彦四郎の中国生活

中国滞在記

「新型コロナウィルス」❼WHO「非常事態宣言」―12月末に情報発信拘束の8人は医師、国民に怒りも

2020-01-31 14:55:55 | 滞在記

 1月31日、早朝時点での報道では、新型コロナウイルス感染者は9800人、死者は220人と発表されていた。また、感染者が報告された国は22か国にのぼったとも。まだ感染が判明していない「疑いが濃厚な人」を含めると、中国国内だけでも2万人以上をはるかにのぼるかと推測されている。日本でも、新たに京都市や三重県でも感染者が確認された。京都市の場合は、1月中旬から1週間ほど故郷の武漢市に里帰りし、武漢が封鎖される23日の午前10時直前、武漢から日本に戻ってきていた留学生(20歳代の女性)だった。

 武漢から日本の特別機で日本に帰国していた人のうち2人(隔離されている日本のホテルでは2人は相部屋)は、急性肺炎に伴う諸症状(熱や咳など)がまったくなかったが、新型コロナウイルスへの感染が確認された。これまで日本で確認された14人はいずれも武漢への滞在歴がある人ばかりのようだ。イタリアでは4000人あまりの乗客乗員の大型客船の陸への上陸が停止されたままとの報道もあった。感染している可能性の人もいるからだが。

 イギリスの大学の研究者関係チームが「2月4日には武漢市内だけで25万人の感染者数となる」との1週間ほど前の発表報告がかなり現実味を帯び始めている。

 1月31日、WHO(世界保健機構)は、緊急会議を開き、ようやく「緊急事態宣言」を発表した。中国のみならず、世界的な感染の拡大が誰の目にも明らかになって来たからだ。1週間ほど前の緊急会議では、これ以上の広がりを中国政府は抑制する力があり、「緊急事態宣言は見送る」としたばかりだった。WHOの緊急事態宣言制度は、2003・4年の中国での「SARS」感染の広がりの教訓から、その後の2005年に制定されたもので、2009年の新型インフルエンザの時や2014年のエボラ出血熱の時など5件について この15年間で「緊急事態宣言」を発表している。

 今回の新コロナウイルスについては、細菌・ウイルスの世界的専門家チームが集まるWHO内では、ウイルスの特徴からして感染が爆発的に広がり世界的にも大流行することは自明のことだったはずだ。だから「WHOの会議、非常事態宣言めぐり 真っ二つ」となったわけだが、事務局長が宣言の発表を強く阻止したと言われている。

 このデドロス事務局長はエチオピアの元保健相、元外相だ。中国は巨大な経済圏構想「一帯一路」の下で、エチオピアに鉄道建設など多額の資金投資をしている。また、中国に協力的な外国人要人は、引退後も中国の友人として、経済的なことも含めて手厚くもてなされる。3日前の28日に中国を訪問し、習近平主席や王毅外相と会談した後の記者インタビューでは、「中国の体制の強さと新ウイルスへの対応・措置への有効性は まれにみるもので感服する。これ以上の対応は望めない。」と述べ、中国政治体制の賛美まで行うサービスぶりだった。また、「中国の感染拡大地から、自国民の撤収を希望している国もあるが、WHOはこうしたことを主張しない。過剰反応は慎むべきだ」などと、日本やアメリカなどの対応を暗に批判し、中国へのリップサービスをしていた。

 中国訪問から2日後の31日早朝、多くのWHO委員の批判・突き上げもあり、緊急会議を開かざるを得なかったのだろう。彼は、世界の人々の健康と安全を守る守護神のはずだが、それは眼目に入れず、まったく中国政府へのサービス精神ばかりとなっている人だ。世界の人々に深く謝罪し、即刻WHO事務局長を辞任し、すぐにWHOから立ち去るべき人だ。

 ◆―中国当局、新型肺炎に警笛鳴らした武漢の医師たちを「デマ拡散」として摘発・拘束・取り調べ 国民から非難の声―

 1月30日の毎日新聞の報道に上記のような見出し記事が掲載されていた。これによると「新型コロナウイルスによる急性肺炎への中国当局の対応が国内で再び激しい非難にさらされている」という内容だった。記事の概要は次の通り。

 2019年末に湖北省武漢で集団感染が発覚した直後、公安当局が「ネット上にデマを流して社会に悪影響を与えた」として市民8人を摘発・拘束した。そして、1月1日、中国の国営報道「新華社」は、「デマ拡散の8人を逮捕・拘束」と全国版で発表した。

 その後、この摘発された8人は医師の仲間であり、グーループチャットなどで、それぞれの勤務する市内の病院での患者のようすや原因不明の肺炎患者の検査結果を議論、「SARSとほぼ同じウイルスだ」「コロナウイルスとは違ったタイプの新型かもしれない」などとの意見が交わされた。そして、12月31日に公安当局に摘発され、自己反省文なども書かされることとなる。これらの医師はその後、釈放され、治療に当たり続け、新型コロナウイルスに感染した人もいるという。

 この事実が最近になり市民・国民の中に広がり、世論が沸騰。最高人民院(最高裁)は28日、公式アカウントに掲載した文章で、「8人のしたことは完全なデマ・捏造とは言えない。当時、もしも社会がこの"デマ"を信じていたら、大勢がマスクを着けて消毒し、感染予防の上で喜ぶべきだったろう」としながらも、公安当局の違法性は否定。さらに、「法執行機関(公安)は情報発信者の性質を十分考慮すべきだ」として、公安当局にも苦言を呈し、火消しに走った。

