彦四郎の中国生活

中国滞在記

京都も桜が開花—春なのに‥やはり、どこか憂鬱な今年の春‥

2022-03-26 07:45:45 | 滞在記

 3月中旬になり、暖かい日も多くなり、京都も一気に春めいてきた。京都・鴨川に架かる出町柳橋付近の柳の木々も緑の葉が開き「青めいて」きた。木瓜(ぼけ)の花もほぼ五分咲きとなる。

 馬酔木(あせび)は満開となった。鴨川の水辺に来る人も増え、さまざまな春の草木花が咲き始めた3月中旬。橋のたもとにある寺の正門横に「咲いて 誇らず」の言葉が書かれていた。

 3月25日頃、京阪電鉄・京福電鉄「出町柳駅」近くの寺の「おかめ桜」(早咲きの桜)は、散り始め、地面には桜色の小さな花びらが散り敷かれている。種類は分からないが、濃い紅色の桜は満開。木蓮(もくれん)の白い花も満開となった。

 3月上旬ころに開花したのだろうか、「蕗の薹(ふきのとう)」の茎がのび、花が満開となっていた。このごろよく見かける黄色く可愛い花。何という花なのだろう。家の庭先や山野、公園など、ここ数年の間に、いたるところでみかけるようになった花が、銀閣寺や吉田山界隈の娘の家から近い馬場公園の中にもたくさん咲いている。

 家に帰って、「何の花なのか?」調べてみると、どうやら「立金花(りゅうきんか)」という草花のようだ。(「流金花」とも書かれる。) この花の花言葉は「必ず来る幸せ」。

 1週間に2回は孫の寛太と散歩に行き、1時間ほど遊ばせている吉田山界隈の金戒光明寺。唐門のある大方丈の前の紅梅の古木が、3月中旬すぎになりようやく満開となっていた。枇杷(びわ)の花が開花し始めた。5月下旬には実が色づき始め6月に食べられるようになる。この枇杷は中国が原産地で日本に伝えられた。枇杷の葉が楽器の「琵琶(びわ)」に似ていることから名前がつけられたようだ。

 もうすぐ1歳と4カ月になる孫の寛太(かんた)を境内で遊ばせる。1歳ころから"つかまり立ち"ができるようになり、今は よく転びながらも、かなりスタスタと歩けるようになり始めた。顔つきも、ちょっとだけ少年ぽくなり始めてきている。意味の少しわかる言葉も、数語出始めている。この子が20歳となる2041年、世界は、日本はどうなっているのだろうか‥。

 3月25日付朝日新聞、「京都で開花」の見出し記事。京都地方気象台は、「3月24日に、京都市の標本木(ソメイヨシノ)のある二条城の桜の開花を観測した」と発表した。平年より2日早い開花のようだ。私の家からほど近い、石清水八幡宮の放生川に架かる太鼓橋付近の桜が25日、かなり開花を始めていた。

 さあ、本格的な春が日本に今年もやって来てくれた‥‥なのだが、コロナ禍に加えて、ロシアのプーチンによるウクライナ侵略戦争が続くため、今年の春は、春なのに‥、どこか とても憂鬱(ゆううつ)なのだ‥今年の春は‥。

 ここ石清水八幡宮は日本三大八幡宮の一つだが、今年NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の源氏の氏神様の神社。源氏一族の守り神的神社なのだが、この太鼓橋近くの境内に「頼朝公ゆかりの松」が今も立っている。かなりの大木だ。(地面近くを這いながら幹が伸び、そこから70度くらいの角度で空に向かってさらに伸びている松の古木。)

 自宅の玄関に「立金花(りゅうきんか)」を生けた。片隅にウクライナを象徴する花「ヒマワリ」の小さな飾りを置く。立金花の花言葉「必ず来る幸せ」のように、ウクライナに必ず来る幸せを願う私の玄関。2022年3月26日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


大学の新学期が始まり1カ月経過—超厳格なゼロコロナ政策継続下、オミクロンコロナ感染が拡大

2022-03-24 07:22:16 | 滞在記

 中国福建省の省都・福州(人口750万人)。緯度的には日本の沖縄県那覇市とほぼ同じで亜熱帯気候。1年のうち半年間は平均気温が30度をこす夏(5月~10月)となる。常緑樹が90%ほどを占め、ほぼ年中、緑に覆われるが、街路樹で最も多いのがカジュマル。(上記写真左端)  ハイビスカスはこの3月中旬頃から開花し始めてくる。ブーゲンビリアの花も街中には多い。数は少ないが、桜の花は2月下旬頃から開花し始め、3月の中旬頃には満開となる。(桜は、沖縄の桜とほぼ同種)

 3月中旬、閩江大学構内の中央広場は蓮華(レンゲ)に覆われ、ピンク色の花園となる。そして、デェイゴ(沖縄の唄「島唄」のでも歌われる)の赤い花も開花し始める。日本の本州では4月下旬から開花するツツジが、ここ福州では3月中旬頃から開花してくる。2月~5月頃の福州の気候は、日本の本州の気候や花の開花より1か月間ほど早く訪れる感がある。3月に入ると春が一斉に訪れる亜熱帯地方の福建省。

 北京冬季五輪の閉会式翌日の2月21日(月)から、閩江大学も後期(2学期)授業が始まった。私の方は、引き続き日本からのオンライン授業の継続。今学期の担当教科は、2回生たちの日本語教育関連教科や3回生たちの日本文化論など3教科。

