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教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

本日、ブログ開設から7000日!

2024年06月08日 01時35分00秒 | Weblog
 本日、このブログを開設してからちょうど7000日になりました。ここまで続くなんて、想像もしなかったな。もう一つ作っていた研究用のブログは運営会社が事業を辞めちゃったので、これだけの期間、ブログが現役で残っているのはすごいことですね。gooは頑張ってくださっています。長い間、本当にありがとうございます。

 

 一番古い記事は2005年4月9日の記事。19年前! 当時は広島大学の大学院生でした。指導教員に指導はしてもらっていましたが、そもそも研究の仕方がわからなくて、もがいていました。本を読むのも本当に苦手(目線が一定しなかった)だったので、まったく効果の上がらない研究生活をしていました。この頃は学部1年生の頃からの鬱状態がまだ抜けきれなくて、つらそうにしている様子もうかがえます。鬱状態から抜けるのはまだもう少し時間がかかりました。
 ブログは、抱えていた苦しい想いを思う存分吐き出す場所でした。リアルで話を聞いてくれる頼りがいのある友人も先輩後輩もいましたが、いくら聞いてもらっても、ずっと吐き出し足りない気持ちが残って、困っていました。そこで出会ったのがブログでした。ブログは、思う存分想いを吐き出せて、それでいて誰かが見ていてくれる気もする。自己満足を得る上に孤独感を埋められるツールだったと思います。当初は毎日書いていました(今ではその多くは削除済み)。
 しかし、次第にリアルで忙しくなり、自分なりの仕事や研究の仕方が分かってくると、毎日書くことがなくなりました。徐々に、ブログに書くことも、吐き出したいことというよりも、書き残したいことを書くようになっていきました。

 元K大のS先生に勧められて始めて、今日で7000日です。たくさんの人が読んでくれました。妻も、結婚前はよく読んでくれていたそうです。今も、たくさんの人が読んでくれています。19年もの間に蓄積した1200を超える記事があるので、そのつど何か検索にかかるものがあるようです。毎日2〜300回以上どこかの記事が開かれているなんで、すごいことだなと思います。

 昔から読者でいてくださった方々と、最近いらした方々、このブログを続けさせてくれているgooに感謝いたします。
 いつまで続けられるか、自分でも楽しみです。今後ともよろしくお願いします。
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にこり!

2024年05月31日 21時16分00秒 | Weblog
「ばつ かいて、にこり したら、"さ"だよー」



今朝、うちの子が書いて教えてくれた「さ」の書き方です。
そう言われると、「さ」がかわいく見えてきませんか?

5歳になったうちの子ですが、最近文字に興味深々です。
妻が教えたのかもしれませんが、「さ」の書き方の覚え方が、とってもステキだったので、思わず世界に伝えたくなりました。

絵を描いたり、色を塗ったり、制作したりすることが大好きなうちの子ちゃん。
言語力も表現力もついてきて、作品の説明を受けるのが、いつも楽しみです。



もう一つの絵は、私と自分と、カラフルなハートを描いてくれました。
子どもにとって私はやっぱり(物理的に)「大きい」存在のようです。「パパはおっきいから」とのこと。
なぜハートはいろんな色なの?と聞きましたら、「いろんな すきが はいってる」とのこと!
紙のど真ん中に大きく絵を描いているのも、とてもうれしい。

すくすくと心豊かに育ってくれています。
妻の子育てと保育士さんたちの保育の賜物ですね。
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現職の初心として

2024年04月17日 19時51分00秒 | Weblog
 先日から、予約投稿機能で連続して投稿しております。テキスト化を見据えての授業準備の一環ですので、お気づき等あれば、それぞれの記事にコメントしてもらえるとうれしいです(今後の課題にします、と答えるしかない場合もあるやもしれませんがご寛恕ください)。

