彦四郎の中国生活

中国滞在記

いよいよ高温多湿の真夏(悶熱)が始まったか―蓮の花も開花、裸の人もちらほら、木陰の道端で寝むる人など

2023-05-31 16:33:34 | 滞在記

 日本では、多くの地域で5月29日から梅雨入りしたとの報道がなされていたが、亜熱帯地方、福建省福州市は5月27日頃から、もう本格的な真夏日が始まった。強烈な真夏の日差しと猛烈な湿気を伴う福州市の真夏の始まりだ。気温は35度を超え、直射日光を受けての気温は42度〜45度くらいとなる。「悶熱(メンロウ)」(悶絶するような暑さの意味)と形容される福建省福州市の真夏日は、この5月末頃から9月末頃までの4か月間も続く。(5月と10月は、まだやや気温が高くない夏日や真夏日)

 日傘をさす人が一気に増えてきている。睡蓮の花も開花。

 「光明港公園」の池の蓮が、先日の5月28日に一気に開花してきていた。

 大きな池面に広がる蓮がとても美しい。

 公園のインドソケイの白い花も開花し始めた。この亜熱帯地方の花は、高貴な香りがする美しい花だ。よく似た花は、日本の沖縄地方にもある。沖縄の那覇市と福州市は同じ緯度にある亜熱帯地方。

 暑さのためか、公園内で裸になって掛トランプをしている人の姿もちらほら見える。公園近くの橋の上の路上でもトランプをしている人たちの姿が‥。

 暑くなってきたこの季節、木陰のいろいろなところなどで眠っている人の姿も時々見かける。オートバイの上で熟睡しているバイクタクシーの人。器用によく熟睡できるものだと感心する。大学に出勤するために、午前6時頃にもよりのバス停に向かう道すがら、電動バイク修理店の人は、夜には店先で扇風機をつけながら、簡易ベットで一晩眠っているようだ。

 暑い日中に、路上の木陰で眠る人、裸で過ごす人、パジャマで近所を出歩く女の人(30歳以上)などなど、このような光景を見るにつけ、この中国の人々の「ゆるさ」と言うか、何と言うか‥、そんなところが中国という人たちの魅力でもあるかとも思う‥。

 5月30日(火)、この日はまた、猛烈な暑さの一日。大学での午前中の授業を終えて、午後4時頃にアパートのある団地にヘロヘロになってようやく到着。団地の通りには、高齢者の人たち15人ほどが石のベンチに座って過ごしている。ライチやスイカを売っている露店小型販売車があったので、暑さのせいか無性にスイカが食べたくなり、半切のスイカを買い求めた。28元(約500円)だった。

 

 

 

 

 

 


中国の今、若い人たちの寺院人気が‥福州市の古刹「西禅寺」は、8割方が若い人たちの参拝者だった

2023-05-29 14:31:45 | 滞在記

 5月20日(土)の午後、閩江大学卒業生の王さんと、彼の彼女の甘さんに誘われて、久しぶりに福州市内の古刹「西禅寺」に行くこととなった。この「西禅寺」には、福州市の中心部に近く、数年前までに5〜6回は行ったことがあった。大伽藍の古刹「西禅寺」の創建は867年の唐の時代。

 1960年代後半から1970年代前半の約10年間、中国国内の文化大革命時代、この「西禅寺」もまた、仏像や法器は徹底的に破壊された。また、僧侶たちは迫害に遭って、やむなく還俗(げんぞく)[僧侶をやめること]させられた。文化大革命が終わり、1978年から改革開放政策に政治を大転換した中国で、この「西禅寺」は1983年に国家重点寺院の一つに認定されることとなった。

 20元(340円)の入館料を払って境内に入る。以前来た時とは違って、たくさんの若い人たちがこの寺を訪れていた。王さんが、「最近、中国では、寺院が若い人たちに大人気なんですよ」と話す。そういえば、境内のいたるところに、10代後半、20代・30代の若い人たちの姿がとても多く、8割方がその年齢層の人たちの参拝者だった。中には、漢服(中国古代の服装)を着て参拝している人もぽつぽつと見られる。

