福州はまだ梅雨が開けていないいないのかもしれない。35度の真夏日もあれば雨の続く日も。真夏日が3日間続いた1週間前、大学構内を歩いていると、蝉(セミ)のジ-ジ-ジ-の鳴き声がする。やっぱり梅雨が開けたのだと思ったら、翌日からほぼ連日の雨。セミもふ化するのが少し早すぎたようだ。その後、セミの鳴き声は聞かれない。雨の日でも非常に蒸し暑く、一日に何度も着替えたり、体の汗を拭う日々。乾きにくい洗濯物を、通勤途中のバスの中で風に晒して干すこともあった。
大雨が降り続く日もあった。市内の道路が浅い川となってしまう場所が多く見られる。
日本の安倍政権に対する批判の記事やニュース番組は、最近はそう強くはないものの相変わらず続いている。韓国や北朝鮮、ロシアに対する批判は、ほとんど見られないが、最近ではベトナムやフィリピンに対する領土・領海問題を取り上げることも多い。
国家主席の習近平のサッカー好きは有名だが、中国でも「サッカーWカップ」への関心は高い。中国時間の深夜12時すぎから朝5時までの試合は、実況中継されている。「サッカーWカップ中毒症状で、病院に来院する患者が激増。」とニュース番組が報じていた。深夜観戦の増加による体調不良につけられた病名らしい。
中国の全国大学統一入学試験(高考)が、去る6月7日・8日(一部地域は9日も)に行われた。日本のセンター試験に似ているところもあるが、中国の大学入試の機会はこれ一発だけである。大学ごと、専攻ごとの大学入試はない。今年度の受験者数は、約939万人。(日本のセンター試験受験者は約50万人) 中国全国2000あまりある大学の合格者枠は、約698万人。74%の合格率となる。不合格者は約250万人(26%)。中国では、大学受験浪人の存在は認められていないので、高校卒業を1年間留年して大学受験に臨む高校生もいる。ちなみに、高校に進学する時に「普通高校」と「職業系高校」に分岐され、「普通高校」の卒業予定者だけ大学入学試験を受験できる。そして、中国以外の大学(留学)を目指す高校生が約25万人ある。今年の大学進学率は、留学生もあわせて約25%あまりと予想されている。約250万人の不合格者は、専門学校などに行ったり就職を探すこととなるので、非常に厳しい現実があるようだ。
従って、大学入試は世界的にも激烈な受験勉強が求められるようだ。基本的にほとんど大学受験の塾や予備校はない。高校では、朝の早朝から夜11時ころまで、日曜日も夏休みも受験勉強をする日々が続く。高校2年までに、ほぼ授業内容が終了し、高校3年の1年間は目指す大学を目標に受験勉強漬けとなる。試験科目は、①国語②数学➂英語④選択科目の4科目。選択科目とは、大学の理系を受験する場合は「物理・化学・生物地学」から1科目選択、大学の文系を受験する場合は、「政治経済・歴史・地理」から1科目選択する。
近年、東京大学と慶応大学が行った「日中大学の受験者学力比較」の合同調査によると、格段に中国の受験生の方が問題の正答率がかなり高いという結果だった。その原因の一つは、中国の大学生は全員数学を受験するため、数学の正答率に大きな開きがあるためであるという。
今年度の大学合格者枠約698万人のうち、本科(4年生大学又は4年生学科専攻)に合格できるのは、約半数の350万人。専科(3年生大学又は3年生学科専攻)の合格者が約半数の350万人。4年生の大学に入学できる合格率は、約939万人のうち、約37%となる。「死なない限り、死を覚悟するほど勉強」というスローガンを掲げている高校もある。
6月7・8日に試験を終えた学生とその家族は、まず4科目(750点合計満点)のうち、どれくらいの点数がとれたのかを計算する。(試験の2日後に、インターネットで問題と解答が公表される) そして、1週間内に志望の大学・専攻を教育委員会に登録する。第一希望○○大学△学部□学科。第二希望---。第三希望----。第四希望----。第五希望は、専門学校名を書く。各省により試験問題が違うのだという。試験問題の作成者は、試験作成から試験終了日まで、家族を含め外部の人間との接触を断ち切られる日々を過ごすことになるようだ。大学入学の合否及び入学する大学と専攻の結果についての連絡は、6月下旬から7月上旬にかけて行われる。
中国の大学は、約2000。大学は完全なピラミッド型の偏差値が敷かれている。北京大学を頂点として、清華大学・上海復旦大学・上海交通大学が4天王。国家重点大学が112校ある。この112校が超一流大学である。福建省には、92の大学があり、そのうちこの福州市には20余りの大学がある。福建省では、厦門(アモイ)大学と福州大学が、この重点校になっている。私が勤務する閩江大学は、この福州市内の大学での序列は5番目ぐらいか。(①福州大学②福建医科大学➂福建師範大学④福建中医(薬学)大学⑤閩江大学⑥-------⑦--------。)福建省内全体では10番目以内には入るのだろうか。日本語学科に入って来た学生の約半数ぐらいは、第一希望ではなかったようだ。
今年の9月。また新入生が入ってくる。どんな思いで入学してくるのだろう。「やった!希望の大学の専攻だ。」と思う学生、「予想外と挫折感をひきずりながらの学生。」これらは、日本の学生の大学選択の難しさの比ではないだろうな。このような様々な学生たちの学ぶ意欲の差の現実をもちながら、この9月から新1年生の授業も担当する予定だ。
※今年度の大学入学試験の不正に関するテレビニュースが伝えられていた。「河南省で127人が不正入試で逮捕。」など、全国的に不正入試の問題が起きているようだ。不正の内容としては、「不正入試専門業者」が存在し介在しているケースが多い。その手口は、業者が受験監督官を買収し、大学生などを使った「替え玉」受験をさせるものが最も多い。摘発されると大学生は退学処分となるのだが----。受験生は、3年間受験できなくなる。また、超超小型カメラを、いろいろなものに仕組み、映像を他者に送って、解答を聞くケースも多い。その機器はまるで007の世界のようだ。
※新聞に、「10才の天才児童が大学受験。」とある。中国では、小学生の高学年でも「特別に成績優秀な子」は大学受験ができるようだ。驚き。