 さて、ちょっと閑話休題。
 広島大学に着任して一番ありがたいと思ったことは、研究が職場での業績として重視されることです。私大にいたこれまでの15年間でも、研究業績は評価されてきましたが、それとは別次元に入ったな、と思いました。私の働いていた地方私大では、学内・学科内分掌や実習業務、実習指導、広報活動などにどれだけ従事したか、が重視されてきました。広大でももちろんそれらは重視され、評価されますが、それだけでは働き続けることはできず、新しい研究業績を発表し続けなければなりません。研究するのが苦しい人や習慣づいていない人にとっては「地獄」かもしれませんが、研究が習慣づいていてしかもやりたくて仕方ない私のような人間にとっては「天国」だな、と思います。これから様々な状況変化の中でどう感じるかわかりませんが、とりあえず現状ではそのように思っています。このような環境・条件を整えてくださっている先輩方と大学には感謝しかありません。
 また、これは広大大学院の特徴だと思いますが、教育学研究者志望の大学院生を育てるところですので、自分の研究を院生指導や授業に直接間接に生かすことが可能であり、結果が出ればそれをも業績として評価される仕組みがあります。自分の研究の有用性を身近に実感できるので、とてもありがたい仕組みです。もちろん自己満足ではいけないので、履修生やゼミ生と対話(観察)しながら、どんな風に自分の学術研究と教材研究を展開し、その結果を活用していくか考えて続けていきたいです。こういうことが仕事として評価される可能性があると思うと、幸せな立場に立たせてもらえたな、と実感します。
 さらに、教員養成にも直結する現場(科目)も持たせてもらえており、教職課程担当教員の養成にも関わらせてもらえています。つまり、日本教育史研究者としての仕事、教育学者としての仕事、「先生の先生」としての仕事、そして「先生の先生」を育てる仕事という、自分のしたかった仕事をすべてさせてもらえ、それらがすべて職場で評価していただける。本当にありがたい職場に採用していただいたな、と実感しています。

 ここに、学会の仕事や、学外の仕事、校内・組織内分掌が重くなってきたとき、どういう気持ちになるかわかりませんが、すべて私自身がやりたい仕事につながっていくはずなので、なるべく楽観的に考えようと思います。
 私の現役生活はあと最大20年となりました。だんだんと、「終わり」を意識して仕事する必要性を感じるようになっています。とりあえず、初心を忘れないようにするため、書き留めておきます。
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異動してもうすぐ十日

2024年04月09日 23時55分55秒 | Weblog


 心機一転、広大での仕事が始まって、もうすぐ十日が立とうとしております。相変わらず教育学部棟の研究室は見晴らしがとてもよいです。このところ天気が悪くて残念ですが、十分よい眺めです。
 一気に本を詰め込んだ研究室は、まだどこに何があるのか分からない状態で、少しずつ本を整理し直しております。3月からの引っ越しで本の持ちすぎで、ずっと指の付け根や手首が痛くて作業はなかなか進みません。研究室の完成はまだしばらくかかりそうです。
 授業は月曜から始まりました。準備は若干遅れ気味で、小さなトラブルはありますが、今のところ何とか対応しており、授業も手応えがあって、何とかなりそうだという印象です。何かとやることがあって、一つ一つ済ませていっており、油断すると時間が溶けていきます。研究まで早く達したいところです。

 広大に来て、働き方で今までと違うことはいろいろあるのですが、不思議とあまり違和感等はなく、自然に働けています。同僚や先輩方、学生、院生、後輩、元教え子など、何かと心遣いをいただき、支えていただいています。
 広大に来て、今までと違うなと思ったことが一つあります。我々教員に対する研修がとにかく多いな、ということです。しかも、本当に広大の教員として働く上で必要な内容、特に研修をしてもらわないと独学では簡単には分からない内容によって、体系的な研修プログラムが組まれているのです(変なことを言うな?と思われるかもしれませんが、推して知るべし)。リアルタイムやオンデマンドの研修がいろいろ組まれています。必修科目や選択必修もあるという徹底ぶり。それぞれかなりの時間と労力をとられるし、しかも研修を受けないとe-learningのためのLMSも使えないし、自分のテニュアもとれないといった、かなり強気の仕組み。これについて行けない人はいるだろうなと思いますが、ついて行ける人はかなりちゃんとした大学教員になれそうです。この制度をくぐり抜けた先生たちって、本当にすごいですよ。
 私も頑張ってついて行きたいと思います。今日は、朝から夕方までぶっ通しで初任者研修があったので疲れましたが、これから教育者・研究者としてどのように働いていくかたくさん考えることができました。ずっと自分で何とかしなきゃどうにもならないことばかりでしたので、久しぶりにこんなちゃんとした教育を受けられて、新鮮な気持ちです。本当にありがたい気持ちになりました。
 これで、受けなければならない研修はある程度ひと段落したかな。そろそろ研究と教育に軸足を移せるかな。
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広島大学に異動しました

