ブログ 「ごまめの歯軋り」

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防衛省事務次官人事 官邸主導原理で決

2007年08月18日 | 時事問題
asahi.com 2007年08月18日03時03分
防衛次官人事、第3候補の増田氏起用で決着
 政府は17日、混乱が続いていた防衛省の事務次官人事を決着させるために人事検討会議を開き、守屋武昌次官(62)を退任させ、後任に増田好平人事教育局長(56)を起用することを内定した。現職の事務次官では最年少で、28日の閣議で正式決定する。小池防衛相と守屋次官の対立は首相官邸や与党を巻き込む事態に発展し、安倍首相の管理能力を問う声も広がったため、官邸主導で早期収拾を図る必要があると判断した。

見かけは痛みわけのようだが、政冶家優位の原則は貫かれた。2対1で小池さんの勝ち。
戦後の議院内閣制と省庁代表制について振り返っておこう。
終戦後民主化日本国憲法で定められた政治体制「議院内閣制」とはなんだろうか。そのまえに日本を実質的に単独占領したのは米国占領軍(マッカーサー)である。その米軍が何なぜ自国の大統領制を押し付けずに、イギリスの「議院内閣制」を憲法に盛り込んだのだろうか。本書にその解は見えない。大統領制といっても、ドイツやイタリアの政治の実権は首相にあり大統領は象徴的存在に過ぎない。また韓国の大統領制はかなり大統領の権限が強く、中南米諸国の専制的大統領の近い面もある。発展途上国では巨大な大統領特権が必要なのかもしれないが、いつも軍部専制と腐敗の匂いが付きまとい大統領は政権打倒の対象になる。米軍は日本の政治体制にこの専制的大統領が出現することを最も恐れたのかもしれない。議院内閣制の最も重要な特質は、行政権を担っている内閣が議会の信任によって成立していることである。議院内閣制は政党政治の存在を不可欠の要素とする。したがってヨーロッパの諸国ではこうしたイギリスをモデルとしながら各国の事情に合わせて議院内閣制という政治体制を採用したのである。有権者が衆議院の国会議員を選び、国会が首相を選任することで首相は内閣を組織し、首相は行政権を行使するため複数の国務大臣を選任し内閣の構成員とする。したがって大臣の権限は首相に由来するのである。各大臣は分担して行政事務を行うが、その際官僚の補佐を受ける。大臣は資格任用制があるので官僚を自由に解任できない。この一連の流れが議院内閣制の一元代表性となり、また民主制の一形態であることが理解できる。国会議員とりわけ衆議院議員の仕事は立法だけではなく、首相を選び内閣を支える役割があり全体としてみれば行政権を適切に維持することも議会の重要な機能である。

派閥の力学によって閣僚選びが舞台裏で進行する為、大臣は首相のために働くというよりは派閥のために働くという印象が支配的になる。大臣はポストであるので誰もが順番を待っている。大臣の任期は原則1年という慣行もできた。つまり素人大臣が入れ替わり、主体的に動ける経験も見識もない大臣が官僚のお膳立てに乗って言われるままに行動する大臣が出てくるのもやむをえない。議院内閣制の原則が逆転し、省庁官僚制の代理人となってしまうのである。内閣はそれぞれ拒否権を持つ大臣の合議制に変質し、議院内閣制は機能不全に陥ってしまった。日本国憲法の条文を見る限り、内閣総理大臣は巨大な権限を持っている。憲法66条で内閣総理大臣は任意に国務大臣を罷免任命する権限を有する。また行政機能では憲法72条で「内閣を代表し議案を国会に提出し、国務外交関係を国会に報告し、ならびに行政各部を指揮監督する」というものである。憲法では各省庁の指揮監督権は首相にあって、国務大臣にはないのである。

ところが「内閣法」では戦前の体制が復活している。内閣法第三条には「各大臣は主任の大臣として行政事務を分担管理する」と規定されている。憲法とのねじれがおきている。このような「強い分担管理原則」の下では首相の権限は奪われ、各省大臣がそれぞれ省益に拘束され独立した基盤をもつのである。官僚からなる省庁の代理人たる各省大臣が集合する内閣である「官僚内閣制」は、分担管理原則に負うところが大きい。

花火大会

2007年08月18日 | 写真館
田舎の花火大会は、一つ一つの打ち上げにスポンサーの名前を読み上げるため所要時間が長いわりに間延びがして花火の集中力というか火力がない。いわば線香花火のようなわびしさが付きまとう。