庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

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原発ゼロは最終的には核兵器の廃絶につなげる戦略に。

2012-09-10 | 核エネルギー・原子力問題
日本の原子力エネルギー利用の長期戦略としては、高レベル放射性廃棄物の最終処分方法を、どの様に開発して処分地を決定するかが、キーポイントである。
この最終処分と廃炉技術の開発が、原子力エネルギー産業にとっての責務であり、この為には、原発関連技術の維持と人材育成が必須となっている。
原発ゼロに向けて、54基の廃炉と再稼働の選択は、この様な長期の重要課題の面からも含めて、多面的に研究して選択して行かなければならない。
電力が足りるか、とか、電気料金がどうだ、とかの、短期的な面ばかりを取り上げるのは、賢くない議論である。

もっと重要な面での検討は、原子爆弾、水素爆弾など、核兵器の軍縮と最終的な廃絶への超長期の最重要課題がある。
原発はもともとは核兵器増強競争の中から、アメリカの軍事産業の都合を優先して、「平和利用に転用」の名目で盛んになってきた。
日本の政府も「平和利用の美名」のもとに、軍事転用などは全く意図しない、としながらも、核兵器装備の潜在力を持つために、国策としてきたのである。
ところが、今や核軍縮をするための障害となっているのが、大問題である。

イランは、原発が必要だからとの名目で、着々と核兵器の開発を進めている。
インドは既に核拡散条約を破って、核兵器を保有し、原発も増設の一途である。
【原発という隠れミノ】があるために、核兵器の軍縮が困難になり、世界は不安定なままに核武装を目指す国が増えて、核戦争の脅威は増大しかねない。

この様な世界情勢のなかで、日本だけが「原発ゼロ」にすれば、安心な生活が出来ると考えたら、それこそ「お目出たいひと」と軽蔑される。
世界の核兵器軍縮と、最終的には廃絶に向けての道筋が出来てこないうちは、原子力エネルギーの平和的で安全な管理が出来ないのである。

日本での「原発維持擁護論者」のなかには、この視点で「原発ゼロ論者」を、浅はかな論理しか持たない思考だ、と批判をしている。
しかし、批判はできても、「どのような戦略で核兵器の軍縮に向かわせるか」の提示は、今のところ皆無である。
筆者も世界の核兵器軍拡の実態を知らないので、適切な批判も提案も出来ない。

この様なことこそ、中央政府は真剣に長期的戦略で取り組む責務がある。
しかし今の中央政府は、地域に任せるべきことばかりに時間を浪費して、安全保障や外交問題、軍縮問題は、体裁をつくって先送りしか出来ないノダ。