田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

スズキハラボソツリアブ覚書

2010-11-04 | ハエ目(双翅目)

ツリアブ科のスズキハラボソツリアブ Systropus suzukii Matsumura. 1916

三重県産のスズキハラボソツリアブの標本を入手しているので,紹介する。
三重県未記録種と思われる。

小楯板や後胸腹板が通常一様に黒色。後脚の第1付節は全体黄色。メスの第8腹板末端の黒色突起は2本。体長20~23㎜。これらがスズキハラボソツリアブの同定ポイント。

近似のニトベハラボソツリアブの場合,体長は12~18㎜で,後脚の第1付節の後半部は黒ずむ。中胸背板肩部の黄色班は,通常側縁に沿って後方へ伸びる。メスの第8腹板末端の黒色突起は鋭い針状。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,スズキハラボソツリアブは「大型(20㎜内外),触角は全節黒く,胸背側の全黄紋連続し,翅は暗色,北海道・本州・四国・九州に分布する。」

原色日本昆虫図鑑(下)によると,スズキハラボソツリアブは「体長20㎜,翅長13㎜。体は細長く一見ヒメバチに似ている。触角は黒色で細長く,口吻も長い。胸部は黒色で両側縁には黄褐色条がある。腹部は左右から圧されたように扁平で,背面から見ると細長く,暗色。翅は帯褐色,翅脈は黒褐色。 本種よりやや小形(体長13㎜内外)で,触角の第1節が橙黄色の種はニトベハラボソツリアブという。」
   





カバキコマチグモ幼体

2010-11-03 | 蜘蛛

コマチグモ科のカバキコマチグモ Chiracanthium japonicum 

島崎海岸にもハマゴウ群落がある。ハマゴウの葉を何枚かくっ付けたクモの巣を見つけた。1枚の葉を剥がすと中からクモが出てきた。カバキコマチグモの幼体である。

『クモ基本50』によると,カバキコマチグモは「山麓から山地にかけての草原,川原,郊外の道路沿い,水田の周囲などのススキの葉に多く,昼間はススキを曲げたり,他の植物の葉を集めて作った住居の中にひそんでいる。夜間に活動して,昆虫を捕らえる。」

カバキコマチグモはススキなどイネ科植物の葉を巻いて巣を作り,巣の中の雌は生まれてきた子グモたちに食べられてしまうという。また,在来種では最も強い毒を持つことで知られ,咬まれると激痛が走るという。
くわばら,くわばら。

2010.6.19



シラホシコゲチャハエトリ雄

2010-11-02 | 蜘蛛

ハエトリグモ科コゲチャハエトリグモ属のシラホシコゲチャハエトリ Sitticus penicillatus (Simon)

津市の島崎海岸は安濃川の河口にある砂浜である。堤防道路が車両進入禁止となっているので,砂浜へたどり着くには徒歩しかなく大変である。

この砂浜で6月に見つけたクモの名前がようやく判った。K氏の同定である。同属のモンシロコゲチャハエトリと良く似ていて,K氏は雄の生殖器を調べてシラホシコゲチャハエトリと同定されたという。
『クモ基本50』によると,シラホシコゲチャハエトリは「雌雄3~4㎜。Ⅰ年中。」という。雄の特徴は一対の白点があること,雌にはこの白点がない。

この日はシラホシコゲチャハエトリ♂成体を2個体見つけた。

2010.6.19

ノシメトンボ♀

2010-11-01 | トンボ

トンボ科アカネ属のノシメトンボ♀ Sympetrum infuscatum (Selys, 1883)

豊津海岸。砂浜に生えるマサキの枯れ枝にノシメトンボの雌が止まった。マサキの木を背にして開けた方に向いて止まる。近づいて立ち位置を変えて撮影していても逃げない。ノシメトンボは人間に対する警戒心が比較的薄いと言われているようだ。

新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,「翅端黒褐色種のうち最大で,腹長25~30㎜,後翅28~35㎜。胸側の2黒条は太く完全で,第1側縫線のものは上端に達する。♀の生殖弁はきわめて未発達でよい標徴にならない。平地・低山地の林間に普通で秋季に多い。」などとある。

2010.10.27


ノシメトンボ 食事中