4月20日(日)から5月5日(月)にかけての2週間、二十四節気における今年の「穀雨(こくう)」の季節となる。「穀雨」を中国では「谷雨(こくう)」とも言う。地上にあるさくさんの穀物に雨が降り、水分と栄養がためこまれる頃。田植えの準備がはじまり、植物が緑一色に輝きはじめる「穀雨」の季節となった。ここ亜熱帯地方の中国福建省では、最近は気温が28~35℃近くとなり、時には雷も伴うような雨がよくふり、ちょっと蒸し暑くもある季節ともなっている。
穀雨の季節が始まった翌日の4月21日(月)、この日は午後から3回生への「特別講座」があるので、お昼の12時頃に大学に到着した。どこの学部の学生か分からないが、大学の正門付近で卒業服に身を包んで、思い思いに記念写真を撮っていた。
大学構内の水辺の緑がみずみずしい。この季節、名前は知らないが黄色い花が大学構内のいたるところに咲いている。亜熱帯性植物のブーゲンビリアはかなり開花、バウヒニアも遠くから見ると満開の桜の花の木に見間違う。
私の研究室のある福万楼という建物の7階の窓から大学構内を見渡す。緑の季節が生き生きとしている。福万楼の建物のそばの亜熱帯性高木に赤い花が咲いている。
亜熱帯の樹木・デェイゴの木は緑の葉に包まれ、夏の6月に満開の花を咲かせるが、もうすでに一つ二つと、開花前の赤い蕾が見え始めた。
夏の花の一つ石榴(ざくろ)の赤い花も開花し始めた。
大学の授業などが行われる教学楼。外国語学部の授業が多く行われている外国語学部棟(楼)の廊下には、「福州翻訳歴史」と題されたパネル群が掲示されている。清時代の末期の1890年~1900年の頃、ここ福州には「福州船政学堂」が開設されたり、清国(中国)海軍の拠点の一つとなるなど、清国の近代化に向けた「洋務運動」の地ともなった。近代の諸外国(特にヨーロッパ)の学問・科学を学ぶために翻訳活動も盛んな地となる。
近代著名翻訳家の1人として、福州人の厳復(げんふく/Yan Fu)がいた。彼は、欧米の政治思想や科学に関する書籍の翻訳の第一人者となり、「民主・科学」の啓蒙家となった中国では著名な歴史的人物だ。さしずめ、中国の福沢諭吉的人物。以前に教員をしていた福建師範大学(1903年創立)の図書館や外国語学部楼の前には、この厳復の胸像が置かれている。福建師範大学の創立にもたずさわったのだろう。
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