9月27日(水)に厦門(アモイ)航空・福州―関空便で日本に一時帰国したのだが、この飛行機はほぼ満席だった。福州空港のチケットカウンターで、廈門航空・福州―成田便には長蛇の列ができていた。29日(金)、日本の毎日放送系の報道番組「ひるおび」を久しぶりに視聴した。「20億人超 今日から大型連休で大移動—訪日団体客に異変!?―"脱中国"の動きも」と題された特集報道がされていた。中秋節や土日の週末、そして国慶節での祝祭日が合計して10日間余り連続して続く今年の中国の"スーパーゴールデンウィーク"。この報道では、「超大型連休スタート 20億人超大移動!旅行先に異変!?」「航空会社 明日まで日本行の便はほぼ満席」などのテレップ(画面文字)。
「国慶節海外旅行先ランキング 2019年:1位日本、2位マカオ、3位香港、4位タイ、5位アラブ首長国連邦 2023年:1位タイ・韓国、2位マレーシア、3位シンガポール、4位オーストラリア、5位イギリスなど」(中国のある旅行会社発表)、「観光庁高橋長官―処理水放出が日本への旅行客に与える影響は限定的と報告」のテレップ。
29日に日本の羽田空港に到着した中国からの複数の旅行客への質問インタビューでは、「Q:日本食に心配は? A:来る前にネットで調べて、処理水に問題はなかったので心配していないです。」「Q:処理水については? A:農業関係の知識があるので、処理されたあとの水はそう心配じゃないです。」「Q:日本食に心配は? A:(処理水の問題は)少し心配です。海鮮を食べる量を減らします。」などと答えていた。
また、今回の国慶節期間中に日本に旅行に行くことを断念したりキャンセルした人に関しては、「日本に行きたかったのだが、親に反対されたのでキャンセルしました。もし、日本に行っていたら、多分、海鮮は食べます。でも、心配するので親には言いませんが‥」「以前日本を訪れた時には楽しかったので、また行きたかったです。でも今は行けない‥。地方公務員で、パスポートは職場で保管されていて、(日本旅行を)言い出しにくい雰囲気ですから‥」との報道も。
8月上旬に日本を含む60ヵ国余りの国々への団体旅行が解禁されたばかりの中国だが、福島原発処理水放出問題を巡って、一定数の日本行キャンセルや日本行自粛があるようだ。最近の海外からの日本旅行に関しては、特に北米大陸からの観光客が激増傾向にある(2019年と比較して、カナダ34%増・米国18%増・メキシコ71%増)との報道もされていた。
■2019年の1年間、中国から日本に旅行した人は約900万人にものぼった。そのうち、70%は個人旅行客で、団体旅行客は約30%だった。今年2023年の国慶節期間、原発処理水放出問題で、日本への団体旅行客はブレーキがかかったが、個人旅行客のキャンセルなどの影響は限定的になったようでもある。(※現在、日本—中国との航空便数は、コロナ前の2019年と比較して、まだ50%ほどしか回復していない。)
29日(金)の関西放送系の報道番組「NEWSランナー」では、この国慶節期間の海外旅行先の人気国として、「1位日本、2位タイ、3位韓国、4位マレーシア、5位シンガポール」(中国ネットサイト「百度」の発表)と報道されていた。この「百度(バイドゥ)は、中国では大手3社に入るネットサイトだ。
■中国人で「処理水問題を気にする人と気にしない人―その違いは何か?」
この問題はなかなか難しいが、まあ推定されることは、団体旅行をする人々は、この問題を比較的、気にする傾向があり、個人旅行をする人々は比較的、気にしない傾向があるのではないか、ということだ。なぜ、そうした違いが出てくるかと言えば、中国では、団体旅行をする人々と個人旅行をする人々には、所得の差、情報入手の差があることに関係している。比較的所得の低い人々は個人旅行のビザ取得ができず、(年収25万元[日本円で約500万円]の年収証明がないと個人旅行ビザは取得できない。)
中国の場合、この違いは、単なる所得の差というだけでない。その人の情報量や、海外からの情報量取得の差と深く結びつく。所得の比較的低い人々は国内メディアを中心に見ており、友人・知人などからの情報もほぼ国内が中心となる。一方、所得が比較的高い人は、国内外からの多様な情報を取得している傾向がある。