12月26日付朝日新聞、「中国、なぜコロナ感染急拡大?」「中国コロナ"ゼロ"の反動—人口の50%感染予測、春節に地方拡大懸念」の見出し記事。人口の半分とは、12月1日から来年の春節(旧正月)の始まりの1月20日、そして春節が終る1月31日までの2カ月間で約7億人もが感染する?という予測となるが‥。
2020年1月から新型コロナの感染が世界中に広がって、ちょうど3年間余りが経過する。この3年間での全世界の新型コロナ感染者数(2022年12月28日まで)は、世界人口約80億人中、約6億5834万人。この3年間の全世界感染者数を上回る感染者数が、この中国の2カ月間余りで発生するとの予測だ。「12月1日から20日までの20日間で、中国での感染者数約2憶5000万人と推計」との、中国国家衛生健康委員会(2022年12月21日)での推計もあるので、来年の1月31日までの2カ月間で約7億人感染予測という数字もうなづける。60歳以上の、コロナワクチン3回目接種率が低いこともあり、感染して重症化する人も多いと推測される。死者の数も相当なものにのぼる可能性も高い。
12月下旬の日本のテレビ報道では、この12月25日から、中国国家衛生健康委員会によるこれまでの「新型コロナの新規感染者数や死者数の公表を取りやめ」と報道されていた。中国の年末年始は、今年の春節(旧正月)[1月20日~1月28日]に合わせた、1月10日頃から2月1日頃までとなる。この報道では、「年末年始に中国の感染拡大はピークを迎える予想」と報じていた。
同番組:中国外務省(外交部)副報道局長(報道官)、戦狼(せんろう)外交・報道で著名な趙立堅氏も「新型コロナに感染したもようだ」との香港メディアの報道を、この日本のテレビ報道番組は伝えていた。この香港メディアの報道によれば、趙氏の妻のSNS内容が紹介されていた。
そのSNSには、「あなた(夫である趙氏)は1週間以上も発熱が続いている。消炎剤や風邪薬、解熱剤も買えないので、ようやく近所の人に解熱剤をもらえた」とあった。趙氏の妻のSNSを見た中国人の、「幹部に薬がないなら、一般国民だって(薬を)手に入らない。(でも)彼が薬が買えないとは思わなかった」との投稿も紹介されていた。これくらい、コロナ感染して自宅療養の人々の薬不足は深刻なのだろう。
別の12月下旬の日本のテレビ報道番組、ついに、「中国に入国する際の"隔離政策"も撤廃されることが12月発表」と報道された。中国の衛生当局は来月1月8日から、コロナの感染症としての扱いを引き下げることを発表した。これによると、「新型コロナ肺炎」を「新型コロナ感染症」という名称に1月8日から改名されることとなる。海外からの渡航者の8日間の隔離も不要となると発表した。これにより、「ゼロコロナ政策」の完全撤廃となる。
同番組:中国浙江省の省政府は、12月21日頃に「現在1日100万人の新規感染者と推定される。さらに今後、年末年始にかけては1日200万人感染も予測される」と発表。四川省政府は、(人口8300万人)、12月24・25日にオンラインで感染者率を探るためにアンケートを実施した。約15万8500人からの回答があり、その結果、感染者率は約63%だったと報道した。
国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授は、「けた違いの感染拡大で 危惧されるのは"新たな変異種"が出て 日本などにも上陸してしまうこと」などとの見解を述べていた。この中国の感染超爆発を受けて、米国・日本・韓国・インド・イタリアなどは、中国からの入国者への水際対策を強化することを発表。これらの国々の水際措置対し、中国外交部の汪報道官は、「差別的だ」として批判をした。
12月26日、中国からイタリアのミラノに到着した航空機2便の乗客のPCR検査を実施したところ、約半数もの人がコロナ陽性だったと発表した。ものすごい陽性率だ。
1月8日から、海外からの渡航者「隔離」政策撤廃の報道が行われた直後の30分以内で、中国の大手旅行サイト「携程」へのアクセス検索数は10倍に。旅行先としては、「日本、タイ、韓国」などが人気との報道も。中国では、このゼロコロナ政策の完全撤廃に伴い、国際線の便数制限も撤廃する方針を明らかにした。だが、日本政府などは、中国からの乗客を制限するため、日本への乗り入れ制限を逆に強化する動きに出ていて、中国➡日本、日本➡中国間の運行航空機数が増加しにくいため、今後、逆に航空運賃が値上がりする可能性も高い。
