福井県南越前町の故郷の家がある河野地区は越前断崖とよばれる山地が迫っているところだ。山地から流れてくる小川が海に流れ出るところにいくつかの漁村(港)の集落ができている。越前海岸の海は透明度がとても高い海として世界的にも知られている。
故郷の福井県南越前町は平成の大合併の時期に「河野村」「南条町」「今庄町」の3つの町村が合併してできた町だ。それぞれの町を形容して「海」「里」「山」の南越前町。7月中旬に故郷に帰省のおり、南条の「里」の蓮田を見に行った。水田の青々とした緑の中に咲く向日葵(ひまわり)。広々と広がる蓮の水田。蓮の花が開花し始めたところだった。今年は梅雨がなかなか明けず、開花が遅かったようだ。
ここを管理している人の話によると、毎年美しく大きな蓮の花を咲かせるために、蓮田の土の入れ替えを毎年しているとのこと。中国の池や沼地には蓮が多いが、ここの蓮のような見事な花はなかなかない。日本の蓮田としては、東京上野の不忍池の蓮とともに大輪の見事な蓮を咲かせる蓮田だと思う。
この蓮田の背後にそびえる山が「杣山城(そまやまじょう)」だ。峻険な山城だが、麓には平時にこの城の城主・瓜生氏一族が暮らした居館跡や木戸址や堀がある。南北朝時代につくられたこの城、南朝方についた瓜生一族。南朝方の新田義貞軍をこの城に入れて、足利軍に徹底抗戦をして籠城戦を戦った城だった。
7月中旬に帰省した時に、高校時代以来の恩師・故「滝澤先生」の自宅に中国のジャスミン茶を仏前に供えに行った。自宅には 先生が亡くなったあとに誰かが書いたという先生の肖像画が飾られていた。先生没後1周年の昨年の12月に「先生を偲ぶ会」が行われたが、中国からこの時期に戻ることができなかった。高校時代からの友人熊谷久夫君も 滝澤先生のあとを追うように最近に亡くなった。大切な恩師や友人が亡くなるのはつらいなあ。故郷に帰省すると、会って 近況を語りながら飲むこともあった二人だった。