 それでも、ネット上では「社会の安定」を理由に、言論統制を徹底する現体制への疑問も噴出。「庶民は真実を口にして捕まり、政府は嘘を言っても許される」といった怒りの声が相次いでいる。

 ◆―「中国 武漢に隣接の黄岡保健トップ更迭、新型肺炎巡り回答できず」―Reuters ロイター

 日本のYahoo Japanのインターネット記事に上記の見出し記事が掲載されていた。それによると、中国当局は30日、新型コロナウイルスによる肺炎の震源地とされる湖北省武漢に隣接する黄岡市の保健当局トップを更迭した。国営テレビのインタビューで、黄岡市内の病院にいる患者数について質問を受けたが、「病床数は把握しているが、治療を受けている人数については質問しないでくれ」とし、答えなかった。国営テレビの微博(ウエイボー)のアカウントには、視聴者から50万をこえるコメントが寄せられ、大半が怒りの声だったという。インタビューの数時間後、同市保健当局は このトップの更迭を発表。詳細はあきらかにしていない。

 ◆―1月20日に、中国の感染予防学の第一人者・鍾南山院士が武漢市で、「直ちに武漢市を封鎖すべきだ」と国務院に意見を述べた。しかし、中国国務院(内閣)はこれを否定してしまった」の記事も。

 今日31日の朝日テレビ「羽島モーニングショー」の報道番組を見ていると、中国国内での状況が動画として報道されていた。村に入る道路に男が長い青龍刀のようなものを持ち(まるで関羽のようだ)、バイクで村に向かってきた男性に青龍刀を振りかざし、「村に入るな!!戻れ!!帰れ!!」と叫んでいる動画。慌てふためいて、去るバイク。新型ウイルスを防ぐための村落の自衛なのだろう。

 別の動画では、一軒の家の前に大勢の住民たちが集まり、「この家には武漢帰りのやつがいる」という赤い紙を家に貼り付け、さらにその家の玄関や入り口のドアを板を釘打ちし、出入りができないようにしている光景だ。叫び声は、「ここから出ていけ!武漢に帰れ!」とか「家から一歩も出るな!」という内容かと思う。武漢に里帰りをして戻ってきた人の家なのだろう。こんな光景を見ると、中国国内は新ウイルス肺炎に戦々恐々となり、パニック的にさえなっている感がする。

 さらに別の動画では、春節で武漢に行き、近所の知り合いに武漢の土産をかかえて持ってきた老年の人に、竹ぼうきを振りかざし、「帰ってくれ!すぐに帰りなさい!」と怒号を浴びせている人の姿が。

 また別の動画では、道をマスクを付けずにあるいているおばあさんに、「マスクをしないんだったら 出かけたりウロウロしないでください!」との怒り声が。タクシーの運転手が、宇宙服のようなものを着こみ「完全防備で営業しなきゃ心配だ」と話す光景も。

 春節休暇を利用して日本を訪れていた何十万人もの中国人も、今週末の日曜日までに、そのほとんどが中国に戻って行くことだろうと思う。観光地での記念撮影は特に人が密着するのでマスクをつけたままでの撮影に。日本各地の空港では、多くの中国人は大量のマスクを購入した人たちの姿が。トランクの半分ほどがマスクという人も多いようだ。「日本に最初来たときはマスクを買うとは思っていなかったんだが、7日間日本に滞在するうちに、どんどん心配になってきて 観光地の先々でマスクを買い 大量のマスクを買って帰ることになりました。」と話す若いカップルの姿も。

 このため、日本国内で販売されているマスクも、通常は数百円の商品が、種類によっては10倍の値段になっているようだ。特に、アイリス・オーヤマのサージカルマスク(60枚入り)は、4万2千円もの法外な値がついているという。

 1月31日付「夕刊フジ」―"IOC 重大決断―新型肺炎 東京五輪―安全な開催に懸念、WHOと緊急協議"の記事が、一面に掲載されていた。

 私が中国に戻らなければならない日も刻一刻と近づいてきた。やっぱり怖いよ。不安は日々 大きくなる。明日から2月か。Xデーまであと2週間。

 

 

 

 

 

 


中国・「新病毒(新コロナウイルス)」❻人類と「細菌・ウイルス」との戦いの歴史―ウイルスの子孫拡大戦略

2020-01-31 11:05:07 | 滞在記

 1月27日に市民図書館に借りていた本の返却に行った際、利用者が目につきやすい書架に細菌やウイルスに関する書籍が何冊も並べられていた。中国・武漢から発症し感染者が爆発的に増加している「新型コロナウイルス肺炎」問題が起きているために、並べられたのだろう。さっそく2冊を借りることとした。

  『銃・病原菌・鉄―1万3000年にわたる人類史の謎』草思社(上下) ジャレド・ダイアモンド著と『ウイルス・細菌の図鑑』技術評論社 北里大学 医療衛生学部微生物学 北里英郎+原和矢+中村正樹 著 という2冊の書籍。

