田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

干潟のゴキブリ

2007-02-07 | 田中川
ウスヒラタゴキブリ
干潟の堤防際にススキが生えている。
その株元を這いつくばって、越冬中の昆虫類を探していると、なにやら小さな虫が数匹、ススキの株周りや茎葉を、気ままに走り回っている。
チャバネゴキブリ科のウスヒラタゴキブリの幼虫のようだ。
この辺りでこれまで見かけたゴキブリの成虫は、モリチャバネゴキブリばかりであった。
ウスヒラタゴキブリは、木の上で生活する種らしい。近いうちに葉陰に隠れている成虫に出会えるかもしれない。
近くに生えている樹木はハマボウとマサキ。さて、どちらの樹上に現れることやら。
2007.1.29

ウスヒラタゴキブリ

ウスヒラタゴキブリ
3枚目の写真は別個体


クヌギエダイガタマバチ成虫

2007-01-11 | 田中川
クヌギエダイガタマバチ
2006.12.30  すっかり落葉したクヌギの木の下で見つけた、虫こぶの中に居た。
クヌギエダイガタマバチ。掌に乗せると、ほどなく動きだした。
クヌギエダイガフシという虫こぶから、脱出する成虫は全て♀。

クヌギエダイガフシ
クヌギエダイガフシという虫こぶ。若枝にできる。単性世代の虫こぶ。

クヌギエダイガフシ
虫こぶを割ってみると、小さな虫室があった。
虫こぶの外壁と虫室の間には空間があることがわかる。

クヌギエダイガフシ
クヌギエダイガフシとクヌギエダイガタマバチ♀

クヌギエダイガタマバチ
常緑樹の生垣で見つけたクヌギエダイガタマバチ♀。上の写真とは別の個体。クヌギの花芽に産卵する。

クロスジホソサジヨコバイ

2006-12-26 | 田中川
クロスジホソサジヨコバイ
里山の小高いところにある城跡公園に、月に何度も訪ねている。
常緑のサンゴジュの植込みもあって、夏場にはサンゴジュハムシの姿を見ていたので、
今頃どうしているのかなと覗き込んだ。
サンゴジュの葉は、サンゴジュハムシに食べられた痕跡がたくさん残っていた。
一枚の葉に、6ミリほどの細長いヨコバイを見つけた。
クロスジホソサジヨコバイ ヨコバイ科ホソサジヨコバイ亜科
冬場によく見られるヨコバイ。
背中の赤い色が気に入った。♀だろうか。
2006.12.24

アブラムシを食べる幼虫

2006-12-15 | 田中川
  2006.12.15   

庭のスダチの木にアブラムシが大発生した。
もともとアゲハチョウたちの為の木なので、消毒するつもりがない。
12月に入り、ナミアゲハの終齢幼虫が次々に姿を消してしまった。
寒さが厳しく蛹に成れなかったのだろう。
淋しい思いでスダチを見つめていると、きれいなアブが飛んでくる。
木に止まったり周辺を飛び交って、いったい何をしているのだろう。
私は小さな木の横にしゃがみこんだ。

アブラムシだらけのスダチに見慣れない幼虫と蛹を見つける。
クロヒラタアブ。成虫は花粉や蜜を食べるが、幼虫の餌はアブラムシ。
鋭い口器で刺し体液を吸うらしい。成虫越冬する。
スダチの枝先の蛹たちも、もうすぐ羽化するのだろうか。
暖かい日には、クロヒラタアブが飛んでくる。
産卵に来るのだろうが、無事育つのだろうか。

クロヒラタアブ幼虫  

アブラムシを刺し体液を吸う
 
クロヒラタアブ?蛹(観察中)

ホソヒラタアブも飛び回っている

流木に棲む

2006-10-05 | 田中川
ヨツバコツブムシ
等脚目 コツブムシ科コツブムシ亜科 ヨツバコツブムシ
体長は12ミリまで。尾肢外肢の外縁に3~4歯を持つ。腹尾節後端はゆるやかに湾曲する(ほとんど直線に見える)。

海に漂っていた流木がこの干潟に流れ着くと、大抵は干潟の西に集まって堆積する。そこで見つけたのがこのコツブムシ2個体。
同定に当たっては、専門書を持ち合わせていないので、県立博物館の学芸員にお世話になった。

