先日妻と、読者の方々から好評を受けていた、「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション 」を観に行きました。
このシリーズは毎回観ていますが、期待を裏切らないハラハラのアクションもので好きです。
映画の帰り、京都文化博物館の『レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い展』に寄りました。
この作品は、レオナルド・ダ・ヴィンチの幻の戦争壁画の大作、その下絵と考えられる油彩画です。「タヴォラ・ドーリア」(ドーリア家の板絵)と呼ばれ、16世紀初頭に描かれた戦士たちの戦いの図といわれています。
日曜美術館でも取り上げられましたので、紹介します。
レオナルドが壁画に取り組んだのは1503年、「モナリザ」と同じ円熟期です。
しかし完成することなく、歴史の闇に消えた大作です。
描かれているのは、フィレンツェが宿敵ミラノを破った「アンギアーリの戦い」です。
当時のフィレンツェ政庁舎であったヴェッキオ宮殿の大会議室の壁を飾るはずでした。
しかもその横には、ミケランジェロが別の戦争画を描くことにもなっていました。
この絵は科学的なち調査の結果、技法や材料は16世紀前半と判明しました。
しかし、度重なる修復で騎士の体の一部や馬の足がオリジナル部分が削られた箇所があります。
レオナルドの直筆かどうかは結論がでていません。
レオナルドの「アンギアーリの戦い」に関する素描
軍旗を奪い合い、両軍入り乱れて争う場面です。
ペドレッテイによる全体構想復元図
ミケランジェロ『カッシーナの戦い』下絵模写
勇壮な戦いの場面ではなく、突然の敵の襲来で水浴びしていた兵士たちが慌てふためくさまを描こうとしています。
裸体彫刻の見本のような作品です。
それ以前のアンギアーリの戦い(1420年)の絵(1460年代前半)
様式的で装飾的な絵です。
それに対してレオナルドの下絵は、リアルな戦場の臨場感があります。
生死をかけて戦う兵士の形相があります。
しかしこの大作は完成することはありませんでした。
技術的な失敗という指摘もあります。
しかし、後に多くの画家がアンギアーリの戦いの模写をします。
ルーベンス『アンギアーリの戦い』模写
ロレンツオ・ザッキア『アンギアーリの戦い』模写
その他の画家もレオナルドの絵に学ぼうと模写したのです。
レオナルドの「アンギアーリの戦い」は完成しませんでしたが、後の画家たちに多大な影響を与えたのは間違いありません。
展示会ではそのことがよくわかる内容です。
なお、この展示会は東京富士美術館(八王子)を経て、京都で開催中(8/22ー11/23)ですが、京都の後は宮城県美術館(2016,3/19ー5/29)へ巡回します。