彦四郎の中国生活

中国滞在記

「新型コロナウィルス」❼WHO「非常事態宣言」―12月末に情報発信拘束の8人は医師、国民に怒りも

2020-01-31 14:55:55 | 滞在記

 1月31日、早朝時点での報道では、新型コロナウイルス感染者は9800人、死者は220人と発表されていた。また、感染者が報告された国は22か国にのぼったとも。まだ感染が判明していない「疑いが濃厚な人」を含めると、中国国内だけでも2万人以上をはるかにのぼるかと推測されている。日本でも、新たに京都市や三重県でも感染者が確認された。京都市の場合は、1月中旬から1週間ほど故郷の武漢市に里帰りし、武漢が封鎖される23日の午前10時直前、武漢から日本に戻ってきていた留学生(20歳代の女性)だった。

 武漢から日本の特別機で日本に帰国していた人のうち2人(隔離されている日本のホテルでは2人は相部屋)は、急性肺炎に伴う諸症状(熱や咳など)がまったくなかったが、新型コロナウイルスへの感染が確認された。これまで日本で確認された14人はいずれも武漢への滞在歴がある人ばかりのようだ。イタリアでは4000人あまりの乗客乗員の大型客船の陸への上陸が停止されたままとの報道もあった。感染している可能性の人もいるからだが。

 イギリスの大学の研究者関係チームが「2月4日には武漢市内だけで25万人の感染者数となる」との1週間ほど前の発表報告がかなり現実味を帯び始めている。

 1月31日、WHO(世界保健機構)は、緊急会議を開き、ようやく「緊急事態宣言」を発表した。中国のみならず、世界的な感染の拡大が誰の目にも明らかになって来たからだ。1週間ほど前の緊急会議では、これ以上の広がりを中国政府は抑制する力があり、「緊急事態宣言は見送る」としたばかりだった。WHOの緊急事態宣言制度は、2003・4年の中国での「SARS」感染の広がりの教訓から、その後の2005年に制定されたもので、2009年の新型インフルエンザの時や2014年のエボラ出血熱の時など5件について この15年間で「緊急事態宣言」を発表している。

 今回の新コロナウイルスについては、細菌・ウイルスの世界的専門家チームが集まるWHO内では、ウイルスの特徴からして感染が爆発的に広がり世界的にも大流行することは自明のことだったはずだ。だから「WHOの会議、非常事態宣言めぐり 真っ二つ」となったわけだが、事務局長が宣言の発表を強く阻止したと言われている。

 このデドロス事務局長はエチオピアの元保健相、元外相だ。中国は巨大な経済圏構想「一帯一路」の下で、エチオピアに鉄道建設など多額の資金投資をしている。また、中国に協力的な外国人要人は、引退後も中国の友人として、経済的なことも含めて手厚くもてなされる。3日前の28日に中国を訪問し、習近平主席や王毅外相と会談した後の記者インタビューでは、「中国の体制の強さと新ウイルスへの対応・措置への有効性は まれにみるもので感服する。これ以上の対応は望めない。」と述べ、中国政治体制の賛美まで行うサービスぶりだった。また、「中国の感染拡大地から、自国民の撤収を希望している国もあるが、WHOはこうしたことを主張しない。過剰反応は慎むべきだ」などと、日本やアメリカなどの対応を暗に批判し、中国へのリップサービスをしていた。

 中国訪問から2日後の31日早朝、多くのWHO委員の批判・突き上げもあり、緊急会議を開かざるを得なかったのだろう。彼は、世界の人々の健康と安全を守る守護神のはずだが、それは眼目に入れず、まったく中国政府へのサービス精神ばかりとなっている人だ。世界の人々に深く謝罪し、即刻WHO事務局長を辞任し、すぐにWHOから立ち去るべき人だ。

 ◆―中国当局、新型肺炎に警笛鳴らした武漢の医師たちを「デマ拡散」として摘発・拘束・取り調べ 国民から非難の声―

 1月30日の毎日新聞の報道に上記のような見出し記事が掲載されていた。これによると「新型コロナウイルスによる急性肺炎への中国当局の対応が国内で再び激しい非難にさらされている」という内容だった。記事の概要は次の通り。

 2019年末に湖北省武漢で集団感染が発覚した直後、公安当局が「ネット上にデマを流して社会に悪影響を与えた」として市民8人を摘発・拘束した。そして、1月1日、中国の国営報道「新華社」は、「デマ拡散の8人を逮捕・拘束」と全国版で発表した。

 その後、この摘発された8人は医師の仲間であり、グーループチャットなどで、それぞれの勤務する市内の病院での患者のようすや原因不明の肺炎患者の検査結果を議論、「SARSとほぼ同じウイルスだ」「コロナウイルスとは違ったタイプの新型かもしれない」などとの意見が交わされた。そして、12月31日に公安当局に摘発され、自己反省文なども書かされることとなる。これらの医師はその後、釈放され、治療に当たり続け、新型コロナウイルスに感染した人もいるという。