2006.8.15
ヨツバコツブムシ
コツブムシ科は世界で約750種が知られていて、体を丸くすることの出来る種類が多い、このヨツバコツブムシも流木にあけた穴の中で丸まっていた。
「しばしば海中の木材に穴をあけて棲む」と図鑑に記述されていたから、この流木に斜めにあけられた多数の穴は本種があけたものだと思われる。

ヨツバコツブムシ


ホタテウミヘビ 試食

2006-07-31 | 田中川
ホタテウミヘビ
「あっ、ウナギだ」と誰かが叫んだ。
いつもの海岸でマテガイを捕っていたら、近くにいた人たちが騒ぎ出した。
穴の中から頭だけ出していた。穴の周りを掘りおこして、穴から引きづり出した。
体をくねらせて逃げ回るのを追い回して、ビニール袋に入れて持ち帰った。
ウナギにしては細身だと家族は言うが、天然ウナギだから身が締まっているのだ説明する。
腹を開いて、何を食べていたのかを調べる。ニホンスナモグリの大小の白いハサミが出てきた。
蒲焼にしてウナギ丼を作ろう。
身が切れない、硬い、骨が硬い。ウナギではないことに気がつく。小骨が多いからハモかもしれない。ハモなら、骨切りしないとダメだ。しっかりと骨切りして、蒲焼にした。
完成した料理を試食する。味付けは上手くいった。
骨だらけ。白くて硬い骨ばかり出てきて、身を食べることが出来ない。ハモでもない。
ハモの歯は犬歯があるなど鋭いはず、これは歯が目立たない。
こやつは何者だ。

ホタテウミヘビ
ウナギ目ウミヘビ科ウミヘビ亜科ホタテウミヘビ
帆立海蛇

体長は約70センチ。よくよく考えるとウナギの眼とは違う。口先にはヒゲがあるように見えたが、拡大してみるとヒゲではなさそうだが、何なのかは分からない。
近似種にミナミホタテウミヘビがいるが、区別点が判らない。
食用とはしないと試食後に知った。
2006.7.28

ホタテウミヘビ

お知らせ

2006-05-14 | 田中川

三重県立博物館 フィールドワーク「調べよう!干潟の生きもの」の開催サイトマップ サイト内検索    


トップページお知らせ情報
平成18年4月15日
三重県立博物館 フィールドワーク「調べよう!干潟の生きもの」の開催
 開発や浸食などで姿を消しつつある干潟は、さまざまな生きものが生息していることや環境保全の面からも存在価値が見直されてきています。今回は、津市河芸町の田中川河口で、干潟にはどんな生きものが生息しているのかを観察しながら、干潟が自然環境の保全にどのような役割を果たしているのかを調べます。自然の仕組みや素晴らしさを感じてみませんか。

1 開催日時 平成18年5月14日(日)
         10時00分から12時00分まで(受付開始9時30分)
       ※小雨決行 
       ※開催については、当日の8時30分以降に博物館へお問い合わせてください。

2 開催場所 「マリーナ河芸」周辺の干潟(津市河芸町東千里地内)
3 集合場所 「マリーナ河芸」第1駐車場(津市河芸町東千里854-3)
     <公共交通機関をご利用の場合:近鉄名古屋線千里(ちさと)駅下車 徒歩10分>
4 講  師 篠木善重(しのぎ よししげ・田中川の生き物調査隊)
       今村隆一(いまむら たかかず・当館職員)
       栗田幸彦(くりた ゆきひこ・当館職員)
5 定  員 20名
6 対  象 小学生以上(小学校4年生以下は保護者同伴)
7 応募方法 往復ハガキ(1通につき3名まで)に、参加者全員の住所・名前・年齢・代表者の電話番号
       を記入のうえ、下記までお申し込みください。
       または、三重県電子申請・届け出システム(http://www.shinsei.pref.mie.jp)からもお
       申し込みができます。「博物館行事参加申込」からお申し込みください。
8 応募期間 平成18年4月21日(金)から平成18年5月6日(土)まで、当日必着
       応募多数の場合は抽選で決定します。(返信は5月9日(火)発送予定)
9 参 加 費 無料
10 後  援 三重県博物館協会
11 持ち物及び服装
       持ち物:筆記用具、手袋、タオル、雨具、あれば双眼鏡
       服 装:長袖、長ズボン、帽子、運動靴または長靴、必要であれば着替え
           ※ ぬれたり、汚れてもよい服装でおこしください。
12 申込み・問い合わせ先  
       〒514-0006 津市広明町147-2
       三重県立博物館 フィールドワーク「干潟の生きもの」係
       TEL 059-228-2283 FAX 059-229-8310

