22日(木)に、閩江大学卒業生の王さんから、「先生、坐骨神経痛の痛みを和らげるために、福州にある中国推拿(すいな)の店に一緒にいきませんか。いい店を知っていますから‥」との連絡が入った。私はこれまでに、日本でも中国でもいわゆるマッサージ店や按摩店などには行ったことがない。
だが、6月25日の早朝五時頃にアパートを出て、中国福建省の福州の空港に到着し、午前9時発の廈門空港便で日本の成田空港に午後1時30分頃に到着し、成田エキスプレス(列車)で東京駅に、さらに新幹線で京都駅に。そして、近鉄電車や京阪電車に乗って日本の自宅近くの京阪電車の駅まで、はたして、大きなキャリーバック2つを持ち、重いパソコンの入ったカバンを持ちながら、坐骨神経痛の痛みが強く出て歩きにくくなってもたどり着けるだろうか。症状によっては、成田空港近くのホテルで一泊して痛みを和らげる必要もあるかと考えていたところなので、この中国の推拿店に6月23日(金)の夕方に王さんと一緒に行ってみることにした。
私のアパートからタクシーで20分ほどの、王さんが現在住んでいるアパートの近くにその店はあった。(※行く前に、王さんが予約しておいてくれた。)王さんも、時々、利用する店だという。「盲人推拿」と書かれた看板が掲げられている店だった。店の前でタバコを一服し、王さんと一緒に店に入った。店内には男性2人、女性2人の目の不自由な(かすかに見えるようだが、まあ、盲人の人たち)のスタッフがいた。すでに3人の人が治療を受けている最中だった。王さんが、私の坐骨神経痛の痛みの症状や、特に痛みのある箇所などを、私を担当した男性スタッフに簡単に説明してくれた。王さんもしばらくして、治療を受け始めた。治療時間はそれぞれ60分コースで70元(約1200円)。
私が受けた治療の場合、約60分間ほぼ休むことなく、手と腕で、特に坐骨神経痛で歩けなくなるほどの痛みが生ずる左部位の腰周辺と左側の臀部(でんぶ/おしり)、そして左側の足全体を中心に治療が施された。かなりの力で部位を押されたり、もまれたりしながらの60分間。当初は箇所によっては、痛くて、中国語で"痛い"の「トオング」を発していたが、しばらくすると、同じ箇所を同じような力で押されたりもまれたりしても、痛みは少なくなってきた。まあ、それなりに按摩(あんま)の高い技術を感じた。とても力仕事をしながら、70元の料金とは、日本人の私からしたら「安い料金だなあ。日本なら5000円はするだろう‥」とも思った。
私たちが店を出る少し前に、30代の若い女性と小学3年生くらいの男の子が来店し、男の子が治療を受け始めた。女性はつきそいのお母さんのようだ。なんでも、足を痛めたための治療のようだ。50歳代の女性も治療を受けに来た。
治療が終わって、店内の料金表を見たら、例えば、出張して治療を60分間する場合は、140元(約2400円)と書かれていた。この9月に中国に戻ってからも、この盲人推拿の店には定期的に来るかもしれないなあと思った。
アパートに戻り、この中国推拿のことをインターネットで調べたら、以下、次のように書かれていた。
❶「推拿(すいな)」は、漢方や鍼灸と並ぶ中国三大療法の一つです。手技医学・手技療法・整体法の源流であり、最高峰とされるもので安全かつ即効性の高い療法として認められています。「推」は押すという意味、「拿」には掴(つか)みあげるという意味があります。
中国医学に基づき、身体をもんだり押したり、転がしたりという100種類以上の主法で、各機能の改善をはかります。施術することで、気や血流を整え、骨や関節が正常に戻ると考えられているのです。また、ツボを効果的に刺激することで、内蔵器官にまで刺激が伝わり、自己治癒力を高める作用が期待できます。日本では、「中国整体」と呼ばれ、按摩(あんま)や整体と同じようにとらえる人も多いですが、本場中国では按摩や整体より、よりメディカル(医学的)捉(とら)え方です。それは、中国医学専門の医科大学には、「推拿学部」が設けられていることからもよくわかります。
❷いくつかの病院には「推拿科」があり、推拿医師と呼ばれる人が治療にあたります。推拿は対応できる症状の幅が広いため、小児科や整形外科、婦人科など多くの科で導入され、浸透しているのです。現在では推拿の手法に西洋医学の考えも取り入れ、その療法は確実に進歩しているといわれています。基本的に推拿は、薬や鍼灸など医療のための物などを用いません。さまざまな手技を組み合わせながら、患者の症状や体質に合わせながら症状改善を図るのです。
❸推拿の本場中国では、推拿の国家資格があります。しかし、日本には推拿の国家資格はなく、整体院やマッサージ店、按摩店などのスタッフの多くは、民間の資格やスクール(専門学校)などの修了書などを持つ人です。「中国政府公認」の「国家資格」を目指す日本人のためには、日本国内に唯一、「日本中医推拿療法研修試験機構(日推構)」があります。
※さあ、昨日にこの「中国推拿」の治療を受けた私だが、治療効果のほどは、はたしてどうだろうか…。今日の午後、日本の孫たち3人の中国土産を探しに、再び三坊七巷に行くことにしているが、アパートに戻るまでに、坐骨神経痛による痛みがどれくらいの程度出て来るかで、昨日の治療の効果のほどがわかるかと思っている。
昨日、「中国推拿」に一緒に行ってくれた王さんから、「これ実家で作った端午節の粽(ちまき)です。」と、竹の葉に3重くらいに包まれ、藁(わら)でくくられた粽3つを渡された。昨夜の晩御飯に2つ食べたが美味しい。パン店などで市販されている粽とは全然違って、本物の粽の味だった。