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Chang! Blog
福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです




 三連休帰りの人で込み合う東京駅。人の波を掻き分け、京葉線ホームに向かった。次なるターゲットは、新旧房総特急乗り比べ。房総まで行きたいのはやまやまだが、そんな時間もないので、蘇我までの試乗である。

 17時ちょうど発の「わかしお19号」は、5両編成。首都圏の特急としてはいささか寂しい気もするが、房総半島の特急利用者は減少傾向。短編成化はもちろん、アクアラインの影響をもろに受ける内房線に至っては平日昼間の列車が季節列車化されてしまっている惨状だ。

 車両は中央特急と同型のE257系。青・白・黄色に塗り分けられた房総カラーはお洒落で、中央線とはまた違った印象を受け華やか。ただし貫通路むき出しのマスクは、スマートさに欠ける。もう少し、なんとかならなかったのかな。

 車内も爽やかな青のシートに、荷棚上の黄色がアクセント。サニタリ周りが思いの他重厚な作りで、特急車としてのグレードも充分。最近のJR東日本の特急は「軽い」との評価があるが、個人的には嫌いじゃない。

 地下を走った「わかしお」は、京葉線の高架に躍り出た。11月末とあってすでに夜の帳はほとんど降りているが、わずかに赤く残った空に、TDLの観覧車がライトアップされ、いいアクセント。左手には京葉道路が平行し、都会的な夜の風景だ。

 30分少々を乗り通し、蘇我下車。すぐさま東京方面ホームに移り、待ち受けたのは「新宿わかしお」。かつては「ビューわかしお」と呼ばれた255系電車による運行である。こちらは9両と長いが指定席の占める割合が大きく、自由席は込み合っていた。最後尾まで行くと余裕があり、ワンボックスを占拠する。

 E257系より一世代前で、まだ「重厚さ」を感じられていた世代の車両。青色の座席には厚みがあり、比較的ふっくらしたすわり心地だ。青色の座席だが、全体の色使いは比較的地味に感じられた。E257系にはないグリーン車は4列配置で、普通車より少しゆったりしているかな?と思える程度。

 新宿わかしお号は、「成田エクスプレス」に追われた定期わかしおと異なり、総武線経由。総武線各駅での下車・乗車とも多く、選ばれて乗られていることが分かる。今しがた通ってきた幕張の街並みが、遠く闇の中に映る。

 最後尾のデッキからは流れる夜景を楽しめて、「ビュー」の面目躍如。次第に古びた鉄橋が増えてくれば、電気街の中心・秋葉原着。通常は黄色い緩行電車の発着ホームで、特急電車から降りるのは新鮮な感覚だった。
つづく
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 都内へは新幹線で戻ってもよいのだけれど、ちょうど在来線の特急「草津」が走る時間なので、こちらに乗車した。昔ながらの温泉地は流行らないというが、3連休最終日に草津温泉から帰ってくる数少ない電車というわけで、自由席は熊谷でちょうど満席に。我々3人は、デッキに座り込む。「特急・普通兼用」という思想では373系の先輩格にあたる185系だけに、デッキは広い。

 塗装を変え、座席もリクライニングシートに交換して、一応「今風の特急電車」に装いを改めている185系だが、国鉄の匂いを強く感じる車両だ。マット式だった跡が残る自動扉や、レバー、つまみ類のごつさなどなど…雰囲気だけでなく、実際に洗面台周りなどからは、ブルートレインや0系新幹線などで感じたものと共通する「匂い」がする。

 グリーン車などは、4列の国鉄型座席そのままで、よく今時この設備で料金を取れるなと思うが、ファン的視線では貴重なものとも言えそう。まだまだ引退まで間がありそうだが、最後の国鉄型車両として脚光を浴びる日も、遠くないかも。

 デッキで存分にモーター音を楽しんだというわけで、大宮から東京へは新幹線に転向。やってきたのは、200系新幹線リニューアル車による「とき」だった。

 外観が「団子っ鼻の新幹線」のイメージを色濃く残すだけに、あまり内部も変わっていないだろうと先入観を抱いていたのだが、驚いた。座席の交換に留まらず、壁から天井まであらゆる部分に手が加わっており、詳しくない人ならば新車と言っても分からないだろう。「白鳥」用485系のリニューアルにも感嘆したものだが、そのレベル以上のリニューアルと感じた。
つづく
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 横川駅では、これがないと始まらないとばかりに「峠の釜飯」を購入。11年前に通ったときは、高校生の極貧旅行だったので、手を出せなかった名物である。

