京都国立近代美術館で、『 Future Beauty 日本ファッション:不連続の連続』と『チェコの映画ポスター展』、そしてコレクションギャラリーで『甲斐庄楠音展』が開催されていました。

私はファッションは興味がないので、『チェコ映画ポスター展』『甲斐庄楠音展』を見ました。
絵本、人形劇、アニメーションなどの分野でよく知られるチェコは、映画ポスターのデザインでも数々の名作を生んで きました。
しかし、社会主義時代のチェコスロバキアは、国民の自由が極端に制限された秘密警察国家で、政府や体制を批判する表現の自由ありませんでした。その点では、現在の中国と同様です。中国の場合、政府批判は最高刑死刑だと聞きました。日本と大きく異なります。
チェコスロヴァキアは、1989年の東欧革命で、共産党政権が崩壊され、チェコとスロバキアに分割されたことはよくご存知のことです。
映画も社会主義政府に都合の悪い映画は上映できません。
当然ながら、映画ポスターもそういう社会の状況を反映しています。
1960年代には、それまでの社会主義リアリズムから脱却した、新世代のグラフィック・アーテイストが台頭し、映画ポスターという独自の表現が確立されます。
今回の展覧会では、プラハの映画ポスター専 門ギャラリー〈テリー・ポスター〉が所蔵する、チェコスロ ヴァキア時代の1950年代後半から1980年代までに制作され た映画ポスター82点が展示されています。
私は、表現の自由が抑圧されたもとで、アーテストたちが苦闘した作品を見て、悲しみと非常に重苦しいものを感じてしまいました。
『女は女である』(1961年/フランス=イタリ ア/ジャン=リュック・ゴダール監督)ポス ター:ヨゼフ・ヴィレチャル(1968年)

『まわり道』(1967年/チェコスロヴァキア/ ヨゼフ・マフ監督)ポスター:ズデニェク・ ツィーグレル(1967年)

『ナック』レスター監督)ポスター:ミラン・グリガル (1966年)

『羅生門』(1950年/日本/黒澤明監督)ポス ター:ベドジヒ・ドロウヒー(1970年)

『バーバレラ』(1968年/アメリカ/ロジェ・ ヴァディム監督)ポスター:カレル(カーヤ)サウデック(1971年)

『ターミネーター』(1984年/アメリカ/ ジェームズ・キャメロン監督)ポスター:ミラ ン・ペツァーク(1984年)

『チェコのポスター展』と同じ美術館4階で、『甲斐庄楠音展』も開催されています。
甲斐庄楠音は、大正時代の日本画家、昭和20年代から 30年代の風俗考証家でもあります。今年生誕120年を迎えるということで特集が組まれました。
国画創作協会展で本格的にデビューした甲斐庄楠音ですが、その退廃的作風ゆえに土田麦僊から 「きたない絵」と批判されたことは有名です。
基本的に画題は女性が多いのが特徴です。
しかも、それまでの日本画とは異なる暗い色調でグロテスクな絵も多いのです。
大正時代末期の暗い風潮を象徴する、デカダンス画家の代表という批評家もいますが、私も共感するところがあります。
竹久夢二も絵画の専門家から、技巧不足を指摘されましたが、竹久の独特の美人画は技巧を越えて一般の人たちの評価を得ました。
甲斐庄の作品は、グロテスク的なのですが、妙にリアリティーもあります。
女性の情念や業を生々しく描いた言えます。
いずれにしても、非常に個性的な画風です。
『裸婦』1921頃

『賢者の石ころ』


「京都で定年後さん」は美術館巡りができてうらやましいですね。僕は、日本画や屏風などを見るのが好きですが・・・昨年の秋の上野の東京国立博物館で「京都の屏風絵でしたか行きたかったな・・・・なかなか仕事と育児で行けなくて、それに老父母の介護もあって・・・・
禅会で、今年の3月から5月中旬まで上野の東京国立博物館で「栄西と建仁寺」の観覧券を貰ったので是非行きたいと思っているのですが・・・・果たしていけるものかどうか・・・・・・
仕事に子育て、介護、それぞれ手が抜けないので大変ですね。
それも、時期が来れば落ち着きますから、頑張ってください。
京都で定年後生活より