週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

初めまして光源氏殿!

2012年01月20日 | ☆文学のこと☆

           
                「源氏物語」
          作:紫式部 文:越水利江子 画:Izumi
           2011年11月15日初版 発行:角川書店

 わが同人の大姐越水氏の意欲作である

 あの古典「源氏物語」を子どもが読めるように、一度揉み砕き、さらに己の手法で掻き集め築く気の遠くなる作業なのだ。

 数々の歴史物を扱った児童書を世に送り出している名手であるから、どんな形で源氏を書かれるのだろうと、興味は深かった。

 子どもたちが手に取りやすく、読みやすいように紡ぐ魔法の杖のような筆力を持つ大姐。

 だが相手はあの大古典。千年もの間読みつがれ、また幾多の作家がその訳に手を染めているほどの魅力ある物語。それだけに、児童書として書くのはさらに難しいと察せられる。

 正直、この物語には長い間心が動かないで生きてきた。この度、越水氏が文を起こしてくれたことで、まさに、初めてこの古典に触れることができたのだ。

 原作にはない、青砥こと水鬼が文字通り水先案内人になって、古典に不慣れな読者を優しく導いてくれる。素晴らしい発想力だ。

 若かりし樋口一葉が転写し続けたという、この古典の調べの一端にようやく触れることができた。

 日本人が千年語りつないできた物語。まさにいちばん最初に出会う「源氏物語」であった。

 何度も挫折してきた大人の読者にもオススメの一冊である

       「千年の 夢語らいで 息白し」
                     海光