 広い大伽藍の境内には、5箇所ほどに線香を立てて祈る所がある。各箇所にはそれぞれ三つの大きな線香を立てるものが置かれ、一つの線香台には3本の線香を立てて、祈り願う。(つまり、一箇所で9本の線香を使う。) この赤く長太い線香だが、無料なのだということを、王さんに初めて教えてもらった。20元の拝観料金に線香代金も入っているのだそうだ。若い人たちが、熱心に線香を立てて、願い事を祈っている。

 そういえば、中国の道教の寺院では、願い事を祈り、そして広げた手に入る二枚の木切れを、床に落として、表と表が出れば願い事が遠からずかなうというものがある。人々は、表と表が出るまで、繰り返し行う。日本では、主に神道の神社に行って願い事と祈りをするが、中国では仏教や道教の寺院に行く。

 境内には、泰山木(たいざんぼく)の白く高貴な香りの漂う花が開花していた。宋時代(960年~1276年)に植えられたというライチの古木があると、王さんと甘さんに教えられ、そこに行くと、ライチの実が少し大きくなり始めていた。

 福州市内の歴史的建造物としては最も大きくて立派な建物と石塔が建っている。建物の方は「五百羅漢堂」で、建物内部には青く少し不気味な、さまざまな表情の五百体もの羅漢たちが置かれている。

 そして、「報恩塔」と名前のある石塔には圧倒される。何階(何層)あるか見上げて数えてみると二十層超あった。この寺院には、禅宗に関係のある達磨(だるま)像もあるが、観音菩薩像など、さまざまなタイプの仏像のオンパレード的な感がする。まあ、「西禅寺」と名前があり、お坊さんたちの作務衣も禅宗的なので「禅宗系」の寺院なのだろうとは思う。(※「禅宗」の「禅」とは、「心静まった状態」という意味。)

■中国で現在、公認されている宗教は、「カトリック・プロテスタント・イスラム教・仏教・道教」の五つだ。プロテスタントやカトリックなどのキリスト教は「耶蘇教(やそきょう)」と中国語では書かれる。宗教活動が認められるのは、教会内や寺院内、モスク内の敷地のみで、敷地外のありとあらゆる活動は禁止されていて、講演や募金、福祉活動なども宗教活動としては行えない。

 2015年~2018年の4年間ほど、中国全土津々浦々で「防犯邪教・邪教撲滅大キャンペーン」が大規模に、そして徹底的に繰り広げられた。(「邪教」とは、「法輪功、統一教会、モルモン教、エホバ」など。)

■中国の宗教信仰で最も信仰人口が多いのは「道教」。次いで「仏教」で、2億2000万人余りの信仰人口があるとされる。そして、三番目が「キリスト教」で、信仰人口は1億3000万人余り。仏教には、チベットや東北三省や内モンゴルなどでは、「ラマ教(チベット仏教)」なども含まれる。(※「儒教」は宗教ではない。)

 2015年10月~12月、日本のテレビドラマで「5➡9 (5時から9時まで)  私に恋したお坊さん」が放映された(石原さとみ・山下智久主演)。このドラマは、中国の若い人たちの間でも人気をよび、大学の日本語学科の学生たちも熱心に視聴していた。ある日、学生に、「先生、日本のお坊さんは結婚してもいいんですか。中国では、お坊さんは結婚してはいけないんですが‥」と質問された。その時、私は初めて、中国の僧侶は結婚はできないということを知った。

■日本のNHK番組「クローズアップ現代」。現在のキャスターは桑子真帆さんだが、かっては国谷裕子キャスターが長らくこの番組を担当していた。この番組で2016年4月、「経済減速―中国で仏教大ブーム!?」ど題されて報道された。この時のキャスターは、中国事情にも詳しい鎌倉千秋キャスターで、コメンテーターは中国事情の専門家の一人・興梠一郎氏(神田外国語大学教授)だった。「かって全ての宗教が否定された中国で、いま、仏教を信仰するエリートが急増している。"金に目がくらんで豹変した人がどれだけいるか‥‥"  "私たちはどこに向かえばいのか‥‥"   頭を丸め出家した名門大学の学生たちが声をふり絞る。経済が減速する中、目標を失い、さまよう人々の心。番組は、中国の若者たちの出家の現場に密着。彼等を信仰へと駆り立てる中国社会を見つめる。」と、銘打たれた番組内容だった。

