2023年1月10日、中国政府から突然に発表された「日本人の中国渡航ビザ発給停止」措置。この措置は、超爆発的なコロナ感染が進行していた中国の現状に対して、日本政府が12月下旬から中国からの日本入国者への水際対策の強化に抗議してのものだった。そして、この措置は、日本政府がこの水際対策停止を発表するまで続くだろうと、日本のメディアでは報道されていた。1月12日に、中国政府が発行した、私の「中国工作許可証書」がEメールで届いたが、しばらくは、「中国渡航ビザ申請」ができない(おそらく2月下旬までは)ので、中国渡航も4月になりそうかなとの予想もした。
中国国内での感染状況が落ち着いて、新たな警戒すべき中国国内でのコロナ変異株出現もなければ、おそらく2月下旬頃には、日本政府の中国からの入国者に対する水際対策も停止されるだろうから、「日本人への中国渡航ビザ発給停止措置」も2月末日ころまでは続けられるのではないかと、私も予想していた。
ところが、中国政府は、これも突然だが、1月29日に「日本人の中国渡航ビザ発給」を再開すると報じた。翌日1月30日付朝日新聞には、「中国ビザ発給を再開―日本への対抗措置を解除」「中国一転―"名より実"対日ビザ再開、経済回復を優先」の見出し記事が掲載された。(■韓国に対しては、この中国への韓国人の渡航ビザ発給の全面再開は2月下旬になっても発表がされていない。)
1月30日、勤務先の中国の大学から、「中国渡航ビザ発給が再開されたので、ビザ申請を行ってほしい」との連絡が入ることとなった。2月2日、大阪にあるビザ業務代理店に行き、中国渡航ビザ申請を依頼し、その日のうちに大阪にある中国渡航ビザセンターに申請を行った。
突然の中国渡航ビザ再開にともなって、2月に入ってからの中国渡航ビザセンターでの申請者が多くなり、渡航者の指紋捺印や顔写真の撮影などの予約日がとれたのは、12日後の2月13日午前9時30分からの順番日。そして、2月16日に中国渡航ビザをようやく受け取ることができた。その日のうちに、大阪市内にある中国国際旅行社(大阪支店)にて、航空券の手配を依頼し購入した。
現在、日本から中国福建省福州市への直行便は、中国廈門(アモイ)航空の成田-福州(毎週水曜飛瀬)の一便しか運航していない。3月29日(水曜日)の便が、残席3席となっていたので、この日の航空券を即、購入した。片道航空のこの日の航空券代金は、約15万円。(昨年は約40万円だったので、それから比べるとかなり安くはなった。でも、コロナ前の2019年までは、往復便で6万円ほど[片道だと3万円ほど]だったので、まだまだ高額だ。) だが、昨年12月上旬に「ゼロコロナ政策」が廃止され、それまでの長い隔離期間(昨年の10月までは、2週間~4週間)がなくなったので、中国渡航がしやすくなった。
■日本政府は、2月中には中国からの日本入国者への水際対策を停止することで調整に入ったと、2月中旬に報道されていた。
■日本には、東京にある中国大使館の他に、日本各地に中国総領事館がある。(札幌・新潟・名古屋・大阪・福岡・長崎の六都市) 中国渡航ビザは、東京をふくめた7都市の「中国渡航ビザセンター」で申請ができる。
中国政府は、海外への団体旅行許可を2023年2月6日に発表した。3年振りの団体旅行が解禁されたのは20ヵ国。この20ヵ国リストには、日本や韓国は除外されていた。20ヵ国中19ヵ国は、中国の一帯一路政策に覚書をして加盟している国々となっていて、海外旅行への認可もまた、政治外交の手段として使っている。国の選び方も政治的な意図がある。今年に入って、海外から日本に旅行にきている人が増えてきている。中国語を話す中華圏から来ている人たちもよく見かけるが、そのほとんどは中国本土からではなく、台湾・香港などからの旅行客かと思われる。