 そして、その2月21日からロシア・プーチン大統領によるウクライナ侵攻が始まった。あれから、1か月間が経過している。

 3月4日から11日までの日程で中国全国人民代表者会議(全人代)が北京で行われた。新型コロナウイルスが中国の武漢で発生し感染拡大が中国国内のみならず、世界中に広がって2年以上が経過している。世界的なパンデミックとなっているが、まだまだ終息のめどはたっていない。この2年間で、世界各国の新型コロナ感染拡大への対応は変化していった。いわゆる「ウイズ(with)・コロナ政策」への転換だ。

 だが、中国だけはこの政策を頑強にとらず「ゼロ(0)・コロナ政策」を取り続けてきている。全人代では、この「ゼロ・コロナ政策」からの変化はあるのかが注目もされた。3月中旬、日本のテレビ報道では、「中国、長期化する"ゼロコロナ政策"」「今月の市中感染1万8000人超」「中国、ゼロコロナ政策 いつまで続くのか?」「全人代 ただちに"ゼロコロナ政策"を見直す考えは提示されなかった」と報道された。

 同報道番組では中国総局の特派員は、「政策の継続 疑問視する声も‥」「医療関係者"致死率がインフルエンザと同等まで低くならないと政策転換しないのでは‥"と語る」と報道していた。

 今年の8月上旬に中国に渡航する予定の私にとって、「ああ、8月以降も、中国はこの超超超超‥厳しいゼロコロナ政策が続くのか‥」、「海外からの渡航者は4週間隔離、まだ続くのか‥」と憂鬱になってもくる。まあ、中国習近平政権は、意地でも、"中国はコロナ防疫 世界一素晴らしい"とアピールし、政権への求心力を高めるための看板政策を外しにくいのかとは思うが‥。

 そんな超超超‥やりすぎ感のある中国の「ゼロコロナ政策」であっても、やはり新型コロナのオミクロン株(変異種)の猛威(感染力の高さ)には苦労している。北京冬季五輪が終わり、3月上旬からは北京冬季パラリンピックが開催された。そして、この3月上旬から中国全土にオミクロン株の感染拡大が始まった。3月18日の中国のネット報道では、「吉林18天確診超1万例(吉林省ではこの18日間で1万人以上の感染者が確認された)」の報道。日本のテレビでは、「中国、今日 1日あたりの新規感染者数3870人」「中国 今月に入りオミクロン株の感染 ほぼ全土に広がる」「習近平指導部 ゼロコロナ政策の徹底を指示 感染広がる地域は"市長更迭"も」などと報道されていた。1日の新規感染者数が全土で1000人を超えるのは、2020年の3月以降2年ぶりだ。

 2019年12月から2020年1月、新型コロナが発生し、感染拡大が拡大した中国武漢。その時の、市政府や省政府、さして中国政府の初期対応が、結果的に新型コロナの世紀の世界的パンデミックを引き起こすことともなった。いわゆる、「隠蔽体質」だ。この伝染病の問題が起きた場合でも、その地の武漢の行政幹部たちは、中央政府より責任を問責され、更迭されていくので、事態を隠蔽するようになる。このため問題への対応が後手後手に廻り、状況がさらに悪化するということとなる。(中国政府は隠蔽を絶対しないように強く行政指導はしているのだが‥)  

 今回の3月から始まったオミクロン株コロナの感染拡大でも、その感染が最も深刻な中国東北部の吉林省では、省都の長春などは3月11日から都市封鎖となっている。「吉林16人防疫不力被問責后 再有两名区委书记被負职(吉林省の両市の幹部 感染拡大防止の責任を問責され 16人が免職とされる)」の中国のネット記事(3/18日付)    コロナが拡大した、その拡大阻止への有効な措置を講じなかったということで、長春などの市長やトップの書記など16人が免職を言い渡された。これでは、問責や免職を恐れるために隠蔽体質はいつまでも続くのではないかとおもうのだか‥。また、中国全土の津々浦々まで、感染発生や拡大を恐れる地方行政幹部たちは、極端なまでのゼロコロナ政策を実施したりもしている。問責や免職などの処分実施は、ゼロコロナ政策下の国民や住民の不満のガス抜きともなる。

 中国の香港では、今年の3月に入ってから新型コロナ感染拡大が超爆発的におきている。昨年末まではほぼ0だったが、1月から3月中旬までの感染者数は100万人を超えた。(人口700万人の香港地区。7人に1人が感染。) 3月上旬には1日の新規感染者が7万人ともなった。この数字は日本に換算すれば、1日200万人の新規感染者数となる。そして、香港周辺のマカオや広東省深圳などにも感染が拡大し、深圳も都市封鎖的な措置が行われている。しかし、香港トップのの林鄭月娥行政長官は罷免されていない。(香港の民主派壊滅の象徴的中心人物の一人だっただけに、中央政府としては彼女は罷免しないのだろう。彼女を罷免したら外聞が悪い。)

 3月21日には、香港の1日の新規感染者数も減少傾向となり、1日1万4000人あまりとなった。

 このオミクロン株コロナの感染拡大は、私が暮らす中国福建省でも3月に入り始まっていた。3月中旬、オンラインでの授業中にある2回生から、「先生、すみません。私はこれからホテル隔離に向かわなければいけませんので、このあとの授業を早退します。私の故郷の福建省泉州市でコロナ感染が拡大し始めたため、私もホテルで隔離されなければならなくなりました」とのメッセージが入った。彼女は1か月前の2月中旬には、ここ福州から新幹線で1時間ほどの距離にある泉州の故郷から、福州にある閩江大学に戻っていて、一度も帰省したことはなかったようなのだが‥。それでも、隔離されるというくらい、中国のゼロコロナ政策は超超超徹底している。