 高崎までの電車は、115系湘南色の3両編成。九州人の僕にとって湘南色にそこまでの思い入れはないものの、東海道沿線の子の雄介君は大興奮!クロスシートに座り、釜飯をほおばる気分は、現代ではなかなか贅沢な時間だと感じた。

 高崎では八高線に乗り継ぎ。クロスシート主体のキハ110系で、個人的には大好きな車両なのだが、さすがは首都圏で結構な混雑だった。

 八高線の印象は、まさにありふれたローカル線。平野を貫く非電化の単線を坦々と、時々列車交換しながら走る姿は、筑肥西線のような、久大本線のような、日田彦山線のような。しかし、東京からほど近い場所というところが貴重。近くで旅気分をということで、人気なのだろう。

 寄居駅で下車。のどかな雰囲気の駅ながら、東武と秩父鉄道が集うターミナルだ。日帰りパスで秩父鉄道に乗車可能なので、短区間ながら熊谷まで乗車する。

 やってきた電車は、元国鉄の101系通勤電車の譲渡を受けた、1000系電車。塗装こそ塗り変わっているものの、古びた扇風機がぶら下がり、重いモーター音をひびかせ、青いロングシートが並ぶ車内は、国鉄型通勤電車の系譜を受け継ぐ。そして本家JRからは消滅した形式だ。

 ローカル私鉄のイメージを抱いていた秩父鉄道だが、思いのほか混んでいて、車両も相まって都会の昼下がりのよう。ハイキング帰り、部活帰り、そして「110周年ありがとうフェスタ」へ出かけた人も多かったのだろう。

 熊谷駅では、対向ホームにオレンジ色の電車が待っていた。これこそ、引退を間近に控えた「101系」最後の晴れ姿といえる、旧国鉄色復元編成の一つである。なかなか粋なことをするもので、沿線にもカメラを携えたファンが目立つのも、この電車の効果だろう。イエロー、ブルーの他、旧秩父鉄道色も再現されており、SLに乗りにくるがてら、また訪れたい路線だ。
つづく
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 高原リゾート軽井沢見物に食指が動かぬわけではないが、我々鉄っちゃんの踵は、JRバス乗り場へ向かう。横軽代行バスに乗り、横川へ下るのだ。

 鉄道路線網から消えた1駅間を結ぶバスは、両駅しか停留所がないため、500円の運賃は前払い。日帰りパスの効力外なので、運賃を払う。ざっと半分程度の乗りで、軽井沢駅を出発した。

 対向車線は、アウトレットに入ろうとする車で大渋滞。高速1000円で変わった人の動きを紹介する時、きまって在京テレビ局が映していた場所だが、なるほど違いはなかった。横川から上ってくるバスは、渋滞の影響を避けられないだろう。

 こちらはスムーズに碓氷バイパスに入り、峠道をエンジンブレーキを利かせつつ下っていく。新幹線は気付かないうちに、これだけの高度を稼いでいたのかと、驚くほどの急勾配だ。そして、道路とほぼ同じ直線距離で同じ勾配を登り降りしていた、鉄道の碓氷峠もすごかったのだなと思う。

 軽井沢側ではほとんど葉が落ちていたのに、横川に近付くにつれ残る紅葉に、高度の差を感じつつ30分、横川着。今回は運行シーズンに該当せず乗れなかったが、旧信越本線により近い位置を走る旧道経由のバスにも、改めて乗りに来たい。

 横川では1時間半の時間を取り、「碓氷峠鉄道文化むら」見物の時間を取った。思いのほか大きな施設のようで、駆け足で見物。

 圧巻は豊富な実物車両の展示で、特にあえて現役時代から大きく手を加えていない検修庫がいい。部品もそのままで、留め置かれたEF63とともに、現役時代の機関車の息遣いが聞こえてきそうだ。

 屋外の展示車両も充実していて、横軽で活躍した車両だけでなく、図鑑でしか知らないような車両に触れ、乗れる。特に「軽量客車」こと10系の3段寝台車なんて、現存していたことすら知らなかった。お座敷列車も、欄間まで再現された日本間の車内に味わいがあり、弁当を持ち込める休息室になっていたのはいい。

 ただ屋外展示ゆえ、少し車両に痛みが見えているのは気になるところ。出入り自由なのも嬉しいとはいえ、車内も少し荒れてきているように感じた。青空の下の車両は写真映りもいいが、中長期的には屋根下での展示も考えるべきと思う。