■さて、現在(今)の中国の若い人たちの「お寺人気」とは、いったい何なのだろうか。どんなことがその背景にあるのだろうか…。私が知る限り、3年ほど前の中国では、若い人たちのお寺参拝人気はあまりなかったように思う。なぜ、それから3年間が経過した今、若い人たちの「寺院参拝人気」が高まっているのだろうか…。そのことについては、また、中国の若い学生たちにも聞いてみたいと思っている。(※ここ5年ほど前から、漢服を着る若い女性がよく見られるようになった。中国でも、伝統の良さが見直され始め、観光地でも伝統的な建造物地区への人気も高まっている。このような中国人の伝統文化への回帰というか、見直し評価が、この「仏教寺院人気」とも関係しているとは思う。)

 

 

 


中国の結婚状況は、この10年間でものすごく大きく変わったなあ―5月20日は、「私は貴方を愛していますの日」

2023-05-27 14:56:02 | 滞在記

 2013年から中国で暮らし始めて、「中国における結婚に対する若い人々の意識、結婚事情、結婚数などの状況」が、この10年間でものすごく大きく激変したなあと感じている。「結婚適齢期までに結婚しなければ‥」という考え方が、多くの若い人の意識から薄くなってきていることだ。「日本概況」などの大学の授業の中での一コマ「日中結婚比較」の中で、ほぼ毎年、学生たちとこの結婚問題や意識について話し合いもしているので、この結婚に対する意識の変化もかなり分かることとなった。

 2013年・14年の頃、女子学生たちに聞くと、「①遅くても結婚適齢年齢範囲ギリギリの26歳までに結婚をしなければならないだろう。➁婚約又は結婚するまでは、挿入を伴うセックスはしない。③結婚する際、男性側は、女性の処女性を求める人が多いので、もし今、付き合っている男性がいても、婚約がほぼ決まっていなければ、セックスに於いては、完全挿入はさせない」というような意識実態だった。男子学生たちに聞くと、「30歳までには結婚したい。遅くでも31・2歳までには」という学生が多かった。このような結婚やセックスに関する意識は、日本における1980年頃までの意識と同じように思われた。

 ところが、2017年頃から結婚に関する、特に女子学生の意識が大きく変わり始めたのだ。「結婚はしたくない」という女性が徐々にだが増え始めてきたのだった。そして、2023年の現在、男性もだが、特に女性では結婚をしたくないという女性は、特に都市部でさらに増加し、もし結婚するとしても、「この人ならば結婚してもいい」という人が現れるまで待ち、結婚適齢期年齢をあまり気にしない晩婚傾向も出始めているように思われる。

 ところで、5月20日は、中国では最近は、「愛の日」「ロマンチックな日」となっている。そして、この日に「婚姻届け」を出すカップルも多い。また、現在、付き合いをしている男女カップルは、夜の飲食を共にする日ともなっている。なぜ、5月20日がそのような日になったのか‥。中国語で「520(Wu Er Ling)」の発音が、「私はあなたを愛しています」という意味の「我愛你(Wo Ai  Ni)」の響きと似ているからだ。また、「1314」は「一生一世(イー・サン・イー・スー)=一生あなたを愛します」という意味に似ていることから、520と1314を続けて、5月20日に、誰かに愛を告白するメッセージとしてこの数字(5201314)を相手に送信することも流行っている。

 近年、そのロマンチックな響きの日を結婚記念日にしようと、5月20日に婚姻届けを役所に提出するカップルも多くなっているようだ。(結婚式や披露宴は別の日にするが‥)  日本のテレビでもこのことが報道されていたが、今年の5月20日は土曜日に当たったので、各地の役所の担当部門は休日返上で手続きにあたり、門出を迎えたカップルを祝福した。このテレビ報道でもされていたが、中国では、10年前の2013年と結婚件数(人数)を比較すると、たった10年間で、ものすごく大きく結婚をする人が激減しているのだ。このため、人口減少や出生率を少しでも歯止めをかけるために中国政府も「結婚を奨励する」、さまざまな取り組みも始めていると伝えられている。

