医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

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アスピリン+徐放性ペルサンチンとプラビックスの脳梗塞再発予防効果は同じ

2009年07月16日 | 神経
以前、アスピリンとペルサンチンは脳梗塞の再発率を下げることをお伝えしました。

その後、プラビックスという薬が開発され現在使用されています。今回は徐放性ペルサンチンとアスピリンの併用とプラビックスのどちらがどれくらい脳梗塞の再発の予防に有効かという報告です。

Aspirin and extended-rerease Dipyridamole versus clopidogrel for recurrent stroke.
New England Journal Medicine. 2008;359:1238.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

以前に脳梗塞を生じた20,332人が、アスピリン25mg/日+徐放性ペルサンチン200mg/日内服群とプラビックス75mg/日内服群に無作為に割り当てられ、2年半前向きに調査されました。

脳梗塞の再発率はアスピリン+徐放性ペルサンチン群で9.0%に対して、プラビックス群で8.8%と、脳梗塞の再発を予防する効果は同等でした。

しかし、脳出血や出血性胃潰瘍などの出血性疾患の発症は、アスピリン+徐放性ペルサンチン群で4.1%に対して、プラビックス群で3.6%と、プラビックス群で少なくなりました。

脳梗塞の再発と出血性疾患の発症を合わせた場合は、両群では差は認められませんでした。

さて、コストベネフィットですが、アスピリン50mgという錠剤はないので100mgの錠剤を用いるとして6円、徐放性ペルサンチン200mgはないので150mgを2錠使用して92円で合計1日98円、一方プラビックス75mgは279円です。2年半の脳梗塞の再発率は差がなく、出血性疾患の発症が0.5%違うのですから、アスピリン+徐放性ペルサンチンではなくプラビックスを使用して3,412万円で一人の脳出血や出血性胃潰瘍などの出血性疾患の発症を予防していることになります。

総合的に考えると、脳出血や出血性胃潰瘍の発症1人予防するのに3,412万円が安いと考えられる場合はプラビックス、高いと考えられる場合はアスピリン+徐放性ペルサンチンということになります。

でも、ここでオチがあって、日本では保険診療では徐放性ペルサンチンは脳梗塞の再発予防には使えません。どうして日本ではプラビックスよりも安い徐放性ペルサンチンが脳梗塞の再発予防には保険で使えないのでしょうか不思議です。


厚労省は医者ばかりいじめていないで、早く徐放性ペルサンチンの適応を拡大しないと、日本の医療費が破綻してしまいますよ。


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コメント (1)
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