彦四郎の中国生活

中国滞在記

中国、コロナ感染猛威—中国入国の隔離ようやく撤廃—学生たちにも広がる感染、期末試験提出期限内にできない学生たちも

2022-12-31 15:09:32 | 滞在記

 12月26日付朝日新聞、「中国、なぜコロナ感染急拡大?」「中国コロナ"ゼロ"の反動—人口の50%感染予測、春節に地方拡大懸念」の見出し記事。人口の半分とは、12月1日から来年の春節(旧正月)の始まりの1月20日、そして春節が終る1月31日までの2カ月間で約7億人もが感染する?という予測となるが‥。

 2020年1月から新型コロナの感染が世界中に広がって、ちょうど3年間余りが経過する。この3年間での全世界の新型コロナ感染者数(2022年12月28日まで)は、世界人口約80億人中、約6億5834万人。この3年間の全世界感染者数を上回る感染者数が、この中国の2カ月間余りで発生するとの予測だ。「12月1日から20日までの20日間で、中国での感染者数約2憶5000万人と推計」との、中国国家衛生健康委員会(2022年12月21日)での推計もあるので、来年の1月31日までの2カ月間で約7億人感染予測という数字もうなづける。60歳以上の、コロナワクチン3回目接種率が低いこともあり、感染して重症化する人も多いと推測される。死者の数も相当なものにのぼる可能性も高い。

 12月下旬の日本のテレビ報道では、この12月25日から、中国国家衛生健康委員会によるこれまでの「新型コロナの新規感染者数や死者数の公表を取りやめ」と報道されていた。中国の年末年始は、今年の春節(旧正月)[1月20日~1月28日]に合わせた、1月10日頃から2月1日頃までとなる。この報道では、「年末年始に中国の感染拡大はピークを迎える予想」と報じていた。

 同番組:中国外務省(外交部)副報道局長(報道官)、戦狼(せんろう)外交・報道で著名な趙立堅氏も「新型コロナに感染したもようだ」との香港メディアの報道を、この日本のテレビ報道番組は伝えていた。この香港メディアの報道によれば、趙氏の妻のSNS内容が紹介されていた。

 そのSNSには、「あなた(夫である趙氏)は1週間以上も発熱が続いている。消炎剤や風邪薬、解熱剤も買えないので、ようやく近所の人に解熱剤をもらえた」とあった。趙氏の妻のSNSを見た中国人の、「幹部に薬がないなら、一般国民だって(薬を)手に入らない。(でも)彼が薬が買えないとは思わなかった」との投稿も紹介されていた。これくらい、コロナ感染して自宅療養の人々の薬不足は深刻なのだろう。

 別の12月下旬の日本のテレビ報道番組、ついに、「中国に入国する際の"隔離政策"も撤廃されることが12月発表」と報道された。中国の衛生当局は来月1月8日から、コロナの感染症としての扱いを引き下げることを発表した。これによると、「新型コロナ肺炎」を「新型コロナ感染症」という名称に1月8日から改名されることとなる。海外からの渡航者の8日間の隔離も不要となると発表した。これにより、「ゼロコロナ政策」の完全撤廃となる。

 同番組:中国浙江省の省政府は、12月21日頃に「現在1日100万人の新規感染者と推定される。さらに今後、年末年始にかけては1日200万人感染も予測される」と発表。四川省政府は、(人口8300万人)、12月24・25日にオンラインで感染者率を探るためにアンケートを実施した。約15万8500人からの回答があり、その結果、感染者率は約63%だったと報道した。

 国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授は、「けた違いの感染拡大で 危惧されるのは"新たな変異種"が出て 日本などにも上陸してしまうこと」などとの見解を述べていた。この中国の感染超爆発を受けて、米国・日本・韓国・インド・イタリアなどは、中国からの入国者への水際対策を強化することを発表。これらの国々の水際措置対し、中国外交部の汪報道官は、「差別的だ」として批判をした。

 12月26日、中国からイタリアのミラノに到着した航空機2便の乗客のPCR検査を実施したところ、約半数もの人がコロナ陽性だったと発表した。ものすごい陽性率だ。

 1月8日から、海外からの渡航者「隔離」政策撤廃の報道が行われた直後の30分以内で、中国の大手旅行サイト「携程」へのアクセス検索数は10倍に。旅行先としては、「日本、タイ、韓国」などが人気との報道も。中国では、このゼロコロナ政策の完全撤廃に伴い、国際線の便数制限も撤廃する方針を明らかにした。だが、日本政府などは、中国からの乗客を制限するため、日本への乗り入れ制限を逆に強化する動きに出ていて、中国➡日本、日本➡中国間の運行航空機数が増加しにくいため、今後、逆に航空運賃が値上がりする可能性も高い。

   (※コロナ前の2019年の中国福建省福州空港—日本関西国際空港間の片道航空運賃は、2万5千円程度だった。202年8月は38万円程度。2023年1月下旬は28万円程度。2月以降はそれ以上になる可能性が高い。中国渡航を2月中旬頃に控える私としては、とても辛いところだ‥。)

