なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ありふれているようで、なかなかの歴史あり

2016年11月15日 | Weblog

 今日は少し時間があったので、あまり深く診ていない?入院患者さんの既往歴を確認していた。

 76歳男性が1週間前に救急搬入された。一人暮らしで、近くにいる妹さんが世話をしていた。朝方にベットから落ちたらしい(落ちていたところを発見された)。嘔吐も1回あった。疼痛部位を聞いても要領を得ないが、脊椎圧迫骨折・大腿骨頸部骨折などはなかった。発熱があり、検査すると筋原性酵素と炎症反応が上昇していた。

 2年前に急性心筋梗塞(下壁)を発症して、胸痛は自覚せず、心不全症状が進行してから入院した。循環器科で治療していったん改善したが、頻脈性心房細動をきたしてから増悪してしまった。心臓センターのある病院に転送されて、PCI治療などで軽快して戻ってきた。この既往があるので、急性心筋梗塞再発が考慮された。心電図、CK-MBなど総合的に判断して、心臓ではなく打撲による骨格筋由来ということになった。心電図では以前と変化がないが、Ⅱ・Ⅲ・aVFにpoor rを認め、Ⅰ・aVl・V5-6にST上昇様の変化があって、側壁梗塞を示唆して気持ち悪い。

 胸部CTでみると、右肺下背側に胸水とそれに接した浸潤影様の陰影がある。左にもわずかに胸水があり、心不全としての所見なのかもしれないが、他に感染巣もなく、肺炎・胸膜炎疑いとして経過をみることになった。抗菌薬投与で炎症反応は順調に改善して、抗菌薬は中止した。筋原性酵素も正常化した。タール便が出て、上部消化管内視鏡検査をしたが、線状びらんのみで顕性出血はなかった。その後タール便はなくなり、貧血も改善した。発作性心房細動で抗凝固薬とPCI後で抗血小板薬が出ていたが、いったん両者を中止して、抗血小板薬だけ再開している(普段はずっと洞調律)。

 この方は内科医院(高齢の先生が亡くなって廃院)に通院していて、6年前に当院に紹介された時の紹介状に(別の症状で)、リウマチ様関節炎でプレドニン10mg/日が処方されていた。4年前に顔面の蜂窩織炎で入院したが、その時に担当医になった。抗菌薬投与で順調に改善して退院した。処方に関しては継続として、いじらなかった(再評価しなかったというのが正しいか)。

 その1か月後に発熱で入院した、内科の若い先生(その後退職)が担当した。入院したのは知っていたが、直接診ていなかった(臨床力があるので任せられるから)。退院時サマリーには、発熱・肩肘関節痛があり入院とある。抗菌薬は使用せず、リウマチ性多発筋痛症の増悪として、プレドニンを10mgから20mgに増量して軽快したとある。その後外来で継続して診ていたが、申し送りのサマリーには、「リウマチ性多発筋痛症疑い。可能ならプレドニンを漸減して下さい(プレドニン8mg/日)。」とあるので、診断自体本当かという気持ちだったようだ。

 入院時の症状は改善して退院するだけだが、一人暮らしで以前より認知力低下が目立ち、施設入所の調整が必要になりそうだ。プレドニンをどうしようかと思った。明らかに関節リウマチらしい関節所見はない(MCP関節、PIP関節は問題ない)。プレドニンを増量した時の肩肘というのが疑問だ。偽痛風のような気もする。プレドニンを増量して効いたというのが合うのではないか。まあ10mg/日内服継続で増悪があるかというのもあるが。この方はずっとCRPが陰性になったことはない。今回も血沈は70mm/時と高値だった。

 関節リウマチをプレドニンだけで診ていた結果のような気もするし、よくわからない。プレドニンを漸減中止を目指すのか、若干漸減して5mg/日くらいで継続が無難なのか。どちらも根拠はない。それにしても、内科医院でのプレドニンを処方する前の最初の所見はどういうものだったのだろう。本人に訊いても、もう覚えていない。

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