(前回からの続き)
歴史を振り返れば分かるとおり、権力は人々から金(ゴールド)を奪い取ろうとしがちです。それは独裁国家に限った話ではありません。典型的な例が自由と正義の国(?)アメリカです。前述したように、私有財産権がしっかり守られていると一般的には思われるであろう(?)かの国においてですら、1933年には米政府が国民に金を強制供出させるとともに、その私有を以降40年以上にわたって禁止し続けたわけです・・・って、それほど重大なことを法律ではなく大統領令ひとつでサクッと・・・
であれば、いま香港の人々が自身の金をシンガポールなどの外国に移送しようとする気持ちは理解できるというものです。香港に政治的なプレッシャーをかけているのが、国をあげて金をかき集めている中国ですから、もし香港に乗り込んできたら、ついこの間(?)アメリカがやったように、市民に対して金の強制買い取りをしないとも限りません。少なくとも金の海外への持ち出しを禁止あるいは厳しく制限するといったことはヤルでしょう(?)。そうなってしまったら香港市民は金と一緒に外国へ高飛び!ができなくなってしまいます。その前に「虎の子」の金を外国に先に逃がして・・・と考えるのは、道理にかなっているというものです・・・
・・・が、その金の移送先の国々は大丈夫か、つまり自分の金をしっかりと守ってくれるのか?については・・・まあシンガポールやスイスなどは中国などよりはず~っと安全で信頼ができるでしょうが、絶対とは言い切れません。理由は上記のとおりで、この2か国にだって国家権力が存在するからです。ということは、先述したアメリカのような理不尽なことをしないとも限らない・・・
ではどうして権力は金を欲しがるのでしょうか。このあたり、こちらの記事などに書いた、中国が金をかき集めている理由を考えると見えてくるものがあるといえます。つまり中国は、自国の通貨「人民元」・・・の価値の裏付けとしておもに米ドル資産を用いてきたわけですが、いまこれを金に置き換えていこうとしている最中です。なぜそんなことを中国はするのか、といえば、ドルそして米国債の価値がこの先、大きく下がる可能性が高まっている、すなわちインフレ(通貨価値の下落)リスクが目前に迫っている気配を感じているため・・・
そう、人々が金を持とうとするのは、インフレの危機が高まっているときです。これ誰にとっても同じです、個人でも法人でも、そして権力にとっても・・・