彦四郎の中国生活

中国滞在記

中国・「新病毒(新コロナウィルス)」❸―中国最高指導部・緊急会議―ウイルスには抗生物質が効かない

2020-01-30 05:04:27 | 滞在記

 1月25日頃、中国の最高指導部「チャイナセブン」など、主だった中国政府の最高幹部たちが、新型コロナウイルスの感染拡大の深刻化を受けて、急きょ緊急会議をもった。極めて異例な対応として世界も注視した。相当な危機感の表れと世界は受け止めた。中国国内の団体旅行だけでなく、1月27日からは海外への団体旅行も全面中止の措置が取られることとなった。

  感染拡大はとどまることをしらず、1月26日には、中国本土の感染者数は1411人・死者42人、13の国と地域での感染者が確認されたと報道されていた。今回の「新コロナウィルス」の医学的対策にあたっている中心者の一人・鍾南山氏(84歳)は、封鎖されている武漢市の「武漢・華南海鮮批発市場」でのウイルスの「宿主」(ウイルス媒介の主)として、タケネズミやアナグマなどの野生動物を指摘していた。ちなみに、この市場では1000種類もの野生動物の売買がされていたようだ。市場の価格表では、「生きたタケネズミ(活竹鼠)85元=1360円、竹鼠肉75元=1200円」と表示されていた。

 中国政府と武漢市は、11日間という短い期間に、新たなプレハブ式の病院を2箇所作ると発表、24時間体制で建設作業にあたり始めた。

 日本のテレビでは24日頃から連日、朝から晩まで、この「新型コロナウィルス」感染拡大の報道がされている。ある民放局の報道を見ていたら、コメンテーターが「細菌とウィルスとは違います。細菌には菌を殺す抗生物質が効きますが、ウイルスには抗生物質は効かない。特効薬がありません。免疫力の維持だけが命の綱です。」と説明していた。また、「ウイルスは突然変異などをして、より強力な感染力を獲得していく可能性があります」とも。

 肺炎は細菌(肺炎球菌や肺炎マイコプラズマ菌など)による感染なので、抗生物質が効くが、それでも平均して27.3日の入院が必要との説明もされていた。肺炎にかかった人の死亡者の8割は65歳以上の高齢者との説明も。肺炎でもかなり怖い病気であり、日本人の病気死亡原因の4位とのことだった。

 鍾南山氏は中国のインターネット記事で、「ウイルス宿主」はコウモリを食べた蛇(コブラや縞々の蛇)の可能性も高いと指摘している。蛇はSARSの時の宿主だった蝙蝠(コウモリ)を食べることもあるからだ。SARSの「コロナウイルス」と今回の「新コロナウイルス」はよく似た近種だ。

 中国本土での感染者数や死者は、24日には「830人・死者26人」、25日には「1287人・死者41人」、26日には「1945人・死者56人」、27には「2744人・死者80人」との報告が中国政府よりされた。そして、昨日29日の夕方には、「6055人・死者132人」、「感染の疑いがある人9239人」になったことが中国政府より発表された。おそらく今日30日には1万人に近くなる感染者数が報告されることだろうかと思う。もはや2003・4年の「SARS」(感染者数は中国国内で5327人)をはるかに超える事態となり、今後その感染者数の増加はとどまるところをしらない数が予測もされている。

 かって「SARS」との戦って、現在も感染医学方面での中国第一人者とされる元広州病院長で国家衛生健康委員会・鍾南山院士は、28日に、「全体中国人在家隔離両周(全中国人は2週間、家に在宅し、他の人への感染や他の人からの感染を防いでほしい)」と訴えた。

 感染の拡大を受けて、中国教育庁(日本の文科省にあたる)は、幼稚園・小中高校・大学などの全国的なに新学期(後期)の開始日の延期を指示した。どのくらいの期間の延期なのかは具体化されていないが、地方や省・地域・学校によって異なる日程となるだろう。中国の学校では、1月中旬から全国一斉に冬休み(春節休み)に入っている。これが、さらなる感染の広がりへの一つのブレーキにもなっているのだ。

 幼稚園・小中高校では児童・生徒は地域限定だが、大学は全国から学生たちが来ている。私の勤めている福建省・福州の閩江大学では2月17日(月)が後期授業の開始日。私はこのため2月15日に中国に戻る予定だ。私が所属する日本語学科の学生には、武漢のある湖北省やその周辺の省(河南省・湖南省・広西省など)出身の学生もけっこう多い。1週間以上の延期は必要なのだが、2月末日までの延期を望みたい。はたしてどうなるのだろうか。

 日本のマスクは機能性に優れているので中国では人気商品の一つとなっている。「日本のマスクに注文殺到、前月の128倍の受注」と日本のテレビが報じていた。春節休みで訪日している観光客が京都にも多く来ているので、京都市内のドラッグストアーのマスクコーナーは品薄だ。中国からの人が大量に買うためだ。一昨日、京都市の南近郊にある八幡市のドラッグストアーに入ったら、中国人の家族が45ℓゴミ袋いっぱいにマスクを買っていた。こんなところまで買いに来ているのかと驚きもした。

 1月27日、イギリス(英国)の大学の研究者チームは、今回の「新型コロナウイルス」の感染者予測として、「2月4日には、武漢だけで25万人にのぼるだろう」と発表した。また、「人から人への感染数は平均3.8人に感染させる」とし、WHOの「1.4〜2.5人」を上回るとも発表。同じく1月27日に、香港大学の梁卓偉教授は、「1月25日時点で武漢市だけで感染者数推定は2万5000人を超えている。潜伏期の感染者を含めると約4万4000人に上る可能性がある。そして、今回の感染のピークは4月・5月になるだろう。そして、6月から減少していくだろう。」との見方を示し、WHOに報告すると発表したことが、日本で報道されていた。

 


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