いろはに踊る

 シルバー社交ダンス風景・娘のエッセイ・心に留めた言葉を中心にキーボード上で気の向くままに踊ってみたい。

昔 話 53編

2005年08月23日 08時14分00秒 | 娘のエッセイ
 今は昔、竹取りの翁といふ者ありけり……という書き出しで始まる『竹取物語』
を始めとして、日本の昔話はなんとSFテイックなのだろう。鬼も天狗も、そしてか
ぐや姫というかわいらしい名の宇宙人まで登場するのだから。

そしてその物語の中に流されているのは、素朴な優しさや純粋な願いだったりす
する。

 例えば永遠の美しさを願い、願かけをした結果、湖の龍と化してしまった田沢
湖の辰子姫の話。もし、辰子が現代まで生きていたならば、彼女は皺とりの美

容整形手術を受ける為に、せっせと貯金をしたのだろうか?(うーんグロテスク
な話になりそう)

 また、心優しいおじさんが、雪降る夜に売れ残った笠を地蔵さんにかけてあげ
た『笠地蔵』。これなど、今の若者達に言わせれば、「売れ残ったなら、翌日に
売ればいーじゃん」と言われそうだ。

なにせ、『情けは人の為ならず』を、情けは人の為にならないから情けをかけち
ゃいけないと解釈する世代である。(情緒も情けも信仰もあったもんじゃない)

 そして、野菜を残す子供達のもとに「もったいな~い」と言いながら出没する
『もったいないお化け』。こんなお化けがいてくれたらどんなにいいか。

この時期に水道全開、水ジャージャーのまま歯磨きをする無神経な会社の女の
子のもとに、ぜひとも「もったいな~い」と言いながら出没して欲しいものだ。

 昔話の中には、古き良き日本がたくさんある。それらのものを進歩と引き換え
に少しずつ時代に売り渡してきた。しかし実はそれを今、買い戻したいと思いは
じめているのではないだろうか?

 某局の『まんが日本むかし話』がエンドレステープのように放送され続けてい
る。大人たちは、その物語の中に流れる、温かな人と人の関わりが羨ましくて
見続ける、そんな気がする。

 でもそれは、無いものねだりなのかもしれな。
コメント (2)
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