 『銃・病原菌・鉄―』は、1万3000年の人類の歴史の流れを、狩猟・農耕・家畜、定住と農村、都市の成立などを独自の視点で論述し、ピュリツァー賞を受賞した著作だ。この本の第3部・第11章「銃・病原菌・銃の謎―家畜がくれた死の贈り物」では、人類と細菌やウイルスとの歴史が詳しく述べられてもいる。

 『ウイルス・細菌の図鑑』は、微生物の基礎知識から感染症の仕組みまでを分かりやすく画像やイラストを多く使いながら説明している書籍だった。

 細菌・ウイルスと言えば、画家・ブリューゲルが描いた絵画「死の勝利」(1562年頃)。死の前で為すすべのない悲しい人間たちの姿が、骸骨(死神)の視点から描かれている。この絵が描かれた背景には、14世紀末に大流行したペスト(黒死病)の存在があった。当時のヨーロッパの人口の3分の1(約2500万人)が命を落としたと言われている。当時は原因が分からず、感染を防ぐ有効な治療法もなかった。また、1918年~19年にかけて世界的に大流行したインフルエンザ(スペイン風邪)では、感染者5億人、死者5000万人〜1億人となった。ほかに、コレラ、赤痢、エイズ、結核などなど、多くの菌やウイルスが多くの人類を死においやってきた。

 2013年、西アフリカにおいてエボラウイルスが原因となって発症するエボラ出血熱の感染が急拡大して深刻な事態となった。2万7550人が感染し、1万1235人が死亡(41%の死亡率)。2015年になってようやく沈静化した。

 2003年・4年の中国におけるコロナウイルスによる「SARS」(重症性呼吸器症候群)、2009年から2010年にかけての新型インフルエンザウイルスの世界的大流行、2014・2015年の「MERS」(中東呼吸器症候群)では、韓国国内でも感染者が186人に拡大し、36人が死に至った。そして、今年2020年の「新型コロナウイルス肺炎」の感染の広がりである。

 この書籍には、肺炎菌・肺炎マイコプラズマ菌・インフルエンザウイルス・SARSコロナウイルス・ノロウイルスなど、68種類の細菌やウイルスがその写真と、それによる病気について解説をしている。例えば、食中毒など急性胃腸炎を引き起こすものには、細菌性のもの(大腸菌やブドウ球菌やサルモネラ菌など)とウイルス性のもの(ノロウイルスなど)がある。細菌性のものには抗生物質治療が効くがウイルス性のものには効かないので回復は長引く。

 自然界には微生物(ウイルス・細菌・真菌・原虫)がたくさんの種類存在している。動物や植物などを腐らせて分解し自然界に戻すという微生物の働きによって自然界は循環する。その中で、我々人類はヨーグルトや納豆などの発酵食品の生産に微生物を利用している。また、常在微生物として人間の体内には日常的に微生物が住み着いている。このような常在微生物は食物の消化を助けたり、外から侵入してくる病原微生物から身を守ってくれたりしている。しかし、ときに微生物は細菌やウイルスとして人類に襲いかかる。

 ―微生物の分類と特徴―

 ①ウイルス(非生物)-細胞に寄生しないと自己複製できないことから生物学的な分類では生物に含まれない。核酸(DNAもしくはRNA)とタンパク質から構成される。 ②細菌(原核生物)-細胞の構造は単純で、核膜をもたない原核生物。細胞は基本的に細胞壁をもっている。③真菌(真核生物)-いわゆる菌類で酵母・カビ・キノコが含まれる。④原虫(真核生物)-寄生虫のうち、単細胞生物のものを原虫として区別する。[マラリアなど]

  1800年代頃から細菌に関する研究が始まった。そして、細菌の研究を通じて、細菌に抵抗したり細菌を殺したりする「抗生物質」が発見された。これを1928年に発見したのはイギリスの細菌学者・アレキサンダー・フレミングだった。この物質(ペニシリンと名付けられた)はその後、培養・生産が進み医薬品としての工業生産が可能となった。フレミングら3人は1945年にノーベル医学賞を受賞した。

 天然痘の流行(30%の死亡率)により多くの命が失われていた1700年代。イギリス人のジェンナー1798年に「ワクチン」を開発した。いわゆる種痘である。日本でも幕末期に入り、種痘の試みがおこなわれた。

◆種痘・ワクチンの開発や抗生物質の発見と使用を人類は獲得した。しかし、細菌やウイルスは、子孫を絶やさず、さらに増やすための戦略を行い続ける。突然変異であったり、さまざまな形をとり、人類や生物界に影響を広げようと戦略をもち続けている。このため、新たな戦略でできた病原菌やウイルスに対して人類は それに対抗するための薬の開発などが迫られる。

 今回の新型コロナウイルスは、基本的には2003・4年の「SARS」のコロナウイルスと構造的には80%は同じ形のものだ。しかし、20%を変化させることにより、「SARS」のコロナウイルスのように、「感染させたらすぐに高熱などを発症させ強烈な肺炎を起こさせ、致死率を高くする」という戦略からの変身を図った。

