Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

必要なら整えるべき手続

2019-06-27 00:21:00 | ノンジャンル
G20関係の警備で、会場がある咲洲では住民も含めてすべて職質を行うと警察が公言しています。何かあってからでは遅いだけに当然の対応ではあるんですが、一方でそういう行動は、それが合理的な対応であるにしろ、根拠となる法令が必ずあるはずです。

これ、いかに当該の人が犯人だと分かっていても取り調べなどの手続が違法であれば「無罪」になるわけで、罪刑法定主義とならんで大原則である部分です。

じゃあ職務質問の根拠と言うと警職法第2条ですが、

(質問)
第二条 警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。
2 その場で前項の質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができる。
3 前二項に規定する者は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない。
4 警察官は、刑事訴訟に関する法律により逮捕されている者については、その身体について凶器を所持しているかどうかを調べることができる。


第1項を見ればわかるとおり、「異常な挙動その他周囲の事情」をベースに、「何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者」を対象とすると定義されています。

歩いているだけで職務質問というのは明らかにこの定義に反するわけで、そうなると第1条第2項で戒めている行為そのものになります。

(この法律の目的)
第一条 この法律は、警察官が警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)に規定する個人の生命、身体及び財産の保護、犯罪の予防、公安の維持並びに他の法令の執行等の職権職務を忠実に遂行するために、必要な手段を定めることを目的とする。
2 この法律に規定する手段は、前項の目的のため必要な最小の限度において用いるべきものであつて、いやしくもその濫用にわたるようなことがあつてはならない。


よく指摘される秋葉原などでの「オタク狩り」的な職質にしても、その建前は維持されているというのに、今回のそれは建前すら無視することが公言されていることに問題を感じます。
もちろん各国首脳の訪問を無事に全うさせる至上命題は十分理解できるものですが、であればその職質にきちんとした法的根拠を与えるべきでしょう。ドローン規制で都心などの主要部への飛行禁止をカバーするために、あれほど各種法令の手当てをしているのと比較しても、今回の対応はザルに過ぎるわけですが、弁護士でもある維新の黒幕はどう考えているんでしょうね。招致して厳重警備の原因を惹起しておいて、違法職質には目を瞑る、なんて対応だったら、弁護士の風上にも置けない対応にしか見えませんが。



実効性を優先する対応

2019-06-27 00:20:00 | 時事
「法の抜け穴(抜け道)を突く」という嫌な言葉がありますが、明示的に禁止されていなければ何をやってもいい、というスタンスは「違法」ではないとはいえ、それを積極的に肯定する気にはなれません。

そういうモヤモヤというか、はっきり言えば制度や法令の不備を放置する方の問題もまた厳しく問われるべきですが、ここに来てそういう「抜け穴」を積極的に塞ぐことで事実上侵害されている側を保護する動きになっていますね。

事実上特定個人による商標の大量出願に対し、申請料の納期限を悪用していた箇所を塞いで、大量出願に見合う申請料の納付が必要としたことで対応しましたが、そういったピンャCントの対応は「法の下の平等」を考えると微妙ながら、そうしないと社会全体の公平が保たれないという判断に舵を切っています。

今回その流れで効果的な対応を官民の両方で見たわけですが、まずは「チバニアン」の研究者の嫉妬的な横槍で地権者から賃借権を取得し立入りを拒もうとしている件につき、地元の市原市が天然記念物の管理者として学術研究での試料採取を目的とした立入り規制を禁止する条例を制定するそうで、登録に支障しないように速攻で制定する動きには、時間がかかれば妨害者の勝ち、というやったもん勝ちを封じる姿勢も好ましいです。

民間では家電量販店によるフィギュアの予約販売における「転売屋」締め出し。
外国人を大量に雇ったり、あるいは外国人が自分で高値転売が期待できる商品を買い付けるために、絶対にその商品の客層でない人が行列しているシーンが目に余りますが、京都のヨドバシであからさまに並んでいたそういう手合いを念頭に、商品名を言う、商品の画像を提示する、という条件を課して転売屋を閉め出したそうです。

これは「外国人差別」にすり替えた批判を流布させようとする勢力がなんとも香ばしいのですが、日本人も含めて明らかに転売目的あるいは転売屋の手先という連中が行列の大宗を占める光景が日常茶飯事になる中で、各種チケットを念頭に置いたネットオークションでの転売行為への規制を新設した際にこのジャンルをカバーしなかったことは、水平展開能力の著しい欠如を示すものですが、本来は当然このような行為も規制すべきです。

「抜け穴」が塞がれていない状態での対応は実効性を優先すべきであり、こういうケースはどうなる、と重箱の隅をつついて結果として規制そのものを先送りさせてしまうのは、規制されて困る勢力ではないかと疑いたくなる話です。未成年者の飲酒喫煙問題で、年齢確認が取れない場合は一切販売しない、という対応で、「親のおつかい」も例外にしない、という対応は、普通にあるケースを排除してしまったわけですが、実効性を優先する姿勢そのものであり、不便を甘受するコンセンサスを得られたわけで、本件のようなケースも「本当に欲しい人」に公平に行きわたるという大義のために若干の不自由は甘受しようというコンセンサスを確立させたいところです。

この手の転売屋を封じる対策としては、2014年に発売された際に大量の転売屋による行列で大混乱となった東京駅100周年記念Suicaの騒動後の対応のように、購入希望者総てに販売することでプレミアムが事実上ないようにすることが実効性が高いのですが、プレミアム感を煽らないと購買意欲を誘発できないので、販売する側から見たら転売屋が多数並ぶ方がありがたい、という感覚ではないかと邪推してしまいます。

その意味では今回の対応はまだまだ改善の余地はあるものの、メジャーになりうる対応でしょう。例えば購入等の受付で「質問」をして回答できない客を排除する。一発勝負は酷なので3問くらい用意して1問でも回答出来ればOK、とすれば、少なくとも対象物を知らない人による120%転売目的の購入は排除できます。

質問は多数用意しランダムに提示する。受付にタブレット端末を置いて表示して(=多言語対応も可能)対応する。運悪く答えられなくて諦める「本当に欲しい人」もなかには出てくるでしょうが、それは「修行が足りない」と諦めるしかないでしょう。その「質問」が回答できないのであればしょうがないよね、というレベルで十分ですから。