 12月27日付朝日新聞、「武漢の"成功" とらわれた3年—中国感染爆発 世界はウイズ・コロナ」「習氏、感染爆発後 初の発信—毛沢東の"愛国衛生運動"呼びかけ」

 12月28日付朝日新聞、「中国人 海外旅行再開へ―入国時の隔離、来月撤廃/日本は水際強化―入国時に検査、陽性者は7日間隔離、今後の中国便の増便は制限」「"お得意様"訪日 期待と警戒―中国ゼロコロナ終了 政策緩和—旅行本格化は春節後か―日本政府は先手うち検査強化」「中国を襲う医療逼迫—置き場ないベッド、あふれる遺体安置室」などの見出し記事。同紙、「中国とコロナ—情報公開と対策 両輪で」の見出し社説。

 中国国家衛生健康局の「初期のコロナの毒性と、現在のオミクロン株とは関係があまりない」と毒性が現在はとても弱いとの会見のもようが、インターネットで報道されていた。

 12月29日付朝日新聞、「ゼロコロナの不条理 声上げた若者連帯—抗議から1か月」「軽症なら働いて―中国一変」「香港からの訪日者—帰国便制限で影響、日本の水際強化受け」「本当の思い語る権利もない」などの見出し記事。

 12月現在の中国のコロナ感染拡大の状況や今後の感染拡大予測状況を示す地図が中国で発表された。それによると、12月下旬、北京や上海、重慶などの政令指定都市や主要な省の省都などの大都市では、感染拡大のピークがきていると発表されている。1月10日ころから春節に伴う10億人規模の帰省ラッシュが始まるが、これにともない、地方都市や農村地域での感染が拡大すると予測されている。この地図によると、私の勤める大学や自宅アパートのある福建省福州市の感染拡大のピークも1月下旬との予測だ。

 新型コロナウイルス感染拡大パンデミックが始まって3年間が経過した。12月28日付朝日新聞では、前日27日の1日のコロナ感染者数は約65万人(死者2046人)。(中国のデータは入っていない)  。まだまだ続くコロナパンデミック。27日の日本の1日新規感染者数は、約19万人。1日の死者は400人をも超えていた。WHOのデドロス事務局長は12月下旬、感染者数・死者数の把握なし、公表なしの中国の状況を危惧する声明を発表した。

 朝日新聞にこの3年間連日報道され続けてきた、「世界の感染数・死者数状況」の報道を、今日・2022年12月31日付を最後にして、今後報道しないこととなった。「おことわり—世界の新型コロナ感染者数の掲載は、年内をもって終了します。全数把握をやめる国が増え、米国ジョンス・ポプキス大学の集計が実際の感染者数を十分に把握できなくなったためです」と書かれていた。

 私が勤める福建省の大学では、予定より1カ月間ほど前倒しして、学生たちを故郷に帰省させ、学期末の授業や期末試験も全てオンラインで実施することとなった。大学構内でのコロナ感染拡大を防ぐためだった。私が担当する今学期の4つの教科もオンラインでの期末試験を実施している。会話の2つの教科は、一人一人とオンラインでの期末会話試験、12月22日までにこの2教科は、ほぼ全員の試験を終えたが、3〜4人に1人がコロナに感染していた。

 当初からレポート提出形式の期末試験だった「日本文学作品選読」(4回生)は、レポート提出期間は12月16日~29日だった。だが、提出期限の29日になっても、35人中7人の提出がなかったので、一人一人に問い合わせてみると、コロナに感染したため高熱を発し、期限に間に合わなかった学生が多かった。本人が感染していなくても、家族が感染していて、その対応に追われていて提出期限のことを忘れていましたという学生もいた。

 大学教室での期末筆記試験(12月20日に予定していた)から、レポート提出方式に変更した「日本概況」(3回生)の、提出期限は1月5日までだが、学生たちの提出はどうなるだろうか…。


日中共同世論調査、相手国に対する印象2022度調査結果—2022年度「日本語作文コンクール」(中国の大学生たちの思い)

2022-12-27 17:36:21 | 滞在記

 「一衣帯水(いちいたいすい)」の国、中国と日本。西暦(AC)200年頃、日本は邪馬台国の時代頃(中国は三国志の時代―『魏志倭人伝』)から、中国と日本の国交の歴史は始まる。およそ1800年間余りの、国家間のさまざまな歴史を経て、現代への歴史的へのつながりとなる。

 中国の「国花」は、牡丹(ぼたん)と芍薬(しゃくやく)。「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」の芍薬と牡丹。一方、日本の「国花」は桜と菊。ちなみに、日本周辺の国々では、韓国の「国花」は木槿(むくげ)、ベトナムは蓮(はす)、ロシアは向日葵(ひまわり)とカモミール(日本の国花の菊[小さめの]のような花)。そして、フィリピンの国花はジャスミン(フィリピン語ではサンパギータ)。北朝鮮の国花は、木蘭(モンラン)とスモモ。