 園内を回る本格的蒸気機関車、あぷとくんにも乗車。特に、めがね橋を模した高架橋を渡るのが楽しく、園内をぐるっと見回せる。温泉施設「峠の湯」まで旧本線を走行するトロッコ列車もあるのだが、1時間半ではとてもとても…トロッコには熊野平までの延伸計画もあるようなので、実現の暁には再度訪れよう。その時は、風呂用のタオルも携えて。
つづく
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 東京着。中央線ホームを一気に駆け下り、新幹線ホームへ。Maxとき車内で、沼津の親子と合流した。一応の目的地は軽井沢なのだが、いろんな車両に乗りたいというわけで、まずは大宮まで2階自由席の車窓を楽しむ。

 悪評高いMax2階の6列自由席だが、想像するほど窮屈ではないのは、さすが大きな新幹線。満席では辛かろうが、この列車のように空席が目立つのであれば、防音壁を飛び越え広がる車窓を取りたい。大宮までは騒音への配慮もあり「助走」ともいえるスピードで駆けていくが、埼京線と絡み合い、住宅街を縫っていく車窓も悪くはない。

 巨大新幹線ターミナル・大宮で後続の「あさま513号」に乗り継ぎ。こちらも余裕ある車内で、ゆったりと6席分を占める。よく考えたら、上越新幹線の大宮~高崎間の乗車は初めてで、平野を一直線に貫く高架橋に、九州新幹線の新鳥栖~筑後船小屋の車窓もこんな感じに映るのかなと思う。

 大宮~軽井沢間ノンストップという、豪快な513号。高崎駅を通過して3kmほど走り、長大な分岐器を渡れば長野新幹線の区間へ。注視していたのだから分かったようなもので、沼津のお父さんはまったく気付いていなかった。EF63の力を借りて碓井峠を越えていた時代も今は昔、長大トンネルをいくつかくぐりつつ、高度を稼いでいく。

 峠越えの感慨もないまま、軽井沢着。東京にくらべキンと冷えた、しかし爽やかな高原の風に、高度の差を感じる他なかった。
つづく
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 昨日、11時間も飲み続けた割には、まずまずの目覚め。用意してもらったホテルが駅前だったのは大助かりで、余裕を持って自動改札をくぐり、早朝6時44分の都心方面普通に乗り込んだ。昔ながらのスカ色115系で、車内は改装されているものの、クロスシートの旅を楽しめる。

 結婚式アフターの1日は、「週末日帰りパス」を利用しての「関東平野 特急乗りまくりの旅」をプランニングした。週末日帰りパスは、高速1000円対抗商品として生まれたJR東日本の企画きっぷで、関東一円のJR線と一部の民鉄線が、新幹線・特急も含めて乗り放題。大人2人で12,000円というお値打ちなきっぷで、こどもは2,000円とさらに安い。JR西日本でよく見られる「一人旅排除」方式なのは残念だが、同好の士さえ集まれば、心行くまで鉄道の旅を楽しめる。

 僕の「同好の士」は、一昨日来お世話になっている「沼津の親子」なのだが、この切符には「合流駅までは1人でも普通列車に乗車可」という特例がある。そこで双方、普通列車に乗り東京駅に向かっているわけ。「合流」の途上で、特急券を別買いして特急に乗れないかと甲府駅員に質問したが、それはNGとのこと。まあ、そうだろう。

 谷間を走る中央本線の車窓は、渓谷に映る紅葉が美しく、乗ってよかったと思わせる。適度に混んでいるものの、お弁当を広げ長距離旅行スタイルを決め込む親子連れもいて、のどかな雰囲気。九州では、こんな鈍行の旅は、なかなか難しくなってきた。

 八王子ではE233系の快速に乗り換え、数段階、都会モードへと切り替わった。E233系自体は完成された通勤電車というイメージで、大好きな電車の一つ。しかし朝の都心方面行きということで、やがて視界もきかぬ混雑に。早起きもしたので、寝るしかないと瞼を閉じた。
つづく
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 11月22日・朝8時。沼津から車を飛ばしてもらい、お隣富士市へ。製紙工場が煙を上げ、朝から「この街らしい」風景を見つつ、少し寂しい駅前通りを抜け、駐車場に入った。ご他聞に漏れず中心市街地の凋落はここでも見られ、駅前スーパーは店じまい。この駐車場も、もとはスーパーのものだったため、がら空きだ。映画館だけ営業しているのは立派だけど、内情は大変なことだろう。

 富士駅はペデストリアンデッキでつながれた、橋上駅。ペデ化は早かったそうで、東京近郊のような駅前風景を作っている。

 ここから甲府へは、身延線の特急「ふじがわ」が結ぶ。3両中2両は自由席で、まあ座れるだろうと高を括っていたが、ホームにはハイキング姿の乗客がちらほら。どうやらJR主催のウォーキング大会があるらしく、1本前には臨時特急も出た模様。