 3月21日、中国政府の防疫発表では、全国の新規感染者数2281人(香港除く)。そのうち、吉林省は1900人余り、福建省は110人余り、遼寧省は70人余り、上海、黒竜江省‥と報道されていた。福建省泉州は3月中旬には累計400人余りだったが、このオミクロン株コロナは全省的に拡大していった。このため、私の勤める大学関係者から、「3月21日(月)から、大学での全ての授業がオンライン授業に当面なります」との連絡が入った。学生たちはこの日から、大学構内から外出することは原則できなくなっている。

 こんな状況下、昨日23日に、2回生の一人の学生が、大学郊外外出許可をもらって中国広東省広州の日本領事館に行くために新幹線に乗車した。日本の文部科学省が行う「日本への国費留学生」の試験(筆記・面接)に向かうためだ。この2カ月間あまり、留学試験に向けての指導をオンラインで行ってきていた。3月21日には、オンラインでの面接指導なども行った。(上記写真)その学生の第一希望は京都大学、第二希望は東京外国語大学、第三希望は大阪大学。中国全土の大学から8人が狭き門の試験に挑む。

 大接戦の大統領選挙が終わり、反日・親中国北朝鮮の李候補が僅差で敗北。日米とのつながりを重視する尹候補が次期大統領(5月から)に確定した。その韓国、オミクロン株の1日新規感染者が3月に入り60万人超となっていた。これは日本の人口比率に換算したら1日150万人という感染者数となる。3回目ワクチン接種率が70%近い韓国でこの感染者数とは‥。日本の3回目ワクチン接種率はまだ低く30%ほどだ。アメリカの最近の報告では、3回目接種でのオミクロン株の予防率は30%ほどしかないとのこと。重症化防止には70%以上の効果はあるようだが‥。

 

 

 

 

 


中国CCTV「烏克欄局勢有助手緩和局勢与政治解決努力」―中国は「一帯一路」ダメージも苦慮

2022-03-22 17:39:02 | 滞在記

 ロシア軍による侵略に対し、ウクライナ政府及びウクライナ軍が激しい抵抗を続けているプーチンが仕掛けた狂気の戦争は、すでに1か月あまりに及んでいる。ウクライナ国民4400万人のうちこれまでに1000万人超、4人に1人が国外に逃れた。もはやこのプーチンの狂気の戦争は、ウクライナ国民を人質にしながら集団殺戮もしていくという、ジェノサイトの様相も帯び始めてきている。プーチンに対しては、「戦争犯罪人」という呼び方だけでは表現しきれない‥。「悪魔の殺戮者」「プーチンの友は核‥‥‥‥‥」「核で威嚇する大量殺戮者‥‥‥‥」。

 国際世論がロシア・プーチン非難をより高める中、プーチンが最も拠り所、頼りにしているのが中国だ。その中国は、プーチンの仕掛けたウクライナへの侵略の戦況が長引くにつれて、その対応に苦慮しはじめてもいるのは確かだろう。最初は、「プーチン、いけいけドンドン!、プーチン頑張れ!」だったが。

    この3月20日頃の中国中央テレビ(CNN)の報道番組をインターネットで見ていると、テロップ(字幕)には、「烏克欄局勢中方支持有助手緩和局勢与政治解決努力」の報道最初のテーマ・テロップ。意味は、「中国はウクライナ情勢(政局)の緩和を図るための政治的な解決努力を支持し、そのための働きかけはする」という内容。そこには、ロシア軍の戦闘行為の停止や撤退に関することは述べられてはいない。「ウクライナの状況に憂慮はしているが‥‥」というだけの感がある。「政治的な解決のための働きかけ」の具体的な中国の行動に関しても、まだここには述べられていない。

 どう対応すべきかに苦慮する中国政府にとって、その悩みのひとつが「一帯一路」政策への大きなブレーキが、このままでは、大きくかかる可能性があることだ。欧州、特に東欧諸国では、中国の「ロシアに対する姿勢、ウクライナへのプーチン・ロシア軍の侵略に対する姿勢」への怒りというか、「反中国機運」が高まってきていて、「一帯一路」政策に大きなダメージがあることだ。

 2015年から本格的に始動し始めた「一帯一路」政策は、中国の世界への政治的・経済的勢力拡大の要(かなめ)となる政治・経済戦略だ。「陸の新シルクロード(一帯一路)」「海の新シルクロード(一帯一路)」の主に二つのルートによる巨大経済圏構想だが、その「一帯一路」政策の中心的なロードは「中国⇨⇦中央アジア⇦⇨ロシア/ウクライナ/東欧諸国⇨⇦西欧諸国」。中国から西欧諸国まで、道路及び列車で大量の物流の流れができてきている。