 この事実が最近になり市民・国民の中に広がり、世論が沸騰。最高人民院(最高裁)は28日、公式アカウントに掲載した文章で、「8人のしたことは完全なデマ・捏造とは言えない。当時、もしも社会がこの"デマ"を信じていたら、大勢がマスクを着けて消毒し、感染予防の上で喜ぶべきだったろう」としながらも、公安当局の違法性は否定。さらに、「法執行機関(公安)は情報発信者の性質を十分考慮すべきだ」として、公安当局にも苦言を呈し、火消しに走った。

 それでも、ネット上では「社会の安定」を理由に、言論統制を徹底する現体制への疑問も噴出。「庶民は真実を口にして捕まり、政府は嘘を言っても許される」といった怒りの声が相次いでいる。

 ◆―「中国 武漢に隣接の黄岡保健トップ更迭、新型肺炎巡り回答できず」―Reuters ロイター

 日本のYahoo Japanのインターネット記事に上記の見出し記事が掲載されていた。それによると、中国当局は30日、新型コロナウイルスによる肺炎の震源地とされる湖北省武漢に隣接する黄岡市の保健当局トップを更迭した。国営テレビのインタビューで、黄岡市内の病院にいる患者数について質問を受けたが、「病床数は把握しているが、治療を受けている人数については質問しないでくれ」とし、答えなかった。国営テレビの微博(ウエイボー)のアカウントには、視聴者から50万をこえるコメントが寄せられ、大半が怒りの声だったという。インタビューの数時間後、同市保健当局は このトップの更迭を発表。詳細はあきらかにしていない。

 ◆―1月20日に、中国の感染予防学の第一人者・鍾南山院士が武漢市で、「直ちに武漢市を封鎖すべきだ」と国務院に意見を述べた。しかし、中国国務院(内閣)はこれを否定してしまった」の記事も。

 今日31日の朝日テレビ「羽島モーニングショー」の報道番組を見ていると、中国国内での状況が動画として報道されていた。村に入る道路に男が長い青龍刀のようなものを持ち(まるで関羽のようだ)、バイクで村に向かってきた男性に青龍刀を振りかざし、「村に入るな!!戻れ!!帰れ!!」と叫んでいる動画。慌てふためいて、去るバイク。新型ウイルスを防ぐための村落の自衛なのだろう。

 別の動画では、一軒の家の前に大勢の住民たちが集まり、「この家には武漢帰りのやつがいる」という赤い紙を家に貼り付け、さらにその家の玄関や入り口のドアを板を釘打ちし、出入りができないようにしている光景だ。叫び声は、「ここから出ていけ!武漢に帰れ!」とか「家から一歩も出るな!」という内容かと思う。武漢に里帰りをして戻ってきた人の家なのだろう。こんな光景を見ると、中国国内は新ウイルス肺炎に戦々恐々となり、パニック的にさえなっている感がする。

 さらに別の動画では、春節で武漢に行き、近所の知り合いに武漢の土産をかかえて持ってきた老年の人に、竹ぼうきを振りかざし、「帰ってくれ!すぐに帰りなさい!」と怒号を浴びせている人の姿が。

 また別の動画では、道をマスクを付けずにあるいているおばあさんに、「マスクをしないんだったら 出かけたりウロウロしないでください!」との怒り声が。タクシーの運転手が、宇宙服のようなものを着こみ「完全防備で営業しなきゃ心配だ」と話す光景も。

 春節休暇を利用して日本を訪れていた何十万人もの中国人も、今週末の日曜日までに、そのほとんどが中国に戻って行くことだろうと思う。観光地での記念撮影は特に人が密着するのでマスクをつけたままでの撮影に。日本各地の空港では、多くの中国人は大量のマスクを購入した人たちの姿が。トランクの半分ほどがマスクという人も多いようだ。「日本に最初来たときはマスクを買うとは思っていなかったんだが、7日間日本に滞在するうちに、どんどん心配になってきて 観光地の先々でマスクを買い 大量のマスクを買って帰ることになりました。」と話す若いカップルの姿も。

 このため、日本国内で販売されているマスクも、通常は数百円の商品が、種類によっては10倍の値段になっているようだ。特に、アイリス・オーヤマのサージカルマスク(60枚入り)は、4万2千円もの法外な値がついているという。

 1月31日付「夕刊フジ」―"IOC 重大決断―新型肺炎 東京五輪―安全な開催に懸念、WHOと緊急協議"の記事が、一面に掲載されていた。

 私が中国に戻らなければならない日も刻一刻と近づいてきた。やっぱり怖いよ。不安は日々 大きくなる。明日から2月か。Xデーまであと2週間。

 

 

 

 

 

 


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