「感染させてもすぐに発症させず、潜伏期間を10日間〜14日間と長くとり、この潜伏期間により多くの人間に感染させ子孫を広げていく。人間の致死率はSARSのコロナウイルスの時より下げてもかまわない。感染して棲家を確保したのに 早く人間に死なれてしまったら棲家をまた探さないといけなくなるしなあ。」という戦略に。このような変身を10年以上をかけて「宿主」のコウモリの細胞内で進行させてきたのだろう。ウイルスは「非生物」に分類はされるが、明らかに生物的意志をもっているようだ。

◆―海外旅行者下痢症―1996年に、初めてモンゴル恐竜調査団の一員としてモンゴルゴビ砂漠に行った。その当時、モンゴルまでの日本からの飛行機直行便はなかったので、日本・成田―中国・北京(経由・一泊)—モンゴル・ウランバートルと、北京で一泊して乗り換えるというルートをとった。2週間あまりの発掘調査を終えて、北京に一泊して立ち寄った際の出来事だった。

 北京市内にその夜くりだし、餃子が名物の料理店でたくさんの酒もみんなで飲んだ。空港近くのホテルに帰り、ホテルの部屋の机の上に大きな水グラスの瓶に入った水は安全だと思って、酒による喉の渇きをいやすため、私とそして相部屋の日本人男性はその水を飲んだ。10分ほどして、相部屋の男性はトイレに行った。なかなか出てこない。20分間ほどが経過してようやく出てきた。私も、超特急の便意を感じ始めていたので、彼が出たあとトイレに急行した。猛烈な下痢便。10分ほどしてトイレにあるペーパーを使おうと思ったが、ペーパーは残っていなかった。相部屋の男性が全て使い切っていたのだ。相部屋の男性に「ホテルの廊下にあるトイレからペーパーをすぐに持ってきて」と大声で伝えた。水だけでなく氷も感染源となる。

  これは、典型的な海外旅行者下痢症。細菌感染(大腸菌・サルモネラ菌など)によるもので、比較的軽症で改善していく。いわゆる「水にあたる」というやつだ。現地の人は、その土地特有の菌に対しての「免疫」を持っている。その後、何度もモンゴルでの調査に出かけたが、細菌に効果のある「抗生物質」だけは、日本のかかりつけ医師に頼み込んで、外国に持って行くようにしている。

 1月25日頃、「細菌とウイルスは違います。細菌には抗生物質は効きますが、ウイルスには効きません。ウイルスには有効な治療法がまだなくて、ウイルスが体内から外に排出されるまで病気が続きます。これに打ち勝つには免疫力の維持が最も大切なのです。深酒などは絶対せず、十分な睡眠と十分な食事による栄養の確保が最も対策として有効なのですよ」と民報のテレビ報道番組でコメンテーターが説明していた。

 私はこれまで、「細菌」と「ウイルス」は同じようなものだと思っていたので、これは目からうろこがとれたような情報だった。また、「風邪は口や鼻から喉にかけて風邪の菌が入り込み炎症などを起こす病気ですが、肺炎やコロナウイルス肺炎などは、肺炎菌やコロナウイルスが肺の肺胞まで侵入したり住みつき、強い炎症を起こし、呼吸困難を伴わせる病気ですよ。」とも説明していた。

 実は私は、1月5日に中国から日本に帰国し、その3日後の1月8日から胃腸に違和感を感じ始めた。1月9日の朝になり、嘔吐感がきつくなり総合病院にて診察。診察した医師に「中国から帰国した」ことを話した。「中国のどこですか、武漢ですか」と問われた。「いいえ、武漢から飛行機で1時間ほど離れた福建省の福州です。福州から武漢までは、日本の京都から青森くらいまでの距離です」と答えた。この1月8日は、日本でも中国の肺炎流行が報道され始めたころだった。

 検査の結果は、「ノロウイルス」感染だった。小学校や保育園・幼稚園などでも流行することの多い感染の病気だ。日本帰国後に会った知り合いがこれに感染していたようで、その人から私に空気感染したようだ。医師は「ノロウイルスに有効な抗生物質のような特効薬はありません。体外にウイルスが排出するまで頑張りましょう。とりあえず、整腸剤を渡します。点滴をしておきしょう。」ということで、2時間ほどの時間をかけて点滴(免疫力=ウイルスと戦うための栄養)をしてもらった。

 ノロウイルスに感染すると、2〜3日間は嘔吐や下痢症状などが続く。発熱はほとんどない。この間、胃腸の不快感や嘔吐感のため食欲はなくなる。病院に受診してから3日後くらいからようやく食欲が戻り始め、完全に胃腸が回復し、健康な大便ができるようになるまで約10日間あまりを擁した。私の場合は下痢はなく嘔吐だけだったが、2日間くらいは寝てばかりで 食欲もなく けっこう辛いものだった。小さい子や若い人はもっと早く4日〜5日くらいで完全回復するらしい。

 ノロウイルスは主に腸の細胞に住み着き感染する。コロナウイルスは肺の肺胞細胞だ。ノロウイルスの場合はそう大した病気ではないが、それでも腸でのかなりの不快感と辛さがあった。それが、肺の場合は まともに空気が吸えず、呼吸が困難になるという病状なので辛さはひとしおだろう。重症化すると喘息の強い発作時のような辛さかと思う。私を診察した医師が「ノロウイルスに特効薬はありません」と話したことの深い意味が、1月25日の報道番組のコメンテーターの解説や2冊の書籍を読んでようやくわかったという次第だ。