■中国政府による統計では、2013年に結婚をした人の数は2386万人だったが、8年後の2021年に結婚をした人の数は1158万人と半減(約50%もの減少)となっている。2021年はコロナ感染による「ゼロコロナ政策」のただなかにあり、そのことも多少の影響はあるかと思われる。しかし、2013年以降は減少傾向がずっと続いているのが実情だ。

 中国では、男性は60歳、女性は50歳(幹部は55歳)定年となっていて、定年後の最大の仕事とというか生きがいは孫の子育て(孫育て)だ。だから、我が子が結婚適齢期に結婚し、孫が誕生するのを心待ちにしている人が多い。しかし、中国では慣例上、男性側は結婚に際して、「持ち家・車、そして、結納金。さらに、結婚式や結婚披露宴のお金(※日本では結婚披露宴に参加する人は3万円前後のお金を祝儀として出すが、中国ではそのような慣例はあまりないようだ。)」などを準備しなければならない。それは、ものすごく多額の金額となる。これもまた、結婚することが難しい要因ともなっている。でも、中国の父母たちは、なんとかしてこのお金を準備しようと努力する。

■特に都市部での住宅購入(持ち家)には多額のお金が必要となる。例えば、新築の3LDKの住宅(高層マンション)を購入する場合、地方大都市の福建省福州市では、平均的に300万元くらいが必要となる。(300万元➡日本円では約5100万円)   このお金を準備するためには、当然に、男性側の両親・親族、女性側の両親・親族がそのお金の多くを準備することとなる。(「持ち家」ではなく「借家」を準備することは、恥ずかしいことだという意識が、まだ、かなり強くあるのが中国社会なのだ。)

 日本での現在の大学卒業生の初任給平均は22万円余り(➡中国元では1万3000元)。中国での現在の大学卒業生の初任給平均は、5000元余り(➡日本円では8万5000円)。つまり、日本と中国の賃金格差は、日本の方が中国の約2.5倍となっている。このことから単純計算をすると、中国での300万元の住宅物件の購入価格は、日本では(300万元×2.5倍=750万元)の物件に相当する金額なのだ。

 750万元は日本円では約1億2700万円となるので、「億円ション」の住宅を買うという金額を結婚のために準備しなければならなくなる。(※ただし、300万元が準備できなくても、「住宅ローン」を組んで購入契約を結ぶことは、当然に可能なので、頭金として100万元余りが準備できれば、購入できる‥。だが、ローンを組んだとしても、ローンの支払いはものすごく大変なことは間違いない。(「億円ション」であれば、日本の場合、すごく立派な住宅となるが、中国での300万元新築住宅は、日本では3000万円ほどで購入できる物件かと思う。)

■中国では、2020年以降、「不動産バブルの崩壊」に近いできことが推移している。(なんとか、中国政府も崩壊に至らないように方策をとってはいる。) このため、「住宅を購入し、値上がりを見越しての財産として、次にもっといい住宅を購入したりするために売れば(転売)いい。住宅購入=財産を増やす最も有力な方法」ということは、ほぼ難しくなっている。

■中国で結婚をする人がこのように大きく減少してきているのは、大学の進学率が急増し、女性も大学に進学する人がとても多くなったこととも深い関係がある。(中国の現在の大学進学率は約40%超となっている。) 「結婚により、自由な時間がなくなる、自分の好きなことができにくくなるのはいやだ」という考えの女性の増加だ。

 一方、日本の結婚事情、結婚に対する意識、結婚状況はどうかというと、1945年以降(戦後)の結婚数統計では、結婚件数が最も多かったのは、1971年の約110万。その約50年後の2022年では、約50%減少の約53万件。そして、2022年、日本の初婚の時の平均年齢は、男は30.7歳、女は29.0歳。また、50歳までに結婚していないという「生涯未婚率」は、男が25.7%、女が16.4%となっている。

