病院へ行くと、「カメラがこっちを向いとった。何の撮影やったんやろ。」と、言う。自意識過剰の妄想か?
「この前、富士写ケ岳へ登ったんや。シャクナゲが綺麗やったよ。」と、言うと「富士写ケ岳か、いいんなあ。シャクナゲか・・・」と、話す。いつ登ったのかと訊くと「小学校6年や。また登りたいんなぁ。はは・・」と、笑った。寝たきりの父が「また登りたい。」と、言うのを聞いて何とも言えない気持ちになった。デジカメのシャクナゲを見せると「きれいやなあ。」と、言う。TVも観る気力がなくなったのだが、話は好きなので、しゃべると楽しそうだ。次回はタブレットを持って行って、もっと大きな写真をみせてあげよう。
頂上の深田久弥の方位盤を見て、「Aの親父と同じ顔しとるんな。」と、言うので「ほんとや。どっかで見たことがあると思ったわ。」と、ふたりで笑う。「深田久弥は、山梨の茅ケ岳で亡くなったんや。」と、言う。知ってはいたが「へーー、そうなんや。」と、言うと嬉しそうに、深田久弥の話をし始めた。今まで聞いたことのない久弥ネタだった。
その後、母を実家に送って行って実家の周りを撮った。今度父に持って行こう。
座敷から見える裏の山。
この道をもう見せられないのだろうか。
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