 今年は、日中国交正常化50年の節目(1972年からの)となったが、日本と中国で行われた共同世論調査で、相手国に対する印象は両国とも、前年度に比べてやや改善したものの、日本では中国に対して「よくない」と答えた人の割合が87%と、この10年間にわたる高止まり状況が続いている。この共同世論調査は2005年から毎年行われており、今年で17回目。調査対象は18歳以上の日本人男女約1000人と、中国人男女約1500人。(日本の民間団体「言論NPO」と、中国の「中国国際伝播集団」による共同調査)

 今年度の調査結果では、「よくない印象をもっている」「どちらかといえばよくない印象をもつている」と回答した人は、日本は昨年より3.6ポイント減って87.3%、中国は昨年より3.5ポイント減って62.6%だった。また、今年が国交正常化から50年となったことに関連して、今の日中関係に満足しているかとの問いには、「不満」と答えた人が日本では43.9%で、中国では50.5%と半数となっている。その理由については、「現状の両国の政治的関係が友好ではないから」が日本が40.3%、中国も42.1%と双方ともに40%を超えている。

 調査を行った「言論NPO」は、新型コロナウイルスの影響で両国の交流が民間レベルでも大きく減り、政府間の交流も本格的に動いていないと指摘したうえで、「日中関係に対する両国民の意識は、改善のきざしはまだ見えない」としている。

■この17年間の「日中共同世論調査」の、日中双方の相手国に対する印象の推移

①日本人からみた中国の印象「よくない、どちらかといえばよくない」

2005年38%➡2008年78%➡2013年90%(良いは10%)➡2019年83%(良いは17%)➡2021年91%(良いは9%)

②中国人からみた日本の印象「よくない、どちらかといえばよくない」

2005年62%➡2008年78%➡2013年93%(良いは7%)➡2019年52%(良いは48%)➡2021年66%(良いは34%)

※最も両国とも「良くない、どちらかといえば良くない」が多かったのは、2013年~2014年。私は2013年9月から中国に赴任している。大学に通勤するために1.5時間ほどかけてバスを乗り継いで往復(3時間)していたが、バスの中には小さな車内テレビが設置されていて、「安部首相」「日本政府」に対する批判が連日連夜報道され続けていた。(2015年になるまで) バス車内での日本人は私一人なので、かなり緊張させられて、肩身の狭い思いを連日していた。

 2015年頃から2019年にかけて、日中関係の好転とともに、特に中国では日本に対する印象が年ごとに良くなっていっていた。(特に、2019年は中国人の日本に対する印象が「良い」は48%にも達していた。これは調査開始以来最高の「良い」だった。)  だが、中国武漢市から始まった新型コロナウイルス感染パンデミックを巡って、2020年から再び日中関係は冷え込み始めた。また、ロシアによるウクライナ侵略を巡る中国・日本の対応も影響をしているようだ。

 ―③中国国民の日本に対する印象が良くない主な理由—

 〇侵略した歴史をきちんと謝罪し反省していないから (77.5%)、〇魚釣島及び周辺諸島(尖閣諸島)を国有化し、対立を引き起こしたから (58.7%)、〇米国と連携して中国を包囲しようとしているから (23%)、〇一部の政治家の言動が不適切だから (21%)、〇日本のメディアが中国の脅威を喧伝するから (11.8%) 、〇日本が一つの中国の原則(台湾統一問題)に消極的態度を示しているから (11.2%)などとなっている。

 ―➃日本国民の中国に対する印象が良くない主な理由—

 〇尖閣諸島周辺の日本領海や領空をたびたび侵犯しているから (58.7%)、〇南シナ海などでとっている行動が強引で違和感を覚えるから (49.2%)、〇国際的なルールと異なる行動をするから (49.1%)、〇共産党の一党支配という政治体制に違和感を覚えるから (44.4%)、〇軍事力の増強や、不透明さが目に付くから (37.7%)などとなっている。

 ―⑤中国国民の日本に対する印象が良い主な理由—

 〇日本製品の質は高い (52.6%)、〇礼儀があり、マナーを重んじ、民度が高い (49.4%)などが多い。

 ―⑥日本国民の中国に対する印象が良い主な理由—

 〇中国の観光地や雄大な自然 (31.1%)、〇中国古来の文化や歴史 (30%)、〇「中華料理や最近の音楽や文学」 (30%)などが多い。

 12月24日付朝日新聞に、「中国人の日本語作文コンクール—コロナ禍でもつながる日中/一人一人が抱く親近感 両国を結びつける"粘り"に/自動翻訳ソフトの弱点 補うためには知恵が必要」の見出し記事が掲載された。

 2005年から始まった「中国人の日本語作文コンクール」(主催:日本僑報社、後援:在中国日本大使館)は、今年で第18回目となった。今年は中国各地の205の大学などから3362点(人)の応募があった。コロナ禍や日中関係の厳しさに負けず、ネットなどを通じて日本の友人と結びつきながら、日本と中国の関係を良いものとするための中国の若者たちの姿が浮かび上がる。

