




2月14日(金)、関西空港から中国の福建省福州に向かう厦門(アモイ)航空の機上のシート(席)には、鶴に乗る可愛らしい女性のイラストと「媽祖巡安 一鷺相伴」と書かれた文字。厦門(アモイ)という都市のある福建省と台湾の間の台湾海峡。その沿岸地域には「媽祖(まそ)信仰」が根付いている。媽祖は船の安全航行を空から見守る女神。
福建省泉州の媽祖を祀る「天後宮(てんごうぐう)」には、七福神が乗っている海上の船を上空から白鷺に乗って見守り続けている媽祖の絵馬(えま)が置かれていた。さしずめ、シートのイラストと文字は、厦門航空の飛行機の航行を媽祖が白鷺に乗って、飛行機に寄り添って、見守っているという願いなのだろう。
関空から3時間30分余りのフライトで、福州空港に着陸した厦門航空の飛行機をおりて、入国審査を受ける場所に行く。入国審査の列を監督している空港職員が、「なぜ中国に来たのか?」とちょっと厳しい顔で質問をしてきた。「(工作)仕事です。閩江大学の教員をしています」と返答すると、その職員は、「おお~!私は閩江大学の卒業生です。そうですか、どうぞどうぞ‥。」と態度が一変。さらにその職員は、「この人は閩江大学の日本人教員だよ。(入国に問題ないと思うから)早く通してあげて!」と大きな声で入国審査をする空港職員に呼びかけてくれた。まあ、コネ社会の中国ともよく言われるが、こんな光景も中国的ではあるのかな‥。
おかげで入国審査がいつもよりとても早く終わり、飛行機の機内預けキャリーバックを受け取り、荷物検査の場に向かう。(※日本の空港での検査は麻薬持ち込みには厳しいようだが‥) 今回、初めて経験したのだが、私の荷物の中で大きな最も大きなキャリーバックを開けて検査をすると告げられた。キャリーバックの中の一つのカバンの中にまとめている15冊ほど書籍(※ほとんどが文庫本小説)を問題視したようだった。書籍を調べて「問題なし」と判断され、荷物検査場を通過できた。中国では最近は、外国人入国者の荷物の中の書籍関係には、わりと厳しい検査をしているのかとも思われた。




久しぶりにアパートに戻り、さっそく困ったことが起きていた。アパートの室内にある20箇所ほどのコンセントのうち、半分の10箇所余りのコンセントが使えなくなっていることだった。ちょっと調べてみたが、なぜなのか分からない。幸いなことに、室内の電灯やエアコン(冷暖房)、シャワー、台所などのコンセントは以前と同じように使用できる。




翌日の15日(土)の午前中、スーパーマーケット(超市)に行き、できるだけ長い延長コードを3個買いに行った。使用可能なコンセントから合計7個の延長コードをつないで、さらにつないでつないで、生活に必要な諸電気器具に電気を通した。このためアパート室内は配線延長コードが複雑に複雑に交差している状態となった。




8階の部屋から見えるアパート団地棟や福建師範大学の建物、そして目の前の小高い山の緑や趙氏祖廟の伝統的な建物。日々目にするこの緑の光景にどれだけ気持ちが救われるか‥。この光景があるから長い年月の中国生活が送れているのかもしれないとも思う。



アパートの棟のあるエリアの入り口付近に1本の寒緋桜(カンヒザクラ)があり、濃いピンク色の花が開花し始めていた。この寒緋桜は日本の沖縄の桜と同じ種類のものだ。毎年、2月中旬から下旬にかけて満開となる。ここの寒緋桜もあと10日間ほどで満開になりそうだ。日中の気温は10℃~17℃ほどだが、朝や夜の気温は7℃~10℃ほどとまだ寒い亜熱帯地方の福州市。



アパート棟のある周辺は駐車された車で溢れている。棟のある入り口ゲート付近も車が好き勝手に駐車されているため、車と車の間の狭いところをようやく通れる。中国では車を購入する際の車庫証明が必要ないため、どこに行っても多くはこのような光景だ(歩道もしかり)。



1月25日前後に大学から支払われるはずの1月支給の給与がまだ支払われていないのに困ってもいた。毎月25日前後に教員の銀行口座に送金されるはずの大学の給料がまだ支払われてこない。私の中国の銀行口座の残高も余裕がなくなってきてもいる。大学の外国人教員や留学生への業務を担当するのが大学の外事所。この外事所への問い合わせが欧米系の英語科所属の教員から、2月上旬に入り「まだ1月支給の給与が入っていないよ。いつ支給されるの‥?困るよ。」のメール問い合わせが外事所のアプリに入るようになっていた。
外事所から、「1月の給与支給が大きく遅れていてすみません」のそれに対する返信。そしてようやく、外事所から、「グレートニュース(すごいお知らせ)です。明日の午後、みなさんの1月給与が支払われることになりましたよ」とのメール連絡が2月17日の午後に入った。この外事所からの連絡に、欧米系教員たちの「Oh!great news!!」の返信。実に3週間以上もの給与遅配なのだが‥。「グレイトnews」と表現し喜び合うのが今の中国でもある。昨日18日の午後5時頃に、アプリを通じて1月支給の給与入金が確認できて、一安心もした。これで3月分のアパート代金なども支払える‥。
■中国では1年前の2024年になってから、特に経済状況が厳しくなっている。民間企業での給与の長期(何カ月もの)間にわたる未払いや給与の大幅減額が、中国全土で起きている。そして突然の大量リストラは、大手企業でも横行している。これは公務員の場合であっても、減額や遅配が恒常的に全土で起きてきている。地方政府(省や市や郡など)の地方財政がとても厳しくなってるためだ。(※地方政府財源の4割以上を不動産関連が占めていたため、その不動産バブル崩壊などで財源がとても深刻化している。私がこれまで勤めていた福建師範大学や閩江大学などは公立{省立)大学なので、給与の支払いは福建省や福州市の財政からとなっている。)
公務員の場合は、給与減額や遅延はあっても、民間企業に比べてリストラの危険はかなり少ないので、大学卒業生の公務員試験への倍率はとても高い。また、中国にある日系企業への就職希望者も激増している。日系企業は、給与支払いや雇用保障にまじめだからだ。つまり安定している就職先と‥。また、日本など海外での就職希望者や留学希望者も増加しているようだ‥。




現在勤めている閩江大学からはとても遠く通勤には苦労する、私が8年間余り暮らしている住宅団地(2万人余りの老若男女が暮らす)だが、ニワトリが放し飼いとなっていたり、野菜の路上売りなど、なにかほっとする光景に、けっこう大変な日々の中国暮らしだが、わりと心も落ち着く場所でもある。
昨日(18日)の夕方5時過ぎころから、突然にインターネットができなくなった。何度試してみてもネットがつながらない。これはとてもつらく、いつ回復できるのかもわからない大変なことだが‥。諦めて、早々の7時頃に眠りについた。翌朝(今日)の午前3時頃に起床してネットを試したら回復ができていた。これは、私の中国生活においては「とてもGreat!」なことだ。ネット環境の不安定の問題は、病気と並んで中国生活での最も大きな困りごとの一つ。