■このように、日本では50年間を経て結婚件数が半減したわけだが、中国ではこの10年間の社会や人々の意識がとても急激(急速)に変化したためか、結婚件数もたった8年間で半減している。

 5月16日頃、「先生、20日の夜に一緒に食事しませんか。甘さんも一緒です」と閩江大学卒業生の王さん(男)から連絡があった。この日、二人は私のアパートに午後3時頃に一緒に来て、タクシーに3人で福州市内の古刹「西禅寺」に向かった。1時間ほど大きな伽藍の境内を巡り、午後5時頃に西禅寺を出て再びタクシーに乗り、福州学生街の近くにある「日本料理屋」の「上野一番」にて、この王さん・甘さんの二人にとって大切な「5.20」の夕食を二人と共にすることとなった。(「上野一番」で夕食をとることを希望したのは甘さん。彼女はこの店は初めて来ることとなった。日本食式「すき焼き」などが最近、中国の若い人たちの間で人気料理となっている。)まあ、今、中国では日本料理の人気が若い年齢層を中心に高くなってきているので、日本料理店も増加している。甘さんもすき焼きが好きらしく、「上野一番」に向かうタクシーの中で「すきやき、すきやき」と小声で口ずさんでいた。

 ちなみに、現在における日本の離婚率は「3組に1組」となっている。世界の主要国60カ国の「離婚率」では、1位はダントツのロシア。続いて2位はロシアの隣国であるベラルーシ。中国は35位で、日本は39位となっているので、日本と中国の離婚率はほぼ同じくらい。

 

 

 


中国、新型コロナ第2波が始まった—「6月下旬が感染のピーク、1週間平均約6500万人感染」との予測が発表された

2023-05-26 06:02:01 | 滞在記

 中国国内には現在、地方から都市に働きにきている農民工(いわゆる出稼ぎ労働者)が約2憶9000万人余りいるとされる。出稼ぎ先の仕事はさまざまだが、建築・土木関係の仕事をしている人も多い。朝の通勤時間帯、電動バイクの後部座席の横に、スコップなどの七つ道具が置けるケースを設置している人の姿も‥。大学方面に向かうバスの車内中に響く大声で電話を延々と話し続ける年輩の男性の姿‥。

 いつも乗り換えのバス停で私を待っているオートバイタクシーの人。雨の日は、前方後円墳のような形をしたバイク用傘で営業をしている。この傘は、雨の日はもちろんだが、半年間、夏が続く亜熱帯の地方では日差しよけとしても便利ではある。

 5月下旬の大学構内、睡蓮や蓮の葉が大きくなり、夏らしい花々も咲く。

 構内の木々の緑も濃くなってきた。

 夾竹桃(きょうちくとう)の花も満開となってきている。日本人からすれば、季節感が狂わされるコスモスの花の満開のようす。亜熱帯地方のデェイゴの若木が、地中の種から1m以上の高さに育ち、もう花を膨らませ始めている。

 美しいオレンジ色の百合のような形をした花たちも群生し始めた構内の夏。

 福州市内の西禅寺境内に、泰山木(たいざんぼく)の白い花が咲いていた。市内では、福州の市花である茉莉花(モゥリイファ)[ジャスミン]の小鉢が売られ始めている。

 初夏の花の一つ、青紫の花を咲かせる藍花楹(ランファイン)の並木が閩江(びんこう)の川のそばに咲く。

 その閩江で、早くも泳いでいる人たちの姿もあった。季節は初夏から真夏へと向かいつつある福建省福州市の5月下旬。

 中国では、この5月下旬(20日以降)に入り、新型コロナ感染拡大の第二波が始まってきていると大きく報道され始めた。中国国民から最も大きな信頼を寄せられている感染症学の専門家である鍾南山(しょうなんざん)氏が、ネットなどの報道に登場することも最近は多くなってきた。

 鍾氏によれば、昨年の12月上旬から今年の2月上旬までの約2カ月余りで、中国国内で感染した人の数は、「11億人〜12億人」(第一波)と推測されるとしている。そして、「現在の感染拡大第2波のピークは6月下旬頃と推測される」とし、「これからの1か月間は、1週間平均で約6500万人が感染するだろうと」との推定も語っていた。(5月22日報告)