 この作文コンクールの応募資格は、中国の大学で日本語・日本学を学ぶ大学生(社会人は不可)。2012年~22年のこの10年間余りでは、毎年2600人〜5100人の応募総数がある。今年2022年度のテーマは4つあり、そのうちから1つを選び応募する。4つのテーマは、①日中両国民の親近感を高めるために、私にできること。②街中にあふれる誤訳を減らそう—私の解決策。③日本語を教えてくれた先生への「感謝状」。④コロナ禍で暮らす—共に闘う3年間の記録。

 最優秀賞1人(日本に1週間招待)、一等賞5人、二等賞15人、三等賞40人、佳作賞100人。12月12日に北京の日本大使館で表彰式と、最優秀賞・一等賞の計6人がスピーチを予定していたが、中国国内のコロナ感染者の急増のため、オンラインでの表彰式・スピーチとなった。

 最優秀賞(日本大使館賞)に選ばれたのは、西北大学(西安市)外国語学部4年の李月さん。大学のある古都・西安にも進出する日系コンビニのおにぎり🍙を題材にしている。作文の概要は以下の通り。

 おにぎりの中国語訳は「飯団」。アプリで交流する日本の友人、美穂さんに「何かグループみたい」と言われて以来、コンビニでおにぎりを見るたびに、「ご飯の団体だなあ」と思うようになった。そして、美穂さんに教えてもらったやり方でおにぎりを作ったとき、李さんは「中日関係はまるでおにぎりのようなもので、私たちはそのおにぎりのお米の一粒であると同時に、おにぎりを握る両手だという感じがしました」と書いた。そして、最近の両国関係には、互いを結びつける「粘り」が欠けていると指摘。粘りを生むのは1人1人が抱く親近感であり、「親近感につながるものを発見しようとする意識」ではないかと問いかけた。

■「Panda 杯 全日本青少年作文コンクール」というものもある。これは、16歳~35歳の日本在住の日本人が応募できる作文コンクール。2022年のテーマは、「Japan わたしと中国」。


橘(たちばな)、「右近の橘、左近の桜」(京都御所)—蜜柑🍊の季節、蜜柑のルーツ—今、コロナ蔓延の中国では、コロナ薬としてみかんを煮て食べる  

2022-12-26 07:49:26 | 滞在記

 「二度と 来ない 今日一日」と書かれた京都出町柳近くの寺の門前にある言葉。この言葉がなぜか胸に染み入る私の昨今。時は移ろいゆく…。

 この1か月ほど、ある光景が気になっていた。あれは何だろう? ひょっともして、あれが「橘(たちばな)かな?」 自宅から車に乗り、石清水八幡宮の下宮にある駐車場に車を駐車し、歩いて1分ほどの京阪電車「石清水八幡宮駅」に向かう途中の民家に実っている小粒の蜜柑色(みかんいろ)の柑橘類。「あれが橘か?な?」 最近ネットなどで、「橘」について調べてみたら、やはり、おそらく橘だと思った。

 橘(たちばな)は、京都御所の紫宸殿の正面にある「右近の橘、左近の桜」で有名だ。また、500円硬貨の裏面の左右に、橘のデザインがあしらわれてもいる。なぜ、紫宸殿の前に橘が位置するのか?桜は日本の古代から、国花的な花だから分かるのだが‥。

 雛(ひな)飾りには、左に橘、右に桜がある。古来、京都の都は、北から南方向を見て、右左を呼んでいたので、現在でも、京都市の東を左京区、西を右京区としている。だから、紫宸殿の正面を南から北方向を見て、「右近の橘(左側)、左近の桜(右側)」と呼ばれる所以(ゆえん)。

 いろいろ調べていくと、なぜ、京都御所に橘があり、五百円玉にも橘があるのか、少し分かってきた。世界に何百、何千種類とある柑橘(かんきつ)類だが、柑橘類の一つである「橘」は日本の固有種だった。古代より、日本の沖縄・九州・四国・本州西部など、西日本の海岸近くの山野に自生していた(原産地)のが橘だった。橘の別名は、「ヤマトタチバナ」「ニッポンタチバナ」。実や花よりも、松と同様に、常緑の葉が「永遠」を喩(たと)えることから喜ばれ、京都御所紫宸殿の前に古代から置かれている。ちなみに、「左近の桜」は、もともとは中国より伝来した梅(左近の梅)だったが、平安時代の初期に遣唐使を廃止し、国風文化が興隆し始めた頃に、「左近の桜」になったのだという。

 小さな小粒の橘の実は、酸味が強く、蜜柑(みかん)のような食用には適さないので、ジャムやママネード、リキュールなどに加工して、一般に食用されている。まあ、柚子(ゆず)のように、鍋料理に垂らして使ったりもする。古代から、橘は薬としての薬効として用いられてきていた。お湯に橘の実を絞って、入れたりしていた。