2024年04月01日 23時55分55秒 | Weblog
 突然ですが、この3月31日をもちまして、白石は広島文教大学を退職しました。幼稚園教員・保育士養成からはじまり、後に小・中・高校教員養成に軸足を移しながら、10年間働きました。在職中は様々な方々にお世話になりました。

 そして、本日4月1日付で、広島大学に異動しました。大学院人間社会科学研究科・教育学部に配属され、教育学系コースの日本東洋教育史研究室を担当します。日本で最も伝統ある教育学研究機関の一つであり、かつ日本有数の教育学者の養成校です。教員や公務員も多く輩出しております。教育を深く考察して問題解決に取り組める幅広い人材を育てられる組織で働くことは長年の夢でした。その夢が母校でかなったのですから、感謝しかありません。
 正直言って、昨今の国立大学教員の状況は楽観視できるものではなく、かなり厳しい現実が待っています。私自身もテニュアトラックの身分ゆえ、これまで以上に研究業績を上げ、テニュア(終身雇用)を得なければなりません。楽をしに異動したわけではないので、私にとって厳しい状況は望むところです。私のできる限りを用いて、広島高師以来の伝統ある広大教育学を盛り立てるお手伝いをしたいと思います。
 私立大学・短大で幼小中高栄の教員養成と保育士養成に携わって、15年間「先生の先生」として頑張ってきました。これからは、これまでの私のような「先生の先生」を育てる立場に立ちます。私にしかできないことはあると思っています。研究・教育にこれまで以上に力を入れ、日本教育史・教育学の学問的発展に寄与し、あわせてその有用性を高め、力のある「先生の先生」を一人でも多く育ててまいります。

 本日は辞令式のあと、研究室づくりで一日が終わりました。講座の助教先生や別の研究室の院生さん、私のかつての教え子までが集まって、すごい勢いで手伝ってくれて、ほぼ荷物を入れ終わりました。手伝ってくれた皆さんには誠心より感謝申し上げます。メールアドレスは取得しましたが、まだうまくいっていません。関係者各位には、連絡が取れなくてご迷惑をおかけしているのではないかと思いますが、もうしばらくお待ちください。
 なお、本日の辞令式では、久しぶりに昔の同僚に式場で出会い、その昇任にも立ち会えました。驚きと嬉しさ。新しい仕事が始まるんだな、と感慨ひとしおです。
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2023年のまとめ

2023年12月29日 23時55分00秒 | Weblog
 2023年が暮れますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 今年もいろいろありましたが、終わってみれば面白い成果を残すことができました。大学教員としてのお仕事、すなわち教務委員長やチューター、必修科目主担としての仕事は、振り回されつつしっかりこなしてきました。父親業でも新しい経験ができました。わが子の通う園で、コロナ禍で中止されていた運動会と生活発表会が復活し、成長した子どもの新たな一面を見ることができました。

 研究面での仕事についてもしっかり進めてきました。今年の研究は、おおよそ2種類の成果がありました。
 第1に、「教育学としての教育史」というコンセプトのもとに、これからの教育史の方向性を構想し始めました。学問の社会的機能には「研究」と「教育」の2つがありますが、それぞれ「日本教育史研究における「教育学としての教育史」」(2023年3月)と「現代日本における教育史教育の課題」(2023年12月)の2つの論文でアウトラインを引きました。後者の論文はPDFのウェブ公開までまだ時間がかかると思いますが、図書館を通してのコピーは可能だと思います(内容はそのうちここで紹介します)。
 第2に、教育学と教師の教育研究に関する歴史的研究について、徐々に形になってきました。興味深いのは、その一つ(昨年の日本教育学会で発表した吉田熊次の中等教員養成論の論文)が英語論文として外国の研究誌にacceptを受けたことです。論文自体は実は昨年末から取り掛かっていたのですが、今年の前半の研究時間もほぼこの論文の改稿で「溶けてなくなった」といっても過言ではありません。海外の研究誌はなかなか勝手が違い、いつ活字化するか不明なのですが、まあ結論は出たので、1年以内には活字化するだろうとゆったり構えることにしました。
 また、信濃教育会に文章を寄せられたことも光栄なことでした。20年続けてきた教育会史研究ですが、現在の教育界にアプローチができるなんて考えていなかったので、特別寄稿の話をいただいたときはとてもうれしかったです。