 2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智・北里大学特別栄誉教授。彼は、1億2千万人が危機にさらされ、患者の2割が失明するといわれる、寄生虫による感染症オンコセルカ症、及び、感染すると足が像のように大きく腫れる象皮病などの特効薬を開発した人だ、1970年半ば、静岡県伊東市の土壌から、特効薬となる物質を発見した。

 北里柴三郎はペスト菌の発見とその後の治療薬の開発のため、1894年 の世界的調査団・研究員の一員として参加した人だった。ペストは感染すると皮膚が黒くなり死に至るため黒死病ともよばれた。人への感染源は主に鼠を刺した蚊によりだった。北里は1897年に破傷風菌の純粋培養に成功し、このことにより破傷風(ちょっとした切り傷から、土の中にいる破傷風菌―どこにでもいる―が入ると、化膿が爆発的に急速に大根のように進む。このことにより、足や腕を切断する事態になることに。モンゴルの恐竜調査でも知り合いのモンゴル人隊員がなって、腕を切断していた。)への治療が前進した。日本の細菌学の父とも呼ばれる。

 また、1897年に志賀潔は「赤痢菌」を発見し、その後の治療に大きく貢献。野口英世は黄熱病や梅毒の研究で有名だ。彼は1928年、研究中に黄熱病で亡くなった。52歳だった。

 

 

 

 

 

 


中国・「新病毒(新型コロナウィルス)」❺12月上旬頃に発症していたが、当局は事実発信者複数を処罰

2020-01-30 11:54:30 | 滞在記

 1月29日には「すでにSARSの感染者を超えた」と日本国内でも報道された「新型コロナウイルス」(中国名:新型冠状病毒感染肺炎)1月30日付の朝日新聞では「感染経路動物」についての予測記事も掲載されていた。

 中国のウイルス感染症の第一人者・84歳の鍾南山氏が中国国営の新華社通信社を訪れ、「35時間一睡もしていない 感染拡大の終息に向け全力をだしているが、なかなかこれの早期終息は困難だ。これからの感染拡大の本格化を考えると‥‥」と涙ながらに語ったと、29日中国のインターネット記事は伝えていた。

 2003・4年のSARSの感染拡大では、当時の中国政府の事態・状況・事実の長期間隠蔽が感染拡大をさらに広げたとして世界から批判された。終息には1年間あまりがかかった。このSARSの時に比べて、新型コロナウイルス問題への中国政府の対応での事実隠蔽期間(事実確認期間)は短く その対応は一定評価されてもいる。しかし、やはり初期対応の問題はけっこう大きい問題もあったようだ。

 武漢市の「武漢華南海鮮市場」の関係者から感染・発症・二次感染が始まったとされる今回の問題。この市場の関係者かの多くが感染したのは12月はじめのころのようだ。その後、12月中旬頃には人から人への二次感染が広がり始めていた。このため、市場に行ったことのない人も感染する人が出始めた。そして、12月のクリスマスの頃から、体調の異変を感じて病院を受診する人が急増し始めた。この異変は口コミでも広まり始めた。

 そして、昨年末、中国・湖北省武漢市で原因不明の肺炎患者が多数確認という情報がネットに出た。2003年のSARS(重症性呼吸器症候群)の再来か?「新浪微博」にある武漢市政府の公式アカウントに問い合わせが殺到したが、ノーコメントだった上に、問い合わせファームを閉じてしまった。武漢に住む日本人たちも武漢の異変を感じ始めたのもこの頃からだ。「武漢で何かがおきているらしい」と。

 2020年の1月1日、中国国営通信社「新華社」は、「武漢ウイルス性肺炎に関する捏造情報をネットで流した8人を法律に従って処罰」という記事を発表した。処罰の内容がどのようなものかは明らかではないが、「拘束」された可能性も大きい。そして、1月11日に新華社はやっと「武漢・新型コロナウイルス肺炎患者41例を確認。1月3日以降、新たな症例は見つかっておらず、人から人への感染も確認されていない」と発表した。

 しかし、その後、感染は急速な拡大を見せ始めた。ちなみに、新華社以外の報道は中国国内ではほとんど報道するところはなかったようだ。報道管制の恐るべき力であり、これを報道すれば、記者は「拘束されて囚人となるか、転職や辞職をするか」しか道がないとも指摘されている。依然として新聞やインターネット会社やテレビ報道局に残っている記者は「中国共産党の代弁者」にしかなれなかった者たちだという人もいる。残念ながら、自由や真実や他人の命を守るという「社会の木鐸(ぼくたく)」精神を持った記者はほとんど存在せず、自己と家族の命や生活を守るほうが、中国ではずっと現実的な生き方なのだろう。この傾向は、習近平政権になって数段も〇まった感があることを、中国で7年間あまり暮らしていて私も実感している。そのような保身の気持ちは、私もよく理解できるところだ。「新型ウイルスも怖いが、一党支配下の中国共産党も〇い」という気持ちが。

 国民から批判や不満の矢面に立たされている武漢市の市長は、ついに、「地方の政府は権限がなければ 発表できない」と国の許可がなければ事実を発表できないことを苦しそうなに述べていたことが、昨日の朝日新聞で報道されていた。ちなみに、武漢市のトップは「武漢市共産党委員会書記」であり、市長はNO2だ。

