老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

米国の鉄鋼・アルミ製品の関税アップ問題と、物事の本質

2018年03月16日 19時52分24秒 | その他
 予てから話題となっていた米国の鉄鋼・アルミ製品の関税アップ問題については、3月8日にトランプ米大統領が鉄鋼・アルミニウム製品の輸入増加が「国家安全保障上の脅威になる」として、それぞれ関税を大幅に引き上げる輸入制限を正式に発表しました。

 通商協定を交渉中のカナダとメキシコ、並びにオーストラリアなどを例外扱いとし、日本を含む他の国には通商・防衛両面での貢献策の提示を求め、有益と判断すれば対象から外す。
しかし、各国に一方的な譲歩を求める内容で、世界的な「貿易戦争」に発展する恐れがあります。

 勿論、日本の鉄鋼・アルミ業界にとっては大問題で、何とか日本も例外扱いになることを色々なルートで働きかけているでしょうし、政府筋も“米国の友好国”という事を前面に出して、バックアップしていることと思います。


 この問題を見ていると、フト思い出したことがありました。
私が就職した当時ですから、もう50年も前のことですが、出張で南アフリカに出張した先輩が、帰国後に得意そうに“日本は凄い! 南アフリカでは日本人は欧米諸国並みの扱いを受けた”と話すのです。

(随分前の事で、この背景が判らない方が多いと思いますので、補足説明しますと、
当時南アフリカは世界に冠たる人種差別国家で、黒人や黄色人種は差別的な扱いをされていたのですが、その中で日本人は白人並みの扱いを受けたという事です)


 この時に、この先輩の捉え方は少しおかしいのではないかと感じました。
即ち、他のアジア諸国と違って白人並みの扱いをされたことに優越感を感じるのではなく、人種差別があること自体をおかしいと感じることが大事なのではと感じたからです。


 今回の、米国の関税問題でも、仮に日本が例外扱いをされることになると、“やはり、日本の友好性を認めてくれた”と、政財界はトランプ大統領への感謝と称賛の気持になるのでしょう。

 しかし、本当の問題はそのように日本が特別扱いされるか否かということではなく、米国が今まで強い経済力を背景にして自由貿易を推進してきたのが、自国の技術革新が遅れて競争力を落とした時に、今までの自由貿易の方針を自己勝手に変更することであり、これはおかしいと正面から反対すべきでしょう。

 どうも、自分に少しでも有利なことがあれば、その問題の本質を忘れてしまって、相手に感謝するというおかしな風潮があるように思います。
正に、現在バイアスの極端な例でしょう。(まさ)