 来年は専門の研究をまとめて単行本にしていきたいな、と思っています。いろいろ研究範囲を広げてきたので、ちょっとずつ畳んでまとまりをつけ、その先に新しい道を切り拓いていきたいです。
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2023年と娘の成長

2023年01月07日 12時55分00秒 | Weblog
 
 遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 いつも忙しくしておりますが、今年も進めたい研究テーマがたくさんあり、かつ仕事も積み残しがたくさんあるので、いつも通り忙しくなりそうです。教育についても、何とか卒業させないといけない学生が何人もいますので、頑張って指導していきます。心身を壊さない程度に頑張ります。

 写真は、昨年末に娘(3歳半超)が突然描いた、私たち家族の絵です。丸を描き始めたなーと思っていたら、突然「頭足人」を描き始めまして、一気に3体を良い感じで描き上げました。左がにっこりした妻で、真ん中が私、右が自分だそうです。最初描いた後の説明では、私が右手を突き上げて「行こう-!」と言っているところだそうです。(後で聞き直したら「わーい!って言ってる」と言われましたが、先の説明のほうが気に入っています)  親と自分との大きさがかき分けられているところや、それぞれの表情・様子をよく描いているところが、すごいなーと思いました。まず親を描いてから自分を端に描くのが、娘の心を表しているようで、興味深いです。
 急に頭足人が現れたのでびっくりしました。私より長く娘といる妻も初めて見たようで、成長の瞬間を一緒に味わえました。
 右は、妻が見つけてきた富山の桝田酒造の干支ボトルです。かわいいだけでなく、いいお酒でした!
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2022年の振り返り

2022年12月31日 23時55分55秒 | Weblog
 皆々様、2022年もお疲れ様でした。
 私の方は相変わらず忙しくしていた1年でしたが、いろいろ新しいこともありました。このブログについても、なかなか進まない学校の働き方改革に業を煮やして春ごろまでその関心から比較的更新し、たくさんコメントをいただき、充実した議論・意見交換をする機会をいただきました。勉強になりました。
 5月以降、更新頻度がガクンと落ちましたのは、単純に多忙ゆえでした。Kindleテキストの編集・発行作業に時間を食ったことや、隔年開講の新規2科目が始まったこと、学会・研究会発表が集中したこと、重めの論文執筆が2件あったこと、沼田家文書保存のために奔走していたことなどが重なって、必死に作業を進めておりました。その上に、全学の教務委員長の仕事でも難しい調整の必要なこと(オンライン授業制度の運用、所属学園が新設した海外の大学への留学に関する制度整備、附属高校との連携科目の根本的再検討など)が積み重なり、神経をすり減らしておりました。昨年は公私ともに大変で大いに精神を病みかけましたが、幸い、今年は家庭内が落ち着き、心を壊すことなく何とかやり抜くことができました(腰は一回壊しました)。

 2022年は、これまで私家版で配付していた授業用テキストを加筆修正・再編集して、Kindle版テキスト全4巻にして発行することができました。私の担当科目を履修した学生はもちろんですが、それ以外にもたくさんの人に読んでいただいております。ありがとうございます。(第4巻の紹介が遅れていてすみません)
 なお、Kindleダイレクトパブリッシングをやってみたきっかけは、Twitterで自著を電子図書のみで出版している人のつぶやきを見て、どんなものか試してみたいなと思ったことでした。出版社にお世話になっての出版はすでに何冊か経験してきましたし、私家版・自費出版もずっとやってきたので、電子書籍の自費出版はどんな感じなのか経験してみたいという、軽い気持ちで取り組みました笑。テキストになったのは、たまたま手元に公刊していない私家版のデータがたくさんあったからです。やってみてどうだったかというと、思った以上に簡単でしたが、同時に思った以上に大変でもあり、変わった経験ができました。大変だったのは、自分ひとりでデータを管理するので、何度やっても不具合が出てくるのに対応していると湯水のように時間が失われていくことでした。また、おおよそ私一人のアイディアで事が進むので、楽な反面、多様な立場からの仕事・アイディアが反映されないことも気になっております。私の感想としては、Kindleのみの自費出版は、通常の本の出版とはかなり異なる仕事だなと思いました。どちらにも良さと難しさがあり、「これはこれ、それはそれ」という感じですね。

