なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

低カリウム血症

2023年09月27日 | 水電解質・輸液

 2021年9月20日に記載した低カリウム血症の現在58歳の女性は、県庁所在地に引っ越した。大量のカリウム製剤を含む処方は1か月分処方だが、週に2回カリウム製剤を入れた点滴をしている。

 引っ越す前に、近くの病院への紹介を希望された。車で当院までは1時間弱かかるし、そもそも腎臓内科の専門医がいる地域から当院に通う理由もない。

 ところが引き受けてくれる病院がなかった。最初は腎センターのある病院を希望されたので、紹介したが、断られてしまった。そのような病気を診た経験がないということだった。(当院はさらにないが)

 別の病院2か所にも紹介してみたが、やはり断られてしまった。それで大学病院腎臓内科に紹介して、大学病院で治療継続は難しいだろうから、関連病院に紹介してもらうことにした。(上記の3病院も関連病院で、当院に応援に来た時に診てくれた先生も非常勤で入っていた)

 大学病院の外来では、以前入院した時のことを覚えている先生が診てくれたそうだ。すぐに返事はできないが、治療継続できる病院を検討しますといわれたという。 来月中にはなんとかしてもらえるようだ。

 

(2021年9月20日の記事、若干修正)

 退職した内科の女性医師から、低カリウム血症の56歳女性が回ってきた。

 2年前(2019年)の4月末に内科医院(当市の隣の隣の町)から、低カリウム血症による脱力で地域の基幹病院に紹介されて入院していた。食事摂取ができるようになったところで退院となり、内科医院に戻された。

 内科医院では、カリウム製剤投与でも低カリウム血症が続いて困ったのだろう。同年7月に医療センター内分泌・代謝科に紹介していた。そこの産婦人科に子宮筋腫で通院しているということからの紹介だった。基幹病院はこういう症例に関心がないので、少しでもつてのある病院に回したということなのだろう。

 尿細管異常を中心に精査されたが、診断はつかなかった。利尿薬の乱用や自己誘発性嘔吐が疑われて、精神科に紹介したりもしていた。それらが否定的な状況でも、低カリウム血症は改善せず、カリウム製剤を基本的には内服で、悪化時は点滴で入れるしかなかった。

 また内科医院に戻されてしまった。それで同年12月に当院に紹介された。当院は透析病院だが、当時腎臓内科の常勤医はいなかった。大学病院から週1回腎臓内科外来の診療に来ていて、その先生は透析も診てくれる。それ以外の日は、日替わりで透析担当医が来ていた。

 内科の若い先生が入院担当となって、カリウム製剤を点滴静注で入れていた。点滴で入れている時はいいが、やめると低下するので、大学病院の腎臓内科に紹介した。

 やはり診断は付かず、当院の外来で点滴を継続することになった。大学病院のポストの問題で(医師3名に対して給与の出るポストが2名分しかない)、腎臓内科所属の3人が一人ずつ交代で1年間当院で診療をしていた(入院は診ないので、入院は内科の若い先生が担当)。

 腎臓内科医が、大量のカリウム製剤とカリウムの入った点滴を行う形にして、なんとか低カリウムによる脱力が起きない程度(カリウムが2の前半から2.5くらいで2未満にはならない)に維持できるようになった。(カリウムを混合した500mlの点滴3本をぎりぎりの速度で入れるので、外科医に依頼してCVポートが入った)

 腎臓内科医が来なくなったので、内科の若い先生(入院で診ていた先生とは別)が外来で診ていた。その先生が退職するに当たって、毎週腎臓内科外来に来ている大学病院の先生は関心を持たないだろうということで、当方に回ってきたのだった。

 毎日カリウム製剤を内服して、週2回は外来で半日かけてカリウム製剤入りの点滴をしているが、低カリウム血症は継続していた。

 大学病院で分からないものが、当方にわかるはずもない。悪化した時は入院で毎日カリウム製剤を点滴ということになる。また悪化する時は大学病院の腎臓内科に紹介する、という方針で診ている。

 点滴に来ている時には検査値を確認して、患者さんに簡単な説明をしていた。しだいに血清カリウムが2.5から3.0の間に維持できるようにはなってきた。

 低カリウム血症の診断アルゴリズムでやっていくと、Bartter/Gittelman症候群に行きつくが、よくわからない。

 

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