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20.2.2 訂正審判Q&A(その2)

2008-02-02 15:04:57 | Weblog
訂正審判Q&A(特許庁HP)(その2)
Q8&A8は省略

Q5:訂正拒絶理由通知に対して訂正明細書等を補正することができますか。また、その際の補正の範囲はどうなりますか。

A5:審判長は、訂正審判の請求が特許法第126条に適合しないときは、請求人に訂正拒絶理由を通知し、請求人はこれに対し意見書を提出することができます。
 また、請求人は、請求書の要旨を変更しない範囲で、審判請求書の補正(特§17①)あるいは訂正明細書等の補正(特§17の4)を行うことはできます。
 ただし、訂正明細書等の補正ができる範囲は、訂正事項の削除及び軽微な瑕疵の補正等の微修正に止まります。


Q6:訂正審判の請求書の要旨変更は認められないとのことですが、訂正審判請求書に添付した明細書等も、その要旨変更は認められないと理解してよろしいでしょうか。

A6:訂正審判請求書に添付した明細書等の内容の変更により、請求の趣旨である訂正事項が変わり、請求の基礎である審判を申し立てている事項の範囲や同一性も異なるものとなりますので、基本的には審判請求書の要旨を変更することとなります。


Q7:訂正審判に対して訂正拒絶理由通知がなされた場合、訂正事項の削除若しくは追加の補正ができますか。 

A7:特許法第165条及び同法第17条の4の規定により、意見書及び補正書を提出することができます。
 しかし、訂正拒絶理由通知がなされた場合、その補正が認められることは非常に困難であり、認められない場合がほとんどと言えます(訂正審判の請求の趣旨は、「訂正審判請求書に添付の明細書又は図面に訂正する」とすることであり、その明細書、図面の補正をすることは、訂正請求の審判の請求の趣旨を変更することになると考えられます。)。
 訂正事項の削除補正、誤記の補正は認められることがありますが、追加記載の補正が認められることは難しいと考えられます。
 ただし、訂正審判の請求ができる期間であれば、訂正拒絶理由通知がなされた時点でその審判請求を取り下げ、再度新たな訂正審判を請求する方法もあります。 


Q9:例えば、特許請求の範囲が請求項3まであったもののうち、訂正審判により請求項2を削除する場合、請求項3を請求項2に繰り上げる必要がありますか。

A9:請求項を繰り上げる必要があります。特許法施行規則第24条の3第2号の規定で請求項に付す番号は連続番号としなければならないとされており、訂正明細書中の請求項に抜けは認められません。


Q10:独立項Aについて、請求の範囲の減縮を目的とした訂正をする際、従属項については実質的な請求の範囲を変えないようにするために、独立項Bへと訂正をしました。この場合、独立項Bの訂正について独立特許要件を満たす必要があるのでしょうか。

A10:この場合、従属項から独立項Bへの訂正は、他の請求項についての訂正のために不明りょうとなった記載を釈明するためのものであるので、「明りょうでない記載の釈明」に該当し、独立特許要件は課されません(特§126⑤)。


Q11:実質上、特許請求の範囲を拡張又は変更する訂正に該当しなければ増項訂正(請求項を増加する訂正)は可能でしょうか。

A11:特許明細書は特許権の内容を公示するものであり、また、訂正の効力は特許登録時まで遡及し、訂正が認められると権利範囲が変更されて第三者の利害に影響を与えることにもなるので、原則として明細書及び図面の訂正は許されないものです。
 しかしながら、特許無効審判の請求に有効に対処できるように、特許法第126条により、一定の事項を目的とするものに限り、明細書又は図面の訂正を許しています。
 ところで、増項訂正は、特許法第126条第1項ただし書きで訂正の目的として規定する「特許請求の範囲の減縮」(1号)、「誤記の訂正」(2号)又は「明りょうでない記載の釈明」(3号)のいずれにも該当しないことは規定の文言上からも明らかですから、特許請求の範囲の項数の増加は許されません。
 ただし、多数項引用形式で記載された一つの請求項を、引用請求項を減少させて独立形式の請求項とする場合や、構成要件が択一的なものとして記載された一つの請求項について、その択一的な構成要件をそれぞれ限定して複数の請求項とする場合は、実質的には一対一の対応関係にあれば増項訂正は可能です。


Q12:訂正請求の際の特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正について、例えば2つの請求項A,Bがあり、そのうち請求項Aを削除し、請求項Bを請求項B’と請求項B”の2つの請求項に分ける訂正は可能でしょうか(訂正前と後では、請求項の合計数では増項になっていない)。

A12:訂正の目的が特許請求の範囲の減縮にあたるか否かについては、基本的には請求項毎に判断されます。請求項Aの削除は特許請求の範囲の減縮にあたりますが、請求項Bは増項訂正になっており、特許請求の範囲の減縮にあたるとは認められません。
 従って、訂正の前後で請求項の合計数が同じであったとしても、訂正要件に違反するものとして当該訂正は許容されません。
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