(※コロナ前の2019年の中国福建省福州空港—日本関西国際空港間の片道航空運賃は、2万5千円程度だった。202年8月は38万円程度。2023年1月下旬は28万円程度。2月以降はそれ以上になる可能性が高い。中国渡航を2月中旬頃に控える私としては、とても辛いところだ‥。)
12月27日付朝日新聞、「武漢の"成功" とらわれた3年—中国感染爆発 世界はウイズ・コロナ」「習氏、感染爆発後 初の発信—毛沢東の"愛国衛生運動"呼びかけ」
12月28日付朝日新聞、「中国人 海外旅行再開へ―入国時の隔離、来月撤廃/日本は水際強化―入国時に検査、陽性者は7日間隔離、今後の中国便の増便は制限」「"お得意様"訪日 期待と警戒―中国ゼロコロナ終了 政策緩和—旅行本格化は春節後か―日本政府は先手うち検査強化」「中国を襲う医療逼迫—置き場ないベッド、あふれる遺体安置室」などの見出し記事。同紙、「中国とコロナ—情報公開と対策 両輪で」の見出し社説。
中国国家衛生健康局の「初期のコロナの毒性と、現在のオミクロン株とは関係があまりない」と毒性が現在はとても弱いとの会見のもようが、インターネットで報道されていた。
12月29日付朝日新聞、「ゼロコロナの不条理 声上げた若者連帯—抗議から1か月」「軽症なら働いて―中国一変」「香港からの訪日者—帰国便制限で影響、日本の水際強化受け」「本当の思い語る権利もない」などの見出し記事。
12月現在の中国のコロナ感染拡大の状況や今後の感染拡大予測状況を示す地図が中国で発表された。それによると、12月下旬、北京や上海、重慶などの政令指定都市や主要な省の省都などの大都市では、感染拡大のピークがきていると発表されている。1月10日ころから春節に伴う10億人規模の帰省ラッシュが始まるが、これにともない、地方都市や農村地域での感染が拡大すると予測されている。この地図によると、私の勤める大学や自宅アパートのある福建省福州市の感染拡大のピークも1月下旬との予測だ。
新型コロナウイルス感染拡大パンデミックが始まって3年間が経過した。12月28日付朝日新聞では、前日27日の1日のコロナ感染者数は約65万人(死者2046人)。(中国のデータは入っていない) 。まだまだ続くコロナパンデミック。27日の日本の1日新規感染者数は、約19万人。1日の死者は400人をも超えていた。WHOのデドロス事務局長は12月下旬、感染者数・死者数の把握なし、公表なしの中国の状況を危惧する声明を発表した。
朝日新聞にこの3年間連日報道され続けてきた、「世界の感染数・死者数状況」の報道を、今日・2022年12月31日付を最後にして、今後報道しないこととなった。「おことわり—世界の新型コロナ感染者数の掲載は、年内をもって終了します。全数把握をやめる国が増え、米国ジョンス・ポプキス大学の集計が実際の感染者数を十分に把握できなくなったためです」と書かれていた。
私が勤める福建省の大学では、予定より1カ月間ほど前倒しして、学生たちを故郷に帰省させ、学期末の授業や期末試験も全てオンラインで実施することとなった。大学構内でのコロナ感染拡大を防ぐためだった。私が担当する今学期の4つの教科もオンラインでの期末試験を実施している。会話の2つの教科は、一人一人とオンラインでの期末会話試験、12月22日までにこの2教科は、ほぼ全員の試験を終えたが、3〜4人に1人がコロナに感染していた。
当初からレポート提出形式の期末試験だった「日本文学作品選読」(4回生)は、レポート提出期間は12月16日~29日だった。だが、提出期限の29日になっても、35人中7人の提出がなかったので、一人一人に問い合わせてみると、コロナに感染したため高熱を発し、期限に間に合わなかった学生が多かった。本人が感染していなくても、家族が感染していて、その対応に追われていて提出期限のことを忘れていましたという学生もいた。
大学教室での期末筆記試験(12月20日に予定していた)から、レポート提出方式に変更した「日本概況」(3回生)の、提出期限は1月5日までだが、学生たちの提出はどうなるだろうか…。