 現在、140ヵ国ほどの国々がこの「一帯一路」政策に中国と覚書をかわし、正式参加をしている。東欧諸国はほぼ100%近くが参加し、西欧諸国でもイタリア・ポルトガル・ギリシャなどが参加。ドイツなどは正式参加はしていないが、中国との経済的結びつきはとても強い。このような巨大経済圏は、参加各国の中国への政治的忖度を生み出してもきている。だが今回のウクライナ侵略を巡る中国のロシア擁護の姿勢に、西欧諸国のみならず特に東欧諸国は、激しく中国に対する不信感を募らせている。これは今後、中国の「一帯一路」の推進に大きなブレーキとなり、ダメージとなる。中国はこの事態を大きく憂慮し始めている。だから、ロシアとウクライナが何らかの形でも停戦となることの仲裁はとっていく可能性は大きい。
 中国は、今回のプーチン大統領のウクライナ侵略への批判を避け、国内の反ロシア論を抑制しているため、東欧諸国・西欧諸国の多くが、中国から距離をとりつつあるのだが、ウクライナは、2017年に正式に「一帯一路」に加わっていて、中国とは友好的な関係でもあった。中国が2021年に輸入した小麦やトウモロコシなどの農産物のかなり多く(30%あまり)がウクライナからの輸入でもあった。中国―中央アジア―東欧・西欧へと延びた「鉄のシルクロード」とも呼ばれる鉄道網を通じて輸送された中国製品は2021年には750憶ドル(85兆円)にものぼった。

 3月21日付朝日新聞、「対ロシア 温度差の"日・印—日本"(ロシア問題)への踏み込んだ議論"、印度"中露接近警戒""ロシアへの名指し避ける"」の見出し記事。3月19日、印度を訪問した岸田首相はインドのモディ首相と首脳会談。ロシアのウクライナ侵攻問題について協議した。翌日20日、岸田首相はカンボジアのフン・セン首相と会談。中国政府との関係が親密なカンボジアだが、会談後の共同声明で「ロシアによるウクライナ侵攻は国連憲章の重大な違反だ」とし、「ロシアの武力行使の即時停止とウクライナ領土からのロシア軍の撤退を求める」として声明をだした。これは、岸田外交の大きな成果ではあった。

 3月20日までにウクライナ国民1千万人超が国外への難民となった。悲惨なジェノサイト的なロシア・プーチンによる無差別殺戮がウクライナ国内で続く中、中国国内では、このような悲惨な状況を伝える写真や動画などは一切報じさせない情報統制を強力におこなっている。

 そして、「俄对乌展开 特別軍事行動 乌总统:西方已经放弃乌克兰 」(ロシア"対ウクライナ"への特別軍事行動を展開 、ウクライナ大統領"欧米はすでにウクライナを放棄している"との声明)という見出し記事や、「普京 开始清除叛徒」(プーチンは国内の反逆者を粛清し始めた)の見出し記事などの見出し記事などが見られる。この表現などは、一昨年来の香港の民主派にたいする中国国内での表現と類似したものだ。中には、「ウクライナの騒乱がもっと続けばいい。難民となったウクライナの美女がたくさん中国にも来たら、嫁にできるぞ」といった類のものまでSNSに投稿されていた。(このような女性にかんする侮蔑的性的な内容は、中国政府は即削除するなどの対策はとられている)

 中国国民の間からはなかなか、「戦争反対の声」は聞こえてはこない。世界一厳しく「現代の万里の長城」で情報統制をし、「反米愛国世論」を中国政府がここ数年をかけて浸透させてきているからだ。

 2日前に、現在は香港大学の准教授の職にある加藤嘉一氏のインターネット講座を視聴した。講座テーマは「"中国がロシアを軍事支援"は真実か?—中ロ関係を検証」。PART❶では「中国はロシアを"軍事支援するのか?"」、PART❷では「中国のウクライナ危機への対応方針を今一度整理する」、PART❸では「中国とロシアの軍事関係はどんな経緯をたどってきているのか」。なかなか参考になる講座ではあった。

 3月19日付朝日新聞、「ウクライナへできること」と題した記事が京都版紙面に掲載されていた。記事によると、①京都市はウクライナ難民受け入れに向けて動き始めていること、②映画館「京都南会館」では、3/25~4/7までの2週間余り、映画「ひまわり」が上映されることとなったと書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 


ウクライナを巡る中国の動向❸—日本国内の報道より②―「漁夫の利」は遠のき、中国苦慮とも‥

2022-03-21 07:39:33 | 滞在記

 3月11日に北京冬季パラリンピックが閉幕したが、このパラリンピックはロシアのウクライナ侵略問題により、世界の話題となることも少なく終わってしまった。話題性としては、開会式での世界パラリンピック委員会(IPC)の会長の言葉を巡る中国政府の無通訳・無幕字場面のこと、ウクライナ選手団の活躍のことくらいだった。ウクライナ問題にかき消されてしまった感がある。3月15日付朝日新聞、「戦争が傷つけた平和の祭典—パラリンピック閉幕」の見出し記事、「北京パラ閉幕—多くの重い課題残して」と題した社説記事。

 3月14日、イタリア・ローマで、アメリカ大統領補佐官のサリバン氏(安全保障担当)と中国共産党常任委員で外交部門トップの楊洁篪氏がロシア・ウクライナ問題を7時間余りにわたって会談をした。3月16日付朝日新聞には、「米中高まる不信感—高官会談7時間」「中国の対ロ支援懸念、対抗"兵器開発の疑い」の見出し記事‥。記事は、7時間もの長時間の会談では、米国側は中国にわる対ロシア支援に対する懸念を表明し、中国側はウクライナと米国による生物兵器などの開発に懸念示し、双方が激しく反発し合う会談に終わったと伝えていた。

 この双方の批判は、双方ともかなり無理のある主張ではある。なぜかと言うと、中国とロシアは1994年ころから両国の軍備に関しての協力関係を締結し、特にここ2〜3年は、アメリカに対抗するために準軍事同盟的に軍の協力関係を強め、合同演習などを行うようになってきている。