 ―京都橘中学、高校、大学—校名の由来

 京都市伏見区には京都橘中学・高校(私立)がある。また、京都市山科区には京都橘大学(4000人余りの学生数)がある。この学校のルーツは、1902年に設立された京都手芸学校にある。この京都手芸学校は、京都御所の西側にあった。京都御所紫宸殿の「右近の橘」(西側・左側)にちなんで、1967年に設立された大学名は「橘女子大学」、1989年には「京都橘女子大学」に改称。その後、2005年には、男女共学となり、「京都橘大学」(総合大学)となっている。また、中学・高校もかなり以前までは女子中・女子高だったが、男女共学となっている。京都橘高校は、特にサッカー部、バレーボール部、吹奏楽部が全国的な強豪校として有名だ。また、国公立大学や有名私立大学への進学も最近では躍進目覚ましい。

 果物の種類も多く、美味しくて安い中国。その中国では、この日本の橘に大きさや形がそっくりな小粒の柑橘類もよく食べられている。私もこの冬の季節には買ってきてそれをよく食べていたが、小粒で甘く、一口で食べられる。

 私の故郷、福井県南越前町の海岸べりの山野に、蜜柑(みかん)🍊がけっこう栽培されている。🍊の北限は、新潟県の佐渡島あたりまでだという。対馬暖流が日本海を流れているので、比較的温暖なのだ。蜜柑といえば、日本では、四国の愛媛県、近畿の和歌山県、、東海の静岡県が産地として有名だ。さまざまな種類の蜜柑があるが、そのルーツは中国。「温州(うんしゅう)蜜柑」ともよく呼ばれる蜜柑が日本の蜜柑のルーツと言われている。中国の東シナ海に面した浙江省の南部に温州市がある。私が暮らす福建省のすぐそばだ。このあたりで栽培されていた蜜柑が日本に伝わったとされる。

 その蜜柑🍊、中国人も好んで食べるが、この冬は、特に人々の需要が多いようだ。この12月からの新型コロナオミクロン株の感染超爆発で、コロナに感染した人・感染している人が激増している。例えば、蜜柑の本場、浙江省では、省政府は、「1日の新規感染者数が100万人を超え、来月初めには、1日の感染者数が200万人にのぼるだろう」と発表した。この12月1日からの約1か月間余りで、中国全土の感染者総数は4億人近くになっているのではないかと推測もされている。

 「ゼロコロナ政策」の廃止に伴い、コロナへの「自己管理・自己防衛・自己治療」となった中国では、風邪薬や解熱剤や解熱湿布などは、とっくに薬局では売り切れていて、購入することができず、入手することも困難な状況だ。このため、コロナに感染したら、この蜜柑🍊を煮て食べたら効用があると人々の間に広まっている。上記の写真にある中国のインターネット報道の動画では、次のテロップ(画面文字)が書かれていた。「試試、橘子煮水!—専家:橘子糖盐水! 更適合目前新冠用特点药/上海中医药大学 2022・12・8」(日本語訳:試して!試して! 蜜柑を水で、砂糖と塩を混ぜたものを、濃く煮たものを! 専門家は、"新型コロナに対する薬としてとても良い"と言っているよ。上海中国医学・薬科大学の専門家が‥」)

 中国語では、蜜柑(みかん)🍊は、「橘子(ジュオズ)」と言う。

 12月中旬頃、京都白川の柳並木の柳は、少し黄色くなりはじめていたが、下旬となりかなり黄色く紅葉してきている。京都石清水八幡宮のある男山の麓にある「石清水八幡宮五輪塔」。中世以前の五輪塔としては国内最大のものであり、国指定重要文化財に指定されてもいる。平安時代末期から鎌倉時代初期につくられたものとされるが、作者・詳しい時代は不明。

 五輪塔は、5つの部分の石が積まれている。下から、①地塔、②水塔、③火塔、④風塔、⑤空塔と‥。言い伝えによると、平安時代末期頃、日宋貿易に携わっていた摂津尼崎の商人が、中国から帰国する途上、海上で嵐に巻き込まれ、あわや転覆かの時、石清水八幡宮に一心に祈ったところ、無事、日本本土にたどりつくことができたことに感謝して、この石塔を建立したと伝わる。このことから、ここの五輪塔は、「航海記念塔」とも呼ばれている。ここの五輪塔から男山を見ると、12月上旬からモミジの大木群の紅葉が本格化し、中旬には見頃となっていた、そして、今、下旬に、紅葉の時期は終わりをつげている。この石清水八幡宮にも、12月20日頃には初雪の粉雪が舞い散った。

 

 

 

 


サッカーW杯終わる―観客全員マスクなし、"コロナ禍を払拭する世界"を印象づけた大会—中国のゼロコロナ政策からの転換にも、少なからぬ影響

2022-12-25 18:55:18 | 滞在記

 この11月20日(日本時間21日)から、中東のカタールで開催されたサッカー「2022W杯カタール大会が」、12月9日(日本時間10日)に閉幕した。この大会は、日本代表がドイツ・スペインというサッカー強国に逆転勝ちをして、死のEグループを首位で通過しベスト16に進出したという劇的な歓喜の展開が待っていた。

