



11月21日(月)から「2022W杯カタール大会」が開幕した。世界各大陸のW杯予選を勝ち抜いた32ヵ国。今大会の開催国のカタール国の首都はドーハ。1993年W杯のアジア地区予選最終戦、日本はほぼW杯の初出場が目前となった「日本VSイラン」の試合(会場はドーハ)。ロスタイム(アディショナルタイム)終了30秒前までは2:1と日本がリードしていた。だが、残り30秒でイランにゴールを入れられ同点とされた。これにより、最終的に韓国と勝ち点が並び、得失点差で日本のW杯初出場はかなわなかった。これを日本では「ドーハの悲劇」と言う。今回、日本代表監督の森保一さんも、この時の日本代表選手(MF)だった。あれから約30年余りが経過した。
カタールの面積は、日本の秋田県とほぼ同じで、人口は約280万人と広島県とほぼ同じだが、国のGDPは世界で約50位、一人当たりのGDPは世界第8位(日本の約1.75倍)。石油や天然ガスの埋蔵量は世界の約13%をも占めている中東の砂漠の国だ。ほぼ全土が砂漠で雨もほとんど降らず、四季もない、年中真夏の国。人口の8割が首都ドーハで暮らす。





21日の開会式では、中東の衣服に身をまとった大会マスコットの「ライーブ」が登場した。超可愛い。韓国のKポップ「防弾少年団」のJung Kookの歌唱とダンスのかっこよさにも魅了された。





日本代表の初戦は日本VSドイツ。11月23日(水)の日本時間午後10時にキックオフ。試合開始からの早い時間帯に、伊東からのアシストで、FWの前田がドイツのゴールネットを揺らしたが、惜しくもオフサイド判定。その後、ボールのほとんどをドイツに支配され、前半にPKを与えてしまい1失点。だが、その後も、なんとか日本は1失点で前半をしのぎきることとなった。
私も、「おそらく、この試合展開では、後半に2〜3点取られて、日本0:4ドイツくらいで負けるのではないかなあ‥」と思ってしまい、ビデオ録画を設定して眠りについた。そして、翌日の早朝4時頃に起きて後半戦を視聴した。なんと、日本が、後半の30分に堂安のゴール、さらに38分には浅野のゴールで逆転をしていた。アディショナルタイムは7分間。日本2:1ドイツ、日本勝利の瞬間がきた。





「ハラハラして負けるかなと思ったけど、勝ったからびっくり」の声が、日本各地のスポーツバーで観戦していた人からも‥。試合全般を通じての①ボール支配率は、ドイツ65%・日本22%、②シュート数は、ドイツ25本・日本11本、ゴール枠内シュート数は、ドイツ9本・日本3本だった。





後半早々から、DFに富安を投入し、その後も断続的にMFやFWに堂安・浅野・南野・三苫を投入し、スタートメンバーからの伊東とともに超攻撃的な布陣を敷いてきた日本。鎌田をボランチの位置に移動させ、遠藤とともに堅守・攻撃の起点というシステムをとった。この森保監督の采配が当たった。4年間余りの、超強国に対して勝つための積み重ねの成果が出たとも言えるだろう。後半30分頃から運動量がやや落ちてきたドイツに対して猛攻を仕掛け、また、ゴールキーパー権田の再三の神がかり的なプレー(権田の18秒間)も光っていた。
24日夕方に「ニッカンスポーツ紙」を買った。一面と裏面の2ページ見開きの紙面で、日本の勝利を伝えていた。






後半、同点に追いついた堂安のゴール。攻撃的なMF・FW陣の連携したプレーから生まれたゴールだった。また、38分の浅野のゴールは、今大会で、特筆されるスーパーゴールの一つとなるものだった。







