羽を休める鳥のように

きっとまた訪れる薄紫の夕暮れを待ちながら

たとえば、愛。

2010年11月12日 | Weblog
家族が購入したものだけれど、
うちにはテレビドラマの原作シナリオ単行本が何冊もある。
山田太一さんと倉本聡さんの作品で、たしかにわたしはみていた。
でも本まで買おうとは思わなかったし読みもしなかった。
家人が何故それを買い求めたのかは知らないが、
本棚の奥に眠っていたドラマの原作本はとても懐かしいものばかり。
でもいらないので「巡り合う小舟」に乗せておいた。
アマゾンで検索してぽつぽつと誰かが求めてくれる。

「たとえば、愛」は大原麗子さんが主演だった。
もらわれていくまえにきれいにしてついでにパラパラと読む。

冬子、何かを言いかけて、ふと黙る、
小さな酒場、古い演歌がながれている、、などなど、、
脚本ならではのト書き、会話、すべて情景がありありと浮かぶ。
これは面白い、と思った。
でも読む時間はなく小舟をだした。

「たとえば、愛」はもうひとりの主役(売れない小説家)が書いた、
応募作品だった。
そのタイトルだけください、と屈辱的な申し出をテレビ局(だったか?)から受ける。
彼は俯いている。やがて、くくくと小声で笑い出し、
そのうちひとりで大笑いになる。
「たとえば、青」ですよ、それ。僕がつけたタイトル。

そういうシーンがあった。
彼は原田芳雄さんだったと思う。

役者さんが決まっていて何となく覚えているから、
よけいに生き生きと甦って楽しめるのかもしれない。

この本棚、「脚本家になりたい」と言いだし、今も「映画」と名のつく
仕事場の端にいる長男に
影響はあたえたのだろうか。