 また、中国国民から信頼の篤い感染症専門家の一人・張文宏氏は、「第二波で感染した人の症状は、第一波で感染した人の症状とよく似ている。割と軽微な症状から回復する人の割合が多い」と語っていた。私が担当する大学の授業の学生たちの中でも、ぽつぽつと感染のため欠席する学生が5月下旬に入った頃から出始めている。また、鍾氏の報告があってから、バスの中でマスクをつける人が激増した。(ほぼ90%くらい。それまでは、20%くらいだった。) 大学教室での授業でも、それまでマスクをしている学生はほぼなかったが、多くなりつつある。

 昨年の12月には、ゼロコロナ政策の廃止とともに、感染大爆発が起こり、大学の冬休み開始も、1月上旬開始予定から半月間前倒しされた。この現在の学期(後期授業)は、6月下旬までで、7月1日からは夏休み開始と予定されている。しかし、第二波感染拡大の状況によっては、夏休み開始の前倒しがあるかも知れない‥。予定通りに学期が終っては欲しいのだが‥。

■現在、中国の第二波感染拡大の中心はオミクロン株の変異種で「XBB1.9.1」。これは、中国での第一波のオミクロン株が少し変異しているコロナウイルス株だ。中国でも、4月29日から大型連休が始まって、海外に旅行に行った人も多かった。米国では、すでにこの「XBB1.9.1」が感染拡大の主流となっているので、海外に旅行したひとが感染し中国国内に帰国した人からの感染拡大とも考えられている。

 中国では、第一波で感染した人が爆発的に多く、国民の抗体(集団免疫)が獲得されたのだが、第二波のコロナは少し変異しているためと、抗体の有効期間(4〜6カ月間)が過ぎた人が多いためもあり、第二次感染拡大になってきているようだ。

■日本でも、第九波の大きな波が始まってきているようだと報道されていた。

 

 


中国の"歌曲勝ち抜き番組"に出場の日本人歌手・メイリアさんが、歌曲「極楽浄土」で、中国国内で大ブレイク

2023-05-22 06:22:25 | 滞在記

 日本で活動する音楽ユニットGARNiDELiAのボーカリストのMARiA(メイリア)[ 31 歳/1992年生まれ/本名は水橋舞]さんは5月上旬、中国の人気音楽バラエティ番組「乗風2023」に出場し、中国で2016年に大ヒットした歌曲・「极乐净土」(極楽浄土)を、中国語と日本語を混ぜた特別バージョンで歌い、中国国内で驚異的な人気(支持)を集めることとなった。5月7日の投票では、461万票の高い得票率で断トツ1位になり、楽曲の人気も1位となった。

 その後、中国語歌詞入りの「極楽浄土」を熱演する動画の中国版ツイッター「微博」(ウェボー/ウイチャット)での閲覧回数は1000万回を超え、フォロワーも約300万人に急上昇し、ネットで大きな話題となっている。12日前の5月10日時点で、ネット投票得票数は3000万票を超え、2位の790万票とは驚異的な差を作っていた。(※5月15日時点では約4000万票となっていた。)

 歌曲「極楽浄土」は、2016年に、中国の若者向けの文化を代表するネットサイトの一つbilibili(ビリビリ)で大ブレークした歌曲。「ビリビリの宝物」とも称される中国の歌曲。

 中国のテレビ番組「乗風2023」は、歌曲の勝ち抜き戦を通して、歌曲アイドルとしてのデビューを目指すオーディション番組だが、今年はシーズン4となり、中国国内だけでなく海外からの参加者も含めて集まった33人の女性芸能人が競演により国際的な友好関係を築き、さらに歌曲やダンス、パフォーマンスなどの実力を磨いていく番組となっている。メイリアさんが中国のテレビ番組の収録に参加するのは今回が初めで、唯一の日本人出演者だった。