 教育史の研究もたくさんやりました。ありがたいことに、いろいろな方から呼んでいただき、求められるままに書きまくった感じです。特に、6月の日本教育学会編『教育学研究』掲載の特集論文「澤柳政太郎『実際的教育学』の実証主義再考」は自分で投稿したものですが、学会の取り組みと自分の今の仕事がかみ合って、投稿する機会を得られたのは幸運でした。私の手元でも、ピアレビューでもなかなかの「難産」でしたが、活字化後にたくさんの方から「見たよ」の感想をいただきましたので、書き切ってよかったです。日本の教育学史を19・20世紀という長い期間でとらえるという、2020年ごろから続けてきた研究の成果の一つが形になりました。
 そのほか、明治末期の鳥取県小学校教員試験検定問題(小学校本科正教員・尋常小学校本科正教員教育科)の研究や、20世紀初頭における東京帝国大学の中等教員養成課程の改革を吉田熊次の「大学に於ける教育学研究」を核とした中等教員養成論の立場から分析した研究、信濃教育会所蔵資料をもちいた日本教育協会・日本連合教育会研究、1870年代から現在までの日本における教育史研究の歴史をたどって「教育学としての教育史」という立場を相対化した研究、広島大学教育学独特の「日本東洋教育史」という立場を意識した研究について、各学会・研究会で発表しました。活字化の予定が結構先なものについては、広く読んでいただけるようになるのは先になりますが、私自身の研究はかなり進んだ実感があります。今後の研究に生かしていきます。
 また、広島県三原市にあった沼田家文書の選定・保存作業を完了させたことも、今年の重要な仕事になりました。H大のI先生とH短大のI先生のご助力をいただきながら、ついに8月に広島県立文書館に主要な資料群を引き取っていただくことができました。一部は沼田家と三原小学校に譲渡されました。いろいろありましたが、多くの重要な資料を散逸・損失から救うことができて、ひとまずほっとしております。作業過程では、2021年の拙稿「沼田良蔵・實文書について」が保存のカギになったので、歴史資料保存に対する研究論文の重要性を実感しました。沼田家文書は本当に面白い資料群です。最新の研究成果については、2023年3月発行予定の中国四国教育学会『教育学研究紀要』(CD-ROM版)で公開する予定ですが、沼田家文書の可能性はまだまだ汲み尽くせていません。私の気づいていることだけでも明らかにしたいので、もうしばらく研究を続けていくつもりです。

 大学人・教職科目担当者としての仕事、教育学者としての仕事、教育史研究者としての仕事。テキスト執筆、論文執筆、歴史資料の保存。多様な仕事をした1年になりました。
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Kindleテキスト3・4出版+信濃教育会研究を発表します

2022年09月23日 01時05分00秒 | Weblog
 忙しすぎて4か月も更新できませんでした。授業と校務も忙しかったのですが、研究も忙しかった…今週末も学会発表です。日曜に教育史学会でラウンドテーブルの報告者を務めます。ついに信濃教育会の研究に取り組むことになりました。

 さて、年度初めから予定しておりました、Kindle版テキストの新刊を9/20付けで出版できました。『教育の制度と経営―社会の中の教育』(教育の理論第3巻)と、『道徳教育の理論と方法―道徳を考え議論するために』(教育の理論第4巻)です。Amazonで少し試し読みができますので、一度ご覧いただければ幸甚です。



※テキストは、お使いのブラウザやアプリによっては文字がうまく表示されないことがあるようです。その場合は文字の大きさを変えて調整していただければ、ちょうどいい表示になるようです。できるだけ修正・再調整に取り組んでおりますので、ご理解のほどよろしくお願いします。なお、PC用とiPhone・iPad用アプリでは正常に表示されました。
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2021年度卒業式の日に

2022年03月20日 19時47分00秒 | Weblog




 卒業式のシーズンですね。私の大学でも本日、学位記授与式が挙行されました。本日卒業された皆さん、本当におめでとうございました。
 昨年度の式の時は、まさか次年度も同様に感染対策して卒業式を行うなんて夢にも思っていませんでしたが、新型コロナ下での式も2年目となり、感染対策の様々な工夫も安定してきました。卒業する皆さんのために、少しでも思い出に残るような工夫も進化しているように思いました。準備・裏方の皆様におかれましても、本当にお疲れ様でした。
 写真のものは教育学ゼミの卒業生10名にいただきました。ありがとう!

