■「アリス・イン・ワンダーランド/Alice In Wonderland」(2010年・アメリカ)
監督=ティム・バートン
主演=ミア・ワシコウスカ ジョニー・デップ ヘレナ・ボナム・カーター アン・ハサウェイ
あまりにも有名な「不思議の国のアリス」。特にディズニーアニメ版は何度観たことか。19歳になったアリスを主人公に、物語の後日談をティム・バートンが撮ると聞いたときには期待と不安が交錯した。ティム・バートン監督作独自の世界観は「アリス」という素材に向いている気がするが、一方で監督が貫いてきたはぐれ者への愛情がどのように表現されるのか・・・ということ。結論としては、実にティム・バートンらしい世界観なんだけど、オリジナルの良さが随所に生きている。でも驚いたのは、クライマックスではアリスが鎧を身につけて戦っちゃうこと。RPGゲーム世代にも受け入れられるかな。
19歳となったアリスは幼い頃から繰り返しみる夢がある。それは幼い頃に訪れたワンダーランドの記憶なのだが、彼女はそこを訪れたことを既に忘れていた。商売で活躍していた父親が亡くなり、母親はアリスに結婚を勧める。だが彼女はそれを受け入れられない。そこへ表れたのが時計を持った白うさぎ。彼女は後を追って木の根元にある大きな穴に落ちてしまう・・・。ここからはオリジナル通り大きくなったり小さくなったりの展開(どうして大きくなっても服が破れない?・笑)。ティム・バートンはディズニーアニメ版をかなり意識しているように感じたがこの後出てくるいも虫のアソレムやチェシャ猫、トランプの兵隊などのキャラクターもかなりオリジナルのイメージに近い。アリスが迷い込んだ(再びやってきた)世界は、赤の女王が支配する暗黒時代。予言書にはアリスによく似た風貌の女性が危機を救うことが書かれていた。アリスがその救世主なのか?物語はアリスの成長を基軸に進んでいく期待を裏切らないいい話だ。でも期待以上だったか?と問われれば・・・超えるものではなかったのは確かかも。
僕は初めて3Dヴァージョンを観た。しばらく夢中になった「立体視」で全編鑑賞できるような印象。文字は画面から浮き出して何よりも映像に奥行きがある。臨場感があるからこういうファンタジー映画やホラー映画には向いている。でもだんだん慣れてきて奥行きがあることを意識せず映画に集中するようになっていたから、怪物ジャバウォッキー(クリストファー・リーが声の出演!)との対決シーンがどれだけ3D効果で迫力が増していたのかわからなかった。それくらい自然だったのか?。字幕版で観ない方が、3D映像を観察できたかもしれないね。アヴリル・ラヴィーンの主題歌もいい雰囲気だね。ヘレナ・ボナム・カーターはティム・バートンとつきあい始めて、コスプレが似合う女優からデフォルメが似合う女優になっちゃった・・・。ちょっとかわいそうに思えるのは僕だけ?(「眺めのいい部屋」が懐かしい)。でっかいハートの髪型は笑いましたが、ついでにお付きの者が黒いスペード頭だったらなお面白かったかも(それって韓国時代劇?)。