ここ近年のWカップ優勝候補国のベスト3に常に挙げられるのは、フランス・ドイツ・ブラジルだ。次いで、オランダ・スペイン・ベルギー・イングランド、ポルトガルやアルゼンチンやクロアチアやイタリア。これらの国々でほぼベスト11となる。これら11カ国の壁は分厚く、W杯においてベスト8に入るのは、日本にとっても、とてつもなく難しい。前回のW杯ロシア大会ではグループリーグを勝ち抜いてベスト16に入った日本だが、ベスト8をかけた日本VSベルギーは、2点リードしながらも、後半でベルギーに逆転された。これが、サッカー強豪国の底力なのだろう。
世界NO1ゴールキーパー(GK)とも言われるドイツのノイアー選手(36)。今大会のヨーロッパ予選では、ノイアーは1点たりともゴールを許さなかった。彼は、2010年のW杯からドイツのゴールを守る守護神で、身長は193cm。今大会の大陸予選では、ドイツはカタール大会出場決定1番乗りでもあった。そんなサッカー強国ドイツのGKノイアーから1点でも得点ができるのか?との前評判だった。
なぜ、このノイアーから2点もの得点が日本は取れたのか。それは、日本の後半からのリスクをかけた超攻撃的な布陣にあった。そして、もう一つは日本選手の気迫がドイツに勝ったことだ。後半30分、三苫がボールをもってドイツ陣内に駆け上がり、南野にパス。その南野がシュートを放つ。ノイアーはこのシュートを弾き返して防いだ。だが、弾き返したのはゴール正面方向だった。そのボールを堂安がシュートした。
なぜ、ノイアーはゴールからより遠くの斜めに弾き返さずに正面方向に弾き返したのか?その瞬間には、斜め方向からゴールに向かう浅野の気迫の姿がノイアーには強烈に見えたからだ。これを防ぐために正面に弾いたのだ。堂安のシュートがゴールネットを揺らした瞬間、浅野はゴールにスライディングしていた。日本の三苫・南野・堂安・浅野、そして伊東といった攻撃陣が気迫をもって連携してもぎ取ったノイアーからの得点シーンであった。
後半38分の浅野の超角度のない位置からのノイアーからの得点シーン。あと1m、ノイアーが浅野の近づいていれば、浅野のゴールは生まれなかったかも知れない。さすがのノイアーも躊躇したとも伝えられる。日本勢の気迫にノイアーも飲まれていたのか‥。試合後にノイアーは語った。「最後は意志が決め手だった。日本は本気で何かを手に入れるたいと思っていた」と、日本の気迫が上回ったと嘆いた。
■24日付「ニッカンスポーツ」紙面には、「街クラブ卒 W杯同時に4人 さぎぬまSC―板倉・権田・田中・三苫」の見出し記事。神奈川県にある少年サッカークラブの「さぎぬまSC」。「カワウソはうそつかない」の見出し記事も。11月22日、東京都港区にある水族館「マクセル・アクアパーク」のカワウソの「たいよう君」は、小さなサッカーボールをもって、①日本勝利の缶、②引き分けの缶、③ドイツ勝利の缶のそれぞれの缶に臨んで、①の日本にボールを入れたとの記事。





この日本の勝利は、中国でも驚愕の衝撃をもって受け止められていた。「史上類を見ない驚きの勝利」「アジアの頂点として別次元の日本」と報じられていた。中国のポータルサイト『捜狐』は、「逆転で完璧な勝利!史上類を見ない展開だ。日本代表がとても羨ましい!」と題した記事を掲載。「日本代表はドイツに2-1で勝利した。これはW杯の3日目に起こった。信じられないほどの驚きのストーリーだ。1日前に、サウジアラビアが2-1でアルゼンチンを相手に起こした番狂わせは、やや運が良かった。だが、日本が2-1でドイツを逆転した試合は、展開という点でさらに史上類を見ないものだった。日本はアジアの頂点として、別次元の衝撃を与えたのだ」とも。
中国国営の『新華社通信』は、「想像できなかったこと」としたうえで、「アジアサッカーの水準と魅力を世界に知らしめた」と称賛した。






日本がドイツに勝利したニュースは、中国のテレビ報道などでも速報された。「日本の勝利から学ぶべきだ」との論評も。また、普段は日本に厳しいコメントが多いSNSでも、「このあとも日本がんばれ」「アジアの最強は日本だ」といった投稿が相次いでいた。
■W杯をテレビで観戦している中国人のSNSには、「国外では普通にWカップを開催して、マスクを着けている人もいない」「それなのに中国では至るところで封鎖が行われている。これは、ひどいジョークだ」「私たちの国は、別の惑星なのか」と‥。中国の超厳格な「ゼロコロナ政策」に対しての批判的な投稿も見られると、日本のテレビ報道は伝えていた。



日本時間の一昨日、ブラジルVSセルビアの試合が行われ、ブラジル2:0セルビアで、ブラジルが勝利した。ブラジルFWのリシャルソンはこの試合で2得点したが、2点目のアクロバテックなボレーによるスーパーゴールは、W杯史上に残るゴールだった。セルビアの監督は日本の名古屋グランパスでもプレーした、サッカーの妖精ことストイコビッチ氏(58)。コーチの一人は日本人でもあった。

さあ、いよいよ本日27日(日)、日本時間午後7時から日本のグループリーグ第2戦、日本vsコスタリカの一戦がキックオフされる。日本の勝利を祈ることとなる‥。