 3月16日付朝日新聞、「ロシアを非難しないアジア」の見出し記事。この記事を書いたのは朝日新聞アジア総局長の翁長忠雄氏。ベトナムやラオスやカンボジア、インドなどは国連総会でのロシア非難決議では棄権、タイやインドネシアなどは中立的な外交立場をとっていてるなど、ロシアを非難しないアジアの国々が多数を占めているとの記事内容だ。

 国連総会のロシア非難決議にて、棄権をした国もアジアには多い。(中国・モンゴル・ベトナム・ラオス・インド・パキスタン・スリランカなど。北朝鮮は反対。賛成は、日本・フィリピン・インドネシア・カンボジア・タイ・ミャンマー・シンガポールなど。ミャンマーは昨年の軍事クーデータにより、軍政が敷かれているが、国連大使は今もクーデーター前の大使が務めているため賛成に回った。中国べつたりのカンボジアが賛成に回ったのは不思議ではあるが‥。)

 3月16日付夕刊フジには、「中国 ロシアに武器供与か―米国は露支援のベラルーシ制裁、習氏の危険な選択」「世界2・3位の全体主義国家連携」の見出し記事が掲載され、朝の報道番組「めざまし8」では16日の放送中に、「速報 中国がロシアへの軍事的・経済的援助行う」と速報を流していた。だがこの速報や夕刊フジの記事などは、特にとりたてて報道するような目新しい内容ではない。ロシアのウクライナ侵略以前から、軍事的・経済的相互支援を日常的にしていたからだ。また、中国側の「生物兵器研究開発」という主張は、ロシアの虚偽情報拡散政策にただ単に乗っかっているに過ぎない感がある。

 3月16日付朝日新聞の、「プーチン氏と手を切るべき—中国の政治学者の文書、SNSで拡散 波紋」の見出し記事は注目に値する。この中国の政治学者は中国の中枢的シンクタンクに在籍し、副所長の現職にもある胡偉氏の文書だからだ。「ロシア・ウクライナ戦争のありうる結果と中国の選択」と題されたこの文書。3月5日付で書かれ、ロシアについて「国内外の情勢は日増しに不利になっている」と指摘。西側諸国の制裁の影響や、国内の反戦勢力による政変の可能性に触れ、「ロシアの大国としての地位は終わりを迎えるだろう」と分析。だから、「中国はロシアのプーチン大統領と断絶すべき」と書かれた文書。政府の外交方針と一致しないため不適切と判断されたためか、ネットサイトから削除され、まもなく閲覧できなくなった。このような見解を持つ人も中国政府のシンクタンク内には存在していた。

 この間の米中高官会議を巡る状況や、中国のウクライナ問題への対応を巡る状況、特にロシアへの関わり方に関する問題について、テレビ朝日系列の朝の報道番組「羽鳥慎一モーニングショー」では、最近かなりの総力をあげて特集を組んでそれなりに優れた報道していた。その報道でのテロップには、「"ロシアが中国にウクライナでの軍事支援を要請した"と、アメリカが報道—14日 米中高官会議7時間に及ぶ」、「ロシアの軍事支援"中国に要請"」などのテロップ。

 このことについて、テレビ朝日の千々岩森生総局長は、「2月4日のプーチン・習近平会談では、①NATOの拡大に反対、②両国の友好に上限はないと、信頼関係をアピール」、「ロシア軍のウクライナへの全面的な侵攻が始まった2月24日時点では、①中国はロシアへのウクライナ侵攻のための武器提供はしないと表明していた。また、②ウクライナ侵攻のための支援は必要ないと中国は表明していた」とまず指摘。

 ウクライナでの戦況が長引いている現状に関しての中国側の様子について、千々岩総局長は、「米国CIAバーンズ長官の分析として、"ウクライナ情勢が、中国が得ていて予想していた内容と異なる展開をしているため、習近平主席は落ち着かない状態にあるのだろう。ロシアの侵略行為との関りで、中国への評価の低落を懸念している"」と話す。

 さらに番組では、千々岩総局長の報告として、以下のことを報道していた。①3月10日の外交部の記者会見で、中国国営メディアの記者が「Q:中国が衝突緩和のための措置を取っていないという指摘もありまるが?」という質問。これに対し趙立堅報道官は、「NATO拡大を促したのは誰か。ウクライナをそそのかし緊張をあおっているのは誰か。中国は公正な態度で、和解のために建設的な役割を果たしている」と答えた。千々岩氏は、「アメリカのことを批判している国営メディアとわざわざ事前にすり合わせをして、あえてこの質問をさせたのでは。国際社会からの批判を気にして、スタンスが微妙に変化している」と指摘。

 ②「ロシアのシルアノフ財務相3/13:欧米などの制裁による打撃を緩和するため、中国に期待。"中国とはこれまでの協力関係を維持するだけでなく、西側の市場が閉ざされる環境で、中国との協力関係を拡大することを要請」と指摘。

 ―中国の微妙な姿勢の変化について―➃「李克強首相(3/11全人代閉幕後の記者会見で):非常に憂慮している。国際社会とともに平和が戻れるよう積極的な役割を果たしていきたい。大規模な人道危機を除くべく、停戦交渉を支持する」、「王毅外相(3/9記者会見で):戦闘と戦争ができるだけ早く停止することを期待すると、初めてウクライナ情勢を"戦争"と表現」と指摘。だが一方で、⑤「中国は経済制裁に一貫して反対—趙立堅(3/9会見で):制裁は関係国の人々の生活に困難をもたらす。中ロはエネルギーを含む、正常な貿易協力を進める<ロシアとの貿易維持を表明>」「李克強(3/11会見で):世界経済の回復にショックを与え各国にとっても不利益だ。対ロシアへの金融制裁には反対する」との会見を指摘。