 だが、この大会は、スタジアムの観客は全員マスクを着けず、サッカーの試合観戦・応援に熱中している光景がとても印象的な大会だった。まだまだ、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックは続きそうだが、"コロナ禍を払拭(ふっしょく)する世界"を強く世界の人々に印象付けた大会だったことが特筆される。思えば、昨年2021年7・8月に開催された東京夏季オリンピック、今年の2月の中国北京冬季オリンピックとは様相がまるで違った。中国も、ゼロコロナ政策をもって、「自国のコロナ感染者」の少なさを世界に誇りながら、冬季オリンピックを厳重な警戒の中で行ったのだが‥。

 そのような2つのオリンピックとはまったく違ったのが、今回のサッカーW杯の印象だった。一言でいえば「解放感あふれる世界のスポーツ祭典」だった。中国以外の国々は、今年の3月までには「withコロナ」の政策をとるようになった。そして、今回のW杯大会は、世界の人々に解放感をもたらした大会でもあった。だからこそ、世界の人々はこの大会に喜んで熱中をすることができたのだろうとも思える。この大会は、中国の超厳格・厳重なゼロコロナ政策の変更にも少なからずの影響を与えることとなった。

 日本代表チームは、ベスト8進出をかけた対クロアチア戦で、延長戦でも決着がつかず、PK戦となり日本は敗れた。ベスト8への壁は、やはりまだ少し高かった。森保監督の深いお辞儀をしてスタジアムを去る姿は、世界に印象を与えた。

 日本がこのW杯で戦った試合では、日本でのテレビの試合観戦視聴率は、日本時間の深夜や早朝にも関わらず、35%~40%にものぼった。

 準々決勝では、クロアチアがブラジルに勝った。(PK戦)  そして、ベスト4にはフランス・モロッコ・アルゼンチン・クロアチアの4カ国。さらに、準決勝では、フランスがモロッコに勝ち、アルゼンチンはクロアチアに勝った。決勝戦に先立つ3位決定戦ではクロアチアがモロッコに勝った。

 迎えた決勝戦。フランスVSアルゼンチン。まあ、手に汗握る、ものすごい試合となった。延長戦を経て3:3のまま、PK戦となった。そして、アルゼンチンが勝った。

 この結果、優勝アルゼンチン、準優勝フランス、3位クロアチア、4位モロッコ、……、9位日本…。

 アルゼンチンは36年ぶり3回目の優勝だった。この大会のMVPはアルゼンチンのメッシ選手(35)、得点王はフランスのエンバペ選手(23)となった。メッシの大会ともなった今回のW杯。メッシは13歳でスペインの世界的有名なプロサッカーチーム「バルセロナ」の入団試験に合格し、家族とともにアルゼンチンを離れスペインに移り住んだ。メッシの故郷の町での幼馴染が、メッシの奥さん(とても目がパッチリした、美しい女性)だ。二人は長遠距離恋愛をして、2017年に結婚。現在3人の子供がいる。

 サッカーW杯の試合や会場のようすは、中国でもテレビ放映された。とても厳しいゼロコロナ政策が長く続く中国国内のSNSでは、「国外では普通にW杯を開催している。マスクを着けている人は一人もいない。それなのに中国では、至るところで封鎖が続いている。これはすごいジョークだ」「私たち中国は、別の惑星なのか。他の国々が別の惑星なのか」などの投稿が相次いだ。

 このサッカーW杯の光景が、11月下旬の「ゼロコロナ政策」に対する抗議行動、それにともなう、「中国のゼロコロナ政策」の緩和、廃止に少なからずの影響を与えてもいたかもしれない。

 さて、次回の2026年W杯はアメリカ・カナダ・メキシコの3カ国開催となる。また、W杯出場国は、現在の32ヵ国から48ヵ国に増える。アジアからの出場枠も、現在の4.5から8.5に増える。日本は今回のW杯を終えて、FIFA(国際サッカー連盟)のランキングは24位から20位になった。アジアでのランキングは1位。

 2030年W杯の開催国招致を目指してもいる中国は、次回の2026年大会に出場できるチャンス到来でもある。習近平主席は大のサッカー好きでも知られている。だが、現在、中国サッカー男子代表のアジアランキングは11位。韓国、オーストラリア、イラン、中東諸国、中央アジア諸国だけでなく、ベトナムなども、現在、サッカーが強くなってきている。はたして、次回大会に中国はW杯に出場できるのか?私はとても注目したい。(出場してほしい!が…)

 (※中国代表チームには、ここ数年で南米やヨーロッパから中国に帰化した選手が4人ほどいる。高額のお金を積んで、中国の国籍をとってもらったという経過がある。この帰化選手だのみの強化方針だけでは、サッカーの強い国になるには問題が大きいと思われる。)

 男子サッカーに比べて、ここ数年で力をつけてきたのが、中国サッカー女子代表チームだ。現在、この東アジアで強い国とされているは、日本・韓国・北朝鮮・中国などだが、中国チームは、現在の日本チームより強いという感がある。残念ながら、かって女子サッカーW杯で10年ほど前に優勝したこともある日本だが、ここ数年は、韓国・中国・北朝鮮よりも弱い印象がある。

