その昔(青春時代は昔)、なんとなくクリスタルというタイトルの小説があった
長野県知事で衆議院議員にもなった田中康夫氏の作品である。
当時、純文学では、村上龍、林真理子、小池真理子、森瑶子、少し後に、田口ランディ、鷺沢萌、野沢尚、鎌田敏夫、家田荘子、中山可穂藤堂志津子、北川悦吏子といった気鋭がなんともパワフルで読んでいた。今回のブログ、脈絡はまったく関係ないが、 なんとなく西加奈子をよく読んでいるという話し。
きいろい象は、たぶん、随分まえに読んだんだけど、もう一度おさらい。
読むとああ、そうだった、となるが、新鮮な印象はきっと彼女のポテンシャルが高い証拠だろう。
テヘラン生まれというのがそもそも小説的だし、関西弁というのもズルいなあと思う。
とおもったら、 この中の掌編に、ナオコーラを題材にしたものがあった。
小説家を志望する主人公がナオコーラを羨み、理不尽な嫉妬をする。
これがおもろい。
ラストは近年文芸誌で読んだ掌編にも通ずるオチがあった。
う~~、正直、メッチャおもろい。
【十五夜の涙こぼるる三崎坂】哲露
円卓に出てくる こっこ こと 琴子が可愛い。
じいさんの石太も助演男優賞ものだし、友達もキャラが立っている。
だいたい潰れた中華食堂の円卓があるアパートの一室って、どんなんだ。
そういえば、我が家も新婚から円卓だ。
西加奈子は、あおいでデビュー、さくら、うつくしい人、白いしるし、ふくわらい~最新作の舞台。
綿谷りさが天才なら、この人はなんなん?
溢れる才能、このジャンルを読んで、時代小説を書いているおれもなんなん?
でも、なんとなく、創作の力をもらっている。
お気づきの方もいらっしゃると思う。
そう今月はブログにする写真もなく、この二週間の読書遍歴を書いてごまかしてます。
この夏まで、封建の資料本ばかり読んでいて、正味つかれた。
いろんな部位の肉、ありとあらゆる野菜、南国のフルーツ、濃いアルコールが血肉となって邂逅し、昇華していく、そんなことを寝ても覚めても、考えておるばかものだ。
先輩の作品を読んで、他人事だとどうしてこんな判るのや、と苦悩する。もちろん、独りよがりの読み手だが、編集者としての目線がその小説を一瞥して評価を下している。足すべきところ、引くべきところがよく見えるのだ。これが己の小説だと、そうはいかない。
三崎坂に雨粒の音が静かに響く。十五夜も台無し。けだし、明日は月の軌道により地球に近付いてのスーパームーン。
ま、そんなわけで、性懲りもなく書いています