 ―なぜ経済制裁に反対について―⑥「制裁に賛成するとロシアを敵にまわすことになるため、中国としてはアメリカと対峙する上で軍事的に頼りになるロシアとはうまくやっていきたい考え」と千々岩総局長は語っていた。

 3月19日付夕刊フジには、「プーチン見限り 中国豹変—"漁夫の利なし"本音は重荷—軍事支援したら完全に米欧を敵に回す」の扇動的な見出し記事。この見出し記事の内容を執筆しているのは、またまたジャーナリストの長谷川幸洋氏。記事内容はそれなりにまっとうなのだが、見出しそのものは、全く虚偽的な表現だ。まあ、見出し的には「フェイクニュース」の一種。同日同紙の記事には、「米中対立の"新冷戦"構造は、ロシアの侵攻により激化する―非民主主義国は経済劣勢に」の見出し記事。この記事を執筆したのは高橋洋一氏。まあ、"新冷戦構造"が激化するのは、そのとおりだろう。だが、"非民主主義国は経済劣勢に"ということは?がつく。現在、世界の非民主主義国は90超あり、民主主義国の80超を上回ってもいるのだ‥。

 3月19日付朝日新聞、「バイデン氏、習氏に警告へ―ロシア支援なら"代償"―19日、米中首脳協議へ」「米、制裁の抜け穴警戒―習氏の立場、見極める」、「中国、ロシアと深めた協力—"指図され仲裁、絶対ない"と」などの見出し記事。

 3月16日、オランダのハーグにある「国際司法裁判所」は、ロシアのウクライナ侵略に対するウクライナ政府の提訴を受けて審理され、「ロシア軍の即時撤退命令」を下した。裁判判事15人のうち、賛成13・反対2だった。反対したのはロシアと中国の判事のみ。インドは国連総会のロシア非難決議には「棄権」に回ったが、今回はインドの判事も賛成に回った。この判決に対し、ロシアのペスコフ大統領報道官は、「今回の結論を受け入れられない」と表明。ウクライナのゼレンスキー大統領は、「完全な勝利だ。ロシアは命令を無視すれば、さらに孤立するだろう」との声明を出した。

 日本のインターネット配信で、最近の「北京市民の本音」と題した動画ニュースを見た。日本の報道関係者が中国の北京市民十数人にインタビューをしている動画ニュース。アンケート質問は次の二つ。「①台湾統一に向けて武力侵攻はあると思いますか。ないと思いますか。②将来、世界のトップリーダーとなる国は、どの国だと思いますか。」。

 ①については、「武力侵攻はやらないだろう」と答えた人が約60%、「武力侵攻をするだろう」が約40%。「武力侵攻をやらないだろう」と答えた人の中で、「もし武力侵攻したら支持する」と付け加えていた人も多かった。②については全員が中国だと誇らしげに答えていた。これがおそらく、現在の中国国民の意識なのかも知れない‥。中国の習近平政権は、ウクライナ問題・情勢の推移を見極めながら、来たる台湾統一に向けてどのような方策・戦略をとるべきかじっと研究もしている。

 そんな中、小さな記事だが、3月19日付朝日新聞に「台湾人 対日好感度最高に―世論調査(1月)」という見出し記事が掲載されていた。記事によると対中感情がかなり冷え込んでいることがわかる。2020年の1月の世論調査と比較すると次のようになる。「①親しくすべき国はどこ」について、中国と答えた人は「31%➡15%」に半減、アメリカと答えた人は「15%➡24%」と増加。「②台湾に影響を与えている国はどこ」についても、中国と答えた人は「45%➡25%」に激減。アメリカと答えた人は「13%➡58%」に激増している。今回のウクライナへのロシアの侵略、中国やアメリカの対応を目のあたりにして、この世論の現在地はまた変化もしているだろう。どのように変化しているのだろうか…。

 3月21日付日刊ゲンダイ、「急浮上 ノーベル平和賞 ゼレンスキー受賞の可能性」「欧州議員が画策 ゼレンスキーに白羽の矢、ノーベル平和賞ノミネートの狙い」の見出し記事が掲載されていた。また、「プーチン大統領"ゼレンスキー大統領との直接会談が必要"と」の見出し記事も。一方で、プーチン大統領はゼレンスキー大統領への暗殺集団をキエフに多く入りこませてもいる。

 

 

 

 


ウクライナを巡る中国の動向❷日本での、中国に関する報道より①停戦仲裁?中国「漁夫の利」?

2022-03-20 13:21:58 | 滞在記

 ウクライナへのロシア・プーチン政権の侵略問題に関して、日本国内では侵略が始まった2月21日から連日、新聞や雑誌、テレビ、インターネットなどで報道が行われていて、日本国民のこの問題に対する関心はとても高いようだ。

 毎週、平日の午前8時からの民放各局の大手局テレビ報道では、①テレビ朝日系列の「羽鳥慎一モーニングショー」、②フジテレビ系列の「めざまし8(司会・谷原章介)」、③読売テレビ系列の「スッキリ(司会・加藤浩二)」。毎日放送系列は午前8時からの報道番組から撤退し(放棄し)、朝から「ラビット(司会・川島明)」という番組を放送している。(※この番組、"日本で一番明るい朝番組"を銘打っているが、朝から買い物やレストラン情報など、プチセレブ御用達の浮世離れした番組という実態。よくもまあ、こんなご時世に、こんな番組を朝からやってる[垂れ流しているなあ‥]なあと思うのだが‥。)

