彦四郎の中国生活

中国滞在記

台湾総統選挙❶中国で暮らし、日々中国での報道も見続けていると、ここまで大差がつくと考えにくかった

2020-01-15 09:13:50 | 滞在記

 ◆中国で暮らすと、中国国外からの情報に接することは一般的には困難だ。だが、いろいろな工夫と熱意次第で、国外からの情報に接することも可能だ。約10万人以上の中国で暮らす日本人駐在員などの人々は、日本のテレビを視聴している人もけっこう多い。日本のテレビ視聴なども契約料金を毎月支払えば可能でもあるし、また、Yahoo Japan は、検索機能は閉鎖されているが、インターネット記事の視聴はまだ閉鎖されておらず可能だ。

 ◆私は、中国の暮らしの中で、日本の報道番組やYahoo Japanのインターネット記事を日々見ている。一方で、中国のテレビでの報道番組やスマホのインターネット記事も日々見ている。1月11日投票の台湾総統選挙に関する報道に関して、12月中旬頃の中国国内での報道は「韓国瑜、蔡英文に50万票差まで迫った」、12月25日頃には「韓国瑜、蔡英文を凌駕しっっある」だった。同じ時期の日本の報道は、「蔡英文氏の優位 変わらず」だった。いずれにしても、今回の台湾総統選挙は激戦の様相で、どちらが勝利しても僅差(きんさ)の予想もしていた。

 台湾では戸籍地でしか選挙投票ができないため、1月10日、台北駅前に用意された大型バスに学生らが次々乗り込み実家のある故郷に向かうという報道があった。学生団体が投票率を高めようとネットで寄付金を募るなどして約288万台湾ドル(約1040万円)を集め、78台のバスを手配。約3300人がこの低料金長距離バスを利用したとの報道も。この日の台湾新幹線の乗車率は開業以来の乗車率だったことも報道されていた。投票日前日の10日夜、蔡英文陣営は首府・台北市内で、韓国瑜陣営は台湾第二の都市・高雄でそれぞれが選挙戦最終日の大集会を開いた。

 台湾総統選挙と立法府議員選挙(※日本の国会議員選挙に相当)が行われた1月11日(土)、私は故郷に福井県南越前町に帰っていた。午後9時頃のNKHニュースを見ると、選挙結果報道が始まっていた。投票率は前回に比べて高くなっているようだった。蔡氏がやや優勢という情報も報道されていた。そして、11日に蔡英文候補と韓国瑜候補が投票所で自ら投票し、コメントをする映像報道では、中国国内のテレビ報道で、蔡氏が投票・コメントする場面映像だけが、突然遮断され、画面が黒くなったことも報道されていた。

 翌朝の12日早朝、午前4時30分や5時のNHKニュース。台湾総統選挙の報道はまだされなかった。午前6時の報道でようやく選挙結果の報道がされた。蔡氏が再選したようだった。テレビのある部屋の襖(ふすま)で隔てられた部屋には母がまだ眠っているので、音声を消して視聴。

「米中は対照的な反応―"中国に対抗姿勢"台湾蔡総統 過去最多得票で再選」「中国政府の談話―蔡総統の過去最多得票での勝利に触れず。我々の台湾政策は一貫している。一国二制度の方針のもと、"一つの中国"の原則を堅持するとコメント」「米ポンペイオ国務長官(声明)  "容赦のない圧力にもかかわらず 台湾海峡の安定に対する蔡総統の取り組みを称賛"」「米 商工会長 貿易面での進展を期待しているし 安全保障や地域問題でも引き続き協力していく」「香港民主活動家 周庭さんツイート"民主主義と自由を重視している立候補者が当選されてよかったです。台湾がこれからも引き続き民主的な場所でありますように。"」などのテレップ(文字)が。

 午前6時に開店する南越前町の河野地区に一軒だけあるコンビニに行き新聞を買った。地方紙の「中日新聞」だけが3候補の得票数や得票率などを掲載していたので買った。記事には、「台湾総統選 蔡氏が再選 得票大差 対中強硬路線に支持」「台米VS中国 過熱か」「台湾市民、中国に嫌悪感」という記事が。

 妻が夜が明けた7時頃起床してきたので、妻の携帯スマホの記事を一緒に見た。(※私の日本の携帯電話、ガラ系でスマホではない)「敗北は中国共産党 米国亡命中の中国民主化活動家・薛偉氏」「台湾選ー中国でNHK画面真っ黒、蔡英文総統の投票場面ニュース中断」などの記事が掲載されていた。

 午前8時から放映されている毎日放送「サンデーモーニング」を見る。冒頭の報道は台湾総統選挙に関するものだった「台湾総統選挙 蔡英文氏が過去最多得票で圧勝 817万231票(得票率57.1%)、韓国瑜氏552万2119票(38.6%)」と蔡氏が20%近くの大差での勝利だった。ここまで差がついて蔡氏が当選する結果になることを、私は予想はしていなかった。「中国国務院台湾事務弁公室―いかなる 台湾独立のたくらみや行動にも断固反対する」との中国政府のコメントも報道されていた。コメンテーターが小黒板ボードに「今日の香港は明日の台湾―(1)習主席"台湾に一国二制度、武力行使も" 香港の過激化➡支持率逆転 (2)香港映画"10年"(2015年公開)の予言➡台湾を"自由の砦に" (3)米中の代理戦争」と書いて、今回の選挙結果について説明をしていた。

 福井県から京都の自宅に戻った12日の夕方から13日(月)にかけてテレビ報道を見る。「蔡氏、台湾統一を目指す習近平政権への対決姿勢を訴える」「台湾市民が選んだ政府は、威嚇には屈服しないということで」などのテレップ。

 台湾の有権者の声として、「民主主義を証明する勝利だ。私達は団結している。」という声の一方、「経済は衰退している。中国からの旅行者も制限されていて」の声も。「中国国営メディア―蔡英文は汚い手段で勝利した。正当な選挙ではない。」という報道も紹介されていた。「蔡英文 大勝」の見出しの台湾の各新聞記事一面もある中、台湾の一部新聞には、「再選した蔡総統が 台湾と中国との関係改善への壁になる」との報道もあったことも。

 日本のテレビ局の北京特派員からは、1月12日の人民日報の紙面を掲げ、一面には台湾総統選挙の結果記事は何もなく、ある面の右下の隅に、見つけるのが難しいほどの ほんの少しだけ台湾総統選挙結果に関する記事が書かれていたことを報じていた。また、アメリカやイギリスでのテレビ報道を中国国内で視聴していると、画面が真っ黒にしばらく遮断されていたことなども報道されていた。

 この特派員報道でも、「情勢が変化しても 台湾が中国の一部であるという事実は変わらない」「一つの中国の原則を堅持し 台湾の独立に断固反対する」などの中国政府の見解も繰り返し報道されていた。