 静岡からやってきた「ふじがわ1号」は、373系特急電車の3両編成。案の定ハイカーでほぼ満席、端に1席見つけてもぐりこんだ。せっかくの窓が大きい「ワイドビュー」シリーズなのに、端では窓もほとんどなく、富士川の流れとも反対側。座れただけよしとせねばならぬか。

 富士宮駅までは複線が続き、都市近郊路線の勢いも感じる。近年注目を浴びるB級グルメ「富士宮やきそば」のノボリに見送られれば、単線の隘路へ。広々、悠々とした富士川が、車窓の友だ。

 373系電車の特徴は、なんといっても「特急・普通兼用」であること。お陰でデッキがなく、端部ではちょっと騒音が気になるし、停車駅では寒風が吹き込む。特急の「特別」感と、普通の気軽さを兼ね備えたインテリア自体は、所期のコンセプトを達成できているように感じた。昼行特急はともかく、夜行列車「ムーンライトながら」での運用は厳しいと感じていたが、この春に撤退したのは記憶に新しいところ。

 コース中盤の身延で、降りるわ降りるわ。ざっと4分の3が下車。鉄道会社主催のウォーキングの人気は聞いていたが、これだけの人数が(しかも1本前の臨時まで)特急を利用すれば、実質的な収益も無視できないものになりそう。かといって座りはぐれた人もいなかったのだから、今回の企画規模はベストだったということになるだろう。

 転じてがら空きになった車内からは、日ごろの「ふじがわ」の姿が伺い知れる。もっとも身延~下部温泉間が「谷」となるようで、その後は山梨県内の利用客で、再び賑わうことになった。

 空いたのを期に、窓の大きい席へ移動。めいっぱい広がる農村風景と紅葉が、ニッポンの秋を感じさせる。九州のデザイン特急も大好きだが、こと窓に関しては概して小さなものばかりで、ワイドな車窓に焦がれる。美しい風景を愛でてこその、旅だと思う。

 雪を頂いた山が見えてくれば、甲府までラストスパート。中央本線と合流、駅に降りればSuica対応の自動改札が出迎え、そこは首都圏なのだった。

 先輩の結婚式は、その面倒見のいい人柄がつくられていった過程を垣間見たような、暖かな式。新婦も負けず劣らずで、周りまで明るくするような家庭になりそうだ。どうかお幸せに!
つづく
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 原の知人宅にお邪魔し、夕ご飯も頂いて、明日の結婚式に備えて早寝…とはならない。鉄ちゃん親子と共に、「ホームライナー静岡」の乗り試しツアーに出発だ。

 ホームライナー静岡は、新宿~沼津間の特急「あさぎり」の間合いで、沼津~静岡(平日は浜松まで)を結ぶ帰宅列車。乗車整理券310円で快適な特急電車に乗れることから、それなりの人気を得ているようだ。まずは出迎えに、沼津駅まで出る。

 「あさぎり」のマークを掲げたまま据え付けられた電車は、JR東海「ワイドビューシリーズ」とはまったく異なる、純白の外観。窓周りを覆う青色も100系新幹線のそれで、新幹線のイメージを引き継いだものとされる。プロトタイプのオリジナル色100系が消えた今、唯一その系譜を受け継ぐ電車とも言えるだろう。ただし窓はワイドビューで、でかい。

 車内は清潔に保たれており、登場18年を経た車両とは思えない。JR東海の電車いずれにも共通する感だが、清掃を念入りに行い、車両を大切に使う姿勢が見えてくる。

 さて地元人曰く、この電車の「特等席」は2つ。最前部の展望席は、夜でもブラインドを降ろされず、流れる夜景を楽しめてよい。しかし本当に人気なのは、2階建て車両の1階席。ゆったりした3列配置の上、シートピッチもグリーン車と同じ。のんびり過ごすならここというわけで、推薦に従い1階席に座を占めた。他の乗客は来ず、1両を3人で貸切りにした状態だ。

 走り出せば静か。2階建て車はモーターのない付随車で、サンライズエクスプレスの個室を思い出す乗り心地である。視線の高さを飛んでいくホームが新鮮。ホームライナーでお得に体験するのもいいけど、ぜひいつか、特急あさぎりとして乗り、この電車から富士の山を拝んでみたいものと思う。

 わずか40分で静岡着。平日なら上りのライナーもあるのだが、休日の今日は普通電車で戻るしかない。ただ戻るのも芸がないので、途中草薙駅までは、今日2度目の静鉄利用にしてみた。夜9時台も10分間隔の運行を維持しているのは立派で、遅い帰宅者の足も充分に果たしていた。

