7月15日に日本に帰国して2週間が経った。日本の京都も暑い。台風の影響でよく雨が降る。でも、中国の福州より過ごしやすい。(気温的にも湿気的にも、京都より高い。)
毎朝、6時ころから1時間あまり散歩をする。自宅の近くには、水田が多くあり、堤防に上がると京都市内方面が一望できる。早朝は、狐(きつね)をたまに見かける。福建省は水田が少ない省なので、水田をあまり目にすることができなかった。水田のある日本の景色が心地よい。久しぶりに、日本の野草花を摘んで生け花をした。
6月下旬から7月上旬にかけて、閩江大学外国語学部日本語学科の学生4人(6月中旬に卒業)が、日本に来日した。3人は東京の「日本語学校」、一人は大阪の「日本語学校」に入学した。
帰国翌日の16日の午後に、大阪の難波(なんば)にある「日本語学校」に入学した林芝さんと会った。日本での新生活に、精神的にも健康的にも非常に苦労しているようだった。心斎橋商店街に行くと、ものすごい数の中国人観光客がいた。「ユニクロ」や「ビックカメラ」で買い物をしたりするようだ。
道頓堀界隈も大勢の中国人観光客がいた。夕食に「ホルモン焼き肉店」に入った。ここにも中国人家族がいた。久しぶりの「コテッチャン(ホルモン)」が美味しい。中国の人が店員に何かしゃべっているが、店員はさっぱり中国語がわからない。おたがいに困った様子。林さんが通訳をした。「私たちが注文したものは、これで全部ですか?」「もう他にはないですか?」ということを中国の人達は聞きたかったのだ。これだけ中国からの観光客が増えてくると、さまざまな店に、「中国語ができる店のスタッフ」が必要だと思った。しかし、中国語習得は日本人にとって大変難しい。中国からの留学生は今後、「アルバイト」に引っ張りだこだろうかとも思う。
その翌日の7月17日。この日は、祇園祭り(前祭)のハイライト「山鉾巡行」の日。大型台風が四国に上陸し、瀬戸内海から中国地方を縦断し始めていた。雨の中、巡行がとりおこなわれていた。
そしてこの日は、林さんが受験した「立命館大学大学院言語教育情報研究科」(修士)の合否結果が午後2時に発表される日だった。約1年間かけて受験準備をし、両親を説得し、ようやく来日をはたして受験にこぎつけた彼女だが、結果はどうなるのだろうか。
午後12時半に大阪の日本語学校前に行き、林さんと交通機関を乗り継ぎし、立命館大学衣笠キャンパスに2時半に着く。創思館1階の掲示板に合格者の番号が貼られていた。「林さんの番号があった!!!!!」 合格だ。彼女はさっそく、私の携帯電話を使って、国際電話で中国の父親に報告していた。私も胸をなでおろした。彼と私は、中国での付き合いの過程で「兄弟」と呼び合う関係になってしまっているのだが、私も彼に「你好老林。好就不见。我也很欢喜林芝考试及格立命馆大学。」と祝福した。
彼女は、「秋入学(9月)」の試験に合格したので、9月中旬からは京都市内で大学の留学生寮かアパートに住み、大学院生生活を送ることになる。入学の第一次手続きを終えたが、第二次手続きのための諸書類の準備がこれから大変になるだろう。2年間、アルバイトもしながら、「日本語教育や日本語研究、日本という国のさまざまなことなど」を学び吸収し、日中の架け橋の一人となっていくだろう。
夕方、三条大橋のたもとに行った。ここは、いつも外国人が多い。国際都市「京都」感じる場所だが、浴衣を着た外国人の家族の姿も見られた。夕食で、改めて「合格おめでとう!」の乾杯をした。ここまでくるのに実に長い道のりだった。これからも、苦労をともなう山あり谷ありの留学生活だろうと思う。
7月25(土)に、東京の「千駄ヶ谷日本語学校」に入学している申楠楠さんが、新幹線で京都に来た。日本語学校の大学院入学コースの先生から、「立命館大学の大学院入試を勧められた」という。その先生の話では、「日本語教育と日本語研究に関する日本の大学院としては、立命館大学はトップレベルの一つです。」ということらしい。そこで、立命館大学大学院の入試準備のため、京都にくることになった。
7月25日(日)の昼頃、京都に着いた。さっそく立命館大学に行った。そして、大学院入試の過去問題などを調べ、入学試験のための対策や受験準備、受験勉強の学習方法などについて、2日間話し合った。書店に行って、学習のための書籍なども何冊か購入した。26日(日)の午後3時の新幹線で東京に戻って行った。
残念ながら、今年9月実施の試験(来年4月入学)には間に合わないことがわかった。彼女は、おそらく来年の2月実施の試験を受けるために、東京での、苦労も多い留学生活を過ごすことになる。頑張ってほしい。
ちなみに、日本の大学院試験は、私立大学・国立大学ともに年2回実施(9月と2月)されている大学が多い。秋入学もある大学では、7月上旬にも試験を実施している大学がいくつかある。
日本の大学院で、「日本語教育及び日本語研究」においてレベルの高い教育力が評価できるベスト10大学は以下の通りかと思う。
①早稲田大学②大阪大学➂東京大学④筑波大学⑤立命館大学⑥御茶ノ水大学⑦広島大学⑧東京外国語大学⑨名古屋大学⑩南山大学か関西学院大学か桜美林大学
※特に、「早稲田大学」と「大阪大学」は、教授陣の陣容がすごくてトップ2だ。だが、大阪大学は、旧「大阪外国語大学」のキャンパスあった「箕面キャンパス」に通学のため、キャンパスが極めて小さく寂しい。
※京都大学には、「日本語教育」に関する研究科がない。
※名古屋外国語大学、昭和女子大学なども、比較的充実しているかと思う。他の大学も多々あるが、教授・准教授が2人から5人程度と小規模である。