 今年度の初等教育学科の卒業生は、実は1年生のときにチューター主任をつとめた学年でした(2年生以降は別の方々)。何しろ1年次の主任でしたから、いろいろあったなと思い出しました。とにかく最後まで頑張って、卒業してくれてよかったです。みんな、一度しかない大学4年間を無駄にせず、状況の中でできる限り頑張って、力をつけてくれたと思います。教育において、自ら伸びようとする力こそ、一番大事だと実感させてもらいました。
 私は、原理系の教育学者として、学生たちに次のような力を身に付けてほしいと思っていつも指導しています。すなわち、物事の文脈や意図、意味に立ち戻って考える力です。教育・保育の現場に限らず、社会生活では、「~すればよい」とか「~しなければならない」とかいった求めに応じなければならない場面は多くあります。しかし、そこで「なぜそれをすればよいのか、なぜそれをしなければならないのか、もっとよいやり方はないのか」と、たまには考えてほしい。文脈・意図・意味などを考慮する力は、まさにその時に役立つ力です。例年通りやルーチンワークで何とか過ごしていけた仕事は、これからどんどん変わっていくでしょう。これから一人立ちしていく皆さんは、状況に応じてよりよい仕事を創っていかなければならない場面にたくさん出会うでしょう。皆さんは、まさにコロナ前からウィズコロナ・ポストコロナの移行を担うべき立場にいます。働きを楽しみにしております。

 今年度の卒業生は、実は広島文教女子大学時代の最終学年、人間科学部初等教育学科の最後の学年でした。広島文教大学教育学科教育学科への継続も特に問題なく自然な状態で進んでいるためか、最後の学年だからという気負いは特になかったように思います(1年次当時はかなり気合を入れた記憶がありますが…)。1981年創設の人間科学部初等教育学科ですが、本日の38期生の卒業により、全学年で教育学部教育学科のカリキュラムを施行することになります。
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現状報告

2021年08月30日 23時55分55秒 | Weblog
 ご無沙汰しております。更新できないまま、あやうく8月が終わるところでした。
 今年度は、昨年度から引き続きの仕事(全学の教務委員長、30数名のチューター、3学年計30名超のゼミ生、教育学科1年生約160名の初年次教育科目の主担、同2年生約160名の卒業必修科目・ゼミ決め主担当など)に、純増の仕事(3年次小学校実習約80名の主担当等)が加わったために、完全にキャパオーバー状態です。研究分担も4テーマ、個人的にどうしても断れない史料調査・研究顧問が2件。いろいろ調整させてもらって4月時点に比べると負担軽減してもらっていますが、ここに新型コロナ関係で予測できない予定変更・ルール運用という圧力が加わりますので、パンク状態、いや、もはやパンクしております。家に帰ると子育て・家事にやることたくさんで、休むこともままなりません。娘と妻の笑顔を見れば癒される、というのは本当ですが、心は一時癒されて頑張れても、本当のところ心身は回復していないので、ドーピングに近いですね…
 すべてが中途半端な状態になっており、関係者にはご迷惑をおかけし、心苦しい限りです。とはいえ、今年度は歯を食いしばって1つ1つ済まし、来年度に向けて仕事を削っていくしかありません。
 研究をしたいです。
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近況報告5月

2021年05月24日 19時01分05秒 | Weblog
 こんにちは。
 4月にこの仕事が純増したため忙しいですよ、とお伝えしたところですが、その後、さらに仕事が増えておりますのでさらに忙しくなっております。娘ちゃんも順調に2歳になりまして、つまり順調にイヤイヤ期に突入してくれています。おおよそかわいい姿を見せてくれるなか、ときおり頑張ってイヤイヤしてくれており、妻と二人でお互い支えながら頑張って子育てしております。
 メール返信すらできていない方もいらっしゃいます。本当に申し訳ありませんが、気長にお待ちいただくか、状況確認のメールを送っていただければ幸甚です。本当にすみませんがよろしくお願いします。

