医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

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変形性膝関節症の症状の改善には塩酸グルコサミンではなくセレコキシブを

2006年03月07日 | 整形外科
変形性膝関節症に対してもさまざまなサプリメントが売られています。今回はそれらに関する論文です。

Glucosamine, Chondroitin Sulfate, and the Two in Combination for Painful Knee Osteoarthritis
New England Jounal of Medicine. 2006;354:795
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

膝関節症状のある変形性関節症患者1,583例(軽症1,229例、中等症から重症354例)を対象にし、塩酸グルコサミン1,500 mgを毎日、硫酸コンドロイチン1,200 mgを毎日、塩酸グルコサミンと硫酸コンドロイチンを毎日、セレコキシブ200 mgを毎日、プラセボのいずれかにランダムに割り付け、6ヶ月間調査しました。頓用の鎮痛薬として1日4,000 mgまでのアセトアミノフェンの使用も許可されました。

結果は、膝関節痛が試験開始時に比べて20%減少した割合はプラセボ群で60.1%、塩酸グルコサミン群は64.0%、硫酸コンドロイチン群は65.4%、併用群は66.6%、セレコキシブ群は70.1%で、セレコキシブ群だけで差があったと解析されました(P=0.008)。副作用は軽症かつ稀であり、発生率には群間で差がありませんでした。

中等症から重症の膝関節痛だった患者群に限れば、塩酸グルコサミンと硫酸コンドロイチンの併用治療による反応率が、プラセボに比べて有意に高かった(79.2%対54.3%、P=0.002)。

「患者が自分の症状の管理に食品サプリメントを選択した場合には、塩酸グルコサミンではなく硫酸グルコサミンを使うように指示する必要がある。また疼痛が重症の患者には、硫酸グルコサミンと硫酸コンドロイチンを併用させればより高い効果が得られると思われる。3カ月間も治療すれば効果を評価することができる。もし、臨床的に意義のある症状の改善がそれまでに見られなければ、そのサプリメントの使用は中止すべきだ。また、健康な者や膝関節痛はあるがレントゲン所見は正常である者において変形性関節症の予防にこれらの薬剤の効果があるという証拠はない」と結論づけられています。

「グルコサミン」「コンドロイチン」をネットで検索すると多くの通信販売のサイトがあることがわかります。しかし、それぞれを単独で内服していても効果がないことが明らかになりました。また、併用の場合も、「グルコサミン」は塩酸グルコサミンではなく硫酸グルコサミンであることの確認が必要です。「セレコキシブ」は欧米では商品名「セレブレックス」として病院で処方されますが、日本では発売申請中です。


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