 中国のインターネットには、「日本二線歌手、美依礼芽在中国 爆紅出圏! 友吐槽:就是个笑話」(意味:日本の二流歌手が中国で大人気に。ネットユーザーは"これは冗談か?"と不満を漏らした。)、「一个日本二線歌手在中国爆紅出圏、这到底是撕下了内娯楽的遮羞布、还是崇洋媚外?」(意味:日本の一人の二流歌手が中国で大人気となったが、これは国内エンターテーメント娯楽のためのイチジクの葉を引き剥がしているのか、それとも外国人[欧米日]への、まだ残る、崇拝・称賛なのだろうか?)と前置きして、「乗風2023 美依礼芽」と題された記事が大きく掲載されていた。(※「イチジクの葉」という表現は、「恥隠し」、つまり、"恥ずかしいことや嫌なことを、無害な物で隠す"という意味で使われている。)

 この前置きの文章にあるように、この記事に関する読者投稿コメントには、「日本人がダントツ1位! これは、中国の恥だ‥外国人礼賛がまだ‥」などの投稿もあった。しかし、この4000万票という中国の人々からの断トツ1位の投票支持は凄いと思う。前記のような批判投稿のような考えの中国の人たちも少なからずいるのだろうが、「中国人であろうが外国人であろうが、"いいものはいいんだ! 優れたものは優れているんだ! 感動させられるものには感動させられるんだ!"」という中国の人々の圧倒的多数の反応なのだろう。

 この中国のインターネット記事を読んで、「メイリアさんてどんな人なのだろうか?彼女がこの番組で歌った極楽浄土とは、どんな歌曲なのだろうか?その番組での歌っているようすはどんなんだろうか?」と、知りたくなり、中国のインターネット動画や、日本のインターネット動画などで視聴した。そして、「なるほどな! これは中国の人々に支持されるわ‥」と納得もさせられた。

 インタビュー動画などを視聴すると、まず、彼女は、まだまだ中国語はカタコトしか話せないようだ。この番組の中国人ディレクターが、「但是語言不通的話?(でも、言葉があまり通じないですよね。その時はどうしますか?)」と問いかけると、彼女は、「身体語言!(ボディランゲージです!)」と、明るく答える。そして、ボディランゲージの例として、「漂亮!(綺麗!)」「讨厌!(嫌い!)」などを実際にやってみせていた。その彼女の姿に、「一生懸命さ、明るさ、かわいらしさ」などが強く印象づけられた。

 同番組オーディションでの彼女の「極楽浄土」の歌曲は、日本語で歌う節と中国語で歌う節を織り交ぜて歌唱し、軽快でまた妖精のように可愛らしく、また、妖艶でもあるダンスとともに歌い上げていた。番組中での、他の中国人オーディション出演女性歌手たちとも、カタコトの中国語を使い、また、中国語での意味を教えてもらいながら、また、ボディランゲージも駆使しながらの、一生懸命にコミュニケーションする姿は、とても良い印象(彼女を守ってあげたいという感情も‥)を中国人に与えていたのではないだろうか。

 このメイリアさんの同番組での、中国国内での大ブレークを受けて、中国では最も人気の高い男性歌手である周傑倫(ジェイ・チョウ)の名曲の一つ・「花海」の日本語・中国語バージョンに挑戦し、有名中国人女性シンガーとデュエットすることとなり、ますます注目を集めることとなった。このデュエットの二人の練習のようすや、実際のコンサートホールでの歌唱のようすを中国のネット動画で視聴した。中国人女性シンガーが日本語で歌唱する節もあった。なかなか、素晴らしい歌唱となっていた。

 日本と中国、この1週間、日本の広島で開催されたG7サミットや、中国の西安で開催された中国・中央アジアサミットなどを巡っての政治的対立の緊張の高まりもあるのだが、この中国の一番組での国際的な友好の実際もある今なのかと‥。一昨日、この「極楽浄土」を歌うメイリアさんのことを、20歳代後半の中国人女性に、スマホの写真を見せて、「彼女のこと知ってますか?」と聞いたら、「よく知ってますよ、今、中国では彼女は有名ですよ。彼女は素晴らしいです‥」との反応だった。「ああ、そうなんだ、やっぱり‥」と思った。