 教育学史の論文と、現代教育制度(オンライン学習など)の論文、歴史教育の共同研究の新作論文については、すでにネット公開を完了しました。よろしければ、別記事の業績一覧(単著と共著は別記事になっています)のリンクからご一読ください。とりいそぎ。
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新年度

2021年04月07日 22時14分00秒 | Weblog
 こんにちは。新年度もあけまして、本学にも新入生がやってまいりました。
 感染状況が不安ですが、とりあえずもろもろ対面主で進行し、今のところ無事進んでいます。授業は来週頭から開始です。教員側もいろいろ不安ですし、事態の変動次第で状況が変わる可能性はありますが、現状確かなことはやはり学生はうれしそうだということです。昨年度の経験を生かして、臨機応変に対応してまいります。まあ、昨年度のこのころは対面かオンラインかという極端な判断(しかもオンラインの方法は白紙状態)しかできなかったのですが、今では経験を積み重ねてたくさんの選択肢を選ぶことができるようになったので、少し余裕をもって取り組めそうです。「くるならこい!」という感じです(もちろんそんな状況にはなってほしくないですが)。
 とはいえ、今年度は3年次の小学校実習の主担当になってしまいました。仕事量は純増です。教育学部設置後、初めての小学校の本実習で、新しい仕組みをつくらないといけないので、言い出しっぺのお前がやれという流れでこうなりました。昨年度のように、感染対策した授業方針やオンライン授業などについてゼロから考えなくていいので、その分、少し手が空くはずですが、そもそも元々の仕事量がいっぱいあるので少し不安です。皆様お手柔らかにお願いします。
 とりいそぎ、年度初めから予防線をはり始める私でした。
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新型コロナが猛威をふるった年に卒業する皆さんへ

2021年03月20日 17時47分27秒 | Weblog
 本日、本学は学位記授与式(卒業式)でした。感染対策をしての実施、無事終了しました。写真は卒業のゼミ生からいただいたもの。ありがとうございました。ゼミでの議論は毎週刺激的で、素晴らしいゼミ生たちでした。

 今年卒業する学年は、最後の年に新型コロナの影響を受けて、様々な予定変更を受けた学年でした。オンライン授業や行事短縮などの影響を受けて、前人未到の教育環境のなかで生き抜いた学年です。世の中は新型コロナの影響を早く脱したい雰囲気ですが、コロナ後の世界はどうなっていくでしょうか。皆さんはどのように生きていきますか。
 本日の学科卒業式で、うちの学科長が「新型コロナ後は、元に戻るよりも、前よりもよい教育・保育をつくらなければなりません。」という趣旨のことを述べました。本当にその通りです。新型コロナの影響で日本の教育はズタズタにされました。そして、我々は、オンライン学習や行事・部活教育の可能性も限界も身をもって経験し、これまでにない教育のあり方を垣間見ました。もともと日本の教育は現代日本社会の現実に合わなくなっていました。これまでの教育に戻そうとしても、おそらく無理であり、できたとしても困難多くして意義は少ないものとなるでしょう。「前よりもよい教育・保育」とは何か。これからの学校は、これに回答し、形にしていかなければなりません。おそらくその時に必要なのは、己や職場の足元を見つめ直し、過去や他に学び、協働して解決策をまとめ、試行錯誤することです。その時に一番役立つのは、教育を根本的に問い直そうとする教育学的な見方・考え方であるはずです。
 「こんな時代に学生時代を送って卒業しなければならないなんて、損した」と思っている卒業生は少なくないと思います。しかし、皆さんは時代を作っていく世代です。今年度味わった苦しさを力に変えて、前に進んでください。

 元に戻すことではなく、以前よりもよい教育・保育をつくっていこう。これを、この時代に生きる我々の願いとしよう。
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2020年の振り返り

2020年12月31日 22時28分00秒 | Weblog
 2020年も残り数時間となりました。いつの間にか2か月以上も書き込みをしていませんでした。忙しすぎたのと、エネルギー切れでした。
 最終日ですので、2020年の振り返りをひとつ。

