Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

手段を選ばぬ、でいいのか

2012-02-26 18:33:00 | 時事
大阪市長の「怪進撃」が止まりません。
まあ府知事になってみて、政令市は事実上管轄外だから、「府市合わせ」、いや、都構想で権力簒奪をはかり、市長になったのはいいですが、どうも「事。」が少ないようで、早くも国政を狙う発言で世間をにぎわしているのを見ると、府政や市政は自分の権勢欲のための道具にすぎないと言わんばかりの扱いであり、そういうトップを仰ぐ住民が不幸せです。

そうは言いながらも結果を出さないと飽きられるということなのか、一番簡単な「敵」を叩くことで人気を上げようとしています。要は労組問題ですが、確かに府や市の労組の質もひどいもんですが、ではだからと言ってやっていいことと悪いことがあるのは雇用、この場合は行政側も同じです。

住民、有権者が喝采するから何でもやっていいのか。特に問題なのはアンケートとメールの問題であり、普通の企業でこれをしたら労務担当の重役は首が飛んでもおかしくありません。

企業だってやっている、という人もいるかもしれませんが、少なくともあの手のアンケートは論外ですし、気をつけるように、と管理職1年生の時に教育されるようなテーマです。
メールにしても、確かに企業は社用メールの中身を監視はしていますが、もっともらしい理由をつけていますし、批判を受けないように定期的、継続的にやることで、何か意図をもってやっているということがないようにしています。

要は今回問題なのは、反組合のスタンスで取り組んだということです。
第三者委員会の弁護士はさすがに問題と気付いたのか市長の発言を否定していますが、市長がひとたび「この目的です」と言った以上、どう取り繕ってもそれは違法行為であることを誤魔化す方便にすぎない、と見られます。

もともと弁護士であり、行政庁のトップとなった現在は、法令順守は厳しく問われる存在ですが、日本第二の都市のトップが法令順守をないがしろにしているというのは論外です。あの阿久根の前市長もたいがいでしたが、今回はまさかのそのスケールアップ版です。
法律家であれば法律や政省令のほかに、通達や指導も法体系の中にあり、順守すべき対象であることは分かっているはずですが、通達はおかしいと思う、という理由で強行した発想を疑います。

おかしいのであれば裁判所の有権解釈を仰ぐ道もありますが、負け戦必死の状態であれば、訴訟費用に賠償金と税金の無駄遣いでありこれも論外です。
とにかく、「俺はこう思う」で行政を取り仕切っていること自体が論外なのです。

それでも喝采を送る人が少なくないのが現状ですが、間違った手段を結果が正しいからと許容しても、それは結果への信認ではなく、手段への信認なのです。
間違った手段を容認してしまったことで、その手段で「間違った結果」を惹起したとしても、既にその手段を容認、追認してしまった以上は文句が言えません。





年金世代のわがまま?

2012-02-26 18:12:00 | 時事
企業年金を預かっていた投資顧問会社がその大半をスッていたというニュースに騒然としてますが、収入が伸びず、金利も低い現状では老後が心配です。
現役世代にとっては収入が増えるファクターになるのはやはりインフレであり、長く続いたデフレの弊害というものに大半の現役世代が気付いていると言えます。

そうした中、円高対策として発表されたインフレターゲットを打ち出したことについて、先週の朝日の投書欄に現役世代の神経を逆なでするような老人世代の投書がありました。

デフレで何が悪い、物価が安くなって結構じゃないか、と言ってインフレターゲットを批判しているのですが、要は何があっても収入が事実上固定化されている年金世代だから言える戯言です。

年金は本人が積み立てたものを運用すると言うよりも、世代間の仕送りですから、年金受給権が確定したら後はどう取り崩そうが足元の景気には影響しないのではなく、足元の景気状況によって年金保険料の収入が減少するといったファクターで「逆さや」が拡大するのです。いや、低金利、景気低迷で運用益の低下も加わり、年金収支は悪化の一歩です。

ですから本来は足元の景気動向に厳格に連動させないと、世代間仕送りにより払込と受給に著しいアンバランスが生じるのです。

現役世代にとってデフレは麻薬です。物価の低下が先行して生活が楽になったように見えますが、時をおかずに物価の低下による企業収入の低下となり、労働分配の低下となり、低下した可処分所得と低下した諸物価が釣り合うというデフレスパイラル地獄に陥ります。
しかも、そこには物価低下に連動しない費目も多く、結局は生活が苦しくなるのです。

そもそも老人世代を支えるためには現役世代が増えなければいけないのですが、結婚して子供が出来る、という時点で家計は成長しますが、収入が成長しなくなって久しいです。年功序列はケシカラン、というのは簡単ですが、中高年までの間は年相応に支出が増えるのであり、それに労働分配が対応しなくなれば、結婚や出産をあきらめると言うように、社会そのものが壊れていきます。

一定のインフレはそれを解決していく数少ない手段ですが、年金受給権者が逆に実質収入が目減りするとして反対しています。しかし、年金受給権者と現役世代のどちらを重視すべきなのかを考えれば答えは自明です。

もちろん年金受給権者が生活苦になるようだと、現役世代に不慮の負担がのしかかりますが、少なくとも人並みの生活が出来るレベルであれば、それを景気連動にすることはためらってはいけません。
問題なのは老人世代がため込んで離さない資産であり、一定の年齢以降は資産課税を強化して、リバースモーゲージ的な年金設計にするとかしないと、現役世代との格差が広がる一方なのにさらに世代間の仕送りという事態になっては、誰も年金を払わなくなります。