 


関連リンク
  三重県立博物館

 

      連絡先/ 博物館
        担当者:今村隆一 電話番号:059-228-2283 e-mail:haku@pref.mie.jp

 


フタミゾテッポウエビ

2006-03-12 | 田中川
フタミゾテッポウエビ
テッポウエビ科テッポウエビ属

第1胸脚(はさみ脚)は左右不相称で、いずれが大きいかは不定。

浅海や潮間帯の砂泥や礫底質部に多い。

額角はくさび形。額角の基部には深い溝があり、和名の由来。
雄の小さいはさみ脚には毛が列生するが、雌には毛がない。
フタミゾテッポウエビフタミゾテッポウエビ
クモヒトデはクシノハクモヒトデ。
キセワタガイなどと一緒に打ち上げられた。
大きいはさみを急に閉じて、パンという破裂音をたてる、手に持っているときにこれをやられると、痛い。

2006.2.26 芦原海岸にて



ホシヒメヨコバイ

2006-02-20 | 田中川
ホシヒメヨコバイ
ヌルデの葉裏にホシヒメヨコバイがいました。
ヨコバイ科ヒメヨコバイ亜科  
2005.11.5






ホシヒメヨコバイ
背中の斑紋に矢印模様が目立ちますが、黒い斑紋には変異があるようで、矢印模様が無かったり、黒斑がほとんど無いのもいるようです。

ヌルデの群生地を見つけ、1本1本調べてみると、ほとんどの木に、ほとんどの葉裏にホシヒメヨコバイがいました。

ホシヒメヨコバイ幼虫
葉を裏向けると成虫たちは小走りに反対側へ逃げていきます、ある者は飛びたって別の葉裏へ移動します。
サイズは3ミリ程度。

左の個体は斑紋が異なっています。
居るところには結構いるようで、普通種のようだが手持ちの安物図鑑には載っていません。

ホシヒメヨコバイの幼虫もいました。2005.11.5
ホシヒメヨコバイ


別の場所でアカメガシワの葉裏にいる個体を見つけました。
2005.11.12
ホシヒメヨコバイ

トビウオ科幼魚

2006-02-15 | 田中川
優雅に泳ぐトビウオ科の幼魚。
トビウオ科は種類が多く、良く似たものばかりで、幼魚となると図鑑類も少なく種の特定が難しい。胸鰭や腹鰭の黒色斑など特徴のある幼魚だが、種名は特定できないでいる。
トビウオ幼魚
田中川干潟の潮溜まりでは、いろんな魚の幼魚に出会う。
この幼魚は干潟に遊びに来ていた小学生たちが見つけてくれた。
2004.8.6


ナミベリハスノハカシパン

2006-02-07 | 田中川
波打ち際で、ナミベリハスノハカシパンを見つけた。
この日見つけたカシパンを、砂の上に並べてみる。
どれも3㎝に満たないが、大型種の直径は8㎝にも達する。
棘皮動物のウニ綱に属し、分類学上はウニやヒトデの仲間とされる。
菓子パンに似ていることから、名前が付いたそうだが
こんな菓子パンを、私は知らない。
2002年、10個体程採集したが、大きな個体は直径約6㎝、いずれも白色化していた。
  花紋のある背面  
 カシパン腹面 中央口 
扁平な体に、やさしく波打った縁取りがある、ナミベリハスノハカシパン。
美しい花紋のある方を背面と呼び、背面を上に、海底に生息する。
腹面の中央に口があり、浅瀬の砂の上で、珪藻や小動物、デトリタス等を食べる。
砂の中に潜ることもあり、砂泥中の有機物を摂食しているのだろう。
詳しい生態は不明であるが、稚貝を食べることから、大量に発生すると影響が心配される。
水深3m、海底のカシパンは、水面下黒く見えるそうだ。
口の部分を割ってみると貝殻が見つかり、個体のサイズに合う稚貝を食べていることが分かるという。
暗紫色の個体は、まだ生きていたのだろうか。
死亡すると骨のように白くなり、毛も取れてしまう。
英名  Sand Doller  「砂浜の1ドル銀貨」
  2005年2月17日 
  
