■「おとなのけんか/Carnage」(2011年・フランス=ドイツ=ポーランド)
監督=ロマン・ポランスキー
主演=ジョディ・フォスター ケイト・ウィンスレット クリストフ・ヴァルツ ジョン・C・ライリー
●2011年セザール賞 脚色賞
未見だった「おとなのけんか」鑑賞。
子供が怪我をしたことで、双方の両親が話し合おうと集まった。
最初は好感を保ちながら穏やかに話せていたのだが・・・。
次第に四人それぞれの価値観や嫌な部分が明らかになっていき、
子供の話のはずが、夫婦対夫婦、夫二人対妻二人、
それぞれの夫対妻と形を変えながら感情と溜め込んでいた思いを爆発させることに。
カメラは家から出ることもなく、登場人物は四人だけ。
四人のやりとりやパートナーに抱いている感情などが生々しくて、
コメディとして面白いだけでなく、夫として妻としてわが身を振り返ってしまう。
欧米の夫婦って、日本の夫婦ほどパブリックでは悪口を言わないイメージがあるけど、
一皮剥けば・・・そこはいろいろあるんだよな。
約90分に及ぶ親同士の壮絶な戦いの後で映し出されるのは、
子供達が仲良く遊ぶ公園の風景。
ジワーッとおかしさがこみ上げてくる。
舞台劇の映画化は「死と乙女」などこれまでも手がけているロマン・ポランスキー監督。
今まで考えたことなかったけど、
ポランスキー監督って、舞台が狭くって、登場人物が限られている映画にこそ怪作快作が多いのでは。
ほとんどホラーの「反撥」、
変態だらけの「赤い航路」、
傑作スリラー「ローズマリーの赤ちゃん」なんてまさにそんな作品。
代表作「戦場のピアニスト」だって、ゲットーという狭い範囲が舞台だしね。