている理事又は監事は、それぞれ一般社団・財団法人法第六十三条第一項(一般社団・財団法人法第百七十七条において準用する場合を含む。)の規定によって選任された理事又は監事とみなす。
2 特例民法法人の理事(理事会を置く特例民法法人が選任するものを除く。)の選任及び解任、資格並びに任期については、なお従前の例による。
3 この法律の施行の際現に監事を置くこととしていた特例民法法人の監事(次に掲げる特例民法法人が選任するものを除く。)についても、前項と同様とする。
 一 理事会を置く特例社団法人(以下この款において「理事会設置特例社団法人」という。)
 二 会計監査人を置く特例社団法人(以下この款において「会計監査人設置特例社団法人」という。)
 三 評議員を置く特例財団法人(以下この款において「評議員設置特例財団法人」という。)
4 【略】
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