■コロナ前には運航していた厦門航空の「関空⇨⇦福州」(週に2便)が再開されれば、航空運賃も安くなり、日本と中国との行き来もしやすくなるかとは思うが、そのためにも、早く、中国からの海外団体客の認可国の枠が広がり、日本への団体旅行も認められるようになればいいと願う。こんど、私が、夏休みで日本に一時帰国する2023年7月頃には、状況は変わっているかと期待もしている。
2月16日の産経新聞(電子版)には、「中国共産党、コロナ対策で"決定的な勝利"主張」の見出し記事が掲載されていた。この記事の内容は、「中国国営中央テレビによると、中国共産党の最高指導部にあたる政治局常務委員会は16日に開いた会議で、中国の新型コロナウイルス対策について、"死亡率は世界で最も低いレベルを保っており、大きな、決定的な勝利を収めた"と主張、3月5日に開幕する全国人民大会(全人代)でも、新型コロナの"勝利宣言"を強調して習近平指導部の成果に位置付ける見通し。同会議では、"人類文明史上、人口大国が感染症の大流行から脱することに成功するという奇跡を起こしたと自賛。昨年末に"ゼロコロナ政策"を唐突に撤回するといった習指導部の判断について"完全に正しかった"と強調した。」と書かれていた。
■昨年12月上旬の突然の「3年間余りのゼロコロナ政策」の廃止、そして12月上旬から2月上旬の2カ月間で、全人口14億人中の11億人(78%)〜12億人(85%)が感染したとされる。そしてコロナによる関連死者数もかなり多かった(一説には100万人〜200万人)と推定される中国。2月中旬になり、国民の大多数の集団免疫がほぼ獲得できたためか、感染はほぼおさまってきているようだ。まあ、上記の「決定的な勝利宣言」は、中国共産党のプロパガンダらしいなあ‥‥と改めて思う。
今もなお世界的に続くコロナ禍だが、2020年1月からこの2023年1月までの3年間、世界の人々は言葉に尽くせないほどの多大な被害と迷惑を受けることとなったのは、どの国の政治・政策のためだったのだろうか…。コロナの起源もまだ闇に包まれたままだ‥。
2月13日(月)から、私が勤務する中国福建省福州にある閩江大学は2学期(後期)授業が開始された。中国におけるコロナのほぼ収束?により、学生たちは大学に戻り、教室での授業が再開されることとなった。私は、3月下旬の中国渡航日までの約1か月半、日本からのオンライン授業の継続となった。
もう明後日、今週の水曜日から3月になるが、亜熱帯地方の中国福建省は、2月中旬から春のポカポカ陽気が訪れている。3月中旬の大学構内には、ハイビスカスの花やレンゲ(蓮華)、ツツジ、刺桐(さしきり)、デェイゴなどの花々が開花する。
4月上旬になると、大学構内の睡蓮(すいれん)も開花し始め、藤の花も開花する。そして、大学構内では日傘(ひがさ)の花が咲き始める。枇杷(びわ)やバナナも収穫され、店先や路上で売られ始める。気温が25度以上の夏日も多くなり、上半身裸の人も見られ始める。そして、5月上旬から10月下旬までの半年間は夏となり、特に6月上旬から9月下旬までは、悶熱(メンロウ)と言われる「悶絶するような暑さと湿気」の日々の季節を耐え忍ぶこととなる。
「全国的にも蒸し暑い夏の京都」と言われる京都は、中国福建省福州と比べたら、とても過ごしやすく、また、涼しくも感じられる都市でもある。(福建省福州市と沖縄県那覇市とは、同じ緯度にある亜熱帯気候だが、沖縄は島であるため、海風が吹き熱や湿気がこもらない。だが、福州の町(人口700万人)は、海から30kmほどある内陸の盆地にあるため、熱と湿気が停滞、こもりやすく、中国でも「三大火釜」都市の一つとなっている。) そんな中国福建省での生活が、3年ぶりに始まることとなった。