 腹面2005年2月17日 

カラスヘビ

2006-01-28 | 田中川
シマヘビの黒化型。
立派な大人のカラスヘビだ。川岸の公園で発見。
カラスヘビの配色は黒地と白の斑紋の比率に大小がある(漆黒の個体もいる)。

シマヘビ

メラニズム(黒色色素増)現象。
本来、シマヘビは虹彩(白目の部分)が赤いのが特徴だが、カラスヘビは写真の様に真っ黒な瞳となる。




シマヘビ










この鱗の目立った部位は、肛門板(肛板)。
腹板から肛門板、その下に総排泄孔、次に尾下板と続く、いわゆる胴と尾を分ける起点部位。
シマヘビ
触った感じは、ぬるぬるではなく、つるつるでもなく、厚手のビニール製品みたい。



干潟にヒモハゼ

2006-01-06 | 田中川
2005/7/30干潟の生き物観察会で、子どもたちが見つけてくれました。潮溜まりを泳ぐ4センチほどの魚。
ハゼ科ヒモハゼ属のヒモハゼです。
干潟の砂泥に棲むアナジャコやカニ類の巣穴にもぐりこむ魚で、地表に出ていることも多いようです。この大きさですでに成魚。体側中央に明瞭な黒色縦帯が走ることで簡単に区別できるようですが、初めて見たこのときはアナゴ類の幼魚ではと思ってしまいました。まさかハゼの仲間だったとは。

ヒトハリザトウムシ

2005-11-17 | 田中川
干潟への出入口となっているコンクリートブロック内に、ヒトハリザトウムシの集団を見つけました。
豆粒ほどの体は寸同で「頭、胸、腹」の区分がありません。2つの眼と長い8本の歩脚をもち一対の脚を触覚器として杖のように使います。口の近くにあるはさみ状の付属器で小動物を食べますが、乾燥に弱く昼間は陰湿な場所に群生して休みます。
現在ザトウムシの仲間は世界で約4500種。
日本では約80種が確認されていますが海岸性は本種のみです。
砂浜と海食崖をそなえた自然海岸に生息しますが、近年生息地の消失とともに減少しています。
ヒトハリザトウムシ越冬
6月始め数百と群生した個体も11月に入り崖の隙間で数えるほどになりました。
卵越冬しますが、1月末カニの巣穴の中で成体を発見しました。
左の写真は2006.2.5 
幾たびかの降雪にも耐えて生き抜くヒトハリザトウムシの越冬個体です。堆積した枯れ草の下にいた個体で、カニの巣穴に逃げ込もうとしているところです。越冬中も集団でいますが、西風が当たらない漂着物の下などに、数個体づつバラけて越冬しています。

ヒトハリザトウムシ越冬準備

ハサミシャコエビ

2005-04-13 | 田中川
はさみが無いので何エビかが分からなかったが、専門家に教えてもらって謎が解けました。はさみが欠損したハサミシャコエビと判明。本来なら柔らかい毛がいっぱい生えているはさみが左右にある。はさみが無いのは脱皮前だからとの事。どおりで、手のひらに載せて眺めていたところ、他の脚も1本ぽろっと抜けてきた。赤銅色で、締まった体格はオキナワアナジャコに似ているが、この伊勢湾に生息しているとは考えられなかったので、ひょっとしたらはさみが無いハサミシャコエビもありえるかなと思ってはいたものの、実はこのようなはさみの無い個体を前にも見たことがあり、ハサミシャコエビとは別種の生き物ではとも思い、いろんな図鑑に当たってはいたのだが、数年間分からないままであった。 はさみがあるハサミシャコエビとは未だ出会っていない。
早く会いたいなあ。15cm前後の山型の巣塚を作っているので、それを探せば見つかるのかな。

2005.5.14生体に会えた。小粒ながらも五体満足。