 午前10時半ころからは、⑤テレビ朝日系列では「大下容子ワイド!スクランブル」、⑥毎日放送系列「ひるおび(司会・恵俊彰)の報道番組、さらに午後からはフジテレビ系列「バイキングMORE(司会・坂上忍)」(※残念ながら3月で放送はなくなるが‥)などの報道番組へと続く。まあ、この4つの大手テレビ局の中では、日頃から4つの局を視聴していて朝日テレビ系列が最も真摯に報道番組制作に向き合っている感はある。その朝日放送系列が毎週土曜日の午前9時半から放送しているのが、「正義のミカタ(司会・東野幸治)」。なかなか優れたコメンテーター(研究者など)をゲストに毎回迎え、その報道番組の内容もかなり優れている。

 2月26日(土)の「正義のミカタ」の特集は、このロシアのウクライナ侵略問題。この問題を巡る中国の動向については、①「汪副報道局長:制裁は、問題の解決に有効な手段だったことはなく、著しい国難をもたらすだけ、ロシアを擁護!?」、②「本当の脅威は中国、NATOはロシアともめている場合ではない。NATOはロシアもウクライナも引き入れて、中国に対応すべき(筑波大学教授・中村逸郎)」、③「北京冬季五輪で非難されているのはロシア—中国は"漁夫の利"外交に走る!、五輪前(人権問題・外交ボイコット)・五輪中(ロシアのドーピング問題)—ジャーナリスト・ロシア専門家の近藤大介)」、④「世界中の批判がトゥトベリーゼコーチに集中、中国の悪評が消えていった—習氏(ラッキー♡)、プーチン氏(ドーピングの責任はコーチにしたろう‥)、IOCバッハ会長(コーチのとてつもない冷淡さにゾッとした)」、⑤「五輪期間中、中国がロシアのウクライナ侵攻を止めていたことが証明された」、⑥「中国はしばらく動かず時期を」などのテロップ(③④⑤⑥は、近藤大介氏のコメント。)

 2月28日付朝日新聞、「中国、歴史学者の声明削除―SNSに"戦争強く反対"」の見出し記事。記事によれば、南京大学の孫江教授ら歴史学者5人は、「ロシアウクライナに対して起こした戦争に強く反対する。ロシアにいくら理由があっても、武力による主権国家への侵攻が既存の国家への国際安全システムを破壊するものだ」と批判。さらに孫氏らは、「ウクライナ国民の国を守る行動を断固支持する」として、ロシア政府とプーチン大統領に対し、「戦争を停止し、交渉で紛争を解決するよう強く呼びかける」と求めた。声明は、中国政府の姿勢については評論していないが、中国当局により間もなくネット上から削除された。

 3月2日付朝日新聞、「ウクライナ念頭 米国代表団が台湾訪問—インド・太平洋地域への"飛び火"警戒―"今日のウクライナ、明日の‥(台湾)"情報戦に台湾危機感示す」の見出し記事。また、「中国人、(ウクライナからの)退避に遅れ—自国に不信感—ウクライナに64人、銃撃で負傷も/同胞見捨てぬと駐ウクライナ大使釈明」の見出し記事。この記事を読むと、中国側は、北京冬季五輪閉会直後のロシア軍の急速な侵攻を情報的に把握していなかった可能性もある。

 3月4日付日刊ゲンダイ、「停戦仲介 中国・漁夫の利」「ウクライナ停戦交渉の主導権取り、バイデン真っ青/戦わずして"世界の盟主"となる絶好機」などの見出し記事。3月5日(土)の「正義のミカタ」では、「アメリカ高官からの、"中国側がロシア側に、北京五輪の閉幕まで侵攻を始めないよう求めていた"との見方に対し中国は、"根拠のない憶測で中国への責任転嫁、中傷と批判」「汪報道官:あらゆる違法制裁に断固反対する。制裁は問題を解決せず、争いをエスカレートさせるだけだ。中国はロシアと引き続き正常な貿易協力を進める」などのテロップ(字幕)。3月1日付夕刊フジ、「ロシアのウクライナ侵攻、中国が寄り添う脅威」の見出し記事。

 3月9日付朝日新聞、「国連総会決議 ロシア非難 なぜ避けた/棄権の中国 理解示す」。同日同紙「ウクライナと反戦メッセージ―言葉は燃やせない」(吉岡桂子筆)は、秀逸な一文。この一文は次の冒頭文から始まる。「中国で言葉が消えていく。侵略が消えた。中国政府はロシアのウクライナに対する暴挙を侵略と認めない。国内メディアに禁句と命じた。衝突などと言い換えている。日本への中国への侵略を"進出"とごまかそうとする人たちがいると、憤怒していたはずなのに。あれは、国際政治における方便だったのか。 反戦が消えた。‥‥‥」と‥。

 ロシア国内では報道規制により、「侵攻」という言葉さえも禁句として消え、「特別軍事行動」という言葉を使うように指令がだされている。

 3月5日付朝日新聞、「振り回される中国 苦悩—戦線拡大に焦り、仲介姿勢示さず」、8日付同紙、「中国、ロシアの代償払いたくない(ダニエル・ラッセル元米国務次官補)」などの見出し記事。3月5日頃、ロシアのウクライナ侵略も2週間余りとなり、ウクライナ軍や国民の抵抗も激しく戦線が膠着、ロシア政府への国際世論もさらに大きくなる中、中国もその対応が難しくなりはじめてきた。「漁夫の利」どころではなくなってもきた‥。だが、一方で、8日付同紙には、「インド・太平洋戦略を批判 中国外相—日本に"三つの忠告"他人のために火中の栗を拾うなと‥」の見出し記事も。

