老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

終戦日前後のこと ~反戦と良心的兵役拒否者~

2022年08月18日 19時29分55秒 | 政治・経済・環境・核兵器など

 8月は、広島/長崎への原爆投下や、各地の大規模空襲を悼む日が続き、15日はこの国が自国民の甚大なる被害だけでなく、アジアや太平洋地区の多くの国に迷惑をかけた太平洋戦争が終息した大きな記念日です。

 今年は予想もしなかったロシアによるウクライナ侵攻という事態もあり、国際的にも例年以上に「反戦」が重みを増す年となりました。

 しかし、日本の状況はどうかと言えば、全く真逆と言っても差し支えないような状態だと思います。

◆期待もしていませんでしたが、広島・長崎での平和式典における首相の言葉は、例によって核兵器廃絶のリーダーシップを取る意思も感じられず、かつまた高齢化した原爆被災者の救済拡大にも触れない、おざなりなものでした。
これでは、国際平和に関しての日本の存在価値など誰も見向きもしなくなるでしょう。

◆また、終戦記念日に当たっては、統一教会などの右翼的勢力の政府与党に対する影響力拡大の実態が明らかにされつつあるにもかかわらず、これらの排除に向けての意思表示もないだけでなく、改造された内閣や与党関係者の中には、これらの勢力との関係が指摘される議員などを多数組み込んでいます。

 軍備拡大や国家権力の強化を目指す右翼勢力と手を切れない、或いはこれらの勢力のお陰で成り立っている政府に、平和と民主主義を守ることなど期待する方がいけないのでしょう・・・

 

 また、例年この時期には反戦的な映画やドラマがTVでも数多く放映されるので、つまらない政治の動きより余程興味があり、録画して見ています。

 まず、あまり期待はしていなかったのに圧倒された映画がありました。『ハクソー・リッジ』(Hacksaw Ridgeです。

 監督が「マッドマックス」などでお馴染みのメル・ギブソンということで録画しておいた2016年のアメリカの伝記映画でした。

 題名の『ハクソー・リッジ』は、沖縄戦において、日本と連合国両軍の激戦地となった沖縄・浦添の「前田高地」と呼ばれた日本軍陣地のことで、北側が急峻な崖地となっていることからアメリカ軍がこの崖につけた呼称(Hacksaw=弓鋸、Ridge=頂上部)に由来するようです。
(但し、この映画の撮影地は沖縄ではなくて、オーストラリアということです)

 大まかな筋書きは、教会の敬虔な信徒で聖書の「汝、殺すことなかれ」を信条とするデズモンド・T・ドスが、銃を手にすることを断固として拒絶することで、周囲から孤立しながらも、衛生兵として従軍し活躍するのですが、これは実話に基づくもので、彼は「良心的兵役拒否者 (Conscientious objector)」として初めて名誉勲章が与えられた人物のようです。

 前半は甘いラブストーリーも織り交ぜながらの軍法会議などの比較的穏やかな場面なのですが、後半の戦闘場面になると一転して迫力あるというか残酷な場面も多くて目をそむけることもありましたが、それほど戦争の第一線は残忍で恐ろしいものだということを実感できます。

 また、この映画の主題は、良心的兵役拒否者を貫くものの、何とか従軍して他の隊員と共に国に貢献したいというデズモンド・T・ドスの意志の強さですが、その中でも特に印象に残っているのは
◆ライフルの訓練が始まったとき、デズモンドは断固として銃に触れることを拒絶するが、その理由を聞かれて「軍服や軍務には何の問題もなく『人を殺せないだけです』」と明言する。
◆軍法会議で、色々と悩みながらも<信念を曲げたら生きていけない>と再確認して、「皆は殺すが、僕は助けたい」堂々と宣言する。
◆戦場で退避した防空壕の中で、負傷した日本人にも手当をしてやる。
場面です。

「良心的兵役拒否者」という言葉はちょいちょい聞くことがありますが、いざ実行するとなると本当に孤独手、辛くて苦しいものなのだということが改めて感じられました。


 また、今年はWOWOWで『戦争と人間』(監督:山本薩夫、3部作で延べ約9時間)が放映されていてこれも録画していますので、近々見る予定にしています。

 この映画は、『人間の條件』と同じく五味川純平の同名大河小説で、1970年(昭和45年)から1973年(昭和48年)にかけて公開された日活映画です。

 

 現在の日本政府に対する期待は殆どなく、逆に右翼化に舵を切りつつあることに危惧するばかりですが、良心的兵役拒否の制度が根付いていない日本では、自分なりの「反戦」の気持ちを整理・継続していくことが大事なことだと思っています。

(まさ)





最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。