つづく
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 豊橋駅では、「休日乗り放題きっぷ」を購入した。豊橋以東のJR東海が乗り放題になる1日乗車券で、土休日限定発売。2600円と、青春18きっぷ1日分よりやや割高だが、特急券を買い足せば在来線特急にも乗れるのがミソである。

 浜松までの電車は117系。新快速として鳴らしたのも今は昔、今はローカル輸送を主に受け持つ。ゆったりしたクロスシート、2扉の落ち着いた雰囲気は、今もって快適だ。

 しかし、普通電車の快適な旅は浜松まで。この先は211系や313系の3扉ロングシート車が幅を利かせ、およそ旅気分とは無縁になる。しかも3両と短く、いつも混んでいる印象。静岡までの1時間10分、じっと耐える。浜名湖の車窓がきれいな区間なのだが、すべて背後で流れていった。

 午後2時を前にした静岡では、地下街で昼飯を物色。やっぱり静岡といえばうなぎか、でも正確には浜松だしなあ…と、浜名湖畔の駅前に揺れていた「うなぎ」ののぼりを思い出す。しかし東海道に面した静岡では、海産物も名物。焼津か沼津だったかの文字が見える食堂で、鯖のたたき丼を食らった。

 そのまま市街地方面へ歩き、静岡鉄道の新静岡駅へ。ターミナルビルは改築中で、ミニ私鉄らしからぬ立派なものが完成することを期待している。仮設駅舎で手持ちのICOCAを自動改札機に触れれば、バタンと扉が開いた。

 東海地方では、名鉄はICカード未導入、JRのTOICAは電子マネーとして使えず民鉄との相互利用に消極的というわけでか、静鉄は関西のPitapa勢と組んでICカード化を達成した。関西ではPitapaとJRのICOCAが共通利用できるが、静岡で使えるだろうかと半信半疑のまま触れてみたら、見事パスできた次第。JR系のカードを持つなら、静岡ではTOICAよりICOCAが便利だ。

 静鉄は2月以来、9ヶ月ぶりの乗車だが、ローカル私鉄とはとても思えない感は前回と同じ。2両ワンマンの姿こそローカルだが、運転頻度は日中でも6分、自社発注の新型車が走る姿は「準大手」と呼びたいくらいで、唯一11kmという路線規模が中小らしいくらいだ。

 時刻表を気にせず利用できる電車は便利で、日中であっても電車ごとにそこそこの乗客がある。大都市圏並みの利便性で利用できる電車で、沿線の人を羨ましく思う。元は静岡市と清水市に分かれていた沿線だが、家並みは途切れず市内電車の感覚もある。

 JRと併走するように走り、再び離れれば新清水着。あっけない20分の寄り道電車を終え、商店街を抜けてJR清水駅へ。上り電車の人となり30分、沼津市の原駅に到着した。

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 名古屋からは、ひさびさに名鉄「パノラマスーパー」に乗り、豊橋へ向かった。JR東海と熾烈な競争を繰り広げる岐阜~名古屋~豊橋間だが、わずか350円の「ミューチケット」でくつろぎの時間を手にできる名鉄の人気も根強い。

 「パノラマ席」を指名すれば、一階の運転席を乗り越え、2階から先頭の景色が思いのまま。童心に帰り、心行くまで運転士気分を味わえる。フロントガラスが汚れ気味だったのは遺憾で、以前は駅に着く度に清掃していたように記憶しているのだが…

 豊橋では、豊橋鉄道の新型路面電車「ほっトラム」に乗れればと思い、駅前電停の時刻表を探しかけたのだが、すでにその電車が停まっていてラッキー。白地にグラデーションの帯が巻かれ、ちょっと釣りあがった目は、他都市の電車に見られないデザインである。

 車内もまた一風変わっていて、背ずりや天井の要所に、木目のデザインを取り入れている。近未来的でありながらも、温もりある親しまれるデザインといったところか。乗り心地や、段差のない乗降の楽さは、他都市と同じ。いつしか、どこでも見られる「当たり前」になってきた。

 市役所前で折り返す。97年に訪れた時は旧型車がほとんどだった豊橋の路面電車も、名鉄岐阜市内線の中古車を譲り受け、面目を一新。低床電車以外でも、インバータ制御の新型車ばかりになった。岐阜市内線の廃止は、返す返すも残念でならないのだが、福井と豊橋にとっては体質改善の達成へ大きな寄与になった。

つづく
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