 


12月1日からの20日間で、すでに感染者数2億5000万人推計(中国衛生健康委員会)とも—春節に向かい、都市から地方にさらに感染大爆発か

2022-12-24 15:38:13 | 滞在記

 「燎原(りょうげん)の火」のごとく新型コロナウィルス感染爆発が広がっているとされる現在の中国。PCR検査所に貼りだされた模造紙には、「結果がでなくても、理由を聞かないでください」などと書かれた貼り紙が掲示されているところも。薬局には、「コロナ陰性・陽性」を検査するキッドや風邪薬や解熱剤なども売り切れて買うことができず、高熱が出ている人々はPCR検査に行ったり、全国5万箇所余り急設された「発熱外来」に行き、感染を確かめてもいる。この発熱外来には、大勢の人が詰めかけ、平均4〜5時間待ちだとも伝わる。そして、陽性反応が出ても、ほとんどは自宅療養となっている。まさに、「自己防衛」のコロナ対応の中国の今。

 昨日12月23日のBS・TBSの「報道1930」には、東京財団政策研究所主席研究員・静岡大学教授の柯隆氏がコメンテーターのとして出演していた。その報道によると、11月27日の中国政府のコロナ感染者数発表は、(無症状者4万52人・有症状者2000人余りの、合計4万2050人余り)。この日をピークとして、感染者発表数は崖を下るように減少している。12月7日には、「症状のある人のみ」のPCR検査となり、12月14日には無症状者の陽性者の発表を停止した。また、12月20日には、「コロナ患者の死亡定義を変更し、"糖尿病など他の基礎疾患を持っていたコロナ患者"をコロナ死亡者から除外する」とした。これらの政策・発表変更もあり、12月21日の新規感染者数は2966人、死亡者は0人との政府発表だった

 だが、この1か月間、中国国内では、燎原の野原のごとく、感染爆発が起こっているというのが実際のようだ。「このままでは、今月から来年1月にかけて死者数が約100万人に上る予想(香港大学)と、同番組では香港大学の発表を伝えていた。

 同番組の報道は続く。「世界で最もコロナ免疫を持たない国」が中国だと言う。中国の国民の免疫率は0.13%、イギリスは35.8%、アメリカは29.7%、日本は22.0%などと報じられていた。「世界のコロナワクチン有効率」では、中国製篠ファームは68.7%(不活性ワクチン)、米国製モデルナ94.1%(メッセンジャーRNAワクチン)。中国は、欧米製のメッセンジャーRNAワクチンを今も認可しておらず、中国産のメッセンジャーRNAワクチンを開発&使用を目指していると伝えられる。(過去に、米国やカナダの会社と、技術提供を含むメッセンジャーRNAワクチン購入などの契約が一旦成立したが、ワクチンナショナリズムにより、この契約はなくなった。)

 コロナワクチンの中国国内での接種率は、成人(1回目接種)の接種率は90%だが、2回目接種の追加接種率は、成人57.9%となっている。特に、80歳以上の追加接種率は42.3%と、とても低い。これは、ワクチン接種を18歳~59歳までの成人に重点を置いていて、60歳以上の接種に重きを置いていないためと伝えられる。日本のコロナワクチン年齢別接種優先方針とは逆になっている。つまり、中国では労働年齢層の人を優先接種するということだ。

 同番組、「中国の"感染拡大"で世界は?—中国"感染爆発"警戒される、"新たな変異種"」と題され、国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授は、「〇各国の感染状況を見ると、中国で2億人〜3億人の感染者がでてもおかしくない。その中から新たな変異株が出る可能性が高く、世界にとっても新たな脅威になりかねない。〇来年のコロナを悪化させる最大の要因は中国かもしれない。」とコメントしていた。

 同番組、中国の人々にインタビュー。「PCR検査をしていないが、みんな症状がある」「家族全員が感染した。同じマンションの50人くらいは感染している。」「薬飲んで 何日か休めば治るんでしょう(明るい表情で)」などのインタビューに対する中国国民の回答が紹介されていた。

■今の中国で、「感染(ganran)了吗(le ma)?(感染した?)」というのが、挨拶言葉にもなっているとも伝わる。

 昨日23日のNNN(日テレ)の報道番組では、「中国・ゼロコロナ政策大幅緩和"急な発表"に市民の反応は—不安感じる人も」と題されて中国の今を報道していた。同番組で、上海市内の病院に勤務している友成暁子医師は、次のように語る。「医療者の感染がかなり広がっている。数日前の段階では、うちの(私の)病院では、7割のスタッフが感染。医療従事者は感染していても出勤可能なら出勤するようにという通達が当局から出ている」として、中国各地の病院では、コロナ陽性でも出勤できる状況にあると伝えていた。看護師の1人は、「夜勤を終えて2日間これから休みがありますが、今、熱もあります」と話していた。

 同番組では、「診察中に医師倒れる」「心から尊敬します―点滴をしているのは患者ではなく医師」などのテレップ。点滴を自身に施しながら、医療活動をしている医師の動画が報じられていた。

