雨上がりの午後、数年ぶりにドングリを食べて見たくなりました。炒るだけで食べることができるドングリの一種であるマテバシイの木がたくさん生えている場所に行きました。しかし、時期が遅かったのか採集できたのは数粒でした。このため、急遽クルミを採種して食べることに切り替えました。
川辺にたくさん生える胡桃(クルミ)の大木
普通の人は、胡桃は山奥に木が生えていると思っています。しかし、意外と都心の川辺に生えています。今回は八王子市近くを流れる浅川河川敷沿いに生える胡桃の大木を訪ねました。何本かは川の改修で切られていましたが、何本かは残っていました。さっそく、根元に胡桃が落ちていないか探しました。すると、たくさんありました。
河川敷に落ちていた胡桃の実 半分腐った胡桃の実
ふだん目にする胡桃は、果肉の中にある硬殻です。木から落ちたばかりの胡桃は緑の果肉をまとっています。胡桃の実は桃に似ています。胡桃の硬殻を覆う青い果肉は、桃の果実に相当します。胡桃の硬殻は、桃の芯にある硬い種に相当します。地面に落下した胡桃の実はすぐに腐り始めます。そして、数ヶ月すると硬殻だけが残ります。今回は、いろいろな腐り段階の胡桃を採取することができました。
割れた緑の果肉と、中から出てきた胡桃の殻
地面に落下する前の胡桃が、たくさん木の上にぶら下がっていました。この胡桃は高枝バサミを使って採種しました。10粒程度の胡桃が鈴なりぶら下がる枝の根元を高枝バサミを切り、そのまま胡桃を落とさないように挟みながら地面にそっと置きました。枝の高さから胡桃を落としてしまうと、落下時に胡桃がばらばらにはじけ飛んでしまいます。そうなると、胡桃が草むらに散り散りになってしまって捜して集めるのが大変です。
高所にぶら下がる胡桃 高枝バサミで胡桃の根元をカット
木にぶら下がっている胡桃は、まったく傷んでいません。果肉もきれいな薄緑色です。しかし、胡桃はこのままでは食べることができません。果肉内の硬殻を取り出さなければなりません。「鬼胡桃」と呼ばれる品種※には、果肉を簡単に割って殻を取り出すことができるものがあるようです。しかし、今回は「姫胡桃」と呼ばれる里山などに生えている日本では最もありふれた胡桃です。日本原産の小さめの胡桃です。この胡桃の殻を取り出すには時間と一工夫が必要です。※長野県ではいろいろな品種の胡桃を研究・栽培しているとのこと。
果肉表面が綺麗な薄緑色の、枝から下ろしたばかりの胡桃
この胡桃の硬殻を取り出すためには、果肉を腐らせるのが一般的方法です。果肉が腐っても胡桃の実は硬殻に守られています。胡桃の果肉は、地面に落ちた順に徐々に腐っていきます。このため、枝に残っていた胡桃が一番新鮮で、一ヶ月ほど前に地面に落ちたものは最も腐敗が進んでいます。
右は枝にあった胡桃、左上のものは最も果肉が腐った胡桃
胡桃の果肉の変化を順に並べてみたものが、上の写真です。胡桃の果肉の時間的変化が分かります。左上のものは果肉が無くなり硬殻だけになった状態です。すぐにでも食べることができます。
胡桃はそのまま地面に置いたままでもかまいませんが、リスなどの小動物に食べられてしまいます。人はリスなどに取られないように、この胡桃を集めて土の中に埋めたり水に浸して腐らせます。一ヶ月ほどすると果肉が腐って胡桃特有の硬殻だけが残ります。この硬殻を取り出して洗って干して食用にします。今回は、採取した胡桃を畑に埋めました。一ヶ月ほどしてから取り出して食べようと思っています。
枝から下ろした鈴なりの胡桃 採種した胡桃を土に埋める
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