教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

政策形成過程における意図の変化

2007年05月03日 23時55分55秒 | 教育研究メモ
 今日は速読トレ→『教育学研究』読書。今日は上田誠二「音楽教師から敵視されたメロディの教育化―『東京音頭』から『建国音頭』へ」(日本教育学会編『教育学研究』第74巻第1号、2007年、13~27頁)を読む。大正昭和戦前期に学校教員から「亡国的」として嫌われていた「晋平節」(イ短調ヨナ抜き音階)が、戦時体制期に「建国音頭」として国策的に利用される過程を明らかにしたもの。作者の中山晋平が晋平節に込めていた教育的意図が、国策利用の過程でゆがめられた様を指摘しています。一番興味深かったのは、本論からはずれるのですが、この晋平節が戦後直後の「憲法音頭」にも使われたということ。このときは節に込められた意図はゆがんだの?それともゆがまなかったの?
 ちなみに昨日は石岡学「1920年代における学校教育に対する職業指導導入の論理―社会政策としての職業指導と教育政策としての職業指導」(同前、1~12頁)を読みました。社会政策として出てきた学校での職業指導の論理が、教育政策に取り入れられる過程で変化したという話。治安維持などの意味を持っていた職業指導が、学校卒業生の進路問題に解決を与える政策の一つとして変化していく様は、非常に興味深いものでした。学校教育への職業指導導入は、昭和2年の中学校入試改革(学力試験を廃止した)と連動していたといいますが、職業指導導入が中学校入試改革に与えた影響はあったのでしょうかね?
 それから「教育原理とは何か」をテーマに勉強。就職活動用+就職後用。
 夜は論理トレ。今日は接続関係の勉強。論理とは、言葉と言葉、主張と主張、部分と全体をつなぐ関係を意味します。論理的な文章を書く/読むには、言葉・主張の間の関係を理解することが必要です。したがって、論理トレーニングには、接続関係の勉強が重要です。そして、接続関係を最も端的に示す言葉である接続詞・接続助詞・副詞の勉強は、最も基礎的な勉強です。
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