Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

台湾新幹線の逆進出

2007-09-30 23:14:30 | 交通
2007年1月に開業した「台湾新幹線」こと台湾高速鉄道(台湾高鉄)。
日本の新幹線を海外に移植した最初の例(中国で走っているE2系タイプの列車は車両のみの輸出)として話題になりましたが、その内実は、特に運用面においては、フランス、ドイツの欧州方式での導入決定からの紆余曲折で日本方式にシフトしたことによる「木に窒pいだ」と評さざるを得ない代物と聞いています。

とはいえ車両は700系そのものの700T型であり、在来線と軌間の違う完全別線の新線による運行は日本の新幹線システムそのものです。そういう意味では、まさに「遂に海を越えた新幹線」なのです。
そのせいか、車両が輸出された時や、開業時に日本のメディアがけっこう取り上げたのも、「日本の新幹線」の海外展開として親近感を覚えたからでしょう。

さてそう考えているのは日本だけではないようです。
最近JR西日本の通勤電車の戸袋部に、台湾の観光キャンペーンのシール広告が掲出されています。
「Wish to see you in Taiwan」と銘打ったキャンペーン、2007年度の台湾観光キャンペーンなんですが、台湾を代表する人気ユニットF4をイメージキャラクターにしており、広告もF4の4人が台北の夜景?をバックに微笑みながら手招いています。


(戸袋部の広告。なお接写機能が弱いのでピンボケなのはご容赦)

そしてそのキャッチコピーは「新幹線で台湾を遊ぼう!」ときました。
台湾高鉄の700T型の姿がF4が手招くなかにあり、台湾へ誘う要素として「新幹線」を重視していることが分かります。
日本人はけっこう海外の高速鉄道を観光要素として見ていることが多く、普通の観光ツアーでもTGVやICE、ユーロスターに試乗する内容になってたりするのですが、そうしたときに我が国のほうで「フランスの新幹線にご乗車」と宣伝しています。

これなら分かりますが、台湾のほうから「台湾高鉄」ではなく「新幹線」と売り込んでくるのは、一衣帯水、同文同種じゃないですが、「日本の新幹線」(の「そっくりさん」ではなくそのもの)が走っているということを日本人にアピールする戦略でしょう。

一国の技術とプライドという意味では微妙なものがありますが、技術同様に観光も外貨を稼ぐという意味では重要です。隣の経済大国である日本に対するアピールという意味で、「日本の新幹線」を採用したことを十二分に生かそうとするしたたかさを感じました。