 今年は、皆さんも同じだと思いますが、新型コロナウイルス対応で振り回され続けた1年だった印象です。
 1~3月は普通の日々でしたが、教育学部新設1年目で第1期生の1年チューター主任として働いていました。1月には、新設1年目であったためか文部科学省の教職課程実地調査があり、学部改組の旧委員だった関係で準備・対応に呼び出されて忙しくしていました。もちろん、いつもながら卒論指導にも忙しくしていました。2月には、これもいつもながらですが、担当学生数が多いので成績をつけるのが結構大変でした。成績をやっとつけ終わったあと、研究資料を収集するための出張に出ることができました。が、その直後に新型コロナウイルス感染が問題になりはじめ、この出張以降、研究関係で出張は一切できなくなりました。3月もいろいろあったのですが、とくに学生生活支援委員長として、文科省の高等教育就学支援制度導入のために、システム作りを一から指揮しなければならなかったのが大変な作業でした。また、新型コロナ対応をふまえた新入生歓迎行事の再計画・再調整にも気が抜けませんでした(結局実施できませんでしたが)。
 そして4月。なんと全学の教務委員長に就いてしまい、新型コロナウイルス対応の授業実施の指揮をとることになってしまいました。刻々と変化する状況の中で、何度も検討しなおし、そのつどの最適解を見つけ、調整し、決断し、実行する。着任1年目からなんでここまで…と愚痴を言いたくなるときも多かったですが、仕方がない。「教務だから」という理由で様々な仕事を投げてくださる人も多いのですが、周りには「なんでも教務に投げるな」と配慮してくださる人も中にはいてくださり、何とかやり抜きました。オンライン学習については、結果としては本学はスムーズに導入された方だったと思いますが、実施までの過程(もちろん実施後も)、裏方はとても大変でした。この立場にいなければ自分も反対派だったと思いますが、それにも関わらず、自分が率先して先導しなければならなかったので、日々の葛藤は大きかったです。おかげでオンライン学習への関心は高まり、なぜ、いつ、だれに対して、どのような形のオンライン学習が必要かなど、その原理や方法に関する勉強をつづけました。そのため、日本教育学会のオンライン座談会は第一線の人たちが何を考えているか勉強になり、諸問題の見当がついて本当に助かりました。学生の学習権を保障することを中心に、様々な人とのつながりの保障、そして学生および教職員の生命と健康を守るために、オンライン学習は重要な手段の一つであることがわかりました。オンラインは数ある教育形態の一つであり、かつ、その一つにすぎないこと。そして、「どんなときも、健康とつながりを保障しながら学びを止めないこと」。大学では、恥ずかしながら、学習権の保障という観点で大学教育を考えたことがなかったので、とても大事な経験になりました。
 研究は、現役の団体である「日本教育会」についての論文と、1880~1930年代日本の教育学史についての論文の2つを世に出しました。近いうちに活字化もする予定です。また、担当科目が教育学部2年目のためにコマが一つ増えたので、テキストも再編集・加筆しました。尊敬する広島大学教育学の先輩・後輩たちと一緒に共同研究も進め、研究テーマや知識の範囲が広がっています。
 なお、4月から娘が幸い保育園に入園することができました。が、それはつまり共働きの子育てが開始されたことを意味します。娘の園は比較的、保護者にたくさん要求をつけてこない園で助かりましたが、慣れるまでは意外と大変でした。妻にばかり負担をかけたくないと思っていたので、できる限り子育ての主体の一人として頑張ってきましたが、やはりきついです。何より一番きついのは、休日が休日でなく、在宅時間が休憩時間ではないことでした。精神的に限界まで仕事をして帰って二馬力で家事・世話をして、寝かしつけながらしばしば寝落ちする毎日。不摂生で蝕まれた40代の体がたびたび悲鳴を上げます。
 娘はめちゃくちゃかわいいので、頑張るしかないのですが…笑。娘は順調に日に日に成長しています。遠からず2歳になりますが、一人で遊んでくれたり、一人で寝たり食べたりできるようになれば生活が一変するだろうなと楽しみにしています(^^;  責任の重い激務と40代の共働き子育てのため、12月は燃料切れ。頭も体も心もくたびれていました。新年からまた頑張らなければ…! その前に卒論チェック(10人)を年末年始に仕上げなければならないのですが、娘の相手をしながらはきついですね…
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