 北京冬季パラリンピックが3月4日に開幕され13日に閉幕した。世界パラリンピック委員会は、今回のロシアのウクライナ侵略を問題視し、ロシアとベラルーシの選手団の参加を認めなかった。このことは、中国国内では報道されず、ほとんどの中国国民はこの事実を知らないままとなっている。日本国内のテレビでは、「北京パラ五輪 ロシアとベラルーシ除外に、中国政府やメディアは言及せず」「汪報道官:この件については北京冬季パラリンピック組織委員会に聞いてほしいと語る」と報道。

 このパラリンピックの開会式で、IPC(国際パラリンピック委員会)会長は、「21世紀は対話と外交のはずです。‥‥戦争と憎しみの時代ではありません‥差別や憎しみ、無知とは無縁の紛争のない世界を目指しています」と平和を呼びかけた。だがこの時驚くべきことが起きていた。なんと、中国のCCN(中央テレビ)は、この会長の言葉の時の手話通訳を止め、中国語翻訳字幕も止めたのだ。なんと恐るべき対応‥。「言葉」を消した中国の対応に世界は唖然とした。このことは、中国という国が「五輪を開催する地にふさわしかったのか」を改めて世界に感じさせた出来事だった。

 3月10日頃の日本のテレビ放送では、「弱い人は強い人に喧嘩を売るな 中国の総領事」との字幕の報道がされていた。この報道などによると、日本の大阪にある中国総領事(薛剣—上記写真左から③枚目))のウクライナ問題などを巡る最近の言動に関する報道。薛氏がネットにツィートした文章は、「ウクライナ問題から銘記すべき一大教訓:"弱い人は絶対に強い人に喧嘩を売る様な愚かをしては行けないこと!仮に何処かほかの強い人が後ろに立って応援すると約束してくれてもだ。これと関連で更に言えば、"人に唆(そそのか)されて、火中の栗を拾ってはいけないこと"だ。(原文ママ)」と書いている。

 これは、ウクライナは愚かであり、軍事大国である自国とロシアを重ね合わせながら、中国の動向を警戒する日本をも王毅外相の言葉も引用しながら警告威圧したとも受け取られる。この薛氏のツィートには、中国外交部報道局の華春蛍報道局長も参加している。また、薛氏は、「もしもし~アメリカさん、聞こえてる~?疑惑だらけのフォート・デトリックは大丈夫かい?証拠がこんなに出揃っているけど、知らんて言わんといてよ。内緒で教えてほしいんやけど、ほんまはそっちからコロナが出たんやないかな~? White House アメリカに聞きたい。」と、関西弁で語る新型コロナのもともとの発生源はアメリカだ?とするツィートだ。

 まあ、駐日ロシア大使の「ウクライナはジェノサイトの国、ナチス的な国。それから人々を解放するためにロシアは特別軍事行動をとったのだ」とのプーチン大統領と軌を一にする言動にも驚かされたが、この駐日大阪総領事の言動にも驚かされる。一国の大使としての品性の問題としても‥。この薛総領事館長は、北京外国語大学の日本語学科の卒業生。2021年6月に大阪総領事として赴任した。(※ツィート文の「行けない」は間違い。ひらがなで「いけない」が正しい。)

 ロシアのプーチン大統領は、「日本を非友好国」に指定すると発表した。それを受けてジョージアの駐日大使が投稿した粋なツイートが、話題ともなっている。日本を非友好国に指定したロシアを皮肉るようなツイートだ。そのツィートは、「ジョージアと日本は非非友好国です」という一文。「非非友好国。「非」の文字を重ねる二重否定で日本と友好関係であることをアピールしている。

 2008年の北京夏季五輪の開会中に、ジョージアはウクライナと同じようにロシアから軍事侵略を受け、領土の一部はロシアに併合されたままとなっている。ジョージア国内ではウクライナ情勢を受けて、ロシアへの抗議デモが行われるなど反ロシア感情が高まっている。ちなみに、大相撲の「栃ノ心」はジョージアの出身。

 中国の「全人代」(全国人民代表者会議)がこの3月5日から11日にわたり北京の人民大会堂でおこなわれた。この全人代に関連したものとして、3月6日付朝日新聞には、「コロナで経済停滞 人口減 ロシアのウクライナ侵攻—習氏"リスク回避"全面—全人代開幕」「中国の国防費最大規模—伸び率7%超 全人代に予算案 台湾・南シナ海 譲らぬ姿勢」などの見出し記事。3月8日付同紙の社説には、「中国全人代 侵略反対なぜ示さぬ」の見出し記事。

 11日の閉会後の記者会見で、李克強首相は、「ウクライナ情勢を憂慮しており、ウクライナとロシアの停戦協議を支持することが重要だ」と述べた。

 閉会のこの時期、中国報道部の趙立堅報道副局長は、「ロシアとウクライナの緊張を、米国やNATO諸国は極限まで高めている」と批判した。3月10日付朝日新聞には、「制裁のゆくえ―台湾問題にも影響(東大教授 松田康博)」と題した一文が。9日付同紙には、「仕事求めさまよう北京の農民工 全人代 経済堅調と安定強調のアピール‥/失業率5.1%報告も、実質20%の失業率との指摘も」の見出し記事。