なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性心筋梗塞で大変だったと

2016年01月06日 | Weblog

 昨日の昼過ぎに45歳男性が血痰を主訴に内科新患を受診した。内科の若い先生が担当だったが、心電図を持って医局にバタバタと入ってきた。循環器科医にコンサルトして、いっしょに外来に慌ただしく向かった。心筋梗塞かなと思ったが、まあ専門医にお任せなのでそのまま他の仕事をしていた。

 画面でCCUに入院になったので、心カテ後に入院するんだろうと思った。夕方にどうなったか確認しようと循環器科病棟の画面を開くと、その患者さんはいなかった。情報提供書の項目を開くと、急性心筋梗塞・急性心不全で大学病院循環器科に搬送していた。今日のお昼に当事者の循環器科医が医局のラウンジにいたので、昨日の状況を聞いた。

 主訴である血痰は、急性心不全・肺水腫による泡沫状血性痰だった。心電図ではⅠ・aVLがQSパターンで、V2-6でSTが低下していた。胸部X線では肺水腫の所見だった。心カテの画像を見ると、左冠動脈の前下行枝は全体がチリチリと糸状に狭窄している。心エコーで前壁が薄くなっていたので、半年以上前にまず前下行枝領域が障害されたと判断されるそうだ。今回は回旋枝が閉塞したが、閉塞部から末梢までずっと糸状に狭窄していた。PCIでワイヤーが通らず、処置できなかったので、搬送したという。合わせると左冠動脈本幹が詰まったのと同じ状態に陥ったことになる。右冠動脈は全体的に不整だが、狭窄は軽度だった。

 大学病院循環器科に電話したところ、若い先生が出て、なかなか話が進まなかったそうだ。知り合いの虚血グループのトップの先生に直接繋いでもらったという。それでも、入れようとした大学救急部のベットに外傷の患者さんが先に入ってしまったり、大学のICUだと麻酔科管理になるため、循環器科CCUを(無理に?)開けてもらったりと、、決まるまで30分待つことになった。大学病院なら何とかなるかというと、大学で治療しても厳しそうだという。確かに、閉塞部から末梢まで高度に狭窄していると、どうするのだろうか。

 なんでもパニック障害として精神科クリニックに通院していたそうだが、症状の動悸や失神は心臓の症状だったのではないかという怖い話だった。

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