ツル

自転車通勤は片道２５分の道のりだが、健康にはとてもいい。
夏の長い坂道を自転車でこぐと、暑さで疲れが倍増する。その坂道
の下にはＪＲ岩徳線が走っている関係で、歩道の巾が極端に狭い。
夏になると、歩道からツルが延びている区間が３ｍ程あり、登り下
りする自転車を遮って邪魔をする。歩道の巾は１ｍしかないので、
その３ｍ間は、横にハンドルを切れずに自転車をこぐ。こぎながら
体を前後左右に振りながら延びてきたツルをさける。しかし、自然
に生えてくるツルの繁殖力は旺盛で、本数もどんどん増え、長さも
長くなってくると、もう避けられない。
・
たまらずに自転車から降りて、歩道をふさぐ延びたツルを指で折っ
て下に向けた。するとツルは、あんなに繁殖力があったのに成長が
止まって下を向いたままになった。坂道を自転車でこぐとき、ツル
は邪魔をしなくなったので気分良く自転車を走らせる。
・
しかし１～２週間もすると、別のあらたなツルが延びてきた。
前回と同じように、最初は自転車をこぎながら前後左右に体を振り
ツルから逃れる。昨日、もう限界になったので自転車から降りて
ツルを指で折ろうとすると、前方から女子高校生が自転車で降って
きた。スピードが出ているので、顔の前に延びたツルを避けるのは
危険だ。たかが３ｍの間だが５～６本はある。１本１本指で折って
下に向けた。その間、１分ぐらいかかっただろうか。
前回、自転車を降りて指で折ったときも気分は良かったが、今回の
方がなぜか気分が良かった。先ほどの女子高校生のように、たくさ
んの人がツルをうっとうしく思っているのだ。数週間に１分だけ時
間をかけるだけでたくさんの人に役にたつ。こんなにたやすい社会
奉仕ないので、これからは率先してツル折りをやろうかな。



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