 医師か薬剤師か、はっきりわからない人が1人だけ勤務している(看護師はいない)診療所。私も一度だけこのような中国各地にたくさんある「診療所」で点滴処置をしてもらったことがあった。今、コロナに感染した人たちは、体力をつけるためにもここで点滴処置を受けている人がとても多いようだ。狭い一室だけの診療所にはとうてい入りきらず、屋外の道路わき歩道100m余りに張られた洗濯用紐に吊るした点滴液パックで、点滴を受ける人々の映像も。

 12月24日(本日)付朝日新聞には、「中国の風邪薬不足—日本にも余波・都内買いだめ 購入制限の店も」の見出し記事。日本在住の中国人が、中国の家族や親せき、知人たちに風邪薬や解熱剤や湿布を送るために大量購入。このため日本の薬局・ドラッグストアーの薬が店舗が不足し始めているようだ。数日前に私がいつも行っているドラッグストアーの「キリン堂」に常用している風邪薬を買いにいったらないので、店員さんに聞くと、「申し訳ありません。その薬は当分入荷しないかもしれません。中国の人らしき人たちが、大量購入していくことが最近多くなってきていますので」とのこと。

 同日の朝日新聞には、「中国感染 20日間で2.5億人?内部会議で指摘"あくまで推計"」の見出し記事が掲載されていた。この記事内容は、今の中国のコロナ感染状況がかなり分かる内容だった。記事では、中国の国家衛生保健委員会(中国の感染問題と対策を直接指揮するセンター)の12月21日の会議で報告されたコロナ感染者推計の資料が明らかになったというもの。「中国国内で、12月1日から20日までの20日間で、2.5億人がコロナに感染したと推計される」という内容だ。

 これが中国のSNSで拡散した。この情報について、朝日新聞は当局に確認したところ、朝日新聞社に対して「感染者数や各都市の状況は、あくまで推計としてだされたものだ」と回答し、情報を否定しなかった。今現在、中国当局がほぼ正確な感染者数や死者数の発表を不問にしているため、この推計は、かなり貴重な今を知るための情報だった。それにしても20日間で2憶5000万人推計とはすごい感染者数だ。(人口14億人の約17.8%にあたる) これによって、かなりの人がコロナへの免疫力がついたことになるだろう。中国の人々のコロナ免疫率は急上昇してもいるかと思われる。

 12月23日、中国山東省青島市当局は、新型コロナウイルスの感染者が1日に50万人前後に上っているとの統計を明らかにした。今後さらに増加する見通しだと、地元メディアは伝えていた。この日、中国政府が発表した22日の新規感染者数は約3700人だった。

■中国ではこの5月~6月ごろに、「オミクロン変異種株への新型コロナ感染流行の世界的置き換わりの状況下、世界の国々で、中国以外はwithコロナに政策を転換している。オミクロンは致死率が低いので、中国の"ゼロコロナ政策の緩和"を検討してもいいのではないか」という論調が一部医学研究者からだされた。しかし、それに対しては、中国政府はは厳しくその言論を抑え、排除、それらの一部研究者や医学者らを孤立化させていった。そのような「ゼロコロナ緩和」への転換を一貫して論評していた数少ない医学者の1人が、張文宏医師だった。彼は、上海医療専門家のリーダーであり、復旦大学附属病院感染科の部長職にあった。この12月中旬以降、中国のインターネット報道やテレビ報道では、彼のことを評価する記事や報道が多くでるようになってきている。

■中国では、この12月23日から、「中国の大学院入学試験」が一斉に始まっている。「2023年全国修士研究生招生考試臨考」だ。中国での大卒生の超就職難の状況を受けて、昨年は、1100万人余りの大卒生のうち400万人余りもが、大学院進学を希望していた。大学院に合格できるのは(定員)100万人くらいだった。今年も大学院進学目指す大学4回生は多いと予測されている。私の教えている4回生の学生たちも大学院志望者は3割以上にのぼる。コロナ感染爆発下、この試験に臨む学生たちは、コロナ感染者は別の教室で受験が可能と報じられていた。

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■日本も、この年末から年始にかけてコロナ感染者が急増すると予想されている。この2週間余りは、全国で1日の新規感染者数は17万人〜20万人と報道されている。12月23日、吉村大阪府知事は、コロナ医療現場が50%以上の病床使用率となったと発表、大阪府独自の赤信号に言及している。

 12月21日付朝日新聞には、「日本 コロナ致死率 低下続く」の見出し記事。その記事によると、厚生省は次のことを発表したとのこと。「①デルタ株(第5波—2021年7月~10月)の致死率1.34%、②オミクロン株初期(第6波—2022年1月~2月)の致死率0.70%、③オミクロン株(第7波—2022年7月~8月)60代・70代の致死率0.18%」と。

■新型コロナへの感染確率は、①2mの距離で会話—マスクなしだと、オミクロンで60%、デルタ株で40%、②50cmの距離で会話—マスクありだと、オミクロンで30%と報告されていた。