 ―新型コロナウイルス、退院した患者が体に起きた異変を明かす。「動くにも動けない状態だった」―

 上記の題名の記事が1月22日付で日本のYahoo Japanインターネットサイトに掲載されていた。著者は高橋史弥氏。その記事によると、「隔離治療で、医療従事者は肌を少しも見せない防護服を着ていた」。男性は最初はただの風邪と考えていたが、徐々に症状が悪化し、入院中は食事の介助を必要とするなど「動くに動けない状態だった」と話している。記事の概略は次の通りだった。

 患者の男性は23歳。違和感を覚えたのは12月24日。「めまい、頭痛、それに四肢が少し痛む」という症状。翌朝出勤できないくらい症状がひどくなり、全身の力が抜ける」。急いで会社に連絡をとり休みをとって病院にて受診。この時はまだ単なる風邪と考えていた。熱も出ていなかった。しかし、27日に熱が出始めた。病院で点滴を受けても体調はよくならず、「症状はひどくなっていき、力がほとんど抜けていき動けなくなった」と振り返っている。

 病院で血液検査を受けたが異常はなかった。そこで、大学附属病院に行き、そこでようやく「肺炎」の診断が下された。この時の熱は40度を上回っていた。男性の職場は「華南海鮮市場」にわりと近いところだったようだ。その後、隔離治療が行われている別の病院に移り移送されることとなった。

 男性の回復を支えたのは姉だったという。「医者や警備員が止めましたが、姉が病室に入って来て、私の世話をしてくれたと。当時は動くにも動けず、食事も喉を通らなかった。姉は一口、一口、食べさせてくれた」。男性の体調は徐々に回復し、1月15日に無事退院を果たした。隔離病棟で自分が一番早く快復した理由については、「23歳と自分が一番若かったからだろう」と話していた。

 現在は闘病を通して10キロ以上痩せたという。(上記写真は、微博よりの男性の写真)

 中国の春節休み期間に訪日した中国人は70万人とも伝えられている。1月27日に中国政府から「国外団体観光禁止」の通達があり、日本へのキャンセル客も相当の数になったとも伝わる。いずれにしても50万人前後の中国からの観光客が来たのではないかと思われる。その観光客たちも今週の日曜日(2月2日)までにはほぼ帰国の途に就くかと思う。

  ―「新型肺炎」歌舞伎町、飛田新地‥風俗街・歓楽街が危ない!春節で来日、濃厚接触避けられず「集団感染」も―

 上記の見出しの記事が「夕刊フジ」で27日に報道記事となっていた。記事内容は、日本での感染拡大の発火点となりそうなのが、何と全国にある風俗街・歓楽街だという内容だ。「例年、春節の時期になると中国人客が増える。今年は新型肺炎のニュースもあり、ナーバスになっている女の子も多い」と日本最大のソープランド街として知られる「東京・吉原」の風俗店関係者はこう語った。全国の風俗街・歓楽街といえば、札幌のススキノや、東京の吉原や歌舞伎町、川崎の堀之内、名古屋の栄、大阪の飛田新地、滋賀のおごと、兵庫の福原、福岡の中州などが有名だ。

 中国のインターネットサイト記事を閲覧していたら、日本の大分市への感謝の記事があった。大分市と武漢市は1979年に姉妹都市となっていて、今年の2月8日には40周年記念行事の開催を予定していた。しかし、「新型ウイルス肺炎」問題のため、行事は延期。大分市は、「災害に備えで備蓄している食品や衣料品など」を武漢市に支援として送ることを決定したとの内容の記事。

◆もし感染したらどうなってしまうのか!?怖いことがいろいろ想像できる。私が2月15日に中国に戻って大学での授業が17日から開始される。マスクはたくさん持って行くつもりだが。通勤のバスの中、大学の教室での授業、店での買い物、食堂での食事などなど。中国への飛行機の中も心配になる。約2万人の学生達は全国各地から大学に戻って来る。封鎖が解かれれば、もちろん武漢からも。

 かりに症状が出始めたら。病院に行ってもなかなか言葉が通じない、付き添ってくれる学生にも頼みにくいし、断られるかも。病院に入院しても誰も食事などの介護をしてくれる人はいない。学生にも今回は頼めない。免疫力が低下して そしてどうなるか。

 今回の中国行だけは、本当に2重に怖いというのが正直なところだ。67歳という高齢者の年齢だけに持病も多い。中国で感染するより、日本で感染して病院に入院した方が、なんぼかましかとさえ 考えてしまう。2月中旬には患者数の第一次ピークを迎えると予測されている。その時期は、何十万人、いや百万人を超える患者数の可能性もとりざたされてもいる現在。今は大学からの連絡は無いが、できるだけ多くの日数、新学期開始日の延期を期待するのみだ。

 

 

 


中国・「新病毒(新型コロナウィルス)」❹―①コウモリ➡②野生動物➡③人への感染➡④人から人へ

2020-01-30 08:27:21 | 滞在記

 武漢市の病院では、1日以上診察待ちの"感染の疑いのある人"の長蛇の列。病院で「新コロナウイルス」と診断されても、抗生物質が効かず特効薬はない。簡易椅子を持ち込み順番をひたすら待つ。簡易ベットを持ち込み順番を待つ人もいると報道されていた。病気への抵抗は「免疫力」の維持しかないのだから、病院での長い待ち時間は体力を消耗し重症化となる可能性も高い。よって、病院に受診しない人も多いかと推測される。中国では、日本のような「国民健康保険制度」がないために、診察・治療費はかなりの高額にもなるのだ。

 1月27日、上海市政府は「市内の企業は2月9日まで休業させる」と発表した。中国には現在、2万5000社あまりの日本企業があるが、上海市が最も多く5000社以上がある。上海在住の日本人は約8万人。昨日の29日、トヨタやホンダは、中国での工場再開を2月9日と発表した。また、10日以降の操業については、今後の推移・状況を見守って判断するようだ。中国での日本企業は、上海・江蘇省・広東省・上海市・浙江省・北京・大連・山東省などの東シナ海沿岸地域に多い。「中国 産業集積地に打撃 江蘇省 浙江省 湖北省 上海市 広東省」との見出し記事が朝日新聞に掲載もされていた。

 李克強首相が武漢市を訪問し市民を激励したとの記事も。1月29日時点での海外の国々での感染者数の確認は18か国・地域に拡大している。昨日は初めて中東地域での感染者が確認された。「SARS」の時の海外・地域での感染者は、香港・台湾・シンガポール・カナダなどの数か国にとどまったのだが。

 鍾南山氏は、「新コロナウイルス」の「宿主」として、アナグマやハクビシンなどもあげた。アナグマはイタチ科の野生動物、ハクビシンはネコ科の動物で「白鼻心」と書く。顔面の上部から鼻やあごにかけて白い線があるのが特徴だ。アナグマも日本に生息するが、ハクビシンは主に東日本や北海道、四国に生息している。

 SARSの時も、コロナウイルスの感染源の源は「コウモリ」だった。蝙蝠(コウモリ)は中国では別名「天鼠」「飛鼠」。哺乳類では唯一鳥のように空中を飛べる。体は鼠に似ていて、鼠に耳を大きくし薄い翼を付けれはコウモリとなる。中国でも山間地では食用とされる風習が残っている。(上記写真、左から5・6番目はコウモリ料理) また、コウモリは木の枝や洞穴に頭を下にして逆さに垂れ下がっていることから、頭の脳が重い動物とされ、コウモリを日干しにして粉末にして飲めば仙薬となると、漢方薬などでも珍重されてもいる。

 近年、西アフリカで大流行し、致死率の非常に高い「エボラ出血熱」の感染源もコウモリの可能性が高いとされている。特に食用にもなっていたオオコウモリの一種「馬面オオコウモリ」が疑われている。オスは馬の顔のようなコウモリだ。

 いずれにしても「①コウモリがウイルスを保菌➡②野生動物がコウモリを食べる➡③野生動物を人間が処理したり食べることにより感染➡④人から人への感染の拡大」というウイルスの流れであることはほぼ間違いがないようだ。

 1月28日、奈良県在住バス運転手(60歳代)の感染が発表された。また、29日には同乗していた40歳代のバスガイド(女性)の感染も確認された。日本人では国内で確認されたのは初めてだった。1月8日から1月中旬にかけて、武漢からの観光客をバスに乗せで大阪と東京間を往復、この時に感染したようだ。大阪・奈良、東京、名古屋などの大都市での2次感染が現実的に懸念され始めた。

 1月29日午前、武漢からの日本人200人あまりを乗せた 第一陣飛行機が日本の成田空港に 到着した。今日30日の午前、第二陣飛行機が日本に到着する。

 WHO(世界保健機構)のデドロス事務局長が中国を訪れ、習近平国家主席と28日に会談した。「非常事態宣言」を見送るという誤った判断をした責任者である。中国政府におもねった忖度をしたことが疑われる事務局長だが、会談では、「新型ウイルスの対応への中国政府の取り組みには、私は信頼と自信をもっている。中国政府にはウイルスの封じ込めや抑制できる力があると確信している」と会談後発言。また、「自国民を中国から本国へ退避させる諸国の取り組みについて」批判的言明をもした。完全に中国政府に忖度している姿勢を表明したが、「非常事態宣言」の見送りへの批判が強まる中、「非常事態宣言見送り」の撤回や見直しは避けられない可能性も高いかと思う。

 習近平主席はこの4月という時期に日本へ国賓として訪日する可能性が高かったが、日本国内での自民党内部からもの反対、新型ウイルスの蔓延・拡大という事態の中、4月の訪日は難しくなってきているかもしれない。

◆前号のブログ記事で、「武漢華南海鮮批発市場」での野生動物の売買は約1000種類にのぼると記してしまいましたが、約100種類の間違いです。訂正します。

 

 

 

 

 

 

 


中国・「新病毒(新コロナウィルス)」❸―中国最高指導部・緊急会議―ウイルスには抗生物質が効かない

2020-01-30 05:04:27 | 滞在記

 1月25日頃、中国の最高指導部「チャイナセブン」など、主だった中国政府の最高幹部たちが、新型コロナウイルスの感染拡大の深刻化を受けて、急きょ緊急会議をもった。極めて異例な対応として世界も注視した。相当な危機感の表れと世界は受け止めた。中国国内の団体旅行だけでなく、1月27日からは海外への団体旅行も全面中止の措置が取られることとなった。

  感染拡大はとどまることをしらず、1月26日には、中国本土の感染者数は1411人・死者42人、13の国と地域での感染者が確認されたと報道されていた。今回の「新コロナウィルス」の医学的対策にあたっている中心者の一人・鍾南山氏(84歳)は、封鎖されている武漢市の「武漢・華南海鮮批発市場」でのウイルスの「宿主」(ウイルス媒介の主)として、タケネズミやアナグマなどの野生動物を指摘していた。ちなみに、この市場では1000種類もの野生動物の売買がされていたようだ。市場の価格表では、「生きたタケネズミ(活竹鼠)85元=1360円、竹鼠肉75元=1200円」と表示されていた。

 中国政府と武漢市は、11日間という短い期間に、新たなプレハブ式の病院を2箇所作ると発表、24時間体制で建設作業にあたり始めた。

 日本のテレビでは24日頃から連日、朝から晩まで、この「新型コロナウィルス」感染拡大の報道がされている。ある民放局の報道を見ていたら、コメンテーターが「細菌とウィルスとは違います。細菌には菌を殺す抗生物質が効きますが、ウイルスには抗生物質は効かない。特効薬がありません。免疫力の維持だけが命の綱です。」と説明していた。また、「ウイルスは突然変異などをして、より強力な感染力を獲得していく可能性があります」とも。

 肺炎は細菌(肺炎球菌や肺炎マイコプラズマ菌など)による感染なので、抗生物質が効くが、それでも平均して27.3日の入院が必要との説明もされていた。肺炎にかかった人の死亡者の8割は65歳以上の高齢者との説明も。肺炎でもかなり怖い病気であり、日本人の病気死亡原因の4位とのことだった。

 鍾南山氏は中国のインターネット記事で、「ウイルス宿主」はコウモリを食べた蛇(コブラや縞々の蛇)の可能性も高いと指摘している。蛇はSARSの時の宿主だった蝙蝠(コウモリ)を食べることもあるからだ。SARSの「コロナウイルス」と今回の「新コロナウイルス」はよく似た近種だ。

 中国本土での感染者数や死者は、24日には「830人・死者26人」、25日には「1287人・死者41人」、26日には「1945人・死者56人」、27には「2744人・死者80人」との報告が中国政府よりされた。そして、昨日29日の夕方には、「6055人・死者132人」、「感染の疑いがある人9239人」になったことが中国政府より発表された。おそらく今日30日には1万人に近くなる感染者数が報告されることだろうかと思う。もはや2003・4年の「SARS」(感染者数は中国国内で5327人)をはるかに超える事態となり、今後その感染者数の増加はとどまるところをしらない数が予測もされている。

 かって「SARS」との戦って、現在も感染医学方面での中国第一人者とされる元広州病院長で国家衛生健康委員会・鍾南山院士は、28日に、「全体中国人在家隔離両周(全中国人は2週間、家に在宅し、他の人への感染や他の人からの感染を防いでほしい)」と訴えた。

 感染の拡大を受けて、中国教育庁(日本の文科省にあたる)は、幼稚園・小中高校・大学などの全国的なに新学期(後期)の開始日の延期を指示した。どのくらいの期間の延期なのかは具体化されていないが、地方や省・地域・学校によって異なる日程となるだろう。中国の学校では、1月中旬から全国一斉に冬休み(春節休み)に入っている。これが、さらなる感染の広がりへの一つのブレーキにもなっているのだ。

 幼稚園・小中高校では児童・生徒は地域限定だが、大学は全国から学生たちが来ている。私の勤めている福建省・福州の閩江大学では2月17日(月)が後期授業の開始日。私はこのため2月15日に中国に戻る予定だ。私が所属する日本語学科の学生には、武漢のある湖北省やその周辺の省(河南省・湖南省・広西省など)出身の学生もけっこう多い。1週間以上の延期は必要なのだが、2月末日までの延期を望みたい。はたしてどうなるのだろうか。

 日本のマスクは機能性に優れているので中国では人気商品の一つとなっている。「日本のマスクに注文殺到、前月の128倍の受注」と日本のテレビが報じていた。春節休みで訪日している観光客が京都にも多く来ているので、京都市内のドラッグストアーのマスクコーナーは品薄だ。中国からの人が大量に買うためだ。一昨日、京都市の南近郊にある八幡市のドラッグストアーに入ったら、中国人の家族が45ℓゴミ袋いっぱいにマスクを買っていた。こんなところまで買いに来ているのかと驚きもした。

 1月27日、イギリス(英国)の大学の研究者チームは、今回の「新型コロナウイルス」の感染者予測として、「2月4日には、武漢だけで25万人にのぼるだろう」と発表した。また、「人から人への感染数は平均3.8人に感染させる」とし、WHOの「1.4〜2.5人」を上回るとも発表。同じく1月27日に、香港大学の梁卓偉教授は、「1月25日時点で武漢市だけで感染者数推定は2万5000人を超えている。潜伏期の感染者を含めると約4万4000人に上る可能性がある。そして、今回の感染のピークは4月・5月になるだろう。そして、6月から減少していくだろう。」との見方を示し、WHOに報告すると発表したことが、日本で報道されていた。