なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性心膜炎

2023年09月26日 | 循環器疾患

 9月15日金曜日に地域の基幹病院循環器内科に紹介した88歳男性の返事が来ていた。病名は急性心膜炎となっていた。

 

 この患者さんは2020年2月7日にリウマチ性多発筋痛症(PMR)で入院している。約1か月間上下肢の痛みで鍼灸院に通院していたが、良くならなかった。その日は体動困難となって救急搬入された。

 両側肩・両側腰部から大腿部の痛みがあり、炎症反応も上昇していた。普通PCRは発症1週間くらいに受診されるので約1か月我慢しての受診は珍しかった。

 鑑別(菌血症)のための血液培養2セットを提出して、プレドニン15mg/日で開始した。約1週間かかって、症状は軽快していった。

 外来治療ではプレドニンを漸減していき、5mg/日で2年間継続してから1mgずつ漸減して中止した。2022年6月に終診としたが、再発する可能性があり、その時はすぐに受診するよう伝えていた。

 

 9月15日はPMRの再発かと思っての受診だった。2日前から両側肩の痛みがあり、前胸部の重苦感もあるようだという。住所は市内だが、車がないとすぐには来れない。電車(一駅だが)とバスで病院まで来ていた。

 下肢の症状はなく、普通に歩行できる。両上肢は普通に挙上できた。これはPMRではない。

 血液検査では白血球9500・CRP13.3と炎症反応が上昇していた。筋原性酵素の上昇はなかったが、心電図でⅡ・Ⅲ・aVFで軽度のST上昇があった。胸部X線では以前と比べて心拡大が軽度にある。

 循環器内科に連絡すると、すぐに救急搬送するようにといわれた。急性心筋梗塞にしては変だと思いながら搬送した。急性心膜炎といわれれば、なるほどなのだった。

 心エコーで心嚢液貯留と大動脈弁狭窄(AS)を認めたそうだ。心臓カテーテル検査で冠動脈の狭窄はなかった。NSAIDs投与ですみやかに改善して、退院となっていた。外来でASのフォローをすると記載されている。

 

 できれば、Ⅱ・Ⅲ・aVF以外の誘導にもST上昇がほしかった。ふだんは年齢の割に身体も認知力も問題ない方で、我慢強い。再発した時はすぐに受診